シャングリラ学園シリーズのアーカイブです。 ハレブル別館も併設しております。
※シャングリラ学園シリーズには本編があり、番外編はその続編です。
バックナンバーはこちらの 「本編」 「番外編」 から御覧になれます。
やって来ました、夏休み。初日の今日は会長さんの家に集合、今後の予定を立てるというのが恒例です。もっとも柔道部三人組は明日から合宿、ジョミー君とサム君は合宿期間に合わせて璃慕恩院での修行体験ツアーと決まってますから、その後の話なんですけれど。
「やっぱり今年は山の別荘! あそこがいいな!」
乗馬にボートに…、とジョミー君が言い出し、キース君も。
「あそこはリフレッシュ出来るからなあ…。卒塔婆書きのいい癒しになるから、俺も賛成だ」
「今年も卒塔婆が溜まってんのかよ?」
サム君が訊くと、「失礼なヤツだな」と顔を顰めるキース君。
「俺は計画的に書いているんだ、それでも量が多すぎるんだ! たまに親父も押し付けて来るし」
「お父さんには勝てませんよね…」
アドス和尚はキツイですから、とシロエ君が頭を振って。
「ぼくたちがお邪魔したって容赦がないというか、先輩と同じレベルでしごかれると言うか…」
「そうなのよねえ、正座は必須だとか、もう色々とうるさいのよねえ…」
スウェナちゃんも同意で、キース君は「分かってくれたか」と。
「つまりだ、俺は親父にいいように使われているわけで…。今年もドカンと卒塔婆が来そうだ」
親父がサボッているのは分かっている、と悔しそうに。
「合宿に行ってる間は俺がいないと思ってサボリまくるに決まっているし…。帰って来たらまた増えているんだ、俺のノルマが!」
「「「あー…」」」
気の毒だとは思いましたが、代わりに書ける人はいません。頑張ってとしか言いようがなくて、可哀相なキース君のためにも山の別荘行きは決定で。
「会長もそれでいいですよね?」
シロエ君が確認すると。
「あっ、うん…。ごめん、なんだっけ?」
聞いていなかったらしい会長さん。そういえばボーッとしてたかな?
「おい、夏バテか?」
夏は始まったばかりなんだが、とキース君が突っ込みましたが。
「ううん、そうじゃなくて…。ちょっと余所見を」
「「「???」」」」
楽しい夏休みの相談中に、余所見というのは何事でしょうか。よほど面白い物でもあったか、気になることでもあったんですか…?
「…ごめん、ハーレイの研究が気になっちゃって…」
「「「研究?」」」
何を、と顔を見合わせる私たち。教頭先生の受け持ちは古典なんですけれども、研究するほど打ち込んでらっしゃいましたっけ?
「…まさか学会にでも行かれるんですか?」
夏休み中にあるんでしょうか、とシロエ君が尋ねると。
「そんな高尚な研究だったらいいんだけどねえ…。まあ、古典はまるで関係なくもないけど」
古い文献を読み込んでるし…、と会長さん。
「よくも探して来たなって言うか、もう根性だと言うべきか…」
「何の研究なんですか?」
シロエ君の問いに、会長さんは嫌そうな顔で。
「…惚れ薬」
「「「惚れ薬?」」」
惚れ薬って、いわゆる惚れ薬ですか、それを飲ませれば相手のハートが手に入るという惚れ薬?
「そう、それなんだよ。…作るつもりで頑張ってるんだ、この夏に向けて」
「「「へ?」」」
「ぼくに飲ませて、素敵な夏を楽しもうと思っているんだよ! ハーレイは!」
実に迷惑な研究なのだ、と会長さんは怒ってますけど、惚れ薬なんか作れるんですか?
「どうだかねえ…。ハーレイは作れると思い込んでるし、思い込みの力で何とかなる…かな?」
「「「思い込み?」」」
「うん。…ハーレイがあれこれ試してる内に、出来ないこともない…かもしれない」
なにしろ熱心に研究中で…、と会長さん。
「この国の文献だけじゃなくって、他の国のも引っ張り出して頑張ってるから」
「おい、教頭先生は語学に堪能でらっしゃったのか?」
「堪能と言うか、なんと言うか…。無駄に長生きはしてないよ、うん」
ある程度ならば読めるのだ、と聞いてビックリ、意外な才能。それじゃゼル先生とかも他の国の言葉がペラペラだとか…?
「ほら、サイオンがあるからね。意志の疎通には困らないから、読む方は…どうなのかなあ?」
エラやヒルマンはいけるだろうけど、ということは…。教頭先生、自力で様々な国の言語を習得、それを使って研究中だと…?
