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シャングリラ学園シリーズのアーカイブです。 ハレブル別館も併設しております。

死守する頭髪

※シャングリラ学園シリーズには本編があり、番外編はその続編です。
 バックナンバーはこちらの 「本編」 「番外編」 から御覧になれます。

 シャングリラ学園番外編は 「毎月第3月曜更新」 です。
 第1月曜に「おまけ更新」をして2回更新の時は、前月に予告いたします。
 お話の後の御挨拶などをチェックなさって下さいませv





駆け足でやって来た今年の冬。十一月の末には初雪が積もるという有様で、始まったばかりの十二月なんかはどれくらい寒くなるんだか…。元老寺での除夜の鐘の寒さが思いやられる、と誰もがブツブツ。除夜の鐘自体は楽しいのですが、待ち時間が酷く寒いのです。
「あれってなんとかならないんですか?」
シロエ君がキース君に質問を。今日は土曜日、此処は会長さんの家のリビング。あれとはもちろん除夜の鐘で。
「待ってる間が寒いんですよ、今年なんか凍りそうな気がします」
「ぜんざいを用意してあるだろうが。あれで温まって帰って頂ければ問題無い」
「でもですね! おぜんざいは鐘を撞かないと貰えないわけで!」
「当然だろうが」
撞いて下さった方へのお接待だ、とキース君。
「撞きもしないでぜんざいだけというのは有り得ん。それにだ、並ぶのは自己責任だぞ」
除夜の鐘を撞きたいからこそ並ぶんだろうが、と正論が。
「煩悩を流して新しい年を、と真剣にお参りなさる方から、お祭り気分の若い連中までと動機は色々あるんだろうがな…。自分が撞きたくて並んでいるんだ、文句を言うな!」
並ぶ間も修行の内だ、と何やら抹香臭い理屈も。
「寒さに耐えつつキッチリ並んで古い年を締め括るんだぞ、修行だと思って頑張ることだな。そして煩悩を綺麗に洗い流して貰え」
「「「えー…」」」
整理券を出してくれとか、待ち時間も暖かいテントに入れる客人待遇でよろしく頼むとか、そういう方向に行きたかったのに、どうやら今年もダメみたい。不平不満は垂れ流すだけ無駄という気がしてきました。すると…。
「そうそう、洗い流すと言えばさ」
会長さんが横から割り込んで来て。
「今のでパッと閃いたんだよ、納めの悪戯」
「「「納めの悪戯?」」」
なんだそれは、と意味不明。悪戯とくればソルジャーの世界の「ぶるぅ」が悪戯大王ですけど、それを召喚するのでしょうか?



「…ぶるぅは正直、困るんだが…」
キース君が眉を寄せながら。
「あんなのを除夜の鐘に連れて来られたら真面目に困る。元老寺始まって以来の危機になるかもしれんし、いくらあんたでも許可しかねるぞ」
コッソリ連れて来るのも無しだ、と怖い顔。
「其処のぶるぅとそっくりだから、と入れ替えなんぞは御免だからな。あいつだったら鐘を一人でガンガン撞くとか、そのくらい平気でやりそうなんだ!」
「え? でも、元老寺って鐘撞き回数、無制限じゃあ…」
そうだったでしょ、とジョミー君。
「午前一時まで撞き放題が売りで人気だと思ったけどな」
「それはそうだが、それを一人で時間いっぱい撞きそうだろうが!」
「ありそうですね」
シロエ君が「うんうん」と。
「しかも真っ当な鐘だかどうだか…。気付けば三三七拍子とか」
「「「うわー…」」」
鐘で三三七拍子。ゴンゴンゴン、ゴンゴンゴンと撞くのでしょうか。確かに「ぶるぅ」ならやりかねませんし、呼ぶのは止めた方が良さそうです。納めの悪戯は他所でやってくれ、という感じ。出来れば私たちに火の粉がかからない場所で…。
「だよなあ、巻き込まれたくはねえしよ」
「煩悩を流すどころか、酷い目に遭いながら年越ししそうよ」
サム君とスウェナちゃんがブルブルと震え、マツカ君も。
「…納めの悪戯、どうしてもって言うんでしたら場所くらい用意しますから…」
ぶるぅはそっちへやって下さい、とペコリと頭を。
「必要だったら食事もつけます。豪華版で」
「それはとっても魅力的だけど…」
豪華版の食事も捨て難いけど、と会長さん。
「残念ながらぶるぅじゃないんだな、これが」
「「「はあ?」」」
納めの悪戯、「ぶるぅ」じゃないなら誰が何処で何をやらかすと…?



