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シャングリラ学園シリーズのアーカイブです。 ハレブル別館も併設しております。

治したい症状

※シャングリラ学園シリーズには本編があり、番外編はその続編です。
 バックナンバーはこちらの 「本編」 「番外編」 から御覧になれます。

 シャングリラ学園番外編は 「毎月第3月曜更新」 です。



九月は秋だなんて暦だけ。八月七日の立秋が大嘘なのと同じ理屈で暑いというのがお約束です。現にシャングリラ学園の衣替えだって十月から。暑い、暑いと連発しつつも登校している私たち。出席義務のない特別生のくせに真面目に通い続ける理由は…。
「かみお~ん♪ いらっしゃい!」
放課後に「そるじゃぁ・ぶるぅ」のお部屋に行くと「今日も暑いもんね!」とフルーツパフェがドッカンと。冷房も効いて快適なお部屋でワイワイガヤガヤ、このためだけに学校へ行くと言っても過言ではなく…。
「ハーックション!」
いきなりのクシャミに「そるじゃぁ・ぶるぅ」が「あれっ?」とクシャミの主を眺めました。
「ごめん、冷房、効きすぎてる?」
「いや、別に…。ハーックション!」
言葉を裏切ってクシャミ連発、クシャミの主はキース君で。
「キース、朝からやってなかった?」
ジョミー君が指摘し、サム君たちも。
「うんうん、風邪を引いたかと思ったぜ、俺は」
「ですよねえ? キース先輩が風邪なんて珍しいんですが…」
「引いたことなんてあったかしらね?」
鬼の霍乱、と意見が一致しかかりましたが。
「やかましい! 俺は風邪では…。ハーックション!」
「おやおや、言ってる端から裏切ってるねえ…」
大事にしたまえ、と会長さん。
「風邪は万病の元だと言うよ? 坊主は身体が資本なんだから」
特に喉だね、との台詞を聞いた「そるじゃぁ・ぶるぅ」が駆け出して行って、間もなく湯気の立つカップを運んで来ました。
「はい、金柑シロップのジュースだよ! 風邪にも効くし、喉にもいいの!」
「ああ、すまん。本当に風邪ではないんだが…」
だが有難く頂いておこう、と口をつける前にもクシャミ一発。やっぱり風邪では、と私たちは考え、会長さんと「そるじゃぁ・ぶるぅ」も心配そうで。キース君は風邪に効くという金柑シロップを小さな瓶で貰って帰ることになりました。
金柑シロップ、会長さんの家から瞬間移動でお取り寄せ。こんな時にサイオンは便利です。万病の元だという風邪、早く治して貰わなくっちゃ!



キース君は柔道で鍛えているだけに病気知らずの頑丈さが売り。大学時代に住職の資格を取りに行った三週間もの伝宗伝戒道場は暮れの十二月、しかも寒波の真っ最中でしたが霜焼けが酷かっただけで風邪を引いたりはしませんでした。しかし…。
「ハーックション!」
金柑シロップは効かなかったのでしょうか、次の日も朝のホームルームでキース君のクシャミが。グレイブ先生が出席を取る声に「はいっ!」と答えた途端に一発、それから暫く立て続けに。
「…ックション、クシャン! クシャン!」
他の人の答える声まで遮りそうなクシャミ連発。グレイブ先生は「ふむ…」と眼鏡を押し上げて。
「キース・アニアン、大丈夫かね?」
「は、はい…。ハーックション!」
「他の生徒にうつると困る。保健室でマスクを貰ってくるように」
「はいっ!」
ハーックション! とクシャミで答えて、キース君は教室から出てゆきました。ホームルームが終わる前にはちゃんと戻って来たのですけど。
「「「………」」」
ガラリと後ろの扉を開けて入って来たキース君に皆の視線が集中したまま、びっちり釘付け。自分の席へ向かう移動に合わせて視線も移動し、もちろん私もその一人で。
「………。キース・アニアン。そのマスクは一体、何なのかね?」
「まりぃ先生に頂きました」
まりぃ先生は保健室の主の美人でグラマラスな女性ですけど、正体は腐女子だか貴腐人だか。会長さんと教頭先生を題材にエロいイラストを描くのが趣味です。それだけに絵がとても上手で、熟練の技がキース君の着けているマスクにもデカデカと。
描かれていたものは実に可愛い小僧さん。いわゆる一休さんのアップで、おまけにカラー。
「まりぃ先生か…。その場で描いて渡されたのかね?」
「そうです。これか、女子用のピンクのハート柄の既製品かを選ぶようにと」
「遊ばれているな、キース・アニアン」
「…そのようです」
無駄に付き合いが長いですから、と言い終えた途端にマスクの向こうでクシャミ連発。グレイブ先生は「仕方ない」と零し、二時間目の自分の授業までに普通のマスクを買ってくるから、と言い残して去って行きました。
普通のマスクが到着するまで、一休さんマスク。ここは笑っちゃダメ、笑っちゃダメ~!



