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シャングリラ学園シリーズのアーカイブです。 ハレブル別館も併設しております。

保育士

保育士・その1


マザー、今度は保育部に転属になりました。ヒルマン教授や先輩の皆さんと一緒にガキども…いえ、子供たちの世話をしています。ところが公園で突然の眠気に襲われ、私も先輩もついウトウトとしてしまい…子供たちが何処かへ行ってしまったことに全く気付かなかったのです。目が覚めた時は全員、ちゃんと揃っていましたし。脱走を知ったのはブラウ様に休憩室へ呼ばれた時でした。

「ちょいと!…これをどうしてくれるんだい?」
私たちもヒルマン教授も、目の前の人がブラウ様だとはすぐに分かりませんでした。トレードマークのドレッドヘアがボワンと広がり、別人のよう。でもオッドアイの瞳は間違えようもありません。
「昼寝しててね、起きた時にはこの有様さ。わっ、と声がして小さい足音が沢山パタパタ逃げてったよ。そしてハーレイは…」
あごをしゃくって示された先では、キャプテンが床にしっかり張り付いたブーツをはがそうと苦戦中でした。

ヒルマン教授が笑いながらも懸命にとりなして下さり、ブラウ様も
「しょうがないねえ。子供ってのは、こんなもんか…。ハーレイ、あんたもいい加減、そのブーツのことは諦めな」
と許して下さったものの、監督不行き届きは確かです。保育室に戻って子供たちを叱りつけたら、こんな答えが返ってきました。
「だって。ソルジャーがやろうって言ったんだもん!!」。
え。…ソルジャーが?…ソルジャー・ブルー様が悪戯を!?

子供の言葉だけに要領を得ませんが、「ソルジャーらしき人」に誘われて一緒に悪戯をしたというのは事実のようで、子供たちはソルジャー・ブルー様だと信じています。「映像で見たソルジャーそっくりだった」と必死に主張するのですけど、それは「そるじゃぁ・ぶるぅ」の間違いでしょう、と私は頭を抱えました。

マザー、今度の職場もソルジャー・ブルー様とまるで無縁ではなかったようです。子供たちの誤解を解く方法はありますか…?


 

保育士・その2


マザー、保育部はハードです。ガキんちょ…もとい、子供たちはちっとも言うことを聞きません。寝る時間なのに「アイスが食べたい!」と大騒ぎ。寝る前の間食は体によくない、とヒルマン教授が諭して下さり、やっと静かになったと思ったら…。なんと全員、アイスを食べていたのです。

誰がアイスを与えたのか、戦犯探しが始まりましたが…全員アリバイがありました。無いのはヒルマン教授だけです。でも教授が「いけないこと」を許可なさる筈がありません。それではアイスはいったい誰が?…保育部主任が最年長の子に尋ねたところ、思いがけない人物の名が…。

苦し紛れの嘘かもしれない、と子供たちを集めて同じ質問がされました。しかし答えはやっぱり全員一致で。
「ソルジャーがくれた!」。
ああ、なんということでしょうか。またも「そるじゃぁ・ぶるぅ」のようです。子供たちは重ねて叫びました。
「もしも叱られたら、こう言えって。…年寄りと女子供は丁重に扱えと教えられていないか!?」。

完敗でした、マザー…。子供たちは「憧れのソルジャーにアイスを貰った」興奮で騒ぎまくって大変でしたし、今後は夕食後に「おやつ」を要求するでしょう。保育部まで来て「そるじゃぁ・ぶるぅ」に振り回される羽目になろうとは…。
いえ、わたくしはいいのですが。こんな状況でソルジャー・ブルー様の尊厳を守り切れるか、ミュウの未来が心配です。…この期に及んでもソルジャー・ブルー様おん自らのお言葉が無いのは「子供たちの誤解など大したことではない」ということでしょうか。偉大な長の懐の深さは、新米ミュウには推し量れません…。




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