シャングリラ学園シリーズのアーカイブです。 ハレブル別館も併設しております。
(まだ育たないよ…)
土曜日の朝、ハーレイが訪ねて来る前に部屋の掃除を終えたブルーはクローゼットに付けた印を見上げて溜息をついた。床から百七十センチの所に鉛筆で微かに引いた線。ソルジャー・ブルーの背丈と同じ高さに引いた線まで育たない限り、大好きなハーレイとキスも出来ない。
(本当に全然、育たないんだけど…)
ハーレイと出会った時の百五十センチから伸びない背丈。一ミリさえも伸びてはくれない。印の高さに届いてくれる日はいつになったら来るのやら…。
そこまで背丈が伸びた時には、クローゼットに付けた印も忘れているかもしれないけれど。今のブルーには大問題で、クローゼットを見上げれば溜息しか出ない。
(クローゼットかあ…)
印を付けるまでは特に気にしていなかった。ただ其処に在るというだけの家具。
(でも…)
そういえば、と遠い日の思い出が蘇って来た。このクローゼットに纏わる思い出。子供の頃に、此処に隠れた。幼稚園から学校に入って間もない頃に、クローゼットに。
その頃、学校で流行ったかくれんぼ。
ブルーは隠れるのが下手で、いつも真っ先に見付かってしまうから。
両親はどうだか試したくなった。隠れた自分を見付けられるか、見付けることが出来ないのか。
(ちょっとだけ…。ちょっと試してみたいだけだよ)
小さな子供は下校時刻が早かったから、帰宅時間は午後のおやつの時間よりも前。ブルーが家に帰り着いた時には、母がお菓子作りの真っ最中のことも多かった。
「ブルー、もう少ししたらケーキが焼けるわよ」
待っていてね、と母が声を掛けて来たから「うんっ!」と返事をして、二階にある自分の部屋へ入るなり、キョロキョロと周囲を見渡した。
何処に隠れるのが一番なのか、と眺め回してみる。カーテンの陰は直ぐバレそうだし、ベッドの下も覗き込まれたら終わり。
(んーと…)
息を潜めていられそうな場所で、自然に隠してくれそうな場所。
クローゼットの中がいいかもしれない。まさかブルーが入っているとは思うまい。
(…服とかを入れる場所だしね?)
それにクローゼットはブルーの部屋の家具の中でも一番大きい。実に頼りになりそうな家具。
(うん、此処がいいや)
ブルーはクローゼットの扉を開けて中へもぐり込み、内側から扉をパタンと閉めた。途端に暗くなってしまって、サイオンの扱いが不器用なブルーには何も見えなくなったけれども。
(このくらいでちょうどいいんだよ)
自分の手さえ見ることが出来ない真っ暗闇。
これなら充分にブルーを隠してくれるだろう。最高の隠れ場所を見付けた、と嬉しくなった。
両親は自分を見付けることが出来るだろうか…?
隠れている間に階下で父の声が聞こえた。
いつもよりも早い帰宅時間。仕事が早く終わったのだろうか、とブルーの胸がドキンと高鳴る。父は夜まで帰って来ないと思っていたから、クローゼットには二回隠れるつもりだった。一度目は母を試して、二度目が父。思いがけない父の帰宅のお蔭で、隠れるのは一度で済みそうだ。
(パパが捜しに来るのかな? それともママかな?)
どちらが部屋に来るのだろう、とクローゼットの中で膝を抱えて座りながら。
(…まだかな?)
そろそろケーキが焼き上がる頃。父が居るなら直ぐにティータイムだと思うけれども…。
「ブルー! ブルー、おやつよー!」
母が呼んでいる声が聞こえた。普段のブルーなら、これだけで階下へ駆けてゆく。母が部屋まで呼びに来ずとも、待ち兼ねていたおやつ目当てに駆け下りてゆくが。
(…我慢、我慢…)
此処で飛び出したら何のために隠れているのか分からない。おやつのケーキも気になるけれど、それよりも先にかくれんぼ。両親は自分を見付けられるか、無理なのか。
「ブルー? ケーキが焼けてるわよー?」
母がさっきよりも大きな声で呼び掛け、階段を上がって来る足音がした。母の軽やかな足音とは違って、ゆっくりと落ち着いた父の足音。ブルーには音しか聞こえなかったが、やがて部屋の扉がカチャリと開いて。
「ブルー、おやつだぞ?」
おや。…いないのか?
