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シャングリラ学園シリーズのアーカイブです。 ハレブル別館も併設しております。

空を飛ぶ絨毯

※シャングリラ学園シリーズには本編があり、番外編はその続編です。
 バックナンバーはこちらの 「本編」 「番外編」 から御覧になれます。

 シャングリラ学園番外編は 「毎月第3月曜更新」 です。
 第1月曜に「おまけ更新」をして2回更新の時は、前月に予告いたします。
 お話の後の御挨拶などをチェックなさって下さいませv





今年も秋のお彼岸の季節がやって来ました。お彼岸の法要で最大のものは、お中日。お中日は秋分の日だけにもれなく休日、ゆえに嬉しくないお誘いなんかもあるわけで。
「おい、お前たちも今年は来てみないか?」
キース君に声を掛けられ、ピキンと固まる私たち。ジョミー君とサム君は見習いを兼ねたお手伝いで駆り出されることも多いですけど、お坊さんの世界とは無関係な私たちまで勧誘されても…。
「謹んでお断りさせて頂きます」
シロエ君がズバッと言い切りました。
「ぼくたちが出ても全くお役に立たないどころか、邪魔になってしまうだけですし? それに余計なお手間を取らせちゃいます、法要の後の食事とか」
「いや、そっちは全然構わないんだ。それよりも若い参加者が多い方が俺は嬉しいんだが」
年寄りばかりでは張り合いが、と言われましても、法要だけに仕方ないでしょう。そもそもお寺はお年寄りと御縁が深いものですし、副住職たる者、頑張るべしと思ったのですが。
「そうだねえ…。行ってもいいかな」
どうしようかな、と会長さん。そう、此処は放課後の「そるじゃぁ・ぶるぅ」のお部屋です。
「どうせ暇だし、銀青じゃなくて普通の高校生として参加するのも悪くないかも…。もちろん食事は出るんだよね?」
「あんたが来るなら親父とおふくろも張り切るだろう。一般参加でも大歓迎だ」
なにしろ銀青様なんだからな、とキース君は指で丸印を作っています。
「お忍びで参加して貰えるなら食事のグレードも上がると思うぞ」
「…そういうことなら、喜んで。一般席から弟子のチェックをさせて貰うよ」
「えーーーっ!」
ヒドイ、とジョミー君が叫びました。
「で、弟子のチェックって、それって出ろって意味じゃない! お彼岸に!」
「当然だろう? それともサボる気だったのかい?」
不出来な弟子は困るんだけど、と会長さんは冷たい視線。
「どうせ祝日で休みなんだから、文句を言わずにお手伝いする! そうだよね、サム?」
「あ、ああ…。勉強にもなるし有難いけど、ジョミーはなぁ…」
思い切り足を引っ張りそうな、と実に遠慮のない意見。ジョミー君もここぞとばかりに反論したものの、会長さんに加えてキース君まで出て来ると…。
「……なんでこういうことになるのさ……」
「諦めて下さい、ジョミー先輩。ぼくたちも一蓮托生ですし」
お彼岸の法要、頑張りましょう、とシロエ君。そう、出席にされちゃったのです、私たち。お忍び参加な会長さんだけで充分だろうと思うのに~!



逃げ切れなかった秋のお彼岸。暑さ寒さも彼岸までとは言葉ばかりで朝から暑くて、嬉しくない気持ちは五割増し。ジョミー君とサム君は朝一番からお手伝いですし、法要が始まる少し前に元老寺の山門から近いバス停に降り立った面子は四人だけ。
「…あーあ、とうとう来ちゃいましたよ…」
気分が滅入って来そうです、とシロエ君がぼやけば、スウェナちゃんも。
「椅子席、絶対、貰えないわよね…」
「貰えないだろうと思います」
お年寄りが優先ですから、とマツカ君。また長時間の正座になるのか、と溜息をついて山門の方へと歩いていくと黒塗りのタクシーが私たちを追い越し、山門前に停車。運転手さんが丁重にドアを開け、嫌というほど馴染んだ声が。
「今、来たのかい? 今日は御苦労さま」
「かみお~ん♪ みんな、バスなの?」
会長さんと「そるじゃぁ・ぶるぅ」、お忍び参加でもタクシーですか?!
「え、当然だろ? ぼくが行くって分かってるんだし、アドス和尚は気が利くよね」
今日はのんびり一般参加、と私服姿の会長さん。それなのにタクシーなんて反則だ、と文句を垂れつつ本堂へ行けば、イライザさんがサッと出て来てお辞儀して。
「ようこそお越し下さいました。お席は用意しておりますので」
「ありがとう。でも、普通の席で良かったんだけどね?」
「そういうわけには…。どうぞ、こちらへ」
ご案内します、とイライザさんが先に立って入り、続いて入った私たちは…。
「「「………」」」
ああ、なんということでしょう! 正座どころか最前列が空けられています。これでは足を崩すどころか、ヒソヒソ話も出来ません。会長さんを一番奥に据え、順に座って泣きそうな気持ちになっていると。
『なんのために思念波があるんだい?』
こういう時に使うためだろ、と会長さんのお茶目な思念。
『正座の痛みは耐えるしかないけど、お喋りまでは我慢しなくていいってば! せっかく最前列に来たんだ、大いに見物するべきだよね』
法要も慣れると見どころがね、と会長さんは楽しげですけど、門外漢には無縁の話。何をやってるかも分からないのに、見どころなんて掴めませんよ!