「…というわけでだ、俺は散々な目に…。ハーックション!」
放課後の「そるじゃぁ・ぶるぅ」のお部屋で、またまたクシャミのキース君。会長さんが「キースの周りにシールドを張るからマスクは外していいよ」と言ったため、キース君は「恩に着る」とマスクを外したのですけれど。
「まったく、なんでクシャミなんぞが…。ハーックション!」
「うーん…。ぶるぅの金柑シロップは効かなかったか…」
引き始めに良く効くんだけどね、と会長さん。
「持って帰れって渡した分は、ちょっぴり薬臭かっただろう? 昔ながらの生薬配合、下手な風邪薬より効くってね」
「かみお~ん♪ 生姜にシナモン、どっちも風邪に効く漢方薬だよ!」
「確かにそういう味ではあったが…。ックション!」
どうもイマイチ、とキース君。貰って帰った金柑シロップを寝る前に飲んで、それから後はクシャミの記憶は無いそうです。ところが朝から再びクシャミで、朝のお勤めの間中、クシャミ連発。アドス和尚に「やかましい!」と叱られたとか。
「親父にも言われた、坊主は身体が資本だとな。喉をやられる前にサッサと治せと怒鳴られたんだが、そう簡単には…。ハーックション!」
「……もしかして、花粉症だとか?」
ちょっと怪しい、という会長さんの言葉に「ああ!」と手を打つ私たち。クシャミ鼻水が定番だと聞く花粉症ですが、罹ると鼻が刺激に過敏になるといいます。
「花粉症かあ…。それっぽいよね?」
あのクシャミ、とジョミー君が頷き、マツカ君が。
「花粉でなくてもアレルギーかもしれませんね」
「ありますね! ハウスダストとか、花粉の他にも色々と」
それでしょうか、とシロエ君。花粉症だと言われてしまったキース君は「いや…」と視線を彷徨わせてから。
「アレルギーではないと思うが…。そもそも俺とは無関係でだ、ハーックション!」
「誰だって最初はそう思うんだよ」
自分だけは違うと思いたいものだ、と会長さんが腕組みをして。
「とにかく暫く様子見だね。学校にはマスクを持って来た方がいいよ、一休さんが嫌なら」
「そうしておく…」
一休さんマスクは二度と御免だ、と項垂れているキース君。あれはホントに笑えましたから~!



翌日からもキース君のクシャミ連発は収まらないまま、秋のお彼岸に突入しました。副住職だけに土日は墓回向、お中日は法要や関連行事で丸々一日ぶっ潰されて、その後も続く墓回向。一週間もの戦いを終えたキース君は今年もバテバテで。
「くっそお…。今年も死んだ…」
思い切り死ねた、と「そるじゃぁ・ぶるぅ」のお部屋で討ち死にモード。残暑が厳しかったため、墓回向はもれなく炎天下。法要だって大変な上に、例の花粉症だかアレルギーだかのクシャミをこらえての読経三昧、それで死なないわけがなく…。
「お疲れ様。問題はそのクシャミだねえ…」
早く病院に行った方が、と会長さん。
「甘く見てると酷い目に遭うよ? そして本当にアレルギーとか花粉症なら、シールドの練習をしないとね?」
「「「シールド?」」」
「あれっ、知らなかった? 要はアレルギー源と接触しなけりゃいいわけだから…。マスクの代わりに顔だけシールド、それでクシャミ知らずって仲間もいるんだけれど」
「裏技ですか!」
凄いですね、とシロエ君、絶賛。
「キース先輩、その方向で行きましょう! サイオニック・ドリームも坊主頭限定でマスター出来た先輩なんです、アレルギー対策のシールドくらいは簡単ですよ!」
「そう思いたいが…。本当にアレルギー…。ックション!」
「意地を張らずに病院ですって!」
お勧めします、とシロエ君にも背中を押されたキース君は、その場で檀家さんがやっている耳鼻科に電話をかけて次の日の夜の予約を入れたのですけど。