「悪戯とくれば、ぶるぅになるのは無理も無いけどね」
でもぼくだって大好きなんだ、と会長さんは紅茶をコクリと。午前中から集まってのティータイム、来る道中が寒かった愚痴から除夜の鐘が話題になっていたわけですけど。
「納めの悪戯はぼくがやるんだけど、何か意見は?」
「あんたがか!?」
キース君が叫べば、会長さんは「うん」と素直に。
「そしてアイデアは君の煩悩発言から! 洗い流して貰えと言ったろ、あれを使いたい」
「あんたがやらかしてどうする、あんたが!」
銀青様だろうが、とキース君は立ち上がらんばかりの勢いで。
「今年も除夜の鐘を頼もうと思っていたんだが…。そういう動機なら俺は断る! たとえ親父と喧嘩になろうが、大晦日にあんたに元老寺の敷居は跨がせん!」
「除夜の鐘とは言っていないよ、洗い流すとしか」
「煩悩を流すなら除夜の鐘だろうが!」
「ぼくは煩悩とも言わなかったけど?」
洗い流すのは別のモノだ、と会長さん。
「まあ、ある意味、煩悩の塊だとは言えるけれどさ…。ぼくとの結婚を夢見るハーレイの頭を綺麗サッパリ洗い流そうかと」
「「「えぇっ!?」」」
まさか記憶を綺麗サッパリ? いくらなんでも無茶苦茶では、と私たちは止めに入りました。
「それは酷いぜ、いくら教頭先生でもよ」
「そうです、あまりにお気の毒です! 実害があるわけじゃないですから!」
「たまにある気もするけどね…」
でも酷すぎる、と口々に。
「記憶消去は外道すぎるぞ、俺たちの世界でやるべきじゃない!」
あいつの世界だったらともかく、とキース君。此処で言う「あいつ」とはソルジャーのことで、SD体制とやらのせいで十四歳よりも前の記憶が消されてしまって無いと聞きます。しかし…。
「記憶だったらよく消してるだろ、都合が悪いのをチョイチョイとさ」
会長さんも負けてはおらず、そういう事例もあることは事実。
「でもさ、あれはさ、悪戯レベルの軽いヤツでさ!」
根本的な記憶は弄っていない筈だ、とジョミー君が言い、私たちも懸命に反論しました。教頭先生の煩悩とやらが如何に酷くても、それを消すのは如何なものか、と。会長さん一筋に片想い歴が三百年以上、あれは教頭先生の個性の一部で、立派に人格というヤツなのでは…。



あまりに酷すぎる会長さんの納めの悪戯とやら。悪戯の域をとっくに飛び出し、人権侵害と言いはしないかと止めまくっていたら、部屋の空間がユラリと揺れて。
「こんにちは。なんだか派手にやってるねえ…」
フワリと翻る紫のマント。噂をすれば影ですけれども、強い味方になりそうな感じもするソルジャー。記憶消去の長所も短所も、ソルジャーならばプロフェッショナル。
「あんた、来たのか! なら、丁度いい!」
こいつを止めろ、とキース君が会長さんをビシィッ! と指差し。
「教頭先生の記憶を綺麗サッパリ消すと言うんだ、こいつとの結婚に関する夢とか!」
「ああ、なるほど…。それは相当、物騒かもねえ…」
ぼくもお勧めしないけどな、とソルジャーは私たちの味方に回ってくれました。
「キースたちの意見が正しいね。君が洗い流したい煩悩とやらは、こっちのハーレイの根幹を成していると言ってもいい。無くても別に困りはしないよ? 記憶はそういうものではあるけど、消してしまえば影響も出る。…ハーレイの場合は人格が変わってしまうかもねえ…」
消した結果がどうなるのかは自分も正確に予測出来ない、とソルジャーは真顔。
「下手をすると人格が崩壊してしまうことだってある。そうなったらハーレイは病院行きだよ。幼児退行で済めばいいけど、もっと恐ろしい結果になるかも…」
やめておきたまえ、と止めるソルジャー。
「洗い流したい気持ちは分かる。…ぼくとしては理解不可能だけども、君はハーレイの愛が迷惑みたいだし…。でもね、だからと言って人格崩壊のリスクがあるような記憶操作は」
「記憶とは言ってないんだけれど?」
会長さんがフンと鼻を鳴らして。
「ぼくが洗い流したいのはハーレイの頭で、記憶じゃない」
「それを記憶と言うんだよ!」
ハーレイの頭、とソルジャーが指摘しましたが、会長さんは。
「違うね、頭と言ったら頭! しかも洗い流すのはハーレイ自身で、除夜の鐘で流す煩悩みたいに自分の頭を綺麗サッパリ!」
「「「……???」」」
会長さんが何を言っているのか、誰にも分かりませんでした。ソルジャーですらも頭上に『?』マークが見えます。ソルジャーの場合は心を読むという手もあるんですけど、その方法も思い付かないほど謎に飲まれているようですねえ?