教頭先生の惚れ薬研究、梅雨の頃から始まっていたらしいです。夏休みに向けて。思い立った動機は全くの謎で、会長さんに言わせれば「ただの閃き」。けれども教頭先生の方は天啓を受けたとばかりに研究に励み、今日もせっせと惚れ薬作り。
「明日から合宿に入るだろう? その間が熟成期間になるみたいだねえ…」
「壺に詰めるとか、そういうのですか?」
熟成と言うと…、とシロエ君が問いを投げ掛ければ。
「壺もそうだけど、埋めるようだよ、家の庭に。…本当は神社の境内に埋めたいようだけど…」
「「「神社?」」」
なんで神社、と驚きましたが、理由は一応、あるそうです。縁結びの神様がお住まいの神社の境内に埋めて、恋愛成就を祈る人たちに上を歩いて貰えば完璧、そういう仕様で。
「…それは片想いの人たちじゃないかと思うんだが…」
縁結びの神社ならそうならないか、とキース君が首を捻ると、会長さんは。
「大多数は片想いの人だけれどさ、叶った時にはお礼参りに来るだろう? そっちのパワーは馬鹿にならないし、片想いの人だって振り向いて欲しいと必死だからねえ…」
両者のパワーで凄い惚れ薬が出来るらしい、という話。それって本当なんですか?
「さあねえ…。あの手の文献、大抵、根拠は不明だし…。ぼくも惚れ薬はサッパリだしね」
そんな勉強はしていないから、と会長さん。
「だけどハーレイは作れるつもりで頑張ってるわけで、神社の境内に埋められない分、家で工夫をするようだから」
「どんな工夫だ?」
どうすれば神社と張り合えるのだ、とキース君。
「恋愛祈願の人が教頭先生の家の庭に来るとは思えんが…。第一、不用心だと思うが」
「そこは心配要らないんだよ。踏んで行くのは人じゃないからね」
「「「え?」」」
何が踏むのだ、と深まる謎。まさか幽霊ではないんでしょうし…。
「人とはまるで関係無いねえ、幽霊もね。…この際、動物でもいいと思ったみたいで」
マタタビとかを用意している、と聞かされましたが、それじゃ、壺が埋まった地面の上を踏んで行くものは猫ですか?
「そのつもりらしいよ、恋の時期の猫は半端ないから」
今の季節は違うけれども、あやかりたい気持ちが大きいらしい、と会長さんは大きな溜息。猫の恋ってそんなに凄かったかな…?
教頭先生があやかりたいらしい、猫の恋。シーズンになったら独特の声で鳴いてますけど、会長さんによるとオスは寝食を忘れて走り回るほどらしいです。メスを巡って取っ組み合いの喧嘩も珍しくなくて、挙句の果てに…。
「「「トラックを止めた!?」」」
「らしいよ、いると分かってて轢いて通るというのもねえ…」
これは実話、と会長さんが話してくれた、恋の季節の猫の大喧嘩。ガップリお互い噛み付き合ったままで路上に二匹で、一車線しかない道路。通り掛かったトラックが気付いてクラクションを激しく鳴らしているのに、猫は喧嘩をやめるどころか動かないままで。
「クラクションの音で近所の人たちも出て来ちゃったから、そこで轢いたら大変だしね?」
「「「あー…」」」
そうだろうな、と思いました。動物愛護の精神で通報する人もいるかもですし、現場の写真を撮って直ちに拡散する人もいそうです。つまりは猫が姿を消すまで、トラック、立ち往生だったというわけですか…。
「そういうことだね、しかも誰も猫をどけようとはしなかったらしくて…」
トラックは十分以上も動けず、道は大渋滞になってしまったという話。あまつさえ、猫の喧嘩は噛み付き合った状態のままで徐々に移動し、側溝に落ちたというだけのことで。
「つまりね、トラックが走り去った後も喧嘩は続いていたんだよ。確か三十分だったか…」
「すげえな、その間、取っ組み合ったままだったのかよ?」
剥がれねえのかよ、とサム君が訊けば。
「取っ組み合いどころか、噛み合ったままだね。最後はフギャーッと凄い掴み合いで、後に沢山の毛玉がポワポワと…」
「「「うーん…」」」
そこまでなのか、と聞いて納得、猫の恋の凄さ。教頭先生があやかりたいのも分からないではありません。恋愛成就の神社が無理なら、せめて猫たちに踏んで行って欲しいと。
「…教頭先生、本気で壺を埋めるんですか?」
庭に、とシロエ君が確認すると、会長さんは。
「惚れ薬が完成したならね。…あと少しで出来るみたいだし…」
お約束のイモリで完成らしい、と吐き捨てるように。イモリの黒焼き、それを投入してからグツグツ煮込んで、布で濾して壺に詰めたら熟成。庭に穴を掘って壺を埋めておいて、その上の地面にマタタビやキャットフードなど。…なんとも怪しい惚れ薬ですが、本当に効くんですか、それ?
教頭先生の惚れ薬作りは格好の話題になりました。「そるじゃぁ・ぶるぅ」がサイオン中継で見せてくれた現場は教頭先生の家のキッチン、この暑いのにグツグツ煮えている大鍋。
「…真っ黒だよねえ…」
あんなの飲む人いるのかな、とジョミー君が悩んで、マツカ君が。
「薔薇色とかなら分かるんですが…。あの色はちょっと…」
惚れ薬とは思えません、と厳しい言葉。何処から見ても不味そうな出来で、会長さんに飲ませるなどは無理そうですが…?
