シャングリラ学園シリーズのアーカイブです。 ハレブル別館も併設しております。
マザー、引き続き「子供向け番組」の編集作業をしています。これが通信士補佐の主な仕事だと先輩が教えてくれました。一般向けは「基本的にそのまま流す」方針になっているそうです。「子供向け番組」は懐かしい番組が多く、つい私情を挟みたくなって困ります。でも「私的な録画は職権乱用になるからダメよ」と先輩に釘を刺されました。『ベルばら』最新版をダビングさせてらっしゃるキャプテンがとても羨ましいです。
「えっ、打ち切りにするんですか!?」
今日も楽しくチェックしていると、先輩からの指示が入りました。モニターにはアニメ番組『うる星やつら』が流れています。これもSD体制前のアニメのリメイク版で、何度も放映されているためチェック対象外でした。
「これは毎週この時間で…子供たちにも人気があって。第一、問題ないってことに」
マニュアルを見直しましたが「問題なし」と分類されています。それを打ち切りとは何事でしょう?
「編集会議の決定なのよ。…今日の放送分は続き物?」
「えっと…1話完結モノみたいです」
「それじゃ次回予告を削って、『今回でおしまい』みたいなテロップつけて。ああ、来週からは差し替えの番組を入れるけど、そっちの方は決まり次第また連絡します、って」
釈然としないまま言われた作業を開始しました。先日の最新版『ベルサイユのばら』でも明らかになっていることですが、子供向け番組は厳重なチェックを重ねて放送するので「差し替え」はあっても「打ち切り」という事態は本来ありえない筈です。しかも以前に「問題なし」とされているものを打ち切りにするとは余程のことが?
「以前は問題なかったのよ」
先輩が溜息まじりに言いました。
「…『うる星やつら』は子供も喜んで見てるんだけどね…。いかんせん、悪戯のシーンが多くて」
え。以前なら問題なくて、今は問題で…悪戯シーンが多いから…???
「もしかして「そるじゃぁ・ぶるぅ」のせいですか?」
「…そうだって。悪戯のネタを仕込まれないよう、本日限りで放送打ち切り」
「それは…。子供たちがちょっと可哀相ですね」
「一緒に悪戯してることも多いけどね。…あれをソルジャーだと思い込んで」
偽ソルジャーのせいで番組打ち切り。子供たちが知ったらショックでしょうねぇ。
マザー、『うる星やつら』は本日付で放送中止になりました。来週からは『アルプスの少女ハイジ』だそうです。世界名作劇場と差し替えるのは「そるじゃぁ・ぶるぅ」対策でしょう。つまらない、と退屈そうに呟く姿が目に浮かびます。退屈のあまり「テレビを見るより悪戯しよう」にならないことを祈ります、マザー…。