「…綺麗サッパリって…何さ?」
何を流すのさ、とソルジャーがようやく口を開きました。教頭先生の記憶とは関係無いと分かって余裕が出て来た部分もあるのか、赤い瞳がテーブルの上を抜け目なくチェック。
「そうだ、聞く前に、ぼくの分のおやつ!」
「かみお~ん♪ 今日のはリンゴのクリームチーズタルトだよ! それと紅茶でいい?」
「うん、お願い!」
「オッケー! すぐ持って来るねー!」
キッチンへと走って行った「そるじゃぁ・ぶるぅ」が間もなく戻って、ソルジャーはタルトにフォークを入れながら話題を再開。
「それで、君はハーレイの何を流すんだって? 記憶以外で頭って、何さ?」
「分からないかなあ?」
頭だけれど、と自分の頭を示してみせる会長さん。
「頭で洗い流すと言ったら、一つしか無いと思うけど?」
「「「…頭?」」」
何なのだろう、と会長さんの頭を眺めたものの、其処には銀色の髪の毛くらい。ソルジャーだったら今は私服じゃないので補聴器とやらをつけてますけど、会長さんの頭には何も無くて。
「すまんが、俺には見当がつかん」
キース君が白旗を上げて、ソルジャーも。
「ぼくも記憶しか思い付かない。…何があるわけ?」
次々に上がるギブアップの声。それに応えて、会長さんは。
「ズバリ、髪の毛!」
「「「髪の毛?」」」
髪の毛を洗い流すと言うのであれば、それはシャンプーのことでしょうか? 綺麗に洗って気分サッパリ、どの辺が納めの悪戯になると…?
「おいおい、洗ってサッパリは普通だろうが」
キース君が突っ込み、シロエ君も。
「教頭先生、普段から綺麗好きでらっしゃいますよ? 部活の後は必ずシャワーで、合宿中でも朝風呂を欠かしてらっしゃいませんが」
「……普通ならね」
普通なら洗って気分サッパリ、と会長さん。それじゃ普通じゃなかったら…?



会長さんの納めの悪戯は教頭先生の頭を綺麗サッパリ洗い流すこと。しかも教頭先生が自分で洗って綺麗サッパリ、洗う対象は髪の毛なのだという話。
「普通にシャンプーで洗った場合は気分サッパリ、髪も綺麗に! …でもさ、シャンプーじゃないもので洗った時にはどうなると思う?」
髪の毛を、と訊かれてキース君が即答で。
「言わせて貰えば、石鹸は駄目だ。…親父はあのとおりツルツルだからな、俺がシャンプーを切らして慌ててた時に「石鹸で洗え」と言いやがった! おふくろが「すぐ取って来る」と言ってくれていたのに、坊主の頭は石鹸でいい、と!」
「…どうなったわけ?」
ジョミー君が尋ね、キース君は。
「もうギシギシというヤツだ! 洗ってる間からギシギシするしな、俺は髪の毛が傷むかと…」
キース君は石鹸の怖さに震え上がって、迷わずリンスを使ったそうです。お風呂場に置いてあったイライザさんのリンスを掴んで、たっぷりと…。
「思い切り薔薇の香りがしたがな、そんなものはもうどうでも良かった。傷むよりかは薔薇の香りだ、下手に傷んだら親父がうるさい」
剃ってしまえと言われそうだ、との言葉に誰もが納得。アドス和尚は坊主頭を御推奨ですし、キース君の髪が見るも無残に傷んでいたなら「見苦しいから」と剃らせそうです。
「うんうん、石鹸でもそのザマだってね」
下手をすれば坊主頭な末路、と会長さんが満足そうに。
「…だったら、抜けるヤツでシャンプーしちゃった時は?」
「「「抜けるヤツ?」」」
「ズバリ、いわゆる脱毛剤! それでハーレイがシャンプーすれば!」
「「「えーーーっ!!?」」」
あまりと言えばあんまりに過ぎる、脱毛剤でのシャンプーとやら。そんなモノで頭を洗ったが最後、キース君みたいに「剃れ」と言われるまでもなく…。
「そう、ハーレイ自ら綺麗サッパリ! 髪の毛を洗い流すってね」
「「「そ、そ、それは…」」」
なんという酷い悪戯なのだ、と全員、ドン引き。これに比べたら「ぶるぅ」が除夜の鐘で三三七拍子をやらかす方が遙かにマシというものです。よりにもよって脱毛剤でシャンプーさせるとは惨すぎですって…。