本堂はクーラーが効いているため、暑さは感じずに済みました。その代わり、足が痛いです。法要が始まるまでの待ち時間で既に痺れ始めてジンジンと…。
「皆さん、本日はようこそお参り下さいました」
やっとのことでアドス和尚の挨拶が。
「法要の前に、少し法話をさせて頂きたいと思います。えー、本日は…」
うわー…。アドス和尚の法話って長いんだよな、と肩を落とした私たちですが。
「「「えっ?」」」
キース君が大きな袱紗包みのようなモノを持って奥から現れました。何なの、何が始まるの?
「若輩者ですが、法話をさせて頂きます。皆様、こちらをご覧下さい」
今日の法話はキース君ですか! えーっと、何か書いた紙が袱紗包みの中から…?
『法話と言うより説法かな? 法話専門の人のやり方だよ、これ』
会長さんが思念で伝えて来ました。仏教の専門用語を紙に書き出し、分かりやすく解説するのだそうです。
『このタイプの法話は時間厳守が命でね。制限時間をキチッと守ってなんぼなんだな』
『だったら早めに終わりますか?』
シロエ君が尋ね、会長さんが『うん』と即答。それならアドス和尚よりマシか、と期待したとおりにキース君の法話は十五分ほどで終わり、お次は法要。
『キース先輩、法話を見せたくて呼んだんでしょうか?』
『そうだと思うよ、晴れ舞台だしね』
話は頭に入ったかい? と会長さんに訊かれて愕然。何のお話でしたっけ…?
『やれやれ、誰も聞いてはいなかった、と…。そんなトコだろうけど』
サムはともかくジョミーもアヤシイ、と思念で笑う会長さん。サム君とジョミー君は末席で読経をしていました。もっともジョミー君は完全に口パクらしいですけど…。そうこうする内にクライマックス、お墓にお供えするための卒塔婆の供養が始まって。
『これが終わったら終了なのよね?』
スウェナちゃんが囁き、マツカ君が。
『確かそうです、思い切り長いですけどね…』
檀家さんが頼んだ分の卒塔婆を全て読み上げて供養するわけですから、そう簡単には終わりません。おまけに供養した卒塔婆は檀家さんに手渡す仕組み。ここから先が長いんだよなぁ、と私たちは足の痺れに耐えつつ、深い溜息。
『思いっ切りの単純作業ですもんねえ…』
面白くも何ともありませんよ、とシロエ君。あーあ、これってどれだけ続くの…? つまらない、と嘆く私たちに御本尊様がサービスをして下さったのか、違うのか。私たちは最前列でしっかり目撃したのでした。アドス和尚が手を滑らせて、小型の卒塔婆を落っことしたのを…。



「うーん、アレって凄かったよねえ?」
ぼくがやったらアウトだよね、とジョミー君。そんな話が出来る所は元老寺ではありません。翌日の放課後、「そるじゃぁ・ぶるぅ」のお部屋でです。
「お前どころか、俺でもアウトだ。罰礼を千回は食らうだろうな」
親父だったからこそスル―なんだ、とキース君。罰礼は南無阿弥陀仏に合わせて五体投地の礼拝を繰り返すことで、それが千回レベルですか、アレ…。
「そりゃそうさ。思い切り空を飛んじゃったしねえ…。おまけに畳に落っことしたし」
宙で受け止めていればいくらかはマシ、と会長さん。
「あの後、香炉の煙にくぐらせてただろう? つまり清めが必要ってコト。地面じゃないけど足で踏む所に落としたんだから」
「…親父もショックだったみたいだぞ。あんたの目の前でやっちまったしな」
「だろうね、何度も「未熟者で」って言ってたし」
あの手のトラブルは滅多に無い、と会長さんは可笑しそうに。
「気を抜かない限り、まず無いしね。そろそろ終わりだ、もう終わりだ…って気が緩んできて、そこに慣れてるがゆえの油断かな? 文字通り流れ作業になってました、と言わんばかりの恥ずかしいミス! お塔婆を心をこめて扱っていたら絶対に無いよ、空を舞うなんて」
「ホントにヒラッと飛んじゃったもんね…」
アレって飛ぶんだ、とジョミー君がしみじみと。
「薄い木の板でうんと軽いし、大きな卒塔婆とは全然違うなぁ…って、いつも書きながら思ってたけど…。まさか飛ぶとは思わなかったよ」
「飛ぶ時は飛ぶさ、それだけに目立つ。…お蔭でお酒は美味しかったなぁ、口止め料だろ?」
アドス和尚の秘蔵の大吟醸、と会長さんは御機嫌です。法要の後の食事の席で御馳走になったお酒が絶品だったらしく、「そるじゃぁ・ぶるぅ」も。
「かみお~ん♪ あれって最高! ちょびっと舐めただけだけど!」
美味しかったぁ、と笑顔全開。
「飛んでっただけで美味しいお酒が出てくるって魔法みたいだね♪」
「「「………」」」
口止め料と魔法は違うだろう、と思いましたが、言われてみれば空飛ぶ卒塔婆の魔法かも。食事も一品増えたそうですし、そんな魔法なら嬉しいかもです。また飛ばないかな、小型の卒塔婆…。
「こら、お前ら! 期待するな!」
飛ばした方は大恥なんだぞ、とキース君が叫んだ時。
「…いいかもねえ…」
空飛ぶ卒塔婆か、と会長さん。もしかして次から飛ばすつもりですか、アドス和尚のミスじゃなくって反則技のサイオンで…?



