シャングリラ学園シリーズのアーカイブです。 ハレブル別館も併設しております。
※シャングリラ学園シリーズには本編があり、番外編はその続編です。
バックナンバーはこちらの 「本編」 「番外編」 から御覧になれます。
シャングリラ学園、今日も平和に事も無し。とはいえ、もうすぐ夏休みです。期末試験もあったりしますが、1年A組は会長さんさえ参加してくれれば「そるじゃぁ・ぶるぅ」の不思議パワーで全員満点と中間試験で証明済み。誰も勉強する人は無くて…。
「かみお~ん♪ 授業、お疲れ様!」
今日も暑いよね、と「そるじゃぁ・ぶるぅ」が迎えてくれた放課後の溜まり場。クーラーが気持ちよく効いてますけど、トロピカルフルーツたっぷりのパフェも用意されていて。
「飲み物も冷たい方がいいよね、アイスコーヒーとか!」
「俺はそれで頼む」
「ぼく、オレンジスカッシュ!」
賑やかに飛び交う飲み物の注文、後はワイワイやっていたのですけど。
「こんにちは。夏はやっぱりパフェだよね!」
「「「???」」」
ぼくにもパフェ! と現れた人影、言わずと知れた私服のソルジャー。空いていたソファにストンと座って、パフェの用意を待ってますけど。アイスティーも注文していますけど…。
「あんた、何しに出て来たんだ!」
俺たちは今日は此処だけで解散だが、とキース君。
「明日は土曜日だし、早めの解散でいいんだ、今日は!」
「うん、知ってる。この暑さだとブルーの家に行くんだろうねえ、涼しいからさ」
いつものパターン、とすっかり読まれている行動。
「ぼくはこれから出掛けるんだよ、ノルディとディナーの約束があるし」
「だったら、どうしてこっちに来るんだ!」
「それはまあ…。フルーツパフェが美味しそうだし…」
待ち合わせの時間にはちょっと早いし、と悪びれもせずに。
「ぼくのシャングリラで無駄に時間を過ごしているより、早めに遊びに出たいしね!」
「俺たちは完全下校のチャイムが鳴ったら解散なんだが!」
「知ってるってば、その後までは邪魔はしないよ」
待ち合わせてるホテルのロビーで過ごすから、とソルジャーはパフェをパクパクと。きっとロビーでもケーキでも食べて待つのでしょう。ディナーは別腹、そんな感じで。
「あっ、分かる? それでねえ…」
今日のディナーは、と一方的に喋りまくってソルジャーは去ってゆきました。完全下校のチャイムが鳴ったら、「またね」と瞬間移動でパッと。
次の日は土曜日、朝から太陽がジリジリ照り付ける中を会長さんの家へ。こんな日は涼しい場所が一番です。今年は空梅雨、このまま梅雨明けしそうな勢い。
「暑いよね、今日も…」
いったいいつから夏だっただろう、とジョミー君が言い、キース君が。
「五月にはもう暑かったな。考えない方がいいと思うぞ」
考えた所で暑さが消えるわけではないし、と心の持ちようを唱えられても、キース君ほど修行は出来ていません。暑い、暑いと連発しながら会長さんのマンションに着いて。
「かみお~ん♪ いらっしゃい!」
暑い時にはスムージー! と冷たい飲み物がサッと出るのが嬉しいです。夏ミカンをくり抜いて夏ミカンの果汁の寒天を詰めたお菓子も一人に一個。
「美味しいですねえ、外の暑さを忘れちゃいますよ」
シロエ君が絶賛、キース君も。
「そうだな、やっぱり暑い季節は暑いしな…。此処は涼しくて有難いが」
「あれっ、さっき心の持ちようだとか言ってなかった?」
そう聞いたけど、とジョミー君が突っ込むと。
「言葉尻を捕えて四の五の言うな! 暑苦しい!」
もっと涼しい話題にしろ、と切り返し。
「お前の好きな心霊スポットか怪談か知らんが、そっちの方がよっぽどマシだ!」
「やっていいわけ?」
「涼しい話題は歓迎だからな」
「えーっと…。この話、知ってる? すっごく賑やかな街の中にさ、空き地がポツンと」
あるらしいんだよ、と声をひそめるジョミー君。場所を聞いたらパルテノンから近い一角、すぐに買い手がつきそうな場所のようですけれど…。
「でもね、その土地、誰も買わないらしいんだよ。何か建てようとすると祟りが…」
「らしいね、ぼくも噂は知ってる」
お祓いをしても無駄らしいねえ、と会長さん。
「すこぶるつきの場所らしいけどさ、ぼくにかかれば多分、解決!」
「えっ、ホント? じゃあさ、ちょっと見学に行くとかさ…」
今は暑いから夕方にでも、とジョミー君が食い付きました。心霊スポットは怖いですけど、会長さんがついてるんなら大丈夫かな?