「それがね、熟成させたら色が変わるというらしくてねえ…。成功したなら」
「「「へ?」」」
「だからさ、上手く出来たらの話! 熟成した後、薔薇色になっていたなら完璧らしいよ」
ハーレイの研究ではそうなっている、と会長さん。熟成期間を終えて掘り出した壺の中身が薔薇色に変わっていたなら完成品だ、と。
「本物が出来るというんですか、あれで!?」
シロエ君が驚き、キース君も。
「黒い液体が薔薇色か…。化学変化を起こしたならば、可能なのかもしれないが…」
それは効くのか、と訊きたい気持ちは誰もが同じ。会長さんは「さあ…?」と首を傾げて。
「どうなんだかねえ、ハーレイの研究なんだしね? しかも色々、混ぜちゃってるし…」
レシピは一つではないようだ、とズラリ挙げられた文献の数。古今東西、あちこちの文献を読み込みまくって美味しいトコ取り、使えそうなレシピは端から採用したらしく…。
「真っ黒なのが薔薇色になるっていうのは、その内の一つ。…熟成はまた別のレシピで、神社の境内に埋める方もまた別のヤツでさ…」
「…チャンポンなのか!?」
酒で言ったらチャンポンじゃないか、とキース君。チャンポンは麺かと思いましたが、いろんな種類のお酒を一度に飲むのがチャンポン、悪酔いするとかロクな結果にならないそうで。
「…惚れ薬でチャンポンは危険じゃないですか?」
お酒以上にヤバそうですが、とシロエ君の指摘。惚れ薬どころか嫌われる薬が出来上がるかもしれません、と。
「いいんじゃないかな、ぼくは飲むつもりはないからね」
惚れ薬と知ってて誰が飲むか、と会長さん。…そうでした、とっくにバレているんでしたっけ、教頭先生の惚れ薬作り。会長さんが飲むわけないんですから、チャンポンだろうが、失敗しようが、私たちには全く関係無いですよね?
合宿へ、修行体験ツアーへと旅立つ男子たちの壮行会を兼ねた屋上でのバーベキューが終わって、私たちは解散しましたが。次の日、スウェナちゃんと二人で会長さんの家へ出掛けてゆくと…。
「かみお~ん♪ いらっしゃい!」
今日はフィシスも一緒にお出掛けだよ! と「そるじゃぁ・ぶるぅ」。フルーツパフェが美味しいお店へ出掛けるそうです、選んだ果物で作って貰えるスペシャルなもの。フィシスさんも先に来ていましたけど、教頭先生の惚れ薬作り、どうなったかなあ…?
「ああ、あれかい? 夜中に穴を掘ってたけどねえ?」
庭でせっせと、と会長さん。
「熟成用の壺にはビッシリ呪文で、それを特別な布で包んで、雨水とかが入らないように防水シートもかけたようだけど…」
ねえ? と会長さんがフィシスさんに視線を向けると、「ええ」と頷くフィシスさん。
「…占い師の立場から言わせて貰えば、防水シートは大いに問題がありますわね」
「「え?」」
どうして、とスウェナちゃんと揃って訊き返すと。
「あれこれ作り方にこだわったんなら、防水も昔ながらの方法にすべきだと思いますわよ?」
今どきの防水シートはちょっと…、と言われてみればそんな気も。でもまあ、神社の境内じゃなくて猫が踏んでゆく地面に埋めてる辺りで、先は見えているとも思えますし…。
「うん、成功するわけがないってね! どうかな、フィシス?」
「…占いですか?」
「どうなるのか興味があるからね。大失敗だろうと思うけれどさ」
占ってみてくれるかな、と会長さんが頼んで、フィシスさんは奥の部屋からタロットカードを取って来ました。会長さんの家にもカードが置いてあるのが流石です。それだけ頻繁に出入りしている証拠なんですし、教頭先生の惚れ薬は無駄だと思いますけど…。
そのフィシスさんはタロットカードをめくって占いを始めたものの。
「…大騒ぎになるみたいですわよ?」
「それは薬のせいなのかい?」
「さあ…。そこまでは分かりませんけど、波乱のカードが」
「「「…波乱…」」」
何が起こるんだ、とタロットカードを睨み付けてみても、答えは出て来ませんでした。次の日に占って貰っても同じ、その次の日も全く同じ。波乱のカードは変わらないまま、男の子たちが戻って来る日がやって来て…。
「かみお~ん♪ みんな、お疲れ様ーっ!」
合宿も修行も大変だったでしょ、と「そるじゃぁ・ぶるぅ」。合宿や修行を終えた男の子たちの慰労会という名の焼肉パーティー、真っ昼間からがお約束。ワイワイ賑やかに肉を焼く中、キース君がふと思い出したように。