とんでもない台詞を口にした会長さんにキース君は真っ青、私たちも絶句。空飛ぶ卒塔婆は私たちには美味しい結果をもたらしましたが、アドス和尚には大恥ですし、卒塔婆を飛ばされた檀家さんだっていい気分ではないでしょう。偶然ならともかく、わざとやるのは…。
「お、おい…! あんた、本気か? それなら二度とお断りだぞ!」
もう来るな、とキース君が怒鳴りつけると、会長さんは「えっ?」と首を傾げて。
「誰が元老寺でやるって言った?」
「他所でやる気か!? ま、まさか璃慕恩院とかじゃないだろうな!」
飛ばされたくなければ御馳走しろと脅迫するのか、と焦りまくりのキース君。その線は大いにありそうです。サイオンとは言わず法力でしょうが、法要を台無しにされたくなければ御馳走を、と老師あたりに言いに行くとか…。
「…人聞きの悪い…。ぼくはこれでも高僧だよ? 卒塔婆を飛ばしてどうするのさ」
「しかしだな! さっき自分で言っただろうが、いいかもねえ、と!」
「言ったけど?」
「だったら、やっぱり…!」
やる気じゃないか、とキース君が噛み付きましたが、会長さんは平然と。
「空飛ぶ卒塔婆と言っただけだよ、飛ばすとは誰も言ってない。このシーズンで思い出さないかな、空飛ぶ卒塔婆と似たようなモノを」
「「「………???」」」
なんですか、それは? 私たちは顔を見合わせたものの、心当たりはありません。空飛ぶ卒塔婆は全員目撃しましたけれども、似たようなモノって……あの形とか?
「あれに似たヤツってありましたっけ?」
知りませんよ、とシロエ君が言い、サム君も。
「形だと心当たりがねえなあ…。材質だったら駅弁とかのよ、底板が似てるかもしれねえけどよ」
「お饅頭の裏に張り付いてる板も似てるわよね?」
ペラッとした板、とスウェナちゃん。駅弁の底板にお饅頭の板とくれば、食欲の秋? このシーズンですし、そういう方向? でも…。
「食欲の秋と空飛ぶ卒塔婆って繋がるわけ?」
ジョミー君の疑問を待つまでもなく、違うような気はしています。けれど他には何ひとつ…。
「そうかなぁ? 秋だよ、でもって空飛ぶ卒塔婆!」
もう少し頭を使いたまえ、と会長さん。
「秋のイベントには何がある? もう少し涼しくなってきたらさ、収穫祭とか色々と…ね」
「「「あっ!」」」
ピンといきなり閃いたモノ。私たちは期せずして声を揃えて叫んでいました。
「「「分かった、ぶるぅの空飛ぶ絨毯!」」」



