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シャングリラ学園シリーズのアーカイブです。 ハレブル別館も併設しております。

クラブで応援

除夜の鐘が終われば新しい年で、初詣。今年こそ良い年になりますように、と祈願したのが効いたのかどうか。はたまたニューイヤーのイベントで満足したのか、トラブルメーカーと名高いソルジャーが現れないまま、無事に冬休みが終わりそうです。
「いやあ、こういう年もあるんだねえ…」
素晴らしいね、と会長さん。
「まさかブルーの顔を見ないまま、七草粥が食べられるなんて」
「まったくだ」
キース君が深く頷いて。
「今年の七草粥は格段に美味い。此処に来る前に家でもおふくろが作ってくれたが、あれも例年になく美味く感じた」
「かみお~ん♪ 七草、今年はブルーと揃えたんだよ!」
買ったのもあるけど採って来たのもあるんだもん、と「そるじゃぁ・ぶるぅ」も嬉しそう。そう、此処は会長さんのマンションです。お正月の七日といえば七草粥で、無事にお邪魔出来れば頂く習慣。もっとも無事にお邪魔出来ても七草は市販品か、マザー農場で調達したもので…。
「えとえと、採りに行った場所はマザー農場なんだけど…」
でもブルーとぼくとで採ったんだよ、と「そるじゃぁ・ぶるぅ」。美味しさの秘密はその辺でしょうか、それともソルジャーの顔を見ないで過ごせた嬉しさで五割増しとか七割増しとか…。
「え? そりゃあ七草の美味しさとブルーがいないことのダブルだよ、うん」
会長さんが「おかわり!」と「そるじゃぁ・ぶるぅ」に。
「うんっ!」
ササッとおかわり、すぐに盛り付け。私たちもおかわりを入れて貰って美味しく食べていたのですけれど。
「いいねえ、今年のは美味しいんだって?」
「「「!!?」」」
まさか、と振り向いた先にイヤンな人影。会長さんのそっくりさんが私服姿で立っていました。
「ぶるぅ、ぼくにも七草粥! 出来ればニンニクすりおろしたっぷり!」
「邪道だから!」
七草粥にニンニクなんかは有り得ないから、と会長さんが叫びましたが、相手はソルジャー。自分の七草粥が盛り付けられたら、勝手にキッチンに出掛けて行って食べるラー油なんかを取って来ました。ニンニクの代わりに食べるラー油をたっぷりと。それ、七草粥じゃないですから!



出て来る早々、トンデモな七草粥を召し上がったソルジャーは当然の如く居座ってしまい、七草粥の後の午前中のティータイムの席にもドッカリと。「そるじゃぁ・ぶるぅ」が漬け込んだドライフルーツ入りのフルーツケーキを頬張りながら…。
「今日は七草粥の日だしね? こういうのは吉日を選ばないとね」
「「「は?」」」
吉日も何も、ソルジャーが出て来た時点で厄日なフラグ。しかも新年初登場となれば吉日どころではないのですけど、ソルジャーは我関せずとばかりに。
「ファンクラブってヤツを立ち上げようと思うんだよ、うん」
「「「ファンクラブ!?」」」
誰の、とウッカリ反応したのが運の尽き。ソルジャーは「知りたい?」と膝を乗り出して来ました。
「そりゃ君たちだって知りたいよねえ? 誰のファンクラブを立ち上げるのか!」
「…君のハーレイだろ」
会長さんがまるで関心の無い風で手をヒラヒラと。
「君一人では何かと不便なんだとか理由をつけて手伝わせる気だとぼくは踏んだね。君の代わりに花束を手配させられたり、プレゼントを買いに行かされると見た」
「なんでわざわざ!」
ファンクラブなんぞを作らなくても間に合っている、と返すソルジャー。
「ぼくとハーレイはとっくに結婚してるんだよ? たまに刺激も欲しくなるけど、ファンクラブなんかを作って過熱されたらたまらない」
ぼくのハーレイはぼくのものだ、と言われましても。
「…それじゃノルディのファンクラブかい?」
「そっちの方も間に合ってるねえ…」
お小遣いに不自由はしていない、とエロドクター説も却下です。誰のファンクラブか本気で分からなくなってきました。
「分からないかなあ、ぼくがファンクラブを作って応援したい人!」
「「「応援?」」」
「そう! もっとファンが増えますようにと、熱烈なファンがつきますようにと!」
願いをこめてファンクラブなのだ、とソルジャーは拳をグッと突き上げ。
「同じハーレイでも、こっちのハーレイ! こっちのハーレイのファンクラブ!」
「「「教頭先生!?」」」
何ごとなのだ、と仰け反ってみても、ソルジャーなんぞの行動理由は常に謎。それゆえのトラブルメーカーですから、これもやっぱりトラブルの内…?