ジョミー君が持ち出した心霊スポットらしきもの。会長さんと二人がかりで怖い噂が次々に披露され、いい感じに寒くなって来ました。その土地と対だった空き地に建ったマンション、誰もいないのに明かりが点くとか、入れない筈の屋上に人が立っているとか。
「…マジでやべえよ、その土地ってよ…」
俺が行ったら何が見えるんだろう、と霊感持ちのサム君、ブルブル。
「さあねえ? なにしろ、ぼくも現場は見たことが無くてさ」
ジョミーと違って興味がゼロで、と会長さん。
「誰かにお祓いを頼まれたんなら、儲けにもなるし出掛けて行くけど、タダ働きはねえ…」
「タダ働きって…。でもさ、ぼくたちと見に行って何か出た時は…」
助けてくれるんだよね? とジョミー君。
「そうでないと怖いし、行ったら酷い目に遭いそうだしさ」
「それはまあ…。でもねえ、君子危うきに近寄らずだよ?」
涼しい話題に留めておくのが吉だろうね、と会長さん。
「半端ない目に遭ってからでは遅いんだからね、高みの見物に限るんだよ」
「まったくだ。俺は涼しい話題をしろとは言ったが、余計な面倒は御免蒙る」
盛り上がるだけにしておこうじゃないか、とキース君も。
「もっと涼しい話題がいい、と言うんだったら俺の知り合いの体験談も多いからな」
「それって、その土地?」
「いや、墓地だが? 寺には大抵、セットものだしな」
涼しげなヤツを話してやろう、とキース君が始めた実話とやらも非常に怖いものでした。「何処とは言わんが、アルテメシアの寺の話で…」などと言われたら尚更です。
「何処だよ、その踏切に近い寺っていうのはよ!」
俺は一生近付かねえぜ、とサム君が震えて、シロエ君も。
「教えて下さい、ぼくも行かないようにしますから!」
「…檀家さんしか行かない寺だと思うがなあ…。観光寺院じゃないからな」
詳しく言ったらご迷惑になるし、とキース君。変な噂が立ったら困る、と怖い話だけやらかしておいて避難経路は教えてくれないのが余計に怖くて。
「ど、どうしよう…。踏切、山ほどあるんだけれど…」
何処なんだろう、とジョミー君が怯えまくって、私たちだって巻き添えです。なんだって夏の最中なんかに、こんな背筋が寒い思いをする羽目になっちゃったんですか~!
怖すぎたキース君の怪談、プロは一味違います。墓地はセットものだというお寺な業界、怪談なんかは日常茶飯事。中でも選りすぐりのヤツを披露された上、現場は私たちが住むアルテメシアで。夕方に近付いたらヤバイらしくて…。
「お願いだから、その場所、ちょっと教えておいてよ!」
もう絶対に喋らないから、とジョミー君。踏切だけでも、と。
「駄目だな、同業の人に迷惑はかけられないからな。だが、安心しろ」
近付いたって、人じゃないものに会うだけで済む、とキース君。
「それに見た目は人間だしな? サムなら分かるかもしれないが」
「で、でもさ…。後ろを向いたら消えてるとかって聞いちゃうとさ…」
「その程度で済むと言っているんだ、夕方に墓地に行かなければな」
行ったらヤバイが行かなければいい、と再び始まる怖すぎる実話。お経が読めない人が入ると最悪すぎる墓地と言うべきか、檀家さんはどうしてるんですか?
「ん? 檀家さんは墓地の関係者だしな、何も起こらん」
「「「えーーーっ!!!」」」
つまりは関係者以外お断りっていうわけですね、物見遊山でなくっても?
「そうなるな。知らずに入ったヤツらが腰を抜かすとか、庫裏に駆け込んで来るだとか…」
「「「うわー…」」」
なんでそんなヤバイ墓地を放置で、と思いましたが、それもお寺の方針です。観光地に近くて日頃から迷惑を蒙る日々なのだそうで、ちょっとした復讐らしくって。
「…観光地の踏切…」
「それだけじゃ絞り込めねえよ!」
踏切が幾つあると思ってるんだよ、とサム君が言う通り、アルテメシアは線路多めで踏切多め。もう駄目だ、と夏の盛りに震えまくって、部屋の温度も体感温度は真冬並みで。
「さ、寒い…」
お昼はうどんが食べたい気分、とジョミー君が言い出し、「鍋焼きだよな」とサム君も。
「えとえと…。お昼、カレーにしようと思ってたけど、カレーうどんにする?」
暑いけどね、と「そるじゃぁ・ぶるぅ」が尋ねた所へ。
「ぼくはカレーでいいんだけれど!」
暑い季節はスパイシー! と降って湧いたのがソルジャーです。紫のマントの正装ですから、今日はエロドクターとのお出掛け予定は無いみたいですけど、私たちは今、寒いんですよ…!