空飛ぶ卒塔婆ならぬ空飛ぶ絨毯。それは学園祭で大人気となっている「そるじゃぁ・ぶるぅ」のお部屋で行う催しです。サイオニック・ドリームで「居ながらにして世界のあちこちに飛べる」仮想体験が売りで、ぼったくり価格をつけても来客は途切れることがなく…。
「ふふ、思い出した? いいかもねえ、と言っていたのは絨毯の方さ」
ぶるぅの空飛ぶ絨毯だよね、と人差し指を立てる会長さん。
「空飛ぶ卒塔婆と魔法って言葉で閃いたんだよ、本当にやってみたいと思わないかい? ぶるぅの空飛ぶ絨毯を!」
「…やってるだろうが」
既に毎年、とキース君。私たちも首をコクコクと。
「そうじゃなくって! ホントに本物の空飛ぶ絨毯!」
「「「は?」」」
「だから飛ぶんだよ、絨毯で! サイオンを使ってアルテメシア一周遊覧飛行とか!」
「「「えぇっ?!」」」
その発想は無かったです。会長さんなら楽勝でしょうが、絨毯で空を飛ぶなんて!
「ぼくも今まで思い付かなかった。…と言うより、飛ぶという発想が無かったかな? 普段は瞬間移動してるし、わざわざ空を飛ぼうとまでは…。姿もシールドしなきゃ駄目だし」
目撃されるとマズイからね、と会長さん。
「でもさ、ぼくやぶるぅが単独で飛ぼうとするからつまらないんで、みんなで楽しく飛ぶならね? シールドしててもお釣りが来るしさ、空飛ぶ絨毯の上でティータイムとかお弁当とか!」
絨毯に乗って空の旅。お弁当とかティータイムつきって、いいかもです。みんなも夢が膨らんだようで、誰からともなく。
「それ、いい!」
「やろうぜ、本物の空飛ぶ絨毯!」
飛ばなきゃ損だ、とワイワイと声が広がって…。
「ぼくもやりたい!」
一際大きな賛同の声が背後から。
「「「??!」」」
振り返った先でフワリと翻る紫のマント。別の世界から来た会長さんのそっくりさんがパチパチと拍手しながら近付いて来ます。
「本物の空飛ぶ絨毯だって? ぼくも協力させて貰うから、そのイベントに混ぜて欲しいな」
アルテメシア一周、遊覧飛行! とパチンとウインクするソルジャー。これは歓迎すべきなのでしょうか、サイオンの使い手が増えますしねえ?



割り込んで来たソルジャーは空いていたソファに腰掛け、「そるじゃぁ・ぶるぅ」が切り分けたカボチャプリンのタルトにフォークを入れながら。
「絨毯で空を飛ぶって発想はぼくにも無かった。ぶるぅとぼくしか飛べないからねえ、必要な時だけ飛ぶって感じ? ハーレイを連れて飛んでみたことはあるけど、ぼくが抱えて飛んだだけだし…。何かに乗っかって飛ぶなんてこと、まるで思いもつかなかったよ」
絨毯ならハーレイも楽しめそうだ、と話すソルジャー。
「ぼくが抱えて飛んだ時はねえ、楽しむ余裕は無かったらしい。楽しかったです、とは言っていたけど「またお願いします」じゃなかったし…。多分、あまりのスピードと高さに驚いてる間に体験終了しちゃったんだろうね」
その点、絨毯は大丈夫そう、とソルジャーは大きく頷いています。
「身体の下がすぐ空っていうわけじゃないから、落ちるかもとか考えなくって済むからねえ? ハーレイも是非、一緒に乗せてあげたいんだけど…。駄目かな、ぼくとハーレイの参加?」
「…駄目と言っても来るつもりだろう?」
会長さんの問いに、ソルジャーの答えはもちろん「うん」で。
「聞いた以上は参加しなくちゃ! その代わり、サイオンは絶対ケチらない。ぶるぅは悪戯すると困るから置いてくる。それだけ約束すればいいだろ?」
「ぶるぅがいないのは有難いね。何をしでかすか分からないし…。そしてサイオンの協力は大いに歓迎だ。ぼくとぶるぅでも楽勝だけども、もっと楽に空を飛べそうだから」
「そうだろう? ぼくは君よりも遙かに場数を踏んでいるから、熟睡してても絨毯くらいは支えられるよ。乗ってる面子が知れているしね」
その気になればシャングリラだって一人で浮かせられるのだ、とソルジャーは自信満々です。
「で、どの絨毯を飛ばすわけ? これ?」
指差した先は床の絨毯。毛足が長いフカフカの絨毯はテーブルやソファを乗っけてなお余りある余裕のサイズ。空の旅にはもってこいです。
「これでもいいけど…」
どうだろう? と眺める会長さんにソルジャーが。
「それとも君の家にあるヤツ? リビングもダイニングも大きいヤツを敷いているよね」
「そうなんだけど…。どうせだったら新品のヤツで飛びたいかなぁ、せっかく魔法の絨毯を飛ばすんだから」
うんとそれっぽい模様のとか…、と考え込んでいた会長さんがポンと手を打って。
「よし、ハーレイに買わせよう! 君のハーレイが来るんだったら、こっちのハーレイもついでってヤツだ。遊覧飛行に来てもいいよ、と言えば喜んで出してくれるさ、絨毯代!」
でもってリッチに空の旅! と会長さんはブチ上げました。なんと絨毯を買う所から始まりますか、とってもゴージャス企画かも~!