「…あれっ?」
キース、マスクは? とジョミー君。次の日の朝、キース君はマスクを着けてはいませんでした。
「マスクか? 持って来てはいるんだが…。一休さんは御免だからな」
ほれ、とポケットからマスクを取り出したものの、着けない上にクシャミも無し。
「先輩、治ったんですか?」
「そのようだ」
「花粉症って治るんでしたっけ?」
治療もせずに、とシロエ君が首を捻った所でキンコーン♪ と予鈴。間もなく本鈴が鳴って、現れたグレイブ先生はマスク無しのキース君に顔を顰めましたが、クシャミは一度も出ないままで。
「キース・アニアン、風邪は治ったのかね?」
「治ったようです」
「なら、よろしい。次からも風邪の症状が出たらマスク持参で来るように」
グレイブ先生は花粉症ともアレルギーとも思わなかったらしく、鼻風邪の一種で片付けられました。確かに鼻風邪って線もありますけれど…。
どうなんだか、とジョミー君たちと顔を見合わせ、その後の授業もキース君のクシャミは全く無し。本当に鼻風邪だったか、はたまた花粉症が引っ込んだか。悩む間に放課後になって…。



「かみお~ん♪ キース、マスク無しだね!」
治ったお祝い! と「そるじゃぁ・ぶるぅ」がシロップ漬けの金柑をたっぷりと入れた金柑タルトを切り分けてくれました。みんなで「おめでとう」と祝福してから、いざフォークをば。うん、美味しい!
「結局、鼻風邪だったわけ?」
ジョミー君が訊くと、キース君は。
「それがな…。どうやら線香らしい」
「「「線香!?」」」
「親父が線香を変えたんだ。お彼岸も近いし立派なのを、と香りが高いのを選んだわけだが、立派すぎて俺には耐性が無かった」
そのお線香の煙を嗅いだ途端にクシャミなのだ、とキース君の顔は大真面目。
「白檀だか沈香だか何か知らんが、いい香りはした。これはいいな、と思ったんだが、どうも俺とは致命的に相性が悪かったようで…」
ヤツが去ったらクシャミも治った、と言われてビックリ、唖然呆然。
「お線香のアレルギーですか…」
「一種の過敏症じゃないかしら?」
「だけど治って良かったよねえ、花粉症だと治らないしね?」
大変そうだよ、とジョミー君が肩を竦めてみせると、会長さんが。
「そうでもないよ? 花粉症が治る人もいる」
「「「ええっ!?」」」
「それも治療も何もしないで綺麗に治ってしまうんだな」
其処に至るまでが大変だけどね、と会長さんは金柑タルトを頬張って。
「いわゆるアレかな、毒を少しずつ飲み続けていれば効かなくなるってヤツと同じだよ。花粉を浴びて浴びまくる内に耐性が出来てしまうわけ」
ただし二年や三年では無理、という話。軽く十年くらいはハードなクシャミ鼻水ライフで、その後も軽度の花粉症な日々を続けて、気付けば治っているのだとか。
「だからね、キースのお線香もさ…。アレルギー反応みたいなモノなんだからさ、焚き続けてればクシャミも治るかもしれないけれど?」
「御免蒙る!」
しかも毎日焚くには高すぎるのだ、とキース君。アドス和尚もキース君のクシャミに懲りて二度と購入予定は無いとか。クシャミ克服、見たかった気も…。



とりあえず今後はクシャミ連発の予定は無いらしいキース君。花粉症でなくて良かったです。顔だけシールドを張る練習にどのくらいかかるか分からないし、と語り合っていると。
「こんにちは。なんか克服したんだって?」
「「「!!?」」」
誰だ、と振り返った先に優雅に翻る紫のマント。ソルジャーがツカツカと部屋を横切り、空いていたソファに腰を下ろして。
「ぶるぅ、ぼくにも金柑タルト! それと紅茶もお願いするね」
「オッケー!」
ちょっと待ってね、とキッチンに駆けて行った「そるじゃぁ・ぶるぅ」は直ぐに注文の品を運んで来ました。ソルジャーは金柑タルトを口に入れるなり「いいね」と笑顔。
「こういうタルトはお店じゃ売っていないしねえ…」
「小さな店ならあるだろうけどね」
金柑自体がマイナーだし、と会長さん。
「ぼくとぶるぅは作ってる農家から直接買っているけれど…。スーパーとかでは珍しいよね、だから金柑タルトもマイナー」
「そうなんだ? でもって、珍しいと言えばさ…。さっき君たちが話題にしていた花粉症だっけ、あれが勝手に治っちゃう人がいるのかい?」
「らしいよ、実例も知らないことはない。仲間じゃないけど、子供の頃から酷い花粉症だった人が今ではピンピン、花粉の季節もマスク無しってね」
たまに璃慕恩院で会う女性なのだ、と会長さんは教えてくれました。子供時代に行った璃慕恩院の修行体験ツアーでハマッたとかで、大きなイベントがあれば来るのだとか。中学生くらいの時に緋色の衣の会長さんに「ツーショットお願いします!」と突撃してきた猛者なのだそうで。
「今じゃすっかりオバサンだけどさ、相変わらずぼくの熱烈なファンなんだよね」
「かみお~ん♪ ブルーを見付けたらダッシュで走って来るもんね!」
「そうなんだよねえ、此処までのお付き合いになると分かっていたらさ、仲間にするのもアリだったかなあ…」
今でも考えてはいるんだよね、と会長さん。仕事一筋の独身ライフの女性らしくて、エラ先生の見た目くらいのお年頃。その外見の仲間は貴重だから、と密かに目を付け、接触の機会を探っているとかいう話。ソルジャーとしてのお仕事も真面目にやってはいるみたいですねえ…。