「…いい悪戯だと思うんだけどねえ?」
一年の締めに相応しい、と言い出しっぺの会長さんはニヤニヤと。
「脱毛剤でシャンプーするのはハーレイなんだし、自己責任でお願いしたい。大事な髪の毛を綺麗サッパリ洗い流してしまう件もさ」
「酷すぎだろうが!」
記憶を消すのも大概だが、とキース君が憤然と。坊主頭に抵抗大だけに、義憤にかられているらしいです。
「全員が賛成したとしてもだ、俺だけは断固反対だ! 髪の毛が無いというのは恐怖だ、あんた、前にも教頭先生にやっただろうが!」
坊主頭のサイオニック・ドリーム、という叫びで思い出しました。あれは何年前だったでしょうか、会長さんが教頭先生を坊主頭にするサイオニック・ドリームをかけ、教頭先生ご自身も「本当に髪の毛を剃られてしまった」と騙された状態で数日間を…。
「そういえばあったね、教頭先生の坊主頭って」
思い出した、とジョミー君。他の面々も記憶が鮮やかに蘇ったようで。
「会長、せめて同じコースにしといて下さい!」
「そうだぜ、いくらなんでも脱毛剤っていうのはよ…」
マジで取り返しがつかねえぜ、とサム君も。
「どれくらい効くのか分からねえしよ、下手したら毛根、逝っちまうんじゃねえか?」
「どうかしら? そこまでの威力、まだ無いような…」
あるんだったら脱毛サロンが流行らないわ、とスウェナちゃん。
「何回かやれば生えなくなるかもしれないけれど…。一回だけでアウトってことはなさそうよ」
「そっか…。だったら洗い流すまではいかないかもね」
洗った時点じゃ二、三本が普通に抜ける程度で、とジョミー君がホッと息をつけば、スウェナちゃんが「それは甘いわ」と切り返し。
「抜ける量だけは半端じゃないわよ、綺麗サッパリも充分ありそう」
「うん、あると思う…」
私もスウェナちゃんに同意しました。脱毛経験は皆無ですけど、広告はよく目にします。塗って暫く待っているだけで綺麗にゴッソリはよくある話で。
「じゃ、じゃあ、やっぱり…」
「綺麗サッパリいっちゃう筈よ、気付かずにそれで洗っていたら」
すぐに流せばいいんだけれど、とスウェナちゃん。普通は脱毛剤でシャンプーをしたら気付きそうだと思いますけど、会長さんが絡んだ場合は気付かない恐れが充分に…。



「…ぼくも賛成しかねるけどねえ?」
ソルジャーが会長さんをギロリと睨んで、心強い味方が再び出現。
「サイオニック・ドリームならまだ許せる。それでもハーレイには恐怖だろうけど、本当にハゲるわけじゃない。…でもさ、脱毛剤でやってしまったら本気でハゲるよ?」
ぼくの世界のよりはマシだろうけど、とソルジャー、ブツブツ。
「ぼくの世界の脱毛剤だとシャレにならない。洗ってる間に抜け始めるかっていう勢いだよ」
「えっ、そんなのがあるのかい?」
それは凄いね、と会長さん。
「だったら、それをハーレイに是非!」
「頼まれたって持って来ないよ、ぼくは絶対反対だからね! ハーレイのために!」
こっちの世界のハーレイであってもハーレイなのだ、とソルジャーはキッパリ言い切りました。
「ぼくのハーレイとそっくりなんだし、ぼくは全力で庇わせてもらう。ぼくの世界にもハゲた場合のお助けアイテムは無いんだよ。あったらゼルはハゲていないね」
何が何でも脱毛剤シャンプーは断固阻止する、と真剣な顔をしているソルジャー。
「いざとなったら、君にサイオニック・ドリームもいいね。犯行に及ぶ前にパパッとかけてさ、こっちのハーレイがフィシスに見えるように仕立てて、君からキスをさせるとか……ね」
「ちょ、ちょっと!」
それは困る、と逃げ腰になった会長さんは両手を上げて。
「じょ、冗談だってば、脱毛の件! いや、半分は本当だけどさ、半分は嘘で!」
脱毛剤だと信じて洗うのはハーレイだけだ、という会長さんの台詞にビックリ仰天。
「「「…う、嘘……」」」
「ホントだってば、いくらぼくでも本物を使う無茶はやらかさないって!」
だけどブルーの世界の脱毛剤は素晴らしすぎる、と会長さん。
「それでウッカリ洗った場合はどうなるんだい?」
「…うーん…。直ぐに気付いて洗い流せば、安全なのかもしれないけどねえ…」
ついでに中和剤でもふり掛けておけば、と答えるソルジャー。
「でもね、持っては来ないからね! 君は信用できないから!」
「嘘だと言っているだろう! ハーレイにはちゃんと本物のシャンプーをプレゼントするさ、少しばかり早いクリスマス・プレゼントだからって前倒しで!」
そして使った所でネタバレなのだ、と会長さんの唇に笑みが。
「それの正体は脱毛剤だ、と思念をお届け! 今年いっぱい、きっと笑える!」
ハゲの恐怖に怯えるハーレイを眺めて納めの悪戯なのだ、と高笑いする会長さんは悪魔でした。そんな悪戯、あの「ぶるぅ」でも思い付きそうにないですけれど…?