暑い夏でも鍋焼きうどん。それくらい寒い思いをしていると言うのに、ソルジャーの方は平然と。
「今日のカレーを仕込んでるのを見ていたし…。あれはやっぱりナンで食べなきゃ!」
カレーうどんに仕立てるだなんて冒涜だ、とカレーを擁護。
「それに寒さは直ぐに吹っ飛ぶよ、ホットな話題を持って来たから!」
「「「は?」」」
いったい何を話すつもりだ、と思ったら。
「もうすぐお昼になりそうだけど…。でも、話す前におやつもね」
「オッケー、スムージーと夏ミカン寒天だね!」
はい、どうぞ! と「そるじゃぁ・ぶるぅ」がサッと用意し、ソルジャーは満足そうに寒天をスプーンで掬って味わいながら。
「君たちにとっても悪い話じゃないと思うよ、お祭り騒ぎは好きだろう?」
「それはまあ…。ぼくも好きだけど」
イベントの類は大好きだけど、と会長さん。
「此処の連中をシャングリラ号に乗せる時には工夫してるし、普段も色々」
「だったら、もってこいの話だってば! 今年の海の別荘だけどね…」
毎年、ぼくの結婚記念日合わせで予定を組んで貰っているよね、と言うソルジャー。
「昨日さ、それをノルディと話してたらさ…。訊かれたんだよ、花火もついているんですか、と」
「「「花火?」」」
「そう、花火! 空にドカンと打ち上げるヤツ!」
あれはとっても綺麗だよねえ、とソルジャー、ウットリ。
「ぼくも好きでさ、たまにハーレイと見に来てるんだよ、デートを兼ねて」
ぼくのシャングリラには無いものだから…、と言われてみればシャングリラの中で打ち上げ花火は無理でしょう。あれは上空何キロだったか、とにかく高い所でドッカンです。開く花火も半径は確かメートル単位で、百メートルは軽く超えていたかと…。
「花火ねえ…。君のシャングリラじゃ無理だね、確かに」
「そうなんだよ! お子様向けの花火セットが限界だろうねえ、やるとしたらね」
公園の芝生が焦げると苦情が出そうだけれど、と残念そうな所を見ると花火はやっていないのでしょう。線香花火とかなら地味でも味わいありますけどね?
「線香花火より打ち上げ花火! ぼくは断然、そっちだね!」
華やかなのがいい、と打ち上げ花火を推すソルジャー。うん、ちょっと寒さが減って来たかな、夏はやっぱり花火ですもんね!
怪談の寒さでカレーうどんな気分だった所へ来たソルジャー。ホットな話題を持って来たから、という言葉通りに中身は打ち上げ花火でした。夏の夜空にドッカンと花火、幽霊だって吹き飛びそうです。たまにはソルジャーも役に立つものだ、と花火の話に聞き入っていたら。
「それでさ、ノルディが言うんだけどさ…。結婚記念日には花火だってね?」
「「「はあ?」」」
何処の富豪だ、とビックリ仰天。打ち上げ花火は高いと聞きます、お祝いとかで打ち上げることはありますけれども、結婚記念日って…。
「マツカ先輩、先輩の家では結婚記念日に花火ですか?」
シロエ君が御曹司なマツカ君に訊くと。
「いえ…。ぼくの家ではやってませんね。王室とかなら、そういう話も…」
「なるほどな。桁外れな世界のイベントなわけだ」
王室だしな、とキース君。
「そんな花火があんたの結婚記念日についてくるわけがないだろう!」
「うーん…。場所によってはあるんですよ、ってノルディがね…」
「何処の金持ちの国なんだ!」
オイルダラーか、とキース君が言ったのですけど、ソルジャーは。
「違うよ、この国の話だけれど? 花火大会の時にスポンサーを募って、そのついでに」
「「「スポンサー?」」」
「そう! 打ち上げ花火に個人がスポンサー、好きな数だけ花火を買って!」
アナウンスと共に打ち上げなのだ、とソルジャーはエロドクターから聞いた話を得々と。
「誰それの米寿を祝って八十八発だとか、結婚記念日で五十発とか!」
「…五十発なら、それは特別な節目だから!」
金婚式ってヤツだから、と、会長さんが指摘しました。
「米寿は八十八歳のお祝い、金婚式は結婚五十年目なんだよ、花火だってつくよ!」
「そうなんだ? …でもねえ、そういう花火大会は存在するんだし…」
ぼくたちの結婚記念日にも花火を上げて貰うとか…、とソルジャー、ニッコリ。
「今年で結婚何年目だっけ、その通りの数だと寂しすぎるから、もっと華やかに!」
「お祭り騒ぎと言っていたのは、それなわけ?」
「そうだよ、決まりの通りでなくてもいいから、結婚記念日を祝って欲しくて!」
たまには特別な結婚記念日も素敵だよね、と夢見るソルジャー。もしかしなくても、今の時期から準備に入れと言いに来たとか…?