話はトントン拍子に決まって、空飛ぶ絨毯は来週の土曜日に開催の運び。お天気も会長さんがフィシスさんに占って貰ってバッチリです。肝心要の絨毯の方は…。
「なんだと、空飛ぶ絨毯を買う?」
なんだそれは、と怪訝そうな顔の教頭先生。「そるじゃぁ・ぶるぅ」のお部屋で話を纏めた私たちは会長さんの家に移って夕食を食べ、それから瞬間移動で教頭先生の家のリビングへ。
「だから絨毯だよ、空を飛ぶための!」
分からないかなぁ、と会長さんが人差し指をチッチッと。
「君もけっこう頭が固いね、ぼくたちが毎年やっているのに…。ぶるぅの空飛ぶ絨毯があるだろ、あれを実現しようってわけ! 本当に本物の空飛ぶ絨毯!」
「ぼくとブルーと、こっちのぶるぅのサイオンを使って飛ぶんだよ」
アルテメシア一周遊覧飛行! とソルジャーも。
「ぼくのハーレイも乗せて貰うことになっているんだ。君も一緒にどうかと思って」
「そ、それは…。それは、是非とも!」
お願いします、と頭を下げる教頭先生に会長さんが。
「じゃあ、決定! でもって飛ぶには絨毯が…ね。ぶるぅの部屋とかウチにあるヤツで飛んでもいいけど、新品の絨毯で飛びたいなぁ…って思うわけ。でも絨毯って高いしねえ…。スポンサーがいたら最高のヤツが買えるんだけど」
「なるほど、それで絨毯を買うと言ったのか。私で良ければ…」
「本当かい? ありがとう、ハーレイ! これで素敵な絨毯が買えるよ」
それっぽく見える模様の絨毯、と会長さんは教頭先生の手をギュッと握って。
「土曜日にショールームを見に行くんだ。…うんと高いのを買ってもいいよね?」
「お前が喜んでくれるなら、私は文句は一切言わんぞ。おまけに乗せて貰えるそうだしな、その空を飛ぶ絨毯とやらに」
「スポンサーを乗せないとは言わないさ。じゃあ、絨毯の代金をよろしく」
「私こそ、空飛ぶ絨毯をよろしく頼む」
お前と一緒に空の旅だな、と教頭先生の顔が輝いています。会長さんだけでなく私たちやソルジャー夫妻も乗るんですけど、そこは構わないらしくって。
「来週の土曜日は予定を入れずに待っていよう。…ふむ、お前とアルテメシア一周遊覧飛行か…」
悪くないな、とウットリ呟く教頭先生。気分は二人っきりでの遊覧飛行なのでしょう。
「それじゃハーレイ、来週の土曜に!」
「うむ、楽しみにしているぞ」
いい絨毯が買えるといいな、と笑みを浮かべる教頭先生に会長さんが軽く手を振り、私たちは瞬間移動でサヨウナラ。うん、今度の週末は絨毯を買いにショールームですね!



そして週末、絨毯を買う日。朝から会長さんのマンションに出掛けてゆくと、もうソルジャーが来ていました。私服でキメてお出掛けの準備バッチリです。
「かみお~ん♪ 絨毯屋さんに予約してあるよ!」
開店時間よりも早くに開けてくれるって、と「そるじゃぁ・ぶるぅ」。確実にお買い上げと決まっているのですから、そういうサービスもアリでしょう。タクシーに分乗して行っても良かったのですが、ここは速さを優先で。反則技の瞬間移動で絨毯屋さんのショールーム前にみんなでパッと。
「ごめんくださぁーい! 絨毯、ちょうだい!」
元気いっぱいの「そるじゃぁ・ぶるぅ」がピョンピョン飛び跳ねて一番に入り、私たちも続いてゾロゾロと。会長さんが予め連絡していたらしく、広いショールームには大きいサイズの絨毯が何枚も並べられています。
「いらっしゃいませ。お求めのサイズでしたら、このようなものからございますが」
如何でしょう? と示された絨毯を、会長さんは即座に却下。
「ダメダメ、これじゃ話にならない。上等のヤツをと言った筈だよ」
「た、大変失礼いたしました! これも良い品ではございますので…」
ではあちらを、と慌てて別の絨毯を並べた一角へ向かう店長さん。今の絨毯も大概な値段だったと思うのですけど、あれじゃダメですか、そうですか…。
「こちら、最高級のお品になります。絨毯と言えばもう、この地方の品が最高で」
「そうだねえ…。もうひとつピンとこないかな? 模様はもっと凝ったヤツがいい」
これはイマイチ、と再び却下。お値段はさっきのよりもグンと跳ね上がっているのですけど…。
「では、こちらなど…。自信を持ってお勧めさせて頂きます」
「うーん…。繊細さに少し欠ける気がする…。イメージとしてはね、空を飛んでも不思議じゃないような絨毯なんだよ。これだとリビングに敷くって感じ」
また却下ですか! どうなるのだ、と私たちは思念でヒソヒソと。絨毯の値段はもはや国産高級車並みの価格帯に突入しています。なのに…。
「それでしたら、このようなお品がございますが…。織り上げるまでに十年かかったと聞いております。ただ、あまりにもお高すぎるため、先代が仕入れたものの売れず終いで」
新品には違いないですが、と出て来た絨毯は今までの品とは段違い。素人目にも凄いと分かる模様の細かさ、手触りの良さ。会長さんはニッコリ笑って、満足そうに。
「いいねえ、まさにイメージぴったり! 頂くよ、これ」
「ありがとうございます!
本日中にお届けを、と店長さんがペコペコとお辞儀。気になるお値段の方は世界最高峰の高級車が買えそうな代物ですけど、教頭先生も乗るんですから、まあいいか…。