「ぼくもあれこれ考えたんだよ」
去年の暮れからニューイヤーにかけて、とソルジャーはファンクラブが如何に名案なのかを滔々と説明し始めました。
「こっちのハーレイ、クリスマス・パーティーでも冷遇されていたからねえ…。新年になってもブルーは綺麗に無視しちゃってたし、おせちが沢山無駄になったようで」
「無駄になんかはなってないから! ちゃんとシャングリラ号の交代要員とかに振舞われてるし、ハーレイの株も上がってるから!」
会長さんの反論はもっともなもの。教頭先生が会長さんや私たちの年始回りに備えて用意してらっしゃる沢山のおせち、出番が無かった場合はそういうコースを辿ります。キャプテンとしての教頭先生の部下に気前よく御馳走されて、教頭先生のお株も上昇。
「そんなわけでね、おせちは無駄にはならないんだよ!」
「…そうかなあ? 君が食べてあげない時点でハーレイにとっては無駄じゃないかと」
「いいんだってば!」
結果こそ全て、と会長さん。
「ハーレイは勝手に妄想しまくって暴走するんだ。普段はロクな結果にならないけれども、おせちだけは暴走したって無問題! 結果的に株が上がるから!」
「…そういうことにしてもいいけど、全体的に報われないよね、こっちのハーレイ」
だからファンクラブを作らなければ、と語るソルジャー。
「ぼくが作るんだから、ぼくが会長! 会員はもちろん君たち全員!」
「「「全員!?」」」
「ファン同士で煽り合わないとね? 此処まで頑張って応援してます、尽くしています、って競争しないと!」
出待ち入り待ちは基本なのだ、とソルジャーはファンクラブっぽい単語を口にしました。
「毎日花束を届けるのもいいし、仕事で疲れて帰宅するハーレイのために料理を作ってあげるのもいいね。掃除洗濯も代わりにやるとか!」
「「「………」」」
「要はハーレイのために頑張るクラブ! そんなファンクラブを作って煽れば、いつかはきっとハッピーエンド!」
「…何が?」
会長さんの問いに、ソルジャーの顔に極上の笑みが。
「君とこっちのハーレイだよ!」
君のファン心理が過熱した末に目出度く結婚に漕ぎ付けるのだ、という結論。それがファンクラブ設立の理由ですか~!



ソルジャー自ら教頭先生のファンクラブ会長。私たち全員を会員に巻き込み、ファン同士で競わせてヒートアップさせて、いずれは会長さんと教頭先生の結婚を目指すという凄すぎる企画。今年のお正月は無事に済むかと思っていたのに、この始末とは…。
「素晴らしい案だと思うんだよねえ、ぼくとしてはさ」
「何処から降ってわいたわけ? …そのアイデアは」
嫌過ぎるんだけど、と会長さんが顔を顰めれば、ソルジャーは。
「こっちのノルディなんだけど?」
「「「えっ?」」」
何故にエロドクターがファンクラブ? 誰かのに入会しているとか?
「まあね。ノルディはあれでも会長だから」
「「「会長!?」」」
誰のファンクラブの会長なのだ、と私たちは顔を見合わせたのですが。
「其処で勘違いをしないで欲しいね、ノルディのは一人ファンクラブ!」
「「「へ?」」」
一人ファンクラブとは何でしょう? 会員が一人で会長しかいないファンクラブ?
「そうそう、そういうファンクラブ!」
「凄いな、誰のタニマチなんだ」
キース君がウッカリ話に乗ってしまって、ソルジャーはとても嬉しそうに。
「ああ、タニマチっていうのも言ってたねえ…。でもさ、ノルディがタニマチをやっているのは別口だよ、うん」
「「「別口?」」」
タニマチと言えば力士とかの無償のスポンサー。バンバンとお小遣いを渡して応援しまくると聞いていますが、エロドクターの財力だったら余裕でしょう。タニマチもやっていましたか…。ついでに一人ファンクラブもやってて、タニマチは別口という話。
「ぼくも芸能界には詳しくなくてね、ついでに興味も全く無いから…。だけどノルディ好みの歌手とか俳優とか? そういうののタニマチをやってるらしいよ。でもね」
一人ファンクラブはタニマチの世界とは全く別だ、とソルジャーは胸を張りました。
「なにしろ本当に世界が違うし! このぼくの一人ファンクラブだから!」
「「「えぇっ!?」」」
「もしかして気付いていなかった? ずうっと前からノルディは会長!」
だからお小遣いもたっぷり貰えるのだ、と聞いてビックリ、ファンクラブ。いつもランチだのディナーだのに付き合ってお小遣いを貰うと知ってはいましたけれども、あれってエロドクターがソルジャーのファンクラブをやっていたんですか!