「なるほど、しっかり実例も見た、と」
それは素晴らしい、とソルジャーはいたく感心しています。ソルジャーの世界にも花粉症ってあるのだろうか、と考えていたら。
「その花粉症の克服法! 応用できると思わないかい?」
「「「は?」」」
何に、と訊き返すしかない今の状況。キース君のお線香過敏症には確かに応用できそうですけど、予算の関係で却下っぽいですよ?
「違う、違う、キースのクシャミじゃなくて!」
もっと歴史の長いものだ、とソルジャーに言われても何のことやら。それに歴史が長いんだったら、会長さんの熱烈なファンだというオバサン同様、とっくに克服していそうですが…。
「うーん…。花粉ほど頻繁に浴びるものではないからねえ…」
まだ経験値が足りないのだろう、とソルジャーはニッコリ笑いました。
「花粉症の話は分からないでもないんだよ。このぼくだって人体実験されまくった結果、効かなくなった薬も沢山あるしね。だから色々苦労したんだ、本当に」
もう本当に大変だったのだ、と聞けば思わず沈痛な面持ちになるしかなくて。
「…それはホントに同情するよ」
大変だったね、と応じる会長さんに、ソルジャーは。
「あっ、分かる? もうね、何が一番困ったと言うに、催淫剤と言うか、媚薬と言うか…。あの類のがサッパリ効かなくってさ、ハーレイとの時間がもう」
「退場!!」
会長さんの叫びはサクッと無視され。
「この世界にはつくづく感謝してるよ、色々な薬があるからね! 自然由来の漢方薬とかは実にいいねえ、ぼくの世界じゃ貴重過ぎたから実験に使ってないからね!」
スッポンはもう手放せないよ、と瞳がキラキラ。
「それでさ、さっきの話の続きだけれど…。こっちのハーレイに応用できないかな、あれ」
「スッポンとかならお断りだよ!」
サッサと帰れ、と会長さんが怒鳴り付ければ、ソルジャーは。
「そうじゃなくって、ハーレイの鼻血!」
「「「鼻血?」」」
「そう、鼻血!」
治らないかな、と言われましても。鼻血って鼻からツーッと出るヤツ…?



花粉を大量に浴び続けた場合、花粉症が勝手に治る人もいるという話。其処からどう転べば鼻血になるのか、と思いましたが。
「こっちのハーレイ、気の毒でねえ…。何かといえば鼻血で失神、美味しい思いをするどころじゃないし」
「そんな思いはさせなくていいっ!」
「君の方ではそうだろうけど、ぼくにしてみれば気の毒なんだよ」
ぼくはハーレイと結婚してるし、とソルジャーは真顔。
「こっちのハーレイも君に心底惚れているのに、鼻血のせいで損をしまくり! あれが治れば男が上がって、君も惚れるかと思うんだけどね?」
「ぼくは絶対、惚れないから!」
「強引にグイグイと押して来られたら気持ちも変わってくると思うよ、リードして貰ってなんぼだからねえ、ああいう世界は」
たとえ自分が食われる方でも気にしない! と言い放つソルジャー。
「ぼくは食われる方よりも食べる方が好み! だからハーレイも美味しく食べてるつもりだけれども、獣みたいなハーレイにはハートを持って行かれてしまうねえ…」
食われて嬉しい気分なのだ、とソルジャー、ニコニコ。
「君もそういう立場になったらハーレイへの愛に目覚めるよ! そのためにも是非、ハーレイの鼻血を治したいわけ!」
結果的にはヘタレ直しへの大切な一歩となるであろう、と恐ろしい主張。
「花粉を大量に浴びると花粉症が治ってしまうんだろう? だったら、鼻血は出せばいいんだ! 大量に出して出しまくっていたら、その内に!」
鼻血克服! とグッと拳を握るソルジャー。鼻血を出して鼻血克服って、鼻血はアレルギー源とは仕組みが異なる筈ですが…?