文字通り目の玉が飛び出しそうな値段の空飛ぶ絨毯のお代金。教頭先生は請求書を見て気絶しかけたと聞いていますが、そこは腐ってもシャングリラ号のキャプテンです。会長さんとの結婚を夢見て貯め続けているお給料の口座からサラッと支払い、ウキウキと。
「ブルー、約束の日は今日だったな?」
私も乗せて貰えるのだな、と会長さんの家へ御登場。私たちは既に集合済みで、ソルジャー夫妻も来ています。
「こんにちは、ハーレイ。君のお蔭で素敵な絨毯が手に入ったよ」
最高の気分で飛べそうだ、と艶やかに微笑む会長さん。
「かみお~ん♪ ホントに魔法の絨毯みたいな模様なの! 飛ぶのが楽しみ~!」
お弁当とかも乗せて飛ぶんだよ、と「そるじゃぁ・ぶるぅ」もワクワクで。
「えっと、えっとね、屋上に用意してあるの! そこから飛ぶの!」
「というわけでね、みんなで屋上まで行こうってね。ハーレイ、君は荷物をよろしく」
お弁当だから気をつけて、と大荷物を背負わされる教頭先生。どうせ嫌がらせに決まっています。ティーセットとかを瞬間移動で運んでいるのを見たんですから、お弁当だって…ねえ?
『当たり前だろ、バカはこき使ってやらなくちゃ!』
会長さんの思念に「やっぱりか…」と誰もが心の底で納得、けれど顔には全く出さず。
「アルテメシア遊覧飛行かよ! すげえんだろうなぁ…」
「だよね、おまけにお弁当もつくし!」
楽しみだよね、と屋上に上がれば例の絨毯がスタンバイ。ティーセットにお菓子、お弁当などを上に乗っけて私たちが座っても余裕の広さで。
「それじゃ出発しようか、ブルー?」
会長さんがソルジャーに声を掛け、ソルジャーが指をパチンと鳴らして。
「準備オッケー! 行こう」
「かみお~ん♪ しゅっぱぁ~つ!」
パァァッと青いサイオンが溢れたと思った次の瞬間、絨毯はフワリと舞い上がりました。空飛ぶ卒塔婆が飛んだ距離よりも高く持ち上がり、滑るようにスウッと屋上のフェンスを飛び越えて…。
「「「スゴイ…」」」
ホントに飛んでる、と私たちの目はまん丸です。会長さんのマンションが見る間に遠くなり、グングン上昇してゆく絨毯。なのに揺れもせず、風も全く吹き付けて来ず、ようやく秋らしくなってきた青空を目指してスイスイと…。
「もっと昇るよ、アルテメシア一周遊覧飛行!」
まずは市内を一望だ、と会長さんが楽しげに。あっ、学校が見えますよ! 向こうの山の方に見えているお寺が元老寺ですね、その奥の山に見えている建物が璃慕恩院かぁ…。