「…例の薬はどうなったんだ? 教頭先生が作っていたヤツは」
合宿期間中が熟成期間だった筈だが、という質問に会長さんが。
「今夜、掘り出すみたいだよ? 夏は日暮れが遅いからねえ、八時は過ぎるんじゃないのかな」
本人は早く掘りたくてウズウズしているみたいだけれど、と大きな溜息。
「ぼくとしては大いに迷惑だからね、出来れば掘らないで欲しいんだけど…」
「あんた、飲まないと言ってただろうが」
「そのつもりだけど、どう転ぶやら…。フィシスの占いでは波乱らしいから」
「「「波乱!?」」」
占いの件を知らなかった男子に、会長さんが説明を。カードは毎日、波乱だと告げていたのだと。
「フィシスの占いは外れないしね、何が起こるのか、もうビクビクで…」
「あんたが教頭先生に惚れる結果になるとかか?」
「無いとは言い切れないからねえ…。波乱だけに」
でも簡単には飲まされない、と会長さんも負けてはいません。サイオンで教頭先生の家を覗き見、しっかりと監視し続ける内に、焼肉パーティーは終了、午後のおやつをダラダラと食べて、夕食の時間。夏野菜たっぷりのエスニック料理が並んで満足、食後のマンゴージュースをストローで美味しく飲んでいたら…。
「ハーレイが庭に出てったよ。…スコップを持って」
いよいよ壺を掘り出すらしい、と会長さんの声が。
「…ほらね、こういう感じでさ」
指がパチンと鳴ったと思うと、壁に現れた中継画面。教頭先生が庭の隅っこをザックザックと掘り返しています。そっか、真ん中じゃなくて隅っこだったんだ…。
「猫が寛げるように隅っこらしいね、出来れば恋を語らって欲しいと」
「…その季節じゃないと思うんだが?」
キース君の突っ込みに、会長さんは両手を軽く広げてお手上げのポーズ。
「ハーレイだしねえ、思い込んだら一直線だよ。猫はそこそこ来ていたけれどさ、恋は語っていなかったねえ…」
踏んで行っただけだ、と会長さん。踏んで貰うことは出来たんですねえ、惚れ薬の壺…。
土の中から掘り出された壺は、青いビニールの防水シートに包まれていました。フィシスさんがダメ出しをしていたヤツです。もうこの段階で失敗だろうと思ったんですが、教頭先生がしっかり抱えて家の中へと運び込んだ壺は…。
「うわあ、呪文だらけ…」
いったい何が書いてあるんだろう、とジョミー君が息を飲み、会長さんが。
「あれも一種のチャンポンだねえ…。ありとあらゆる恋愛成就の呪文が一面に…」
せめて統一すればいいのに、と言っている内に壺の封が剥がされ、教頭先生が料理用のおたまを突っ込んで…。
「おおっ、出来たぞ!」
成功だ! と歓喜の表情、おたまの中身は真っ黒ではなくて薔薇色の液体。
「…出来たみたいですよ?」
薔薇色ですよ、とシロエ君が中継画面を指差し、会長さんが呆然と。
「…嘘だろう…! それでフィシスが波乱だと…?」
「そのようだな。あんた、飲んだら終わりだぞ、あれは」
教頭先生に惚れるしかないぞ、とキース君。
「どうやら成功したらしいしな? あの調子だと、今夜の内にも「飲んでくれ」と持っておいでになるんじゃないかと…」
「…そうなのかな? って、そのコースなわけ!?」
会長さんの悲鳴は当然と言えば当然でした。教頭先生、壺の中身をガラス瓶に詰めておられます。そのままでゴクゴク飲み干せそうなサイズの、ジュースか何かの空き瓶に。
「かみお~ん♪ これからお客様?」
ハーレイに何を出そうかな、と「そるじゃぁ・ぶるぅ」が浮かれてますけど、会長さんはそれどころではなくて。
「の、飲まないとは言ったけど…。言ったんだけど…!」
どうすれば、と半ばパニック状態。まさか惚れ薬が完成するとは夢にも思っていなかったという所でしょうか。何も完成したからと言って、飲まなきゃならないこともなさそうですが…?
「毒見してくれ、と言ってみたらどうだ?」
キース君の提案に、会長さんは飛び付きました。
「そうだ、その手があったよねえ…! 飲んでみてくれ、と言えばいいんだ!」
怪しい飲み物を持って来たなら王道の対応なんだから、と晴れやかな笑顔。教頭先生、惚れ薬の毒見は出来ないでしょうし、これで円満解決ですかねえ…?