結婚記念日には花火がいい、とソルジャーが持ち出した話題は斜め上でした。エロドクターとのデートで仕入れた知識で、打ち上げ花火。
「花火って、色々な形が出来るらしいし…。今から頼めば、きっと特注品だって!」
ぼくとハーレイの名前を打ち上げるとか、ハートマークを山ほどだとか…、と花火に燃えているソルジャー。
「君たちのセンスで凄いのをね! 結婚記念日を豪華に演出!」
「なんで、ぼくたちが祝わなくっちゃいけないのさ!」
結婚記念日は普通は孫子が祝うものだ、と会長さん。
「夫婦で祝うか、祝って貰うなら自分の子供か孫とかだね! 無関係な友達とかではなくて!」
金婚式の花火で五十発だってそういうものだ、と会長さんはビシバシと。
「おめでたい日を家族で祝おう、と子供や孫が揃ってお金を出すんだよ! 記念日だから!」
「…みんなで祝っているんじゃないわけ?」
「当たり前だよ、結婚式なら祝いもするけど、その後となったら無関係だよ!」
誰がいちいち覚えているか、と厳しい一言。
「ぼくもそうだし、世間的にもそうなってるねえ! 金婚式です、と聞かされたら「おめでとうございます」と言いはするけど、お祝いの品は送らないから!」
百歩譲って送ったとしても、お祝いイベントはやらないから、と突き放し。
「それは家族の役目なんだよ、祝って欲しいなら、まずは子供を作りたまえ!」
「子供って…。ぶるぅかい?」
「あの悪戯小僧にお祝いする気がありそうだったら、頼むのもいいね」
それも一つの方法だろう、と会長さん。
「今からきちんと教育しとけば、金婚式には花火くらいは頑張るかもねえ、こっちの世界で」
「うーん…。ぶるぅに祝って貰うのか…」
覗きが趣味のあのぶるぅに、とソルジャーは複雑な顔付きですけど。
「他に子供のアテが無いだろ、君の世界じゃ! 男じゃなくても子供は産まないらしいから!」
「そうなんだよねえ、子供は人工子宮で育つものだし…」
「ほらね、そういう世界でなければ…。ついでに君が男でなければ、御祈祷くらいはサービスしたっていんだけどさ」
「御祈祷だって?」
なんのサービス? と首を傾げているソルジャー。私たちだって分かりません。結婚記念日を祝う御祈祷なんかがあるんですかね、金婚式とか、節目の時に…?
御祈祷をサービスしてもいい、と会長さんの不思議な発言。ソルジャーのためにサービスという辺りからして、なんだか気前が良すぎますけど…。
「君がタダで仕事をしてくれるなんて、ぼくには意外すぎるんだけどね?」
心霊スポットのお祓いもタダ働きはしないんじゃなかったっけ、と尋ねるソルジャー。
「ぼくが来る前にジョミーとそういう話をしてたよ、祟る土地だか、空き地だかで」
「ああ、あれねえ…。楽勝だろうけど、タダはちょっとね」
御布施をはずんでくれるんだったら喜んで出掛けてゆくけれど…、と会長さん。
「そうでもないのに御祈祷はしないよ、面倒だから」
「なのにサービスしてくれるんだ? ぼくに御祈祷」
「子供が生まれる世界に住んでて、ついでに女性だったらね!」
そういう環境にいるんだったら、いつか金婚式を祝って貰えるように御祈祷サービス、と聞かされたたソルジャー、ポンと手を打って。
「分かった、子供が出来ますように、っていう御祈祷なんだ?」
「はい、正解! 君には全く意味が無いねえ、そんな御祈祷をサービスしても!」
「ううん、大いに意味があるから!」
是非ともそれを…、とソルジャーは膝を乗り出しました。
「お昼御飯の後でいいから、ちょっとお願い出来ないかな? サービスだと思って!」
「「「は?」」」
なんだって子供が出来る御祈祷なんかを…、と誰もが顔を見合わせましたが、ソルジャーの方は顔を輝かせて。
「その御祈祷をして貰ったら、子供が生まれるわけだろう?」
「そうだけど…?」
「だったら、やらなきゃ損だってね! 子供が生まれるためには子種!」
それを山ほど授かれるのに違いない、とグッと拳を握るソルジャー。
「ハーレイのアソコが今よりももっとパワーアップで、うんと元気に!」
「…そういうつもりで御祈祷なわけ?」
「決まってるじゃないか、こんな美味しい話はそうそう無いしね!」
御祈祷でハーレイがパワーアップ! と嬉しそうなソルジャー。お願いするよ、と。
「なんだか目的が間違ってる気もするけれど…」
花火の企画をさせられるよりはまだマシか、と会長さんは頷きました。私たちだってそう思います。寒さはすっかり消えましたけれど、ソルジャーの結婚記念日なんかは無関係です~!