アルテメシアが写真一枚に収まりそうな高さまで昇ってティータイム。絨毯は市街地のド真ん中の遙か上に静止していますが、何処からも見えないらしいです。
「そこはシールドでバッチリと…ね。ついでに鳥とかもぶつからないから! 風も全然無いだろう? 本当はこの高さだと凄いよ、風が」
だけど魔法の絨毯だから、とティーカップを傾ける会長さん。ソルジャーも栗のミルフィーユを食べながら周囲を見回して。
「そうだね、これも一種の魔法だねえ…。シールドを解いたらティーセットくらいは一瞬で吹っ飛んじゃうかもね?」
うひゃあ、そこまで風が強いんですか! それを感じさせないって凄いです。絨毯一枚で浮いているのに、安定感だってドッシリと…。
「それはもう! ぼくとブルーとぶるぅにかかれば楽勝!」
ほんの少ししかサイオンを使っていないんだ、と片目を瞑ってみせるソルジャー。
「なんなら証拠を見せようか? ハーレイ、ちょっと」
ソルジャーは隣に座ったキャプテンの首に両腕を回して…。
「ん~…」
「「「!!!」」」
思いっ切りのディープキスを目の前でかまされ、私たちの目が点に。けれど相手はバカップル。たちまち二人の世界に入ってしまって、放っておいたら大変なことになりそうで…。
「ちょ、ちょっと! ブルー!」
やめたまえ、と会長さんが止めにかかりました。
「キスしていたってサイオンのバランスが崩れないことは分かったから! その辺で!」
「………そうかい?」
せっかくいい気分だったのに、とキャプテンから離れたソルジャーがブツブツ。
「ここまで視界が開けた所でキス出来るチャンスはそうは無いしね? シャングリラの船体の上でキスしたことはあるんだけどさ、あの時は周りが雲海だったし…。ねえ、ハーレイ?」
「そうですね…。私たちの船は常に雲海の中ですから」
どっちを見ても真っ白です、と応じるキャプテン。
「あなたの力で空を飛んだ時はキスどころでは無かったですし…。貴重な体験をさせて頂きました、ありがとうございます」
魔法の絨毯に感謝です、と笑顔のキャプテン。その絨毯を買った教頭先生はと言えば、ソルジャーとキャプテンのキスシーンを自分と会長さんに頭の中で変換したらしく、これまた涎の垂れそうな顔。バカップルつきの空の旅でも幸せ気分でいらっしゃるとは天晴れな…。



ティータイムが終わると遊覧飛行。高度を下げてアルテメシア全体をグルリと見て回り、お次は名所旧跡を空から見物。璃慕恩院やら恵須出井寺やら、アルテメシア大神宮やらと盛りだくさんに観光気分で、お弁当も開けて頬張って…。
「凄いや、飛行機じゃこれは無理だし!」
窓からだけしか見えないもんね、とジョミー君が言えばキース君が。
「床の下が見られるヘリコプターもあるとは聞くが…。それでもヘリの中だしな」
「絨毯一枚で空を飛ぶのには敵いませんよね」
絶景です、とマツカ君。私たちは空飛ぶ絨毯がすっかり気に入り、男の子たちはシールドがあるのをいいことにして身体を乗り出す度胸試しを始めたり。
「キース、もうちょっと行けるんじゃないの?」
「馬鹿野郎、これが限界だ! ここで落ちたら…」
ジョミー君とキース君の言い争いに、サム君がプッと吹き出して。
「御本尊様の前に真っ逆さまってか、本堂の屋根、突き破って?」
「ああ、そうだ! そして親父に怒鳴られるんだ!」
「…それ以前に死ぬかも、とかは全然思ってないわけね…」
この高さなのに、とスウェナちゃん。元老寺が手に取るように見えてますけど、今、絨毯が浮かんでいる高さは高層ビルだのタワーだのの比ではない筈。普通は落ちたら死にますよ?
「落ちてもシールドの中で止まるとブルーが言ったぞ」
キース君が返せば、シロエ君も。
「そうです、仮に止まらなくっても会長とぶるぅがついてますしね? 本堂の屋根を突き破る方はやりそうですけど、先輩は無傷ですってば!」
でもって罰礼一万回です、という素晴らしすぎる台詞に誰もが爆笑。罰礼一万回って何時間くらいで終わるんでしょうねえ、下手すれば一日潰れそうです。
「まあ、一日って所だろうな…。途中で討ち死にしなければな」
だが御免だ、とキース君。そう言いつつも男の子たちの度胸試しは終わるわけでなく、元老寺の上空で競った後もジョミー君の家の上でやり、シャングリラ学園の上でやり…。
「行け行け、もっと行けー!」
「やだよ、グラウンドにいるの、絶対ゼル先生だと思うし!」
落ちたら別の意味で死ぬ、とジョミー君。そりゃあ、長老の中でも怖い部類のゼル先生。ジョミー君が空から落っこちて来たら、こってり絞られることでしょう。空を飛んでいた件はともかく、一般生徒もいるような場所に何故落ちて来た、と。
「飛んでた方はさ、ぶるぅの不思議パワーで済んでもさ…。落ちたってことはドジ踏んだのがぼくってことがバレバレだしね?」
もう絶対に殺される、というジョミー君の意見に私たちは全面的に賛成でした。命の危険は伴わないのに、別の意味で命が危ういという空飛ぶ絨毯。度胸試しも楽しいでしょうね!