それから間もなく、教頭先生が愛車で下の駐車場へとご到着。私たちは今夜はお泊まりコースに切り替え、会長さんのボディーガードを兼ねて居座り中です。暫くしたら玄関のチャイムがピンポーンと鳴って、「そるじゃぁ・ぶるぅ」が飛び跳ねて行って…。
「ハーレイが来たよーっ!」
「…遅くにすまん。美味いジュースが出来たものでな」
飲んで貰おうと思って持って来たのだ、と教頭先生がリビングにやって来ました。提げている紙袋の中身は例の惚れ薬でしょう。これだけの大人数がいるとは予想もしなかったらしく、「すまん」とお詫びの言葉再び。
「…ジュースは一本しか無いのだが…。ブルーの分しか」
「ぼくの分だけ? ぶるぅのも無いと言うのかい?」
それは酷い、と会長さん。
「他のみんなの分が無いのは分かるけれども、ぶるぅのも作って来てないだなんて…。なんだか怪しい匂いがするねえ、一本だけだと言うのがね」
「いや、それは…。分量などの関係で…」
「そうかい? 壺に一杯、仕込んでたように思うんだけどね?」
ぼくの記憶が確かだったら、と会長さんの切り返し。グッと詰まった教頭先生に、会長さんは。
「あの壺の中身か、そうじゃないのか。…どっち?」
「もちろん、壺の中身ではない。ただのジュースだ、壺は壺だ」
これがいわゆる嘘八百。壺の中身の方ではない、と開き直った教頭先生、紙袋の中から例の瓶を。薔薇色の液体が詰まっています。
「どうだ、綺麗なジュースだろう? 美味いんだぞ、これは」
「じゃあ、飲んでみて」
「はあ?」
「毒見だよ、毒見。一人分だけって持って来られて、「はいそうですか」と飲むとでも?」
そのアイデアはキース君が出したんですけど、会長さんはもう完全に自分のものに。
「万一ってこともあるからねえ…。まずは一口、それだけでいいから」
「…し、しかし…」
「瓶から直接、飲んでくれてもいいんだよ? その後でぼくが瓶から飲んだら…」
間接キスになるんだけどねえ? と赤い瞳がキラリーン! と。瓶の中身が怪しくなければ、教頭先生は釣れる筈です。毒見するだけで会長さんが間接キスをしてくれるのですし、これで飲まなきゃ、怪しいジュースだと自白してるも同然ですって…。
「ほら、飲んで! ぼくと間接キスなんだから!」
会長さんが促しているのに、飲もうとしない教頭先生。会長さんに惚れて貰うための惚れ薬だけに、自分が飲んだら何が起こるか分からないといった所でしょうか。会長さんはフンと鼻を鳴らすと、ジュースの瓶を睨み付けて。
「知ってるんだよ、それの中身が惚れ薬だということはね!」
「…で、では…」
「飲むわけないだろ、そんな薬! 君が飲んだらいいと思うけど!」
惚れ薬だから、飲んでも何も変わらない筈! と会長さんは瓶を引ったくり、ポンと蓋を開けて。
「これをぼくが君に飲ませたってね、君は元からぼくにベタ惚れ、何も変わりはしないから!」
自分で飲め! と突撃して行った会長さん。身長の差を物ともせずにグイと背伸びして、教頭先生の顎を引っ張り、瓶の中身を無理やり口へと。
「「「わーっ!!!」」」
なんてことを、と私たちはビックリ仰天、教頭先生も驚きのあまり例の薬をゴックンと。会長さんは勢いに乗って「全部飲め!」と無理やり流し込んでしまい…。
「…あんた、けっこう無茶苦茶やるな」
教頭先生に飲ませるとは、とキース君が呆れて、シロエ君も。
「…いくら結果は変わらないのか知りませんけど…。惚れ薬ですよ、怪しいですよ?」
そんなものを強引に飲ませるなんて、と超特大の溜息、残る柔道部員のマツカ君は教頭先生の介抱中です。ゲホゲホと噎せておられる背中をトントン叩いて、擦ったりする内に…。
「…すまん、世話になった。申し訳ない」
教頭先生はなんとか復活、マツカ君に丁重に御礼を言うと。
「おお、こうしてはいられない! 急がねば!」
「「「え?」」」
「まだ起きているとは思うのだが…。明日のデートを申し込まないと!」
「「「デート?」」」
誰に、と会長さんの方を眺めましたが、教頭先生は「邪魔をしたな」とペコリとお辞儀。
「どうして此処へ来てしまったのかは分からんが…。急ぐので、これで失礼する」
「急ぐって…。何処へ?」
会長さんが訊くと、返った答えは。
「ブラウの家に決まっているだろう! 早く行かないと寝てしまうからな」
では、と回れ右、飛び出して行ってしまった教頭先生。ブラウって、ブラウ先生ですか…?