何か勘違いをしているらしいソルジャー、子宝祈願の御祈祷を希望。それもサービスで、伝説の高僧、銀青様の有難い御祈祷をタダで貰う気。とはいえ、ただでもソルジャーに乗っ取られたと噂の海の別荘、いつでも結婚記念日合わせで…。
「…この上、花火を注文してまで祝わされるよりは、御祈祷サービスの方がいいしね…」
お昼御飯のカレーを食べながら会長さんが零すと、キース君も。
「その方がマシだな、あんたには少し手間を掛けるが…」
「ちょっと着替えて御祈祷だしねえ、花火よりかはずっとマシだよ」
花火コースなら注文に始まって演出までが、と会長さん。
「どんな花火に仕上げますか、って打ち合わせだとか、出来上がった花火の確認だとか…」
それに当日もお祝いの言葉を述べたりする羽目に陥るのだ、とブツブツと。
「ぼくたち全員からのお祝いなんだし、下手をしたらお祝いの歌を歌わされるとか…」
「いいねえ、お祝いに歌とか踊りとかも!」
そんな結婚記念日もいいね、とソルジャーは笑顔全開なだけに、打ち上げ花火なコースだったら、まず間違いなく派手に演出させられます。花束贈呈もあるんでしょうし…。
「もちろんだよ! ありとあらゆる形で祝って欲しいね、結婚記念日!」
「…そういうコースに行かされるよりは、この際、タダ働きでいいから!」
食事が済んだら御祈祷サービス、と会長さん。
「なにしろ子宝祈願だからねえ、子供を授かるまではキッチリ効くんだよ!」
「本当かい!?」
「世の中、子供が出来にくい人もいるけれど…。余程でなければ、これは効く筈!」
そう伝わっている有難い御祈祷なのだ、と会長さんが挙げた数々の例。色々な宗派でやっているらしく、御利益があったと伝わる話も数知れず。
「そんなに効くんだ、その御祈祷…。子供が出来るまで効くってわけだね?」
「そうでなければ意味が無いしね、肝心の子供が出来ないことには」
「つまり、子供が出来ない限りは御祈祷のパワーも続くんだね!」
子供が出来ないぼくの場合は永遠に…、とソルジャー、狂喜。
「ぼくは子供を産めはしないし、そんなぼくでも子供を産めと言わんばかりに子宝パワー!」
「…どうなんだろうね、男同士のカップルなんかに御祈祷した例は無いだろうしね…」
あまり期待はしないように、と会長さんは念を押しましたけれど。ソルジャーは「駄目で元々」と満面の笑顔、結婚記念日を花火で祝えという迷惑な企画よりも御祈祷らしいですねえ…?
こうしてソルジャーは御祈祷を受けて帰ってゆきました。緋色の法衣に立派な袈裟まで着けた会長さんこと銀青様の有難い子宝祈願の祈祷を。「実は相場はこのくらい」と会長さんが立てた指の数に目を剥いたことは、もう言うまでもありません。
その御祈祷が効いたのかどうか、ソルジャーは至極御機嫌な日々。私たちをトラブルに巻き込みもせずに夏休みに突入、花火企画も全くしないで済むだけに…。
「あんたの祈祷で助かった。…タダ働きになってしまったのは申し訳ないが」
お蔭で夏休みを無事に過ごせている、とキース君。マツカ君の山の別荘行きも済んで、この後はキース君やジョミー君たちが多忙を極めるお盆の季節。それが終われば海の別荘、本当だったら今頃は花火の準備とお祝い企画に振り回されていたわけで…。
「ブルーの結婚記念日ってヤツは、この先もついて回るからねえ…」
一度花火で祝わされたら、まず間違いなく定番になる、と会長さん。
「そんな目に遭うくらいだったら、タダ働きを一度だよ、うん」
「なら、いいが…。あんた一人が迷惑したしな」
「それほどでもないよ、あの程度なら」
ブルーの暴走を止められたんなら安上がりだった、と会長さんがマンゴーとオレンジのフラッペをスプーンでシャクシャクと。今日も今日とて、私たちは会長さんの家にお邪魔中。其処へ…。
「ちょっと訊きたいんだけど!」
「「「!!?」」」
いきなり飛び込んで来たソルジャー。「こんにちは」も抜きで。
「秘密の守れる医者っているかな、こっちの世界に!」
「「「医者?」」」
医者ならエロドクターだろう、と思いますけど。なんでそっちに行かないんでしょう?
「ノルディなわけ? 秘密を守れる医者というのは…?」
そうなのかい、という問いに、会長さんが。
「君も知っていると思ったけどね? あれでも口は堅いんだよ」
ぼくたちの仲間の健康診断とかを一手に引き受けているわけだし…、と淡々と。
「腕もいいけど、秘密を守るって点でも信用できるね、ノルディはね」
色々と難アリな人間だけど、と会長さん。
「何の秘密か知らないけどさ…。でもね、医学は君の世界の方が進んでいるだろう?」
君のシャングリラのノルディは口が軽いのかい、という質問。そういえばソルジャーの世界のシャングリラにだって、ドクター・ノルディはいるんですよね…?
自分の世界にもお医者さんはいるのに、「秘密を守れる医者はいるか」とは、これ如何に。誰かコッソリ手術を受けなきゃいけない人でも出たんでしょうか…?