部屋じゃなかったのか、と聞こえた父の独り言。
(やった!)
父には見付けられないのだ、とブルーの心は躍り上がった。
学校でやっているかくれんぼの時は、捜されもせずに見付かっている。ブルーの隠れ場所を目にした鬼は迷わず真っ直ぐに近付いてきて容赦なく「見付けた!」とタッチしてしまう。
けれど、クローゼットを目にしているのに「いないのか」と呟く父はブルーを見付けられない。もう嬉しくて小躍りしそうになったブルーの居場所は、その瞬間に父に知れていた。
かくれんぼが苦手なブルーが見付かってしまう理由は、その思念。「見付かりませんように」と懸命に祈る気持ちが零れ出ていて、鬼に容易く拾い上げられる結果。
今の場合は「見付からなかった!」と大喜びした思念を父に拾われ、父の視線はクローゼットの中の悪戯息子に向けられたのだけれど。
ブルーの意志を尊重するべく、父はそのまま出て行った。
見付かっていないつもりのブルーよりも、父の方が二枚も三枚も上手。階下に戻ると母に息子の隠れ場所を教え、それから二人で捜し回る。あちこちの扉を開けたり閉めたり、ブルーの部屋まで覗きに来たり。ついには庭まで捜している声が聞こえてきて…。
(まだかな、おやつ…)
かくれんぼは上手くいったけれども、少々上手くやり過ぎた。おやつのケーキに辿り着けない。
(…今日のケーキは何なのかな?)
早く見付けて食べさせてよ、と願うブルーは本当にかくれんぼが下手だった。鬼に見付からずに済んだ子たちが姿を現すタイミングが何処かを知らなかった。
いつも真っ先に見付かってしまうから、かくれんぼの終わりは「見付かった時」と頭から信じて疑いもしない。鬼が降参してしまった時には出てもいいのだと気付いていない。
(…パパ、ママ、まだあ…?)
捜す声はとっくに止んでしまって、両親はブルーの分も用意してケーキを食べているのに、全く気付かず出てゆきもしない。かくれんぼは鬼が見付けてくれるまで続くものだと思っているから。その鬼たちが降参するなど、思いもよらないことだったから。
(…ケーキ、まだかな…)
今か今かと待ちくたびれて、おまけにクローゼットの中は暗くて。
いつの間にかブルーはぐっすり眠ってしまって、様子を見に来た父に抱えられて運び出された。眠ったままベッドに横たえられて眠り続けて、揺り起こされた時には夕食の時間。
おやつのケーキは食べ損なった。
かくれんぼに失敗したらしいことも、ベッドで眠っていたから分かった。
なんとも情けない遠い日の思い出。かくれんぼは一向に上達しなくて、流行っていた間はいつも真っ先に見付けられては悔しい思いをする日々で…。
(そうだ、かくれんぼ…!)
ブルーの頭に突如として閃いた思い付き。
(…ハーレイはぼくを見付けられるかな?)
前の生では、ブルーが何処に居てもハーレイは直ぐに見付けてくれた。
かくれんぼをしていたわけではない。ブルーが姿を隠していただけ。かくれんぼではなく、姿を誰にも見られたくなかった。ソルジャーとしての務めの重さに苦しむ姿を、弱い自分を知られてはならないと思って隠れた。
半ば公の場である青の間では弱い姿を見せられないから、誰も来ない倉庫や、機関部の奥の奥、滅多に点検の者たちも来ない狭い通路や。
そうした場所で膝を抱えて蹲っていると、直ぐにハーレイが捜しに来た。捜すというほど時間は経っていないというのに、「捜しましたよ」と微笑みながら。
そしてブルーの隣に黙って座り込んで温もりを分けてくれたり、そうっと肩を抱いてくれたり。ブルーの心が癒えるまで待って、それから外へと連れ出してくれた。
いつもいつも寄り添っていてくれた、優しいハーレイ。
ソルジャー・ブルーだった頃のブルーが愛したキャプテン・ハーレイ…。
(…今だって分かる筈だよね?)