いったい何が起きたというのか、まるで分からなかった私たち。会長さんもポカンとしていましたけど、ようやく我に返ったようで。
「…ブラウって…。まさか、ハーレイ、ブラウとデートを…?」
有り得ない、とサイオンの目を凝らした会長さんですが。
「…ハーレイ、本気だ…。ブラウの家へと向かっているんだ、途中のコンビニで花まで買って」
「「「花!?」」」
「この時間に花屋は開いてないしね、とにかく花だとコンビニに…」
この通り、と映し出された中継画面。教頭先生の愛車の助手席に如何にもコンビニな薔薇の花束、運転する表情は恋に恋しているような顔で。
「マジでブラウ先生とデートなのかよ?」
あの花束で申し込みかよ、とサム君が唖然、ジョミー君も口をパクパクと。
「…なんでそういうことになるわけ、教頭先生、ブラウ先生なんかに惚れていたっけ…?」
「いや、知らん。俺も全くの初耳だが…」
どうなっているんだ、とキース君にも状況が全く掴めないまま、教頭先生、ブラウ先生の家にご到着。花束を抱えてチャイムを鳴らして…。
「ありゃまあ、ハーレイ、どうしたんだい?」
こんな時間に、と出て来たブラウ先生に、教頭先生はバッと花束を。
「そ、そのぅ…。良かったらデートして貰えないだろうか、明日、映画にでも…」
「デートって…。映画って、あんた、熱でもあるんじゃないのかい?」
誰かと間違えていないかい、とブラウ先生が目を丸くしていますけれど。
「いや、間違える筈があるものか! 私は昔からブラウ一筋で!」
「あー、なるほど…。分かった、あんた、酔ってるね?」
飲酒運転は良くないねえ…、とブラウ先生はガレージに停められた教頭先生の愛車を眺めて。
「仕方ないねえ、ちょいと荒っぽい運転になるけど、あんたの家まで送って行くよ」
キーを貸しな、と差し出された手に、教頭先生は感無量。
「なんと、ドライブしてくれるのか! しかも運転してくれると!」
「仕方ないだろ、飲酒運転だと分かったからには、きちんとフォローしておかないとね」
身内から逮捕者は出したくないんだよ、とブラウ先生は車に向かうと、運転席へ。教頭先生に助手席に座るように促し、エンジンをかけて…。
「帰りのタクシー代は出しておくれよ、そこの酔っ払い」
「もちろんだ! ついでに私の家で一杯やろう」
夜のドライブもオツなものだな、と教頭先生は御機嫌でした。ブラウ先生と二人で夜のドライブ、それから家で一杯やろうって、どう考えても変ですよ…?
何がどうなっているのか謎だらけのまま、ブラウ先生が運転する車は教頭先生の家に着きました。ブラウ先生は「タクシー代を寄越しな」と手を出しましたが、「まあ、一杯」と誘われて。
「ふうん…? 悪くはないねえ、あんたの酒のコレクションにも興味はあるし」
「本当か? では、是非、飲んで行ってくれ!」
とっておきのチーズもカラスミもあるし…、と教頭先生は歓待モード。ブラウ先生はいそいそと上がり込み、通されたリビングでソファに座って。
「ハーレイ、枝豆は無いのかい? 夏はやっぱり枝豆がいいと思うんだけどね」
「分かった、冷奴も用意出来るのだが…」
「いいじゃないか! 枝豆に冷奴、まずはそいつで楽しく飲もう!」
チーズとカラスミもよろしく頼むよ、とブラウ先生。教頭先生は早速枝豆を茹で始め、その間に冷奴とチーズとカラスミを並べ、生ハムも出そうとしています。教頭先生、ブラウ先生たちとも飲んだりすることは知ってますけど、家に招いて一対一って…。
「…変だよね?」
「何処から見たって変ですよ!」
おかしすぎます、とシロエ君がジョミー君に言った所へ。
「うーん…。惚れ薬の効き方、間違った方へ行っちゃったみたいだねえ…」
ブルーがブラウに、と後ろから声が。
「「「!!?」」」
誰だ、と振り返ったらフワリと翻った紫のマント。異世界からのお客様なソルジャー登場で…。
「惚れ薬を作っているというから、興味津々で見てたんだけど…。なんとも妙な結末に…」
ブラウの方に惚れるだなんて、とソルジャーは首を振りました。
「惚れ薬は成功したんだと思っていたけれど…。別の相手に惚れちゃう薬かあ…」
あのハーレイがブラウにねえ…、とソルジャーはなんとも残念そう。
「惚れ薬のお蔭で君も目出度くハーレイと恋に落ちるんだろう、と期待してたのに、肝心のハーレイがブラウの方に行っちゃったんでは…」
「ぼくとしては嬉しい気もするけどね? これで暑苦しく迫って来られる心配も無いし」
万々歳だ、と会長さんが言ったのですけど。
「本当に? …このまま行ったら、ハーレイはブラウ一筋になりそうだけどね?」
君のオモチャが無くなるのでは…とソルジャーは中継画面を覗き込みました。
「一時的なものならいいんだけどさ。あの惚れ薬は気合が入っていたからねえ…」