「…マジでひでえな…」
「うん、酷い…」
あの「ぶるぅ」よりも悪質である、という結論に達した私たち。ソルジャーも「うん」と同意しました。「ぶるぅ」の場合は本当に脱毛剤を持ち出す可能性がゼロとは言えないそうですけれども、存在しない脱毛剤で延々と脅すような高度な技を持ってはいない、と。
「ぶるぅの悪戯は単純明快、所詮は子供さ。…でもね、君のは悪質だってば」
「騙すだけだよ? …日頃の暑苦しい愛に感謝をこめて大サービス!」
素敵なシャンプーを贈るだけだ、と主張している会長さん。悪質な悪戯だとは思ったものの、パニックに陥る教頭先生は面白いかもしれません。ちょっとだけ見てみたいかも…。
「…酷すぎるけど、笑えないとは言えないねえ…」
ソルジャーも見たい気持ちがあるようで。
「そのシャンプー。…なんならぼくが提供しようか、高級品を?」
持って来たら面子に混ぜてくれるのかい、とソルジャーは先刻までとは逆の方向へ走り出しました。脱毛剤が本物だったら断固阻止でも、嘘と分かれば一枚噛みたいらしいです。
「こっちの世界にもシャンプーは色々あるけどさ…。どうせだったら、ぼくの世界のシャンプーはどう? 強烈な脱毛剤はぼくの世界のだと騙すんだろ?」
嘘の中にも本物を! とブチ上げるソルジャー。
「シャングリラ特製のヤツでもいいけど、人類側の高級品をゲットしてくるよ。今の流行りは何処だったかなあ、アルテメシアからは遠い辺境の星で生産されてる自然素材のヤツなんだよね」
パッケージがとても凝っているのだ、とソルジャーは瞳を煌めかせています。
「SD体制よりも前の時代をイメージしました、ってコトでさ、こっちの世界のシャンプーのボトルにそっくり! だから君の目的にはピッタリだろうと思うんだけど?」
「なるほどねえ…。説明文とかはどうなってるわけ?」
「ん? それはもちろん、大丈夫! ちゃんとシャンプーと書いてあるしね」
幸か不幸か、ソルジャーの世界と私たちの世界の文字は共通でした。会長さんは「よし!」と大きく頷いて。
「その話、乗った! やるなら君の世界のヤツで!」
「了解。それで、やらかすのはいつになるんだい?」
「…楽しむためには早い方がね…」
もう今日にでも始めたいくらい、という会長さんの台詞に、ソルジャーは。
「分かった。ちょっと帰ってゲットしてくる!」
お昼は向こうで食べて来るけど、おやつと夕食はお願いするね、と一言残して姿がパッと消え失せました。会長さんの納めの悪戯、今日から発動しちゃうんですか…?



お昼御飯は豚骨ラーメン。食べる間も会長さんは悪事の話題を嬉々として振り、教頭先生が騙された後の悲劇のルートが描かれてゆきます。本当にハゲるわけではなくても、これは相当に痛いのでは、と思わずにいられない私たちですが。
「…あんた、本気でそれをやるのか?」
「だって、ブルーの世界のシャンプーならぬ脱毛剤だよ? ぼくたちの世界の常識だけでは測れないって部分もあるよね」
ガンガンやるべし、と会長さん。食べ終わってもなお続く話題の真っ最中に、ソルジャー帰還で。
「はい、シャンプー。…盛り上がってるみたいだねえ?」
「それはもう! 君の世界の脱毛剤だよ?」
協力してよね、と会長さんが披露した案にソルジャーがプッと吹き出して。
「う、うん…。か、かまわないけど、それで年末まで突っ走るわけ?」
「突っ走る!」
嘘は貫いてなんぼなのだ、と会長さんが拳を突き上げ、私たちは頭を抱えました。ソルジャーの協力が得られたからには、会長さんはやる気です。教頭先生はハゲの恐怖と戦うだけでなく、とんでもないことになりそうですが…。
「えっ、一年分の妄想の御礼に丁度いいだろ、このくらい!」
この一年もぼくをオカズにあれやらこれやら…、と会長さんは文句たらたら、ソルジャーの方は「それも愛だと思うけどねえ…」と自説を展開。やれ妄想だ、いや愛なのだ、と二人が派手に揉めている間に、ほどよい時間になったらしくて。
「おやつの前に行って来ようか、ハーレイの家までお届け物に」
ぼくからの愛のシャンプーを、と会長さんが手にしたボトルはソルジャーがゲットしてきたもの。ちゃんと男性用なのだそうで、香りもメンズ向けだとか。
「自然素材は貴重なんだよ、ぼくの世界じゃ。…本当はぼくのハーレイに渡したいくらい」
もちろん渡して来たんだけれど、とソルジャーは幸せそうな笑顔で。
「ブルーの言葉を借りておいたよ、前倒しのクリスマス・プレゼントだから、って。…凄く感激してくれちゃってさ、特別休暇を取ってくれるって」
楽しみだなあ、とソルジャーはウットリしています。
「特別休暇が待っている分、今は焦らなくてもいいってね。こっちのハーレイの末路とやらをじっくり観察させて貰うよ、ブルー渾身の納めの悪戯!」
「任せといてよ、ガンガンいくから!」
まずはお届け、と私たちまでが問答無用で青いサイオンに巻き込まれました。身体がフワリと浮く感覚は瞬間移動。行き先は教頭先生の家のリビングですかね、それとも玄関…?