タニマチならぬ一人ファンクラブ。ソルジャーのためだけにエロドクターが作って会長をしているファンクラブ。そんなカッ飛んだものが存在していたとは…。
「素敵だろう? 会員は無償で尽くして当然、お小遣いから私生活まで面倒を見るのが当然らしいよ。もっとも、ぼくは別の世界に住んでるからねえ…」
私生活まで面倒を見られないのが残念らしい、とソルジャー、得意げ。
「本当だったら、ぼくの移動に車を出して運転するとか、家で料理を作っておくとか。何から何まで尽くしまくって、それが名誉という世界!」
「「「………」」」
タニマチってそういうものだったのか、と目から鱗な気分でした。力士や芸能人にお小遣いを渡すだけでなく、滅私奉公する世界だとは…。お金持ちの世界は実に不思議だ、と思ったのですが。
「えーっと…。マツカ先輩?」
シロエ君がマツカ君に声を掛け。
「はい?」
「マツカ先輩のお父さん、タニマチをやっていませんでしたか? 今の横綱」
「やってますけど…。地元出身の力士ってことで、早くから応援していましたね」
「それじゃマツカ先輩のお父さんも?」
忙しいのに横綱のお世話ですか、とシロエ君。
「先輩の家だと家事とかは一切無いんでしょうけど…。そういう世界で暮らしていれば、炊事とかもしたくなるんでしょうか? そのためにタニマチやるんですよね?」
非日常を求めているんですね、との台詞に私たちも揃って「うん、うん」と。日頃から家事などと無縁な生活だったら、誰かのために尽くしまくるのも楽しいのかもしれません。横綱のために運転手だとか、掃除洗濯を頑張るとか。あれ? でも、横綱って付き人がついていたような…?
「父はそういうのはやってませんよ?」
タニマチはあくまでスポンサーです、とマツカ君。
「横綱をお招きしての宴会だとか、化粧回しを贈るとか…。横綱のお世話はちゃんと付き人がいますしね。付き人がつく前も父はお世話には行ってませんが」
「「「え?」」」
同じタニマチでも力士の世界は違うようです。それじゃソルジャーが熱く語ったタニマチの世界は芸能人の方なのでしょうか?
「そうだけど?」
力士じゃないねえ、とソルジャーは笑顔。
「何だったかなあ、女性ばかりで構成された歌劇団の団員を応援しまくるファンクラブだよ。会員はあくまで女性限定、その辺がノルディの憧れらしいね、同性のためにひたすら尽くす!」
究極のプラトニックラブの世界、と言われて納得。如何にもエロドクターが好きそう…。



同性の歌劇団員を応援するため、ひたすらに尽くす女性限定のファンクラブ。プラトニックラブの世界なのだ、と聞けばエロドクターが憧れた挙句にソルジャー相手に設立したのも分かります。なるほど、それを教頭先生を対象にしてソルジャーが会長になって設立する、と…。
「分かってくれた? プラトニックラブの世界だからねえ、本当は元ネタのヤツと一緒で男だけで固めたいんだけれど…。ちょーっと面子が寂しいしね?」
たった八人しか居ないのではねえ…、と頭数を数えているソルジャー。会長をするというソルジャーの他に会長さんとキース君たち男の子が五人、プラス「そるじゃぁ・ぶるぅ」で八人。確かに少々寂しいかもです。
「メンバー不足は悲しすぎるし、この際、女子も入れておこうかと」
君たち二人、とスウェナちゃんと私を指差しつつも、ソルジャーは。
「だけど、あくまでメインは男! 男性が男性を応援しまくる、そしてひたすら尽くして頑張る! 競い合ってヒートアップしてってなんぼで、最終的には其処のブルーを!」
一番のハーレイのファンにするのだ、と盛り上がる気持ちは分からないでもないですが…。
「…それで、このぼくがハーレイのファンになるとでも?」
「やってみなくちゃ分からないじゃないか!」
蓋を開けてみれば嫉妬に燃える君が居るかも、とソルジャー、ニヤニヤ。
「日頃ハーレイをオモチャにしている君の心理は歪んだ愛情! それを真っ直ぐに直してやればね、ハーレイへの愛に目覚めるわけだよ。他の面子が頑張るほどに効果が出るかと」
あの役目は自分がしたかったのに、と歯ぎしりするようになれば目覚める日も目前、と唱えるソルジャー。
「ハーレイのために料理したいとか、掃除を頑張って喜ばれたいとか! そうした境地に持って行くためにも、他の会員はハーレイのために頑張りまくる!」
ぼくも含めて、というソルジャーの決意は本物でした。本気の正気で教頭先生の私設ファンクラブ。自分が会長となって立ち上げ、尽くして応援しまくろうとは…。
「そういうわけでね、たった今から、ぼくたちはハーレイのファンクラブ会員だから!」
でもって会長はこのぼくだから、とソルジャーは仕切り始めました。
「ブルーがぼくを押しのけて会長の座に就きたいと言うなら譲るけれどね、それ以外の面子はぼくが絶対! ぼくが決めたらきちんと従う!」
まずはハーレイを応援すべし、と最初の御言葉。
「ハーレイは只今、孤独な昼食を何にしようかと悩み中! ファンクラブとしては放っておけない状況だよねえ、早速出掛けて応援しなくちゃ!」
それでこそ私設ファンクラブ! という叫びが終わらない内に、パアアッと溢れた青いサイオン。ソルジャー、全員を連れて飛びますか? 教頭先生のお宅まで!?