教頭先生に花粉症ならぬ鼻血を克服させたいのだ、とソルジャーはとんでもないことを言い出しました。鼻血を出しまくっていれば克服出来るであろう、という意見。でも…。
「鼻血と花粉症は仕組みが違うから!」
全然違う、と会長さん。
「出しまくったからって耐性が出来るものではないんだよ! アレルギー源でも毒でもないし!」
「その辺はぼくだって理解してるよ」
「それなら馬鹿なことを口にしないで欲しいね!」
「分かってないのは君の方だよ、要は場数が大切なんだよ!」
花粉にしても鼻血にしても…、と言うソルジャー。
「鼻血を出すような場面に嫌と言うほど出会っていればね、精神的にタフになってくる筈!」
「なんだって!?」
「タフと言ったよ、この程度のことでは動じません、というタフな神経!」
それを養ってやれば鼻血も出ない、と指摘されれば一理あるかも。そうなのかも、とキース君たちと見交わしていると、会長さんが憤然と。
「そんな神経、迷惑だから!」
「オモチャに出来なくなるからだろう? それがいいんだよ」
オモチャ転じて大人のオモチャ、とソルジャーはニッコリ笑いました。
「いつもの調子でからかっていたら、鼻血の代わりにパックリ食われる! そうして君も一人前だよ、ハーレイとの愛の世界に開眼!」
「そういう予定もつもりも無いから!」
「君には無くても、ぼくにはあるねえ…」
是非とも鼻血を克服させたい、と先刻の言葉を繰り返すソルジャー。
「こっちのハーレイも君と幸せになるべきなんだよ。そのためだったら頑張るつもり!」
「何を!?」
「もちろん、鼻血を出させることだよ!」
毎日、食後と寝る前と! と薬の飲み方まがいの台詞が。
「ああ、でも朝御飯と昼御飯っていうのは慣れてこないとマズイかな…」
鼻にティッシュじゃ仕事にならない、とソルジャー、教頭先生の職業は理解している模様。
「とりあえずはアレだね、毎晩、鼻血を出す所から!」
早速、今日から! とブチ上げられても、毎晩鼻血って、どんな計画…?



「最初の間は脱ぐだけでいいと思うんだよ、うん」
ソルジャーは自分が思い付いた名案に酔っていました。
「それとハーレイが倒れない程度の鼻血に留めることが肝心! 倒れるトコまで行ってしまったら逆効果だしね!」
警戒されては本末転倒、と話すソルジャー。
「ぼくが毎晩通うからには、警戒よりも期待が大切! 期待の心で鼻血克服!」
もっと脱いで欲しければ鼻血を克服、と極上の笑み。
「鼻血が酷くなったら倒れちゃうしね、その前にぼくは失礼するわけ。場数を踏んで鼻血が出にくくなって来たなら、脱ぐのももちろんバージョンアップ!」
いずれは全部脱いでも鼻血は出なくなるであろう、とソルジャーは全部脱ぐつもり。あまつさえ、全部脱いでも鼻血が出ないレベルまで到達したなら…。
「当然、ベッドに誘うんだよ! 熟練の先達、このぼくがベッドでの時間を手取り足取り!」
「やめたまえ!」
会長さんが裏返った声で叫びましたが、その程度で怯むソルジャーではなく。
「じゃあ、止めれば?」
止められるものなら止めてみれば、と開き直り。
「サイオンでもいいし、其処の連中まで動員してきて人海戦術で止めるのもいい。ただし、ぼくの方も全力で鼻血克服に挑むからねえ、手加減しないよ」
全力でシールド、全力で妨害! とソルジャーは滅多に見せない本気モードで。
「だけど覗き見はさせてあげるよ、ぼくの計画の進行具合を見て欲しいしね? こっちのハーレイが鼻血を克服してゆく過程を是非、見守ってくれたまえ!」
「見守らないから!」
止めてみせる、と会長さんが怒鳴る気持ちは分かりますけど、相手はソルジャー。それこそ場数と経験値の違いが同じ顔でも月とスッポン、止められる可能性の方が少ないわけで…。
「ぼくを止めるって? お好きにどうぞ」
止められるんなら好きにしたまえ、とソルジャーはソファから立つとフワリとマントを翻して。
「それじゃ最初の君との勝負は今夜だね? 何人がかりでも大いに歓迎!」
覗き見はどうぞご自由に、と言うなり姿が消えてしまいました。まさかもう出掛けて行ったとか? まだ夕方だと思うんですけど、早くも脱ぎに行っちゃったとか…?