君を顧みなくなるのでは…、というソルジャーの心配は見事に当たって。
「…全く治っていらっしゃらないようだな…」
キース君が中継画面を眺めて溜息。私たちがいるのは会長さんの家のリビングです。
あれから日は経ち、山の別荘から戻って来た時にも教頭先生はブラウ先生にベタ惚れでした。幸か不幸か、ブラウ先生の方では、教頭先生が会長さん一筋だったことを御存知です。一種のゲームか何かであろう、と解釈なさったらしくて、楽しくデートをしておられて、今も…。
「ちょいと、ハーレイ! あっちの店も美味しそうなんだけどね?」
「ふむ…。では、夕食はあの店にするのもいいな」
「そうこなくっちゃ! それでねえ、今日は買いたいものがあってねえ…」
買ってくれると嬉しいんだけどね、とブラウ先生、教頭先生と仲良く腕を組んでお出掛け中。教頭先生は買い物と聞いて「任せておけ」と言ってらっしゃいますし…。
「あのポジションはぼくなんだけど!」
デートはしないけどハーレイは財布、と会長さんが不機嫌そうに。
「ぼくたちが別荘に出掛けてる間に、どれほどブラウに貢いだんだか…。腹が立つったら!」
「あんた、教頭先生をオモチャにするだけでは足りないのか?」
キース君の問いに、会長さんは。
「オモチャはもちろん必要だけれど、ハーレイからは毟ってなんぼなんだよ!」
なのにブラウが毟っているし、と文句を言っても、教頭先生はブラウ先生に首ったけ。デートの途中で会長さんがヒョイと姿を現したって、挨拶だけでおしまいというのが現状です。
「なんで惚れ薬でこうなったんだか…! 待ってれば治ると思うんだけど…」
その内にきっと、と会長さんが歯ぎしりしていると。
「…そのコースだと何日かかるかなあ…」
下手をしたら二ヶ月くらいかも、とソルジャーが降ってわきました。
「あの惚れ薬を分析したらね、かなり強力な成分が入っていたんだよ。精神に直接働きかけるってヤツで、ぼくの世界にも無い代物でさ…」
「分析って…。持って帰ってたのかい、あの薬を?」
いつの間に、と会長さんが訊くと、ソルジャーは。
「君がハーレイに飲ませた次の日! 覗き見してたら、ハーレイが捨てようとしていたから…」
壺ごと貰っておいたのだ、と話すソルジャーによると、教頭先生は自分が作った惚れ薬のことを覚えていらっしゃらないそうです。ゆえにゴミだと捨てようとしたのを、ソルジャーが横から貰った次第。教頭先生はソルジャーにも特に反応しなかったとかで…。
「普段だったら、君とそっくりって言うだけで歓迎して貰えるのにさ…」
お菓子も出して貰えなかった、とソルジャー、ブツブツ。貰えたものは惚れ薬の壺だけ、お茶も淹れては貰えなかったらしく。
「いったいどういう薬なんだ、とノルディに分析させたわけ。あ、ぼくの世界のノルディだよ? でね…、分析に回してる内に、ぶるぅがね…」
薬を持ち出して配って回ってしまったのだ、とソルジャーは頭を抱えました。悪戯小僧で大食漢なソルジャーの世界の「ぶるぅ」なだけに、好奇心の方も人一倍。謎の薬をジュースに混ぜてしまって配達、何も知らないソルジャーのシャングリラの人たちが飲んで…。
「騒ぎに気付いて回収したけど、二十人くらいに被害が出てる。配って回ったのがぶるぅだったからかな、ぼくのシャングリラでもブラウがモテモテ」
ぶるぅとブラウは音が似てるし…、と言うソルジャー。
「ぼくとノルディの推測だけどね、似たような別物に惚れることになるのがあの薬だね。だから、こっちのハーレイが君に飲ませても、君はハーレイに惚れる代わりに他の誰かに…」
それが誰かは分からないけれど、とソルジャーは額を軽く押さえて。
「とにかく間違えた薬なんだよ、おまけに強力。中和剤が無ければ二ヶ月くらいは効いたままだとノルディは言ったね、中和剤を急がせているんだけれど…」
今夜くらいまでかかるらしくて…、と頭痛を覚えているらしいソルジャー。
「実は、ぼくのハーレイも被害者なんだよ! ぶるぅが悪戯しちゃったお蔭で!」
ぼくを放ってブラウに夢中、とソルジャーは泣きの涙でした。変な薬を持って帰ってしまったばかりに夫婦の仲が壊れそうだと。
「もうすぐ海の別荘行きだし、それまでに治ってくれないと…! せっかくの結婚記念日が…!」
離婚記念日にしたくはないから、と焦るソルジャー、自分の世界のドクター・ノルディに発破をかけて来たそうです。中和剤を急げと、今夜までには、と。
「…その中和剤、君も欲しいなら貰って来るけど?」
飲ませなければハーレイは当分、あのままだけど、とソルジャーが告げると、会長さんは。
「即効性があるのかい、それは?」
「当然だろう? 直ぐに効かなきゃ意味ないし!」