「「「………」」」
自称ファンクラブ会長のソルジャーの技に抜かりなし。会長さんの家のリビングから瞬間移動をした筈なのに、私たちの足にはしっかりと靴が。ついでに目の前に教頭先生のお宅の玄関の扉。ファンクラブ会員を名乗る以上は玄関で挨拶からということですか…。
「君たち、年が明けてから一度もハーレイに会ってないしね? ちゃんと「あけましておめでとうございます」だよ、まだ七草粥の日なんだから!」
そこを間違えないように、と注意してから、ソルジャー、チャイムをピンポーン♪ と。
『はい?』
ドアホンの向こうで聞こえた教頭先生の声は弾んでいました。それはそうでしょう、玄関チャイムに至るまでには庭が横たわっているのです。本当だったら門扉のチャイムを鳴らさなければ玄関前には来られません。
そうした過程をショートカットしてチャイムを鳴らせる来客、すなわち瞬間移動が出来る人。つまりは会長さんの登場を意味しているわけで…。
「ああ、ハーレイ? あけましておめでとうございます」
『こ、これはどうも…! あけましておめでとうございます』
すぐに開けます、という声は敬語。教頭先生、ドアホン越しの声でもソルジャーと会長さんの区別がつくのが凄いです。これも愛の力と言うものなのか、と驚く間に扉が開いて。
「どうぞ、お入り下さい…って、なんだ、全員来ていたのか?」
「御挨拶だねえ、来ちゃ駄目だとでも?」
会長さんがフンと鼻を鳴らせば、ソルジャーがその脇腹を肘でドカッと。
「そうじゃなくって! 礼儀正しく、新年の挨拶をきちんとするっ!」
「…い、いたたた…。あ、あけましておめでとうございます…」
呻きながらの会長さんの声に合わせて、私たちもペコリと頭を下げて。
「「「あけましておめでとうございます!」」」
「あ、ああ…。うむ、あけましておめでとう」
遠慮しないで入ってくれ、と教頭先生は扉を大きく開けたのですが。
「ありがとう、ハーレイ。でもね、その前に! お昼御飯は何を食べたい?」
ソルジャーが訊いて、教頭先生が。
「いえ、そこは私が決めるのではなく…。何の出前を取りましょうか?」
「ダメダメ、ぼくたちの方が御馳走する立場! 決められないなら寄せ鍋でいい?」
寒いもんねえ、というソルジャーの言葉に、教頭先生、「はあ…」とポカンと。
「じゃあ、寄せ鍋! 君は家でゆっくりしていてくれれば…」
さて、と私たちに向き直るソルジャー。いきなり会長命令ですか?



昼食は寄せ鍋と決めたソルジャー、お次は私たちをグルリと見渡し、「うん」と一声。
「とりあえず財布はマツカに任せる。だからマツカと…。寄せ鍋用の食材選びを頼まなきゃ駄目だし、ぶるぅもだね。他に荷物持ち、キースとシロエ!」
頑張ってこい、と柔道部三人組と「そるじゃぁ・ぶるぅ」が買い出し部隊に選ばれました。
「急いで出掛けて、急いで帰る! それが大切!」
「「「はいっ!」」」
逆らったら怖いと思ったのでしょう、キース君たちは最敬礼して買い物へと走り去ってゆき。
「お昼御飯の手配は終了! それじゃ入って」
君が一番、とソルジャーは教頭先生を玄関の中へと促し、教頭先生は途惑いながらも靴を脱いで家へ上がられましたが。脱いだ靴の向きを直すべく屈もうとなさったのをソルジャーが止めて、私たちに。
「気が利かないねえ、こういう時にはサッと屈んで靴を揃える!」
「「「は、はいっ!」」」
会長さんを除いた全員が慌て、教頭先生の大きな靴はサム君が素早く揃えました。恐らく元老寺での修行の賜物でしょう。初詣だの春のお彼岸だのお盆だのと手伝い続けて苦節ウン年、檀家さんの履物を揃えまくって長いですから。
「……靴に買い物……」
教頭先生、自分が置かれた状況がサッパリ分からない様子。そんな教頭先生に、ソルジャーはとびきりの笑みを浮かべて。
「君のファンクラブを設立したんだ、ぼくが会長で他の面子は全員、会員!」
「ファンクラブ?」
「そう! 君を応援するためのクラブで、何から何まで君のお世話をするんだよ! 会員は君に尽くしてなんぼで、今日からスタート!」
だから君はゆっくり寛いでてよ、とソルジャー、ニコニコ。
「君はコーヒー党だよね。ぼくたちが美味しいコーヒーを淹れる。君を囲んでお茶会と洒落込みたいところだけれども、買い出し部隊で一部が出動中だから…。こういう時にはフライング禁止」
お茶会は後で改めて…、とソルジャーは勝手知ったる他人の家な教頭先生の家に上がり込み、教頭先生をリビングのソファに座らせて。
「さて、コーヒー。…この中で一番美味しく淹れられそうなのは誰だろう?」
「「「え、えーっと…」」」
コーヒーを上手に淹れられそうなキース君とマツカ君は外出中。残った面子は紅茶党ですけど、どうなるんでしょう?