ソルジャーが立てた恐ろしい計画、教頭先生の鼻血克服大作戦。鼻血を出さないタフな精神を養った上で会長さんを食べさせるべし、というトンデモな計画が動き出しつつあるようです。
「お、おい…」
キース君がキョロキョロと見回して。
「あいつは何処に消えたんだ? 教頭先生の所じゃないだろうな!?」
「…今の所は安全圏だよ」
全然安全じゃないんだけれど、と会長さんが途方に暮れながら。
「今は自分の世界にいるねえ、そして私服を物色中! どれを脱ぐのが効果的なのか、あれこれ考えているみたいだけど…」
「つまりは本気で脱ぐつもりか…」
「らしいね、あっちのハーレイの意見も訊いてる」
仕事中だというのに公私混同、と会長さんは深い溜息。
「相談したいことがあるから少し借りる、とブリッジから瞬間移動で強引にね…。でもって、どの服を脱いだら喜ばれるかと訊いてるんだよ、自分のパートナーを相手に脱ぐ相談!」
「…とてもソルジャーらしいですけど、お気の毒ですね…」
キャプテンが、とシロエ君が零せば、「ううん」と会長さんが即答。
「趣旨を聞いたら感動してるよ、流石は夫婦と言うべきか…。こっちのハーレイに前から同情しているからねえ、鼻血克服作戦には大いに乗り気!」
「でもよ、浮気の危機だぜ、あれって…」
そこの所はどうするんだよ、とサム君が訊くと。
「ブルーは治療だと言い張っているし、鼻血克服が上手くいったら三人でヤろうと…。おっと、今のは失言だった」
とにかく美味しい餌をチラつかせて丸め込んだと思え、という答え。
「そういうわけでね、あっちのハーレイに止める理由は無くなったんだよ。ブルーは毎晩脱ぎに来る気で、ハーレイの鼻血を克服させる気!」
「じゃ、じゃあ…」
克服しちゃうわけ? とジョミー君がうろたえ、私たちも背筋がゾクッと寒く。
もしも教頭先生が鼻血を克服してしまわれたら、会長さんの人生ってヤツもすっかり狂ってしまいませんか…?



「克服される前に全力で止める!」
会長さんの宣言は全力でしたが、サイオンでソルジャーに敵わないことは誰もが承知。それでも止めると言い出すからには…。
「君たちも協力するんだよ! ブルーのシールドを突破するとか!」
「「「えぇっ!?」」」
あのソルジャーのシールドを破ることなど、私たちに出来る筈がありません。けれど会長さんは「やれ!」の一点張りで。
「昔から言うだろ、火事場の馬鹿力とか、バカの一念、岩をも通すとか! これだけいるんだ、やってやれないことはない!」
当たって砕けろ! と余りにも無茶な御注文。絶対無理だと思いはしても、会長さんもソルジャーと同じで思い立ったら実行あるのみ。「やれ」と言われて逃げようものなら、首に縄を付けても引きずり戻され、ズルズルと引き摺って行かれる以外に道は残っていそうもなくて…。
「…あんた、俺たちに死ねと言う気か?」
キース君の精一杯の反論でしたが、会長さんは冷ややかに。
「それじゃ、ぼくに死ねと? あのハーレイの餌食になれと言うのかい、君は?」
「…い、いや…。そ、そういうわけでは…」
「だったら、頑張る! 根性あるのみ!」
あの馬鹿を止めろ、と繰り返される恐怖の呪文。ソルジャーの思い込みも怖いですけど、会長さんだって負けてないほど怖いですってば~!