ハーレイだもの、とブルーは確信に満ちた表情になる。ハーレイならきっと見付けてくれる。
ブルーが何処に隠れていようと、今のハーレイでも見付けられる筈。
よし、と隠れることにした。
部屋の窓から外を見下ろし、やって来たハーレイが門扉の前に立つのを確かめてクローゼットの中にもぐり込む。内側からパタンと扉を閉めれば、子供の頃と同じ真っ暗な闇。
(だけど、ちょっとは上手になったものね)
サイオンの扱いは不器用なりに、外の気配くらいは探れるようになった。瞳を扉の方に凝らすと部屋の様子を見ることが出来る。いわゆる透視という能力。滅多に使わないブルーのサイオン。
そうやって見ていると、母がハーレイを案内して来て部屋の扉を開けて。
「あらっ?」
いないわ、と驚きの声を上げる母。
「何処へ行ったのかしら、あの子ったら…」
「直ぐ戻りますよ、他の部屋に用事でもあるのでしょう」
「そうですわね…。ハーレイ先生、どうぞこちらへ」
母はハーレイに椅子を勧めて、「お茶の用意をして来ますわね」と部屋から出て行った。足音が階段を下りて遠ざかり、ハーレイは椅子にのんびりと座る。
(あれっ?)
ハーレイがブルーに気付いた様子は無い。クローゼットの方に視線も向けない。
(…ハーレイ、鈍くなっちゃったのかな? それとも…)
お茶の用意が整った後で、クローゼットを開けて不意打ちだろうか。もしかしたら、父のように抱き抱えて運び出してくれるとか…?
ブルーは暗闇の中で頬を紅潮させた。ハーレイが気付かない筈がないから…。
クローゼットに潜んだブルーの思念は実はハーレイに筒抜けだった。しかしハーレイは素知らぬ顔で椅子に腰掛け、ブルーを待っているふりをする。其処へブルーの母が入って来た。
「ハーレイ先生、お茶とお菓子をお持ちしましたわ。…ブルーは?」
「まだなのですが…。お心当たりは?」
問われた母は困り顔で。
「それが…。書斎には居なかったんですけれど…。もう本当に、あの子ったら、何処に?」
「お気になさらず。私の用事はこちらに伺うことですしね」
もっとも用事の相手が居ないようですが、とハーレイが笑い、母が「戻って来たら叱ってやって下さいね」と息子の非礼を詫びてから部屋の扉を閉める。
「ブルー! ブルー、何処なの?」
ハーレイ先生が待っていらっしゃるわよ、と遠ざかってゆく声。足音も階下へと消え、ブルーは胸を高鳴らせた。
(ハーレイ、来るかな…)
クローゼットの扉を開けての嬉しい不意打ち。それだけで充分嬉しいけれども、逞しい腕に抱え上げられてクローゼットから出して貰えればもっと嬉しい。
(抱えて欲しいな…)
寝たふりをしていれば抱えて出してくれるだろうか?
そうしようか、とドキドキしているのに。
(…えっ、来ない?)
ハーレイはクローゼットの方を見もせず、ゆっくりとティーカップを傾けた。いつものとおりに砂糖を入れて、スプーンで軽くかき混ぜてから。どうやらブルーを待っているらしい。
(…もしかして、全然気付いていないの?)
まさか、とブルーは縋るような視線をクローゼットの扉越しに向けたが、それでも気付く様子は無い。明確な思念は向けていないけれど、こうすれば気配は届きそうなのに…。
(ハーレイ、鈍くなっちゃった?)