教頭先生のためにコーヒーを。しかし紅茶党の団体様では無理があるかも、と思っていればソルジャーの鶴の一声が。
「とりあえずサムを指名かな。でも…。ブルーも上手に淹れられそうだよね」
「なんでぼくが!」
会長さんの叫びに、ソルジャーは「あーあ…」と深い溜息。
「先はまだまだ長そうだ、ってね。此処でサムを押しのけて名乗りを上げるトコまで行かないとねえ…」
「ぼくにそういう趣味はないから!」
「はいはい、ツンデレ」
今の所はツンのみだけど、と非常に懐かしい死語が登場。ソルジャーは会長さんを指差しながら、ソファの教頭先生に。
「これでもファンクラブに入ってる以上、君のファンには違いないわけ。…ところがツンデレっていうタイプでねえ、デレるまではツンのみで突っ走るかと」
「…ツンデレですか…」
「うん。ぼくがファンクラブを立ち上げたのはさ、ツンデレなブルーのツンの部分を突き崩すためで…。いずれデレるからお楽しみにね」
「は、はあ…。ブルーがツンデレだったとは…」
全く気付きませんでした、と教頭先生、感動の面持ち。それはそうでしょう、脈無しとばかり思っておられた会長さんが実はツンデレ、デレさえすれば実は自分のファンだったなんて…。
ソルジャーが得々として会長さんツンデレ論を展開している間にサム君がコーヒーを淹れて来て「どうぞ」と差し出し、教頭先生、一口飲んで。
「ほほう…。これは美味いな」
「あっ、そうですか? 良かった、俺、たまに練習してるんですよ。将来に向けて」
「将来?」
「坊主になった時のためです、修行中には先輩のためにお茶を淹れるのも仕事ですから」
コーヒーも緑茶も上手に淹れないと叱られるんです、とサム君、キリッとした表情。玄関先での靴の件といい、着々と将来に向けて経験を積んでいるようですけど、ジョミー君の方は未だ坊主に拒絶反応。将来、苦労しなけりゃいいんですけどねえ、ジョミー君…。



教頭先生がコーヒーを飲み終えた後は、買い出し部隊が戻って来るまで暫し歓談。あくまでフライング禁止ですからお茶もお菓子もソルジャーが断り、話題はひたすらファンクラブ。教頭先生はファンクラブが会長さんの「デレ」を引き出すためのものだと知って感激、大喜びで。
「素晴らしいクラブを作って下さってありがとうございます」
「どういたしまして。ぼくも常々、歯がゆく思っていたからねえ…。君にはブルーがお似合いなのにさ、このとおり究極のツンデレだからね」
「ぼくは違うと!」
「うんうん、その発言もツンデレゆえだよ」
こんな具合で揉めている内に買い出し部隊が帰還しました。「そるじゃぁ・ぶるぅ」がキッチンで頑張り、出汁が出来たら寄せ鍋開始。教頭先生を囲んでのお食事会は大いに盛り上がり、ソルジャーはせっせと教頭先生の食事の世話を。
「ハーレイ、次はどの具を入れる? あ、ぶるぅ、こっちは煮えてるのかな?」
「うんっ! 煮えすぎない間に取ってあげてね」
「了解。はい、どうぞ」
ホントは「あ~ん♪」と行きたいんだけどね、と言いつつソルジャー、お箸で摘んだ具を教頭先生の取り皿に。そして私たちの方を見ながら。
「とりあえず、こういう席でのお世話の権利は会長のぼくが独占ってね。ぼくを追い落として会長になれる権利はブルー以外には無いんだけどねえ、ちゃんと例外もあるってね」
「「「例外?」」」
「ほら、これはハーレイのファンクラブだから。ハーレイ自身が他の人を会長にしたくなったら、指名して交代させられるわけ。…ツンなブルーは指名するだけ無駄っぽいけどさ」
ブルー以外は頑張りたまえ、とソルジャーの檄が。
「ぼくよりも上手くお世話が出来ます、実はこんなに気が利くんです、とハーレイにアピールすべきだね。そうやって頑張る君たちの姿を見ている間にツンなブルーも」
「デレないってば!」
「いやいや、其処がツンデレのツンデレたる所以で、真骨頂だよ」
それでこそツンデレ! とソルジャーは自説を曲げようともせず、私たちの使命は会長さんのツンを崩してデレな部分を引っ張り出すこと。ソルジャーが立ち上げた教頭先生の私設ファンクラブは本日発足、明日から本格的な活動に入るということで。
「じゃあ、ハーレイの私設ファンクラブの前途を祝して!」
ソルジャーの音頭で「かんぱーい!」の声の大合唱。会長さんだけが「献杯!」と法事モードで叫んでましたが、それもソルジャーに言わせれば「ツン」ゆえ。デレへの道は長いそうです、そもそもデレないと思いますけどね…?