飲ませたら一時間以内に効果が出る筈、とソルジャーは勝算があるようです。ソルジャーの世界のドクター・ノルディも出来ると保証していたとかで…。
「じゃあ、とりあえず…!」
出来たら譲って、と会長さんはソルジャーに頼み込みました。中和剤が出来たらよろしく、と。そしてその夜、ソルジャーが出来たばかりの中和剤を届けに来たのですが…。
「…あんた、中和剤を使わないのか?」
教頭先生はブラウ先生に夢中でいらっしゃるが、とキース君。今はお盆の棚経に向けて追い込みの最中、卒塔婆書きもクライマックスです。そんな日々でも息抜きだとかで、今日も会長さんの家に来ているキース君ですが…。
「中和剤かい? 急がなくてもいいんじゃないかな、いつでも元に戻せるんだしね」
ブルーの世界で実証済み、と会長さんの顔には余裕の笑み。
「あっちのハーレイ、一瞬で正気に戻ったと聞いているからねえ…。ついでに、トリップと言うのかなあ? あっちのブラウにぞっこんだった間の記憶も微かにあるらしいから…」
「らしいな、お蔭で夫婦円満だとか言ってやがったような…」
ソルジャーはとんと御無沙汰でした。「ぶるぅ」の悪戯でソルジャーを放り出してブラウ航海長に夢中だったキャプテン、その負い目からか、熱烈な夜だったと聞かされたきりで。
「ぼくもね、それを狙ってるんだよ、ハーレイの負い目というヤツを!」
存分に泳がせておいて正気に返す、と会長さんはニッコリと。
「海の別荘行きの誘いをかけたら、「付き添いならいいぞ」と言ったほどだしね? 教師の立場でついて来ようとしているんだし、もうギリギリまで放っておいて!」
中和剤を使うのは海の別荘に着いてからでもいいねえ、と恐ろしい案が。それは実行に移され、海の別荘では平謝りの教頭先生の姿が見られたわけですが…。ソルジャー夫妻も「ぶるぅ」も大いに笑って、笑い転げたわけですが…。
教頭先生が正気に戻って、会長さんに土下座しまくったその夜のこと。ソルジャー夫妻は早々に自分たちの部屋へと引っ込み、私たちが広間で騒いでいると。
「かみお~ん♪ みんなでゲームをしない?」
ちょっと面白そうなんだけど、と「ぶるぅ」がニコニコ。悪戯小僧の「ぶるぅ」です。
「…ゲームですか?」
どんなのですか、とシロエ君が尋ねたら、いきなりドカンと出て来た壺。謎の呪文が山ほど書かれた壺には確かに見覚えがあって。
「お、おい、この壺は例の…!」
惚れ薬の壺では、とキース君の声が震えて、「ぶるぅ」が「そだよ~!」と。
「えっとね、中和剤はちゃんと用意してあるから! みんなで飲まない?」
「「「みんな?!」」」
「そう! みんなでグラスに一杯ずつ入れて、歌いながら順番に回して行くの!」
歌い終わった時に持っていたグラスの中身を飲むんだよ、とニコニコニッコリ。
「ぼくには誰のグラスが来るかな、キースかなあ? キースのだったら、ぼくの好きな人、誰になると思う?」
「ちょ、ちょっと…!」
そんなゲームはお断りだから、と会長さんが慌てましたが、ぶるぅはやりたいらしくって。
「平気だってば、中和剤のことを忘れちゃってたら、ブルーが飲ませてくれるから!」
明日の朝にみんなの様子がおかしかったら飲ませるよ、って言ってくれたよ、と満面の笑み。
「だから絶対、大丈夫! ねえねえ、ゲームをやりたいよう~っ!」
みんなでやろうよ、と持ち込まれてしまった、恐ろしすぎる惚れ薬。教頭先生は顔面蒼白、私たちも震えが止まらないのですが、「ぶるぅ」はゲームだと主張しています。
「…おい、俺たちはどうなるんだ?」
「知りませんよ!」
ぼくがキース先輩に惚れても許して下さい、とシロエ君はもはやヤケクソでした。そうか、そういう結果になるかもしれないんですね、私がキース君に惚れるとか…。教頭先生に惚れるとか…。
「「「嫌すぎる~~~っ!!!」」」
ゲームは御免だ、と叫んだものの、ドカンと置かれたままの壺。もしかしなくても、ゲームをやるしかないんでしょうか。教頭先生、責任を取って一気飲みとかしてくれませんか、恐怖のゲームを回避するため、人柱ってことでお願いします~!
惚れ薬の誤算・了
※いつもシャングリラ学園を御贔屓下さってありがとうございます。
教頭先生が頑張って作った、惚れ薬。無事に完成したんですけど、惚れる相手が大問題。
間違った相手に惚れてしまう薬で、それをゲームで飲めというオチに。大丈夫でしょうか?
次回は 「第3月曜」 4月19日の更新となります、よろしくです~!
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こちらでの場外編、3月と言えば春分の日で、春のお彼岸。今年は連休ではなくて…。
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