前のハーレイなら直ぐに見付けてくれたのに。
ブルーが何処に隠れていようと、捜し出して寄り添いに来てくれたのに…。
一方、紅茶を飲んでいるハーレイはと言えば。
(…本当に不器用になったな、あいつ)
ハーレイはとうに気が付いていた。ブルーがクローゼットに隠れていることも、今この瞬間にもクローゼットの中から自分の方を見ていることにも。
(不器用と言うか、不器用すぎて可愛いと言うか…)
この部屋に足を踏み入れた瞬間、感じたブルーの弾んだ心。
前の生でと同じように自分を見付けて欲しいと、見付けられるであろうという気持ち。もちろん隠れた場所も分かった。ブルーの表情までもが手に取るように。
全てを一瞬で見抜いたハーレイは、ブルーの母にだけ届く思念を送った。
クローゼットに隠れていますよ、ソルジャー・ブルーだった頃も時々姿を消していました、と。
私がブルーを捜すのが得意だったことを思い出してやっているのでしょう、と。
そうやって送った思念の後はブルーの母と一緒に芝居を打っていたわけで。
(…俺がとっくに気付いているのも分かっていないとは天晴れとしか…)
悠然とお茶を飲み、ケーキを食べる。クローゼットには視線も向けない。
(はてさて、いつになったら気が付くやら…)
普段は観察する暇がないブルーの部屋をあちこち眺めて楽しんだ。クローゼットはたまに視界を掠めてゆくだけで、棚に並んだ本の背表紙やら、きちんと整えられたベッドやら。
もっとも、ベッドは其処で眠るブルーを思うだけで身体の奥が熱くなるから少しだけ。それでも上掛けの模様や枕カバーなどの好みがブルーらしくて笑みが浮かんだ。
勉強机の上には自分のと揃いのフォトフレーム。
ハーレイが写真を入れたフォトフレームをブルーの分と交換したから、元は自分の持ち物だったフォトフレームがブルーの机に飾ってある。飴色の木枠のフォトフレームの中、幸せそうな笑顔のブルーと自分。
(あの写真を撮って良かったな)
ブルーがフォトフレームを大切にしていることが一目で分かった。昨夜も眠る前に見詰めていた気配が残っている。自分以外は気付くことすら出来ないだろうブルーの想い。
どんな微かな思念でさえも、ブルーのものなら必ず拾えると自負しているのに。
(まだ気付かんとは恐れ入った)
クローゼットの中の小さな恋人。
見付けて貰えないことが不満で、頬を膨らませつつある小さな恋人…。
ブルーの我慢は限界に達しそうだった。
(酷いよ、ハーレイ! 気が付かないの!?)
ぼくは此処なのに、ぼくよりもお茶とケーキなの?
あんまりだ、と捜してもくれない恋人に腹を立てるブルーと、面白がっているハーレイと。
(鈍いな、ブルー。いい加減、気付け)
ふむ、とハーレイは立ち上がってブルーの勉強机に近付いて行った。家探しをするつもりなどは無いのだけれども、悪戯小僧はこらしめねば。
(えっ、ハーレイ? …何をする気?)
ブルーはギクリと身を強張らせた。
勉強机に引き出しは幾つかあったが、一番上の引き出しの中にブルーの宝物が仕舞ってある。
学校便りの五月号。転任教師の着任を知らせる小さな記事とモノクロ写真のハーレイが載った、ブルーの大切な宝物。いつでも取り出して眺められるよう、一番上にして収めてあった。
(開けられたら直ぐに見付かっちゃうよ…!)
ハーレイの写真が載っているから宝物にした学校便り。それを見られるのは恥ずかしい。
いくらハーレイが相手であっても、恥ずかしいから知られたくない。
あんな小さなモノクロ写真を宝物にして持っているなんて…!
切羽詰まったブルーの思念はもちろんハーレイにも届いてはいたが、その中身まではハーレイもあえて読んではいない。勉強机に何かがある、という程度。
(何か隠しているらしいな?)