ソルジャーが私たちの世界に戻って来る前に、と瞬間移動で会長さんの家へ連れて行かれて、バトルの前の壮行会。いつもだったら大歓声の焼き肉パーティーの席はまるでお通夜で、水杯でも交わされそうな雰囲気で。
「…シールドってどうやって破るんです?」
シロエ君の問いに、キース君が。
「俺が知るわけないだろう。お念仏では突破出来ないことは確かだ」
「理屈としてはね、ブチ壊すんだよ」
サイオンで、と会長さん。
「そして物理的にも破壊出来ないことはない。シールドを張ってる人間が持ちこたえられないほどのダメージを与えれば破ることも出来るし、突破も出来る」
これだけいれば…、と会長さんは私たちの頭数を勘定して。
「一人くらいは当たって砕けない可能性もゼロではないさ。もちろん、ぼくとぶるぅも全力で行くし、君たちは物理的な攻撃をね」
「…殴るのか?」
素手か、とキース君が尋ねて、会長さんが。
「柔道部は素手でいいんじゃないかな、腕には自信があるんだろ? それとも全員、金属バットでも持って行くかい?」
一斉に殴り掛かればあるいは…、と言われても、金属バット。それは一歩間違えたら凶器であろう、と容易に想像がつきました。もう少しマシな道具は何か無いのでしょうか?
「かみお~ん♪ 殴るんだったら金槌もあるし、ハンマーとかバールも使ってね!」
「いえ、強盗じゃないですから!」
もっとマシな…、というシロエ君の言葉に「そるじゃぁ・ぶるぅ」は「うーん…」と暫く考え込んでいましたが。
「そうだ! ちょうどいいのがあるから待っててねー!」
取ってくるね、と何処かへ走って行って、「お待たせー!」と両手で抱えて来たもの。一瞬、カラフルなラケットの山かと思ったそれは布団叩きというヤツでした。干した布団をパンパンと叩く道具です。
「あのね、これも力いっぱい叩いても壊れない道具だから!」
「「「…布団叩き…」」」
ソルジャーのシールドを破るには頼りなさすぎなような、バカバカしすぎて逆に頼もしいような。ともあれ、武器を手にした以上は、素手で行くよりかは幾らかマシかな…。



会長さんはサイオンでソルジャーの世界を覗いては監視していましたが。
「来るようだよ。ぼくに予告を寄越してきた。今からハーレイの家に行くよ、と」
「「「………」」」
「布団叩きは一人一本持ったんだろう? それで殴ってシールド突破の覚悟だよ、うん」
出発! の号令に合わせて「かみお~ん♪」の声が。私たちの身体がフワリと浮いて、移動した先は教頭先生の家のリビングで。
「…あれ?」
教頭先生は私たちに気付いていませんでした。何故、と思う間もなく、ソファで新聞を読んでおられる教頭先生の直ぐ前にソルジャーがパッと。私服を物色していると聞いていた割に、紫のマントの正装ですよ…?
「あれにしておこうと思ったらしいね、今は薄着の季節だからね」
会長さんがチッと舌打ちを。
「マントに上着と重ね着してるし、脱いでいく過程をたっぷり見られる。あっちのハーレイもお勧めなんだよ」
ついでに、と教えて貰った事実。ソルジャーのシールドは私たちの到着前から展開済みで、教頭先生と二人の世界らしいのです。覗き見を許すと言っただけあって中の様子は丸見えですけど、私たちの姿も声も教頭先生には分からないそうで。
「一対一だからこそ、ああなるんだよ」
会長さんが指差す先では、ソルジャーが教頭先生と歓談中。キャプテンと出掛けたデートの話なんかをしていて、教頭先生は「そうなのですか」と相槌を。
「よろしいですねえ、お幸せそうで」
「羨ましいだろ? こっちのブルーは冷たいからねえ…」
「私の努力が至らないのか、昔からあの通りでして…」
「うん、知ってる。だからね、ぼくも一肌脱いであげたくってさ」
文字通り一肌脱ぐつもりでね、とソルジャーは艶やかな笑みを浮かべて。
「名付けて、君の鼻血克服大作戦!」
「…は?」
「鼻血だよ、鼻血! 何度も出してりゃ慣れてしまってタフな男に!」
まずは一日、一鼻血! とソルジャーはマントに手を掛けました。
「今日の鼻血は何処で出るかな、もしかしてアンダーくらいでギブアップとか?」
バサリと床に落ちた紫のマント。教頭先生、目が点ですよ…。



マントの次は白と銀の上着。ソルジャーがそれを脱ぎ、黒いアンダーだけになった所で。
「…うっ…!」
教頭先生の指が鼻の付け根を押さえましたが、努力も空しくツツーッと鼻血。ソルジャーは「もう鼻血かい?」と微笑むと。
「それじゃ今夜はここまでかな。また明日の夜に脱ぎに来るから!」
「…明日の夜?」
「君が鼻血を克服するまで、何度でも! 全部脱いでも平気になるまで!」
じゃあね、と笑顔で手を振ったソルジャーの姿がパッと消え失せた次の瞬間、私たちの身体もクイッと引っ張られて。
「「「???」」」
気付けば会長さんの家のリビングで、ソルジャーがマントと上着を抱えてアンダー姿で立っていました。
「武装勢力が来てるというのは知っていたけど、布団叩きとは勇ましいねえ…」
「烏合の衆でも、いないよりかはマシなんだよ!」
いずれは君のシールドを突破、と会長さんが叫べば、ソルジャーは。
「やるだけやってくれればいいけど、ぼくも本気でシールドするしね? こっちのハーレイの鼻血克服がかかっているんだ、邪魔はさせない」
「ぼくも本気で妨害するから!」
負けてたまるか、と会長さんも必死の形相。どうやら私たちは毎日毎晩、布団叩きで武装した上でソルジャー相手に戦わなければならないようです。ソルジャーが全部脱いでしまうよりも前にシールド突破。それってホントに布団叩きで出来るんですかねえ…?