瞬間移動で降り立った場所はリビングでした。仰け反っておられる教頭先生にかまわず、会長さんが極上の笑みで近付いていって。
「こんにちは、ハーレイ。…今年もクリスマスが近付いたよね」
「あ、ああ…。まあ、そうだが…」
体勢を立て直し、ソファから立って挨拶をした教頭先生に向かって差し出されたもの。それは「そるじゃぁ・ぶるぅ」が可愛らしくラッピングした例のシャンプーで。
「…なんだ、これは?」
怪訝そうな教頭先生に、会長さんは「プレゼントだよ」と綺麗な微笑み。
「クリスマスのパーティーはいつも馬鹿騒ぎになっちゃうからねえ、前倒しで届けに来たってわけ。ブルーに頼んでゲットして貰った、君の男を上げるアイテム」
「男を上げる?」
「うん。ブルーの世界で今、最高に人気のシャンプー! …なんだったっけ、ブルー?」
「辺境の星で栽培された自然素材が売りなんだよ、うん」
香りももちろん本物で、とソルジャーはシャンプーの解説を始めました。教頭先生は会長さんに促されてラッピングを解き、中のシャンプーのボトルを眺めて。
「ほほう…。これがそういうシャンプーですか…」
「そうだよ、髪の艶がグッと良くなるらしいね。ぼくのハーレイにもプレゼントしたんだ。ぼくのハーレイと、それから君と。どっちが先に男を上げるか、ぼくもとっても興味があって」
「ブルーが言うには、これ一本でグッと変わるっていう話だよ」
まずは一本、と会長さんはシャンプーのボトルを指差して。
「素敵な効果を実感出来たら、ブルーに頼めばまた手に入る。…そうだったよね?」
「気に入ったんならフォローするよ? 御礼はお菓子で充分だから!」
ケーキの一つでも買ってくれれば、と言うソルジャーに、教頭先生は大感激。
「あ、ありがとうございます! では、その際には、お好きなケーキを一個と仰らずに、是非ホールで! そのくらいはさせて頂きます」
「いいのかい? それじゃ遠慮なく御馳走になるよ。でも、まずは気に入るか、試してみてよね」
「はい! 早速今夜から使ってみます。ブルーに貰ったプレゼントですし」
クリスマスまでに男を上げてみせます、と燃えておられる教頭先生に、会長さんは。
「喜んで貰えて嬉しいよ。成果を楽しみにしているからね」
「もちろんだ! お前がアッと驚く男に!」
なってみせる、と拳を握っておられますけど。…ヘアスタイルを変えるならともかく、髪の毛の艶が増したくらいで「アッと驚く」いい男にはなれないような気がしますけどね?



シャンプーを届けて瞬間移動で教頭先生の家にサヨナラ、おやつを食べて日が暮れて。夕食は豪華寄せ鍋パーティー、それが終わればお泊まり会。ソルジャーも交えてワイワイガヤガヤ、賑やかに騒いで夜の十時を過ぎた頃…。
「かみお~ん♪ ハーレイ、お風呂みたい!」
観察していた「そるじゃぁ・ぶるぅ」の声を聞いた会長さんが。
「例のシャンプーは?」
「ちゃんと持ってるよ、それで、どうするの?」
「全力で騙す!」
まあ見ていろ、と会長さんの指がパチンと鳴らされ、中継画面が出現しました。教頭先生がウキウキと服を脱ぎ、お風呂へと。スウェナちゃんと私にはモザイクのサービス付きでの入浴中継、間もなくシャンプータイムに突入。
「…ふむ。これがブルーの世界のものか…」
そしてブルーからのプレゼントか、と嬉しそうにシャンプーのボトルを手にした教頭先生、適量を髪に。両手でガシガシとかき混ぜれば泡立ちは素晴らしいもので、流石は高級シャンプーですが。
『ハーレイ、泡は頭に行き渡ったかい?』
会長さんが思念波で尋ね、教頭先生からも思念で返事が。
『なんだ、見てるのか? なかなか使い心地のいいシャンプーだぞ?』
『それは良かった。…じゃあ、そのままで五分間ほど洗い流さずに!』
『………? そんな説明は書いてなかったが?』
『シャンプーのボトルだったしね?』
笑いが混じった会長さんの思念。
『実は中身は別物なんだよ、その泡を髪に行き渡らせてから五分ほど待つと…』
『……待つと、どうなるんだ?』
『綺麗サッパリ洗い流せるんだよ、髪の毛を! もう一本も残さずに!』
『なんだって?』
咄嗟に意味が掴めない様子の教頭先生に、会長さんはダメ押しとばかりに。
『髪の毛が綺麗に抜けるんだってば、それは脱毛剤だから!』
『だ、脱毛剤!?』
ぎゃあああああ! と凄まじい悲鳴が中継画面の向こうで聞こえて、教頭先生はシャワーのコックを捻ると必死に泡を洗い流し始めました。すっかり泡が流れ落ちてもジャージャーお湯を浴び、その後はバスタブに何度も頭まで潜るという騒ぎ。
「た、助けてくれ! 抜ける、髪が抜けるーーーっ!!」
それは普通に抜けるだろう、というレベルの抜け毛を見て絶叫。本当にお気の毒としか…。