「えーっと…。手術はどうだか分からないけど…」
場合によっては必要だろうか、と言うソルジャー。
「子供を産むのに手術があるって聞いているから…。こっちの世界じゃ」
「帝王切開のことかい、それは?」
「そう、それ! …やっぱりそれしかないのかなあ…」
「誰が?」
いったい誰が帝王切開なのだ、と会長さん。
「君の世界に妊婦さんはいない筈だけど? それとも猫とか犬なのかな?」
青の間でコッソリ飼っている間に子供が出来てしまったのか、と会長さんが尋ねると。
「そっちだったら獣医を探すし、秘密にすることもないんだけれど…」
「じゃあ、誰なのさ?」
「…………」
ソルジャーが無言で自分の顔を指差し、私たちの頭上に『?』マークが。なんでソルジャーが帝王切開、でもって医者を探していると…?
「…出来たらしいんだよ、ぼくに子宝」
「「「子宝!?」」」
まさかソルジャー、会長さんの御祈祷で子供が出来たと言うんですか? いくらなんでも有り得なさすぎ、だってソルジャー、男ですよ…?
「ぼくも信じたくないんだけれど…。ハッキリ言って腰が抜けそうだけど!」
でも出来たらしい、とお腹に手を。この中にどうやら子宝が、と。
「こ、子宝って…。動いたのかい?」
御祈祷をした日から数えるんなら、そこまで大きくない筈だけど…、と会長さんがアワアワと。
「もっと前から入ってたんだよ、動いたんなら!」
「…そこまではまだ…。だけど、陽性」
「「「陽性?」」」
「うん。…こっちの世界だと置いているよね、薬局に」
妊娠検査薬っていうヤツを、とソルジャーの顔は大真面目です。その手の薬は確かに手軽に買えますけれども、どうしてソルジャーが妊娠検査薬なんかを買って試しているんですか…?
会長さんこと伝説の高僧、銀青様から子宝を授かる御祈祷を受けたソルジャー。とても御利益のある御祈祷なのだと会長さんから聞きましたけれど、ソルジャーが授かったらしい子宝。その上、妊娠検査薬で陽性だなんて、なんだってチェックしていたんだか…。
「毎日チェックをしてはいないよ、今日が初めてだよ!」
青の間に置いてあったから…、と言うソルジャー。
「昨夜もハーレイと一緒に過ごして、もう最高にパワフルな夜で…。御祈祷をして貰った甲斐があったと、ハーレイも喜んでいるんだけれど…」
パワフルすぎるから、ぼくは朝には起きられなくて…、と知りたくもない夫婦の事情。ソルジャーはベッドで眠ったままで、キャプテンは一人で起きてブリッジに出掛けたらしいです。かなり経ってから目覚めたソルジャー、バスルームに行ったそうですけれど。
「其処にあったんだよ、妊娠検査薬が」
洗面台の鏡の前に置かれてあった、という証言。
「多分、ぶるぅが買って来たんだよ、こっちの世界に一人で遊びに来ることもあるし」
「なんで、ぶるぅがそれを買うのさ?」
お菓子やコンビニ弁当だったら分かるけど、と会長さんが突っ込むと。
「知ってるからだよ、御祈祷のことを! ぼくがハーレイに何度も話しているからねえ…」
「ぶるぅも隣で聞いていたと?」
「最初は土鍋でコッソリと、かな? ぼくに直接、訊きに来たしね」
子宝とは何か、どういう御祈祷を受けて来たのか、好奇心旺盛なお子様だけに質問三昧だったみたいです。自分は卵から生まれただけに興味津々、あれこれ訊いていったのだとか。
「それからも覗きをしながら何度も聞いてはいたんだろうねえ、あんな薬を買うんだからさ」
「…君は自分は妊娠しないとハッキリ教えなかったわけ?」
「教えたけれどさ、ぶるぅにしてみればイマイチ分かっていなかったのかも…」
でなければ、本当に妊娠しないのかどうか知りたくなってきたのだろう、と話すソルジャー。ともあれ、悪戯小僧で大食漢の「ぶるぅ」は妊娠検査薬を薬局で買って来たわけですね?