ブルーが大切な物を入れていそうな引き出しはどれか、と手近な取っ手に手を掛けてみた。
それが一番上の引き出し。ブルーが危惧した学校便りの入った引き出し。ブルーはとても隠れていられず、クローゼットの扉を乱暴に開けて飛び出した。
「酷いよ、ハーレイ!」
何をするの、と両手で引き出しを開けられないよう押さえ付ければ。
「酷いのはお前の方だろうが」
コツン、とハーレイが拳で軽くブルーの頭を小突いた。
「丸分かりだったぞ、隠れていること。お母さんにも思念で伝えておいたしな」
「えっ…」
息を飲むブルーに、ハーレイは「悪戯者めが」と咎める視線を向けて。
「で、開けられると困るというわけなんだな、この引き出し」
…何を仕舞っているんだ、うん?
問われたブルーは言葉に詰まった。
「…………」
ハーレイの写真が載った学校便りだなどと白状出来るわけがなかった。
どう勘違いをされてもいいから黙っていよう、と覚悟を決めた。
それなのに……。
「ふむ。…お母さんに内緒のラブレターだな、女の子から沢山貰ったんだな?」
ハーレイが口にした言葉のあまりの酷さに、沈黙の覚悟は呆気なく砕けた。
「そんなの、貰ったことないよ!」
たとえラブレターを貰ったとしても、女の子なんかよりハーレイが大事。
ブルーはハーレイのとんでもない誤解を解くべく、慌てて叫んだ。
「そんなものなら直ぐ捨てるけれど、学校便りは捨てないよ!」
「……学校便り?」
ポカンとしていたハーレイだったが、ブルーが絡めばカンが働くのも早い。
あれか、と直ぐに思い至った。ブルーの学校に赴任した直後に配られた筈の学校便りの五月号。自分の着任を知らせる記事とモノクロ写真が載っていた号。
勉強机の上に飾ってあるフォトフレームの写真を撮るまで、ブルーはハーレイの写真を持ってはいなかった。ハーレイの写真が欲しくて「キャプテン・ハーレイの写真でもいいから」と写真集を探しに出掛けた話も聞いている。
そんなブルーが如何にも大切に持っていそうな学校便りの五月号。たった一つきりのハーレイの写真が刷られた、学校便りの五月号…。
「そうか、俺の写真が載ってた学校便りか。…あれがお前の宝物なのか」
「……うん……」
消え入りそうな声で答えたブルーを、ハーレイはグイと抱き寄せた。
もう愛おしくてたまらない。
クローゼットに隠れるような幼くて小さな恋人だけれど、その愛らしさがたまらない…。
力任せの抱擁の後で、ブルーは椅子に腰掛けたハーレイの膝に乗せられた。
かくれんぼをしていた件は不問で、ハーレイはただ嬉しそうな顔でブルーの頭をクシャクシャと撫でる。銀色の髪を何度も何度も、ブルーの大好きな褐色の手で。
「うんうん、お前は実に可愛い。隠れるのが下手でも、隠すのが下手でも、実に可愛い」
「…どうせ、どっちも下手くそだよ…」
隠し通そうとした学校便りは喋ってしまってバレてしまった。
クローゼットに隠れていたのも最初からバレていて、隠れたことにすら全くなっていなかった。
かくれんぼも隠し事も下手くそで不器用なブルーだけれども、なんだか心がドキドキと弾む。
(…やっぱりハーレイは今でも凄い…)
ホントに凄い、とブルーはハーレイの広い胸に頬を擦り寄せた。
隠れていた場所も、隠していたものも、何もかもお見通しとしか言えないハーレイ。
前の生からブルーの居場所を誰よりも早く捜し当てては、そっと寄り添ってくれたハーレイ。
今でもハーレイはやっぱり凄い。
ぼくのことは何でも分かってるんだ、と…。
かくれんぼ・了
※ブルーのことなら、何でもお見通しなのがハーレイ。前のハーレイも、今も。
学校便りが宝物なのがバレてしまっても、ブルーは幸せ一杯です。
←拍手して下さる方は、こちらからv
←聖痕シリーズの書き下ろしショートは、こちらv