「…なるほど、落ちるのもスリリングかもね?」
会長さんの言葉に男の子たちがバッと絨毯の真ん中に移動。突き落とされる、と危険を感じたみたいです。しかし…。
「違う、違う! 君たちを落とすつもりは無いよ。ただ、昔話を思い出してね」
「「「昔話?」」」
「そう! 飛行の術を心得ていた仙人がさ、飛んでいる途中に見かけた女性に欲情しちゃって落っこちた話、知らないかい?」
「「「あー…」」」
そういえば聞いたことがあるかも、と思った所でソルジャーが。
「へえ…。そんな話があったんだ? もしかしてぼくを落っことすつもり? 魔法の絨毯の運航に協力してるのに?」
「君じゃない。ぼくが言うのはこっちのハーレイ!」
さっきからニヤニヤデレデレと、と会長さんは教頭先生をビシィと指差し。
「ブルーとハーレイが空中デートをしてるからって、ぼくに欲情されてもねえ…。第一、ブルーとハーレイはまだキス止まりで、その先には行っていないんだけど?」
「い、いや…! 私はだな、ただ、空飛ぶベッドもいいものだな、と…!」
「「「空飛ぶベッド?!」
私たちの声が引っくり返って、会長さんが。
「…ハーレイ、語るに落ちてるねえ? 何が空飛ぶベッドだって?」
「そ、そ、それは…!」
「退場!!!」
普段はソルジャー相手にしか響かない台詞が教頭先生に向かって炸裂。そして…。
「うわぁぁぁぁぁぁーーーっ!!!」
死ぬーーーっ! という声を残して教頭先生は真っ逆さまに下へと落ちてゆかれました。あのぅ、この下って何処ですか? えぇっ?!
「「「…ろ、露天風呂…」」」
「何か? スーパー銭湯の自慢の女湯!」
この後はもはや通報あるのみ、と高笑いしている会長さん。水飛沫ならぬお湯飛沫を上げて落下なさった教頭先生、塀に登って覗きをしていた痴漢扱いだそうでして…。



「やるねえ、君も…。魔法の絨毯のスポンサーなのに」
ソルジャーが首を振り振り、会長さんの仕打ちを嘆いています。
「余計な妄想をしてるからだよ、ぼくと二人で空飛ぶベッドで空中散歩だの何だのと!」
何処をどうやったらそうなるのだ、と会長さんは文句たらたら。
「飛んでいるのは絨毯なんだよ、間違ったってベッドじゃないし!」
「まあ、ベッドではないだろうねえ…」
寝心地の方は良さそうだけど、と絨毯の表面を撫でるソルジャー。
「約一名、犠牲者が出たみたいだから、妄想だけで終わらせてあげちゃ悪いかな? ハーレイとヤるのも悪くないねえ、空の上でさ」
「「「えっ?」」」
「どうせシャングリラは普段から空に浮かんでるんだし、絨毯の上でも似たようなモノ! どうだい、ハーレイ、ここで一発!」
グイと腕を掴んで引かれたキャプテン、アタフタと。
「む、無理です、ブルー! ま、真昼間ですし、第一、人がこんなに大勢…!」
「人はシールドしておけば見えないといつも言ってるだろう? ああ、昼間だから駄目なのか…。だったら夜まで飛び続けてさ、夜景を見ながらヤることにしよう。ロマンティックな夜景が見えるホテルも気に入っていたと思ったけど?」
「そ、それはホテルの窓越しだからで、絨毯一枚で空の上では…!」
とても無理です、と絶叫するキャプテンと、やる気満々のソルジャーと。でもその前に、この絨毯が飛び続けていないと夜景は無理なんじゃないですか?
「そっちかい? ぼく一人の力では飛べないとでも? じゃあさ、夕方になったら君たちを下ろして、後はハーレイと二人で夜間飛行!」
「ちょっと待った! そういう目的で絨毯を買ったわけじゃないから!」
強奪するな、と会長さんが喚けば、ソルジャーが。
「ぼくが買い取ればいいんだろう! ノルディに頼めば買ってくれるさ、このくらい!」
「空飛ぶ絨毯は登録商標になってるから! ぶるぅの空飛ぶ絨毯で!」
「「「………」」」
本当か? と言いたい気持ちの私たち。空飛ぶ絨毯、登録商標でしたっけ? なにやら派手に揉めてますけど、夕方までに無事に帰れます? 通報されて痴漢扱いの教頭先生と、空に浮かんでいる私たちと。どっちが先に家に帰れるのか、傷が浅いのか、誰か教えて下さいです~!




          空を飛ぶ絨毯・了

※いつもシャングリラ学園を御贔屓下さってありがとうございます。
 卒塔婆が空を飛ぶ事故は本当にあります、見てみたい方はお寺の法要へどうぞ。
 絨毯の値段が半端ないのも本当、「マジですか?」っていう世界です。
 そしてシャングリラ学園、4月2日で連載開始から8周年です、8年です。
 あの頃の自分に「8年後のアンタはサイト持ってますよ」と言っても信じないかと…。
 それに「フル稼働している唯一のサイトですよ、アニテラでは」と言ってもね!
 というわけで、4月は感謝の気持ちで月2更新でございます。
 次回は 「第1月曜」 4月4日の更新となります、よろしくです~!

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 こちらでの場外編、3月は、ソルジャーの希望でスッポンタケのお彼岸の法要。
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