「そうらしいねえ…。それでさ、せっかく置いてあるんだし…」
ぼくも興味が出て来ちゃって、とソルジャーが青の間で手に取った妊娠検査薬の箱。使い方を読んでから遊び半分、お手軽にセルフチェックとやらをしてみたら…。
「ぼくはどうしたらいいと思う? 陽性だなんて…!」
よりにもよって、ぼくが妊娠しちゃったなんて、と言われましても。そんな事態は誰も想定していませんから、咄嗟に返事は出来ませんってば…。
あろうことか子宝を授かってしまったソルジャー、妊娠検査薬が陽性。秘密を守れる医者を探して飛び込んで来たわけが分かりました。人工子宮で子供を育てるソルジャーの世界に産婦人科があるわけが無くて、妊娠検査薬だって無い世界で。
「…どうしよう…。子宝だなんて言われても…」
それは思ってもみなかったから、とソルジャーは本気で困っているようです。
「こっちの世界でも男は子供を産まないんだよね、普通はね…?」
「普通も何も、そんな前例、何処にも無いから!」
世界中を探しても男が産んだ例は無いから、と会長さん。
「だから、ぼくにも見当がつかないよ! 産むとなったら帝王切開だろうってことしか!」
「…やっぱりそういうことになるんだ?」
ちょっと産めそうにないものねえ…、と悩むソルジャー。
「でも、授かったからには生まれるんだろうね、この子宝は?」
「それはまあ…。きちんと節制してやればね」
当分の間は夫婦の時間も控えたまえ、という会長さんの言葉に、ソルジャーは目を見開いて。
「控えるって…。それが大事じゃないのかい!?」
夫婦の時間は子種の時間、とソルジャーの持論。そもそも、そういう目的のために子宝祈願の御祈祷を受けていたんですから、その発想は分からないでもないですが…。
「君が言うのも分かるけどねえ、授かった後が大切なんだよ」
安定期に入るまでは控えておくのが鉄則で…、と会長さん。
「授かって直ぐはとてもデリケートな時期だからねえ、夫婦の時間は厳禁だってば!」
「そ、そんな…。それじゃ、その後はヤッてもいいと?」
「人によりけりだね、とにかく定期的に診察を受けてアドバイスってヤツを…」
「定期的に!?」
そこまで厄介なものだったのか、と自分のお腹を眺めるソルジャー。
「…夫婦の時間は当分禁止で、その後もどうなるか分からないって…?」
「君のお腹の子宝次第ってことになるかな、運動も含めて」
そう言ってから、会長さんがアッと息を飲んで。
「激しい運動は厳禁だっけ…。君のソルジャー稼業がマズイよ、妊娠中だと」
「えーーーっ!!?」
それじゃシャングリラはどうなるのだ、と慌ててますけど、産休を取るしか無いでしょう。「ぶるぅ」に任せて青の間で静養、それしか道は無いですってば…。
夫婦の時間は当分お預けな上に、ソルジャー稼業も休業するしかないソルジャー。なんとか抜け道は無いのだろうか、と焦られましても、子宝を授かってしまったからには…。
「此処でグダグダ言っているより、ノルディに相談するんだね」
それが一番! と会長さん。
「だけど、今すぐ行った所で、同じことを言われて終わりだと思うよ」
まだ日数が足りなさすぎる、という指摘。
「妊娠しているようですねえ、ってカルテを作って…。母子手帳はどうするか悩む程度かな」
「母子手帳? なんだい、それは?」
「妊娠した人の必須アイテムだよ、だけど君には使えないねえ…」
女性用だから、と会長さんは考え込んで。
「ノルディなら君用に何か作るかもしれないけれど…。現時点ではその程度かな」
「注意するだけで終わりってこと? 夫婦の時間はいけませんとか、ソルジャーの仕事はやめるようにとか?」
「そうなるねえ…。もう少し経てば、子供の様子も分かるんだけど」
時期的に言って海の別荘に行く頃だろうか、と会長さん。
「丁度いいから、君のハーレイと二人で受診するのもいいねえ、ノルディの病院」
「ハーレイと?」
「感動的な瞬間だろう? 子供が出来た、って分かるんだからさ」
最高の結婚記念日になるよ、と会長さんは言ったのですけど。
「逆だから!」
ぼくが欲しかったのは子宝じゃなくて子種を授かるパワーの方で! とソルジャーは不機嫌極まりない顔。
「子宝を授かってしまった時点で、そのパワーは切れてしまうんだろう?」
「そうだけど?」
「それが困ると言ってるんだよ、だから授かったと宣言されたら大迷惑で!」
まだまだ夫婦の時間をガンガン楽しみたいし、と言うソルジャー。
「子宝とやらが出来ちゃったせいで、ハーレイの凄いパワーが途切れてしまうだなんて!」
「途切れるも何も、陽性な以上は、夫婦の時間はお預けだから!」
ノルディが安定期に入ったと判断するまで控えないと、と会長さんに説教をされたソルジャーはガックリと項垂れて帰ってゆきました。とんでもない結果になってしまったと、子宝のお蔭で結婚記念日も夫婦の時間も台無しだと。けれど…。
「うわぁぁぁーん、ごめんなさい、ごめんなさいーーーっ!!!」
もうしないから、とビーチに響き渡っている「ぶるぅ」の絶叫、マツカ君の海の別荘でのこと。悪戯小僧の大食漢はアヒル責めの刑に遭っていました。
「ぶるぅ、アヒルちゃんは好きなんだろう? せいぜい仲良くするんだね」
その状況だと難しいかもしれないけれど、と薄ら笑いを浮かべるソルジャー。「ぶるぅ」は首から下を砂に埋められ、周りにアヒルがギュウギュウと。そう、アヒルの群れごと檻の中です。つつかれまくって、踏まれまくって、羽でバタバタ叩かれて…。