「悪いね、ハーレイ。…騙された方がもっと悪いけどね」
会長さんがパジャマ姿の教頭先生を糾弾中。私たちは再び教頭先生の家にお邪魔し、高みの見物状態です。シャンプーの正体を脱毛剤だと信じ込んでいる教頭先生はまだ真っ青で。
「…ぬ、抜けるのか? この状態だと危ないのか?」
「どうだっけ、ブルー? 君の世界の脱毛剤って」
話を振られたソルジャーは「アレねえ…」と沈痛な面持ちです。
「君は大丈夫だったみたいだけどさ、本当だったら洗ってる間に抜け始めるかって勢いなんだよ。ブルーに頼まれて持っては来たけど、ぼくは反対だったんだ」
「…そ、そこまでの威力ですか…?」
「そう。…おまけに中和剤が無くてさ、やっちゃったらもう、民間療法レベルって感じ」
「民間療法?」
「心理的なモノが大きいらしくて、信じる者は救われる世界」
信じるかどうかは君の自由だ、とソルジャーは会長さんと軽く頷き合ってから。
「SD体制なんかがある世界でも迷信的なモノはあってね、この脱毛剤にはそれが効くんだと言われてる。実際、効果もゼロではないっていう話だけど…。どうする? 君も信じてみる?」
「ど、どういった方法なのです?」
「かぶるんだよ!」
ソルジャーがズバッと告げた言葉に、教頭先生は「カツラですか!?」と。
「かぶる以外に無いのですか、あれを? そこまで抜けてしまうのですか?」
「違うよ、カツラになってしまう前に食い止める道が民間療法! 信じてかぶる!」
「…何をです?」
「毛の生えたモノ!!」
ブッと吹き出しそうになるのを私たちは必死で堪えました。しかし焦りの極致の教頭先生、そんなことに気が付く筈もなく…。
「毛の生えたモノ…? 何ですか、それは?」
藁にも縋る境地の教頭先生に、ソルジャーは「生き物だよ」と回答を。
「何でもいいから毛の生えたモノをかぶっていれば、なんとか抜けずに済むらしい。一ヶ月くらいかぶり続ければ全快するって言われているねえ…」
「ど、どんなモノをかぶればいいのですか?」
「犬でも猫でもかまわないんだけど、一番効くのは…」
「一番効くのは……?」
ゴクリと唾を飲み込む教頭先生。ソルジャーは至極真面目な顔で…。
「毛ガニだってさ」
「毛ガニですか!?」
「うん、毛ガニ。…SD体制の世界だとレアものだからね、そのせいかもねえ……」