活動を始めた教頭先生の私設ファンクラブ。本格的な活動に入る、とソルジャーが宣言した発足の翌日は冬休みが終わって三学期に入る日と重なりました。お蔭で朝から調子が狂った私たち。いえ、正確には早朝からです。
『ダメダメ、そんな食材なんて!』
朝も早くから全員の家に飛び込んで来たソルジャーの思念。三学期の初日と言えば御雑煮の大食い大会、優勝すれば先生を二人指名して闇鍋イベントとあって、生徒は誰でも闇鍋用の食材持参で登校なのに…。
『納豆なんかは論外だから! 持つなら味噌とか醤油とか!』
ファンクラブ会員が闇鍋を不味い方向に持って行ってどうする、という厳しい突っ込み。教頭先生は毎年、私たち1年A組の優勝と同時に指名されて闇鍋を食べさせられる立場ですしね…。
『教頭先生を闇鍋から外せばいいじゃない!』
勇気ある思念は寝起きでキレたジョミー君のようですけれども、ソルジャーは。
『指名してるの、ブルーだろ? ツンデレ、ツンデレ』
ツンの間はハーレイは闇鍋から決して逃げられないのだ、という反論不可能な仰せ。私たちは無難な食材を持たざるを得なくなり、相談の上で全員が餅を。ツンデレの名を冠せられた会長さんは「そるじゃぁ・ぶるぅ」と一緒に変なのを用意してると思うんですけど…。
『ツンデレなんだから仕方がないよ。それより、入り待ちしなくちゃ駄目だよ!』
餅を持ったら急いで出る! と急き立てられて学校へ。教頭先生よりも先に学校に着いて、校門前での入り待ちが必須。登校してみればソルジャーが会長さんの制服姿で校門前にちゃっかりと。
「やあ、おはよう。…どうせツンデレは入り待ちなんかはしないしね?」
「あんた、その格好でバレないのか?」
キース君が尋ねれば、「何を今更」と嘯くソルジャー。
「門衛さんはぼくがブルーだと思っているけど? 他の先生たちだって分かりやしないさ」
平気、平気、と自信たっぷり。間もなくゼル先生が大型バイクでやって来ましたが、「なんじゃ、今日は揃って早いのう」と声を掛けて通って行っただけ。
「ほらね、全然バレないし! あ、来た、来た!」
ハーレイだ、というソルジャーの合図で二列に分かれてザッと整列。「そるじゃぁ・ぶるぅ」も来ていませんから面子はたったの八人だけで、四人と四人の列ですけれど。
「「「おはようございまーす!」」」
一斉にお辞儀した私たちの間を、教頭先生が車で通ってゆかれました。窓を開けて「おはよう」と挨拶をして下さいましたが、これが入り待ちというヤツですか…。