「えとえと…。ぶるぅ、いつまであのまま?」
とっても可哀相なんだけど、と「そるじゃぁ・ぶるぅ」が尋ねると。
「可哀相だって? ぼくとどっちが可哀相なのさ、今日まで禁欲だったんだからね!」
「まったくです。子供が出来たかもしれない、などと言われては私も禁欲せざるを得ませんし…」
そして今日まで禁欲でした、とキャプテンも。
「出来れば間違いであって欲しいとブルーと二人で祈り続けて、晴れて今日から解禁で…!」
「だよねえ、ノルディがキッパリ言ったからねえ、子供なんかはいませんよ、とね!」
そうなったらバレて当然だろう! と怒るソルジャー、「ぶるぅ」を問い詰め、判明したのが一連の悪戯。妊娠検査薬を買って来たことも、陽性になるよう細工したことも「ぶるぅ」は吐いてしまったわけで…。
「…アヒル責めかよ…」
キツそうだよな、とサム君がチラリと眺めて、教頭先生が。
「些か酷すぎる気もするのだが…。禁欲生活が長かったと聞くと、仕方ないかとも…」
「ふうん? ヘタレなりに理解は出来るんだ? 禁欲の辛さ」
君とは無縁の世界だけどね、と会長さんが鼻で笑って、ソルジャーが。
「ヘタレだろうが、童貞だろうが、同情してくれる人は神様だよ! 君たちの笑いに比べたら!」
君たちは爆笑していたくせに、とギロリと睨まれ、首を竦める私たち。アヒル責めの巻き添えは御免ですから、「ぶるぅ」に同情したら終わりで…。
「そうだよ、ぶるぅは苛めてなんぼ! アヒルは好きだし、あれで充分天国だから!」
もっとアヒルに囲まれるがいい、とアヒルの群れを檻の外から煽るソルジャー。「ぶるぅ」目がけて餌を投げ付け、アヒルだらけになるように。
(((…ひどい…)))
悪戯は確かに悪いんでしょうが、元を正せばソルジャーが受けた子宝祈願の御祈祷が諸悪の根源ですから、あれって一種の八つ当たりでは…?
そんなこんなで、今年のソルジャー夫妻の結婚記念日は、ある意味、とっても華々しい日になりました。晴れて禁欲生活が終わり、子宝祈願の御祈祷パワーも解禁で…。
「…あいつら、起きて来やがらないな」
次の日の朝、朝食の席にソルジャー夫妻の姿は無くて。
「ルームサービスだそうですよ。御注文があったらお届けするということで」
そう聞いています、とマツカ君が答え、キース君はチッと舌打ちをして。
「あの祈祷、そんなにパワーがあるのか? …俺は一度もやったことが無いが」
「パワーだけはあると言った筈だよ、ぼくも本気で焦ったからね」
ブルーが妊娠したかと思った、と安堵の息をつく会長さん。
「本当に子供が出来ていたなら、あっちの世界のシャングリラの存亡の危機だからねえ…」
「確かにな。ぶるぅじゃ守り切れないからなあ、パワー全開だと三分間しか持たないからな」
だからこそアヒル責めの刑が有効なわけで…、とキース君が言う通り。「ぶるぅ」はシールドを張ってアヒル攻撃を防いでましたが、ソルジャーが逆のサイオンを全力でぶつけた途端に、三分間で消えたシールド。後はアヒルにつつかれまくって、踏まれまくって…。
「…んとんと、ぶるぅ、大丈夫かなあ?」
昨日はヘトヘトで土鍋に入って行ったけれど、と「そるじゃぁ・ぶるぅ」が心配していると、噂の主がご登場で。
「かみお~ん♪ あのね、ブルーもハーレイも、今、凄いんだよ!」
子宝パワーで解禁なの! と高らかに叫ぶ「ぶるぅ」は朝も早くから覗きをしていたみたいです。アヒル責めの恨みか何かは知りませんけど、せっせと成果を話してくれて。
「いや、俺たちが聞いてもだな…!」
「意味が全然分かりませんから、もういいですって…!」
黙ってくれていいんですけど、とシロエ君が言おうが、キース君がお断りしようが、会長さんがレッドカードを突き付けていようが、教頭先生が鼻血だろうが。
「それでね、そこでハーレイがね…!」
止まる気配も無い「ぶるぅ」の喋りと独演会。こんなことなら結婚記念日に花火プレゼントの方が良かったでしょうか、毎年恒例になったとしても。なんだかそういう気がしてきました、花火プレゼントにしておけば…。後悔先に立たずですけど、花火にしとけば良かったです~!
記念日に花火・了
※いつもシャングリラ学園を御贔屓下さってありがとうございます。
ソルジャー夫妻の結婚記念日、花火で祝わされるのは嫌だ、と代わりに御祈祷サービス。
結果はとんでもなかったわけで、祝った方がマシだったかも。悪戯小僧のせいですけどね…。
さて、シャングリラ学園、11月8日で番外編の連載開始から13周年を迎えました。
コロナ禍の中でも頑張ったものの、すっかりオワコンになったのが『地球へ…』。
ステイホームが続いているのに、pixiv に置いた新作の閲覧者は1年かかって90人ほど。
そろそろ潮時なんだろうな、と連載終了を決断しました。14周年までは続けますけど。
「目覚めの日」なのが14歳ですし、14周年で終了ですね。残り1年、頑張ります。
次回は 「第3月曜」 12月20日の更新となります、よろしくです~!
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こちらでの場外編、11月といえば紅葉のシーズン、お出掛けしたくなるわけで…。
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