洗っている間に髪が抜け始めるという勢いの脱毛剤。中和剤は無く、治すためには民間療法レベルの治療。頭に毛の生えたモノをかぶって一ヶ月ほど、とソルジャーが教えた話は大嘘でした。会長さんが練り上げたネタを披露しただけで、そんな治療法など無いのですが。
「…毛ガニをかぶれば治る……のですか?」
教頭先生は見事に騙され、ソルジャーに縋り付かんばかりの表情。そしてソルジャーも「うん」と重々しく答えました。
「毛ガニが豊富に手に入る世界じゃ、嘘っぽく聞こえるのかもしれないけれど…。ぼくの世界だと毛ガニはレアでね、大金を払ってもコネが無くっちゃ手に入らない。よほどのお偉方しかゲット不可能、それを頭にかぶるとなったら大変だよね」
新鮮な毛ガニを毎日毎日、一ヶ月間も…、と語るソルジャー。
「そんなことが出来る人種は限られた特権階級だけだ。その人たちが毛ガニと言うんだ、多分、毛ガニが一番効くね。…色々試して毛ガニなんだよ、ぼくが思うに」
信じるも信じないも君の勝手だ、とソルジャーは教頭先生の顔を見詰めて。
「毛ガニが嫌なら、その辺の猫でもかぶっておきたまえ。…何もかぶらずにハゲるのもいい。運が良ければハゲずに済むかもしれないからね」
「…で、でも、大抵はハゲるのですね?」
「そう聞くねえ…。だからブルーを止めにかかったのに、毛ガニがあるからかまわないってさ。…ついでにハゲたら縁を切るとか」
「縁を切る!?」
教頭先生の声が引っくり返って、会長さんが冷たい口調で。
「…坊主頭は清々しいけど、ハゲは好みじゃないんだよ。これを機会にキッパリ剃るなら、それもいい。だけど日に日にハゲていくのは最悪だしねえ、近付かないでくれるかな?」
それが嫌なら毛ガニをかぶれ、と会長さんは言い放ちました。
「ぼくへの愛があるんだったら、毛ガニくらいはかぶれるだろう? ハゲないためには努力あるのみ、でなきゃキッパリ綺麗に剃る! ぼくが好きなら選ぶんだね。二つに一つだ」
丸坊主に剃るか、一ヶ月間、毛ガニをかぶるか。
そのどちらかを選ばなければ綺麗さっぱりサヨウナラだ、と会長さんは踵を返して。
「明日以降の君に期待してるよ、ぼくとの関係を維持したければ坊主か毛ガニだ。…一応、毛ガニは二日分だけ置いて行く。その後は自分で考えたまえ」
シーズンだから何処でも売ってるだろう、と宙から取り出したトロ箱を残し、会長さんと私たちは瞬間移動でトンズラしました。トロ箱の中身はもちろん毛ガニ。活けの毛ガニというヤツで…。



「…まさか本気でかぶるとはねえ…」
恐れ入った、とソルジャーが爆笑しています。あれから既に数日が経って、ソルジャーは特別休暇明け。キャプテンにプレゼントしたシャンプーのお蔭でそれは充実した休暇を過ごしたらしいのですけど、その間の教頭先生はといえば…。
「君があれだけ脅したんだし、かぶらない方がどうかしてるよ」
ご協力どうもありがとう、と会長さんは御機嫌でした。教頭先生の頭の上には毎日、毛ガニが乗っかっています。落ちないように手拭いで縛られ、息絶えないよう水をかけられながら。とはいえ、毛ガニの寿命は短く、長持ちしても一日一匹が限界のようで。
「こっちの世界でも毛ガニは安くはないんだよね?」
「ズワイガニよりはかなり安いけど、野菜とかのようにはいかないよねえ…」
そこそこの散財になるであろう、と会長さん。
「大晦日まではかぶらせるんだよ、クリスマス・パーティーも毛ガニ同伴!」
「それはいいねえ、生で拝めて毛ガニに水もかけられるんだ?」
「かみお~ん♪ 毛ガニさん、カッパみたいでしょ?」
ぼくもお水をかけてあげたよ、と「そるじゃぁ・ぶるぅ」はニコニコ笑顔。教頭先生の頭の毛ガニに水をかけたがる先生方や生徒は多くて、けれど何ゆえに毛ガニなのかを語ることが出来ない教頭先生。ソルジャーの世界の存在は極秘、ましてや其処の脱毛剤の治療法など…。
「こっちのハーレイも苦労するねえ、あれって一種のキャラ作りだって?」
「本人がそれを言えなかったら入れ知恵しようと思ってたけど、そこそこ頭は回るようだよ、毛ガニ男だか毛ガニマンだか」
ああいうキャラで大晦日までを突っ走れ! と会長さんが発破をかけるまでもなく、教頭先生は毛ガニをトレードマークにかぶって今日も笑顔でいらっしゃいます。誰が呼んだか、毛ガニマン。頭に毛ガニはけっこうお似合い、会長さんの納めの悪戯、毛ガニ男で大成功です~!




         死守する頭髪・了

※いつもシャングリラ学園を御贔屓下さってありがとうございます。
 脱毛剤だと偽って「シャンプーさせる」生徒会長も酷いですけど、その後がもっと…。
 「頭に毛ガニを被る」だなんて、効くと思う方がどうかしているんじゃあ…?
 それはともかく、シャングリラ学園、4月2日で連載開始から9周年でございます。
 よくも9年「書き続けた」モンだ、と自分で自分が信じられないキモチかも…。
 アニテラ放映開始から4月7日で10周年。覚えている人の方が少ないだろ、と!
 というわけで、4月は感謝の気持ちで月2更新でございます。
 次回は 「第1月曜」 4月3日の更新となります、よろしくです~!

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 こちらでの場外編、3月は、春のお彼岸。スッポンタケの法要がどうのこうのと…。
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