始業式が済んだら御雑煮大食い大会開催。ソルジャーは姿を消してしまって、会長さんと「そるじゃぁ・ぶるぅ」の登場です。二人の活躍で1年A組は見事に優勝、今年も闇鍋への道が開いて。
「教頭先生を指名します!」
会長さんの声が会場に響き、もう一人はゼル先生が選ばれました。これにクラス担任のグレイブ先生が連帯責任で強制参加となり、合計三名。グラウンドに据えられた大鍋は…。
「…俺たちが餅にしておいても、だ。クラスの他のヤツらがな…」
多勢に無勢だ、とキース君が言う通り、他のクラスメイトが鍋に投入したラインナップは凄まじきカオス。其処へ会長さんと「そるじゃぁ・ぶるぅ」がブチ込んだものが業務用のコチュジャンまるごと一瓶と同じく業務用ナンプラー。これで美味しくなる筈もなくて。
『仕方ないよね、ツンデレ、ツンデレ』
どうやら「そるじゃぁ・ぶるぅ」のお部屋に居るらしいソルジャーからの思念。教頭先生にも届いたらしくて、激マズ闇鍋を笑顔で食べていらっしゃいます。会長さんは悪戯に燃えているだけでツンではないと思うのですけど、まあ、いいか…。
「いいんだよ、所詮ハーレイだから」
あの馬鹿さ加減がハーレイなのだ、と腕組みをして笑って見ている会長さん。教頭先生にはその笑みすらもが自分に向けられたデレの欠片に見えるらしくて、笑顔全開。
「…俺の良心が痛むんだが…」
キース君が胸を押さえれば、会長さんは。
「別にいいだろ、ハーレイは喜んでいるわけだしね。自分のファンクラブが出来た上にさ、それの目的がアレだしねえ…」
「あんた、楽しんでいるだろう!」
「ファンクラブという発想自体は迷惑だけどさ、同じ阿呆なら踊らにゃ損々、と思うわけだよ」
こうなったらトコトン踊ってやる、と開き直りの会長さん。ツンを極めて突っ走るそうで、極めるためには努力も何も要らないそうで。
「ぼくが普通に振る舞ってればね、それだけでハーレイが勝手にツンだと解釈するから!」
『無理しなくっても元からツンデレだしね?』
聞こえて来たソルジャーの思念をサラッと無視して、会長さんは闇鍋のノルマを完食なさった教頭先生にツンとそっぽを。これぞツンデレ、ただしツンのみ。勘違いしておられる教頭先生、デレを夢見てデレデレですけど…。



放課後は新学期恒例、紅白縞のお届けイベント。会長さんから心をこめての紅白縞のトランクスを五枚、教頭先生に届けるためにと教頭室まで行列を組んで行くわけですが…。
「ぼくは今回、行かないからね!」
ファンクラブの会長が行けばいいだろ、と「そるじゃぁ・ぶるぅ」のお部屋で唇を尖らせている会長さん。
「わざわざファンクラブを作ったからには、こういう美味しいイベントの類は会長が独占するものだろう!」
「うーん…。それはそうだけど、このイベントはさ…。君とハーレイとの心の絆で」
「そういうのを結んだ覚えは無いから!」
君に譲る、と会長さんはソルジャーに顎をしゃくりました。
「このイベントには悪辣な悪戯がセットになることも多いしね? 今回は究極の悪戯ってことで、ぼくは面子から外させて貰う。ぼくからトランクスを貰えないわけだよ、ハーレイは!」
「分かったってば、要はツンデレ」
「ツンデレじゃないっ!」
その要素だけは絶対に無い、と喚く会長さんにツンデレ要素が皆無なことは私たちには嫌というほど分かっていました。けれど分かっていない人が一人。言わずと知れたファンクラブ会長、会長さんにも教頭先生への愛はあるのだと思い違いをしているソルジャー。
「君もいい加減、頑固だねえ…。まあ、それでこそのツンデレだけどね」
デレた時の値打ちがググンと上がるし、とソルジャーは会長さんの代理でトランクスを届ける役目を快諾。私たちを引き連れ、「そるじゃぁ・ぶるぅ」にトランクス入りの箱を持たせて教頭室がある本館へと。会長さんがやっているように教頭室の重厚な扉をノックし…。
「失礼します」
ガチャリと扉を開けたソルジャーに続いて私たちがゾロゾロと。教頭先生は「あなたでしたか」と慌てて立とうとなさいましたが。
「いいって、いいって! ぼくはファンクラブの会長だしね。君に尽くしてなんぼなんだし、座っていてよ。はい、いつもの紅白縞を五枚、お届け。生憎とブルーが嫌がってねえ…」
ツンデレだしね? と小首を傾げてみせるソルジャー。
「ファンクラブに入ってしまったからねえ、何かと恥ずかしいらしい。なにしろトランクスだろう? 君の大事な息子とかをさ、カバーするのがコレだしねえ…」
「なるほど、そういうことでしたか…」
そう聞けば嬉しい気もします、と顔をほころばせる教頭先生、またも壮大な勘違い。会長さんはツンデレのツンだと、デレはまだ先でツンのみなのだ、とトランクスの箱を抱えて感無量。デレどころかツンさえ無いんですけど、ツンさえ何処にも無いんですけど~!



勘違いの極みな教頭先生と、思い違いなソルジャーと。ある意味、最強、あるいは最凶なタッグが組まれたファンクラブはガンガン活動し続け、マメに通ってくるソルジャーの指示の下、どんどんエスカレートしてゆきました。
「「「教頭先生、お疲れさまでーす!」」」
廊下に整列、揃ってお辞儀。教頭先生が授業に行かれる教室の前での入り待ち、出待ちは今や基本で、特別生だからこそ可能な究極の活動。特別生には出席義務がありませんから、授業への遅刻も途中で抜けるのも自由自在というわけで。
「すまんな、いつも出迎えて貰って」
「「「光栄でーす!」」」
次の授業も頑張って下さい、と最敬礼する私たち。ソルジャーと「そるじゃぁ・ぶるぅ」が一緒に出待ちや入り待ちをすることもあって、そうした時にはソルジャーは会長さんのふり。先生方にも生徒たちにもバレてませんけど、教頭先生だけは御存知ですから、そういう日には。
「ふむ…。まだツンなのか」
「「「はいっ!」」」
「…デレてくれる日が楽しみだな、うん」
こんな会話があるのですけど、廊下や教室の他の生徒にはツンが何だかデレが何だか意味不明。いつの間にやら、妙な噂が学校中に広がってゆきつつあって…。
「なんだと、俺たちが組を結成していると!?」
キース君の声が引っくり返って、シロエ君が。
「そうらしいです、教頭先生が組長だとかで…。会長が若頭だっていう噂ですよ」
「「「く、組長…」」」
組長、おまけに若頭。それはヤのつく自由業とか言わないか、と青ざめましたが、時すでに遅し。世間はスウェナちゃんと私、どちらが「姐さん」なのかで悩んでいるとか、姐さんは実はフィシスさんだとか、噂の裾野が広がりまくっているらしく…。
「…どうしてヤクザになっているんだ…」
俺たちは暴力団ではない筈なんだ、とキース君が頭を抱えれば、ソルジャーが。
「じゃあ、ファンクラブですって白状するかい? そうすりゃ、一発で解決するよ?」
「出来るか、馬鹿!!」
そっちの方がよほど酷いぞ、というキース君の叫びもやんぬるかな。
今や教頭先生の家で炊事洗濯、家の中はおろか表の通りの掃き掃除。車の運転手までは出来ませんけど、代わりとばかりに校内で、家のガレージで愛車をピカピカに磨き上げる日々。これがヤクザの活動でなくてファンクラブだと知れたら、「痛いヤツ」でしかありません。



「…ぼくたち、何処の組になるわけ?」
ジョミー君が呆然と呟き、サム君が。
「1年A組じゃねえってことだけは確かだよな…」
「やはりそうか…」
ナントカ組系ナントカ組とかいう組だな、とキース君が天井を仰ぎながら。
「このままで行くと、いずれはアレか? 何処の組の兄さんで、とか訊かれて仁義を切らんといけない日とかが来るわけか?」
「「「さ、さあ…」」」
どうなるのだろう、と泣きの涙の私たちを他所に、組長ならぬファンクラブ会長のソルジャーは今日の放課後も張り切っていました。
「こらこら、此処でサボらない! 急いで帰るよ、ハーレイの家の表にゴミが落ちているから!」
掃除して食事の用意を済ませたら戻って出待ち、と飛ばされる指示。
「「「はいっ!」」」
「うん、いい返事! 頑張ろうねえ、ブルーがデレる日を目指してね!」
「それだけは無いから! ぼくはツンデレなんかじゃないから!」
若頭、いえ、会長さんの怒鳴り声も名物の一つと化して久しく、もはや私たちに残された道は。
「…仕方ない、ヤクザを極めるとするか」
「デレよりも先にそっちの方向で確定だよ、きっと…」
キース君とジョミー君の嘆き節はソルジャーの「じゃあ、出発!」の声と青いサイオンとにかき消されました。1年A組の特別生七人組改め、誰が呼んだか何処ぞのヤクザの組員の集い。元はファンクラブだったと思うんですけど、今でもファンクラブなんですけど~!
「目指せ、ツンデレのブルーがデレる日! 今日も張り切ってファンクラブ活動!」
「「「はいっ!」」」
ファンクラブ会長の指図で掃除に、炊事にと懸命に走る私たち。これが終わったら学校に戻って出待ちで、それが済んだら家の前まで戻って入り待ち。ヤクザの世界とどっちがキツイか、それ以前にこれっていつまで続くか、誰か教えて下さいです~!




              クラブで応援・了

※いつもシャングリラ学園を御贔屓下さってありがとうございます。
 作中の歌劇団のモデルは、いわゆるヅカというヤツです。ベルばらとかで有名な。
 そしてファンクラブの活動も実話、ご贔屓さんは半端ないです。知り合いにも何人か…。
 アニテラも9月22日で放映終了から10周年になります。早いものですね。
 シャングリラ学園、来月も月イチ更新です。windows10 は今も絶望的に駄目です。
 次回は 「第3月曜」 10月16日の更新となります、よろしくです~! 

※毎日更新な 『シャングリラ学園生徒会室』 はスマホ・携帯にも対応しております。
 こちらでの場外編、9月は、お彼岸。スッポンタケの法要を誰がやるかが問題で…。
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