教頭先生の鼻血克服を目指し、ソルジャーは足繁く通って来ました。夜な夜な教頭先生の目の前でソルジャーの正装を脱ぐわけですけど、鼻血克服への道は遠くて。
「…今日もアンダーでアウトでしょうねえ…」
シロエ君が呟き、キース君が。
「あいつが調子に乗ってるからなあ、ただ脱ぐってだけじゃなくってな」
「なんか鍛えるためらしいよねえ、どんなシチュエーションでも平気なように」
ジョミー君が言う通り、ソルジャーは脱ぐ過程に工夫を凝らしていたりします。妖艶な笑みを浮かべて脱いだり、思わせぶりなポーズを取ったり。挙句の果てに「場所を変えよう」とベッドの上やらバスルームの隣の脱衣室やら、それはもう実に色々と…。
教頭先生は未だにアンダー姿の先を拝めず、鼻血を出したり噴いたりの日々で。多分今夜もその線だろう、と飾りと化した布団叩きを握ってソルジャーの出現を待ち構えていれば。
「こんばんは。…遅くなっちゃって」
ソルジャーが教頭先生の家のリビングに現れたまでは予想の範疇内でしたけど。
「「「…えっ?」」」
教頭先生の顔が赤く染まって、ツツーッと鼻血。ソルジャーは脱いでいないのに鼻血。
「…す、すみません…! つい…」
あれこれと想像してしまいまして、と謝る教頭先生の鼻血修行は始まる前の出血のせいでアッサリ中止になりました。こんな日もあるのか、と呆れつつ撤収したというのに、翌日も修行を待たずに鼻血。そのまた次の日もソルジャーの姿を見るなり鼻血で。



「うーん…。あれって、もしかしなくても…」
条件反射というヤツだろうか、と会長さんがボソリと口にするまでに一週間はあったでしょうか。
「「「条件反射?」」」
「要するにアレだよ、ブルーが来たら鼻血克服の修行の始まり! もうそれだけで妄想タイムのスイッチオンでさ、何もしなくても鼻血がツツーッと」
「…なるほどな…。まるで無いとは言い切れんな、それは」
キース君が大きく頷き、シロエ君も。
「かなり色々とやらかしましたしね、ただ脱ぐだけで」
「そうだろう? だからさ、鼻血克服どころか全く真逆の方へ向かってまっしぐら!」
会長さんはいとも嬉しそうに。
「これは使えると思うんだよ。ぼくからハーレイを遠ざけるために!」
「「「は?」」」
「今の所はブルー限定で鼻血だけれどさ、ぼくもブルーの真似をしてればハーレイはぼくに会うだけでアウト! オモチャにしたい時を除いて会わないためには、鼻血を出させる!」
今夜からぼくも真似してみよう、と言い出した会長さんを止められる人はいませんでした。布団叩きで武装して連れて行かれる所までは普段の通りでしたが、ソルジャーを見た教頭先生が鼻血を出した時点で。
「…こんばんは」
面白そうなことをやってるねえ? と声を掛けに出掛けた会長さん。それだけでは教頭先生からは見えもしないし声も無理では、と思っていたのに。
「おや、君も一緒にやりたくなった?」
何か勘違いをしたらしいソルジャーが自分のシールドに会長さんを招き入れ…。
「ハーレイ、今日からブルーも脱ぐって! 良かったねえ!」
「…ブ、ブルーも脱ぐと…」
「うん。ぼくの場合はマントが無い分、ちょっと早い…って、えっと、ハーレイ?」
教頭先生、ブワッと鼻血。その後は仰向けにドッターン! と倒れて、見事に失神。「そるじゃぁ・ぶるぅ」がつついてみても意識は戻って来なくって…。



「鼻血克服、先は長そうだねえ…」
「せっかく君まで来てくれたんだし、此処は一発、頑張らないとね!」
明日からは武装勢力も要らないだろう、とソルジャーは会長さんの家のリビングで上機嫌。会長さんの目指す所が何処にあろうと、いつかは鼻血を克服出来ると信じていて。
「花粉症の人は十年かかったんだっけ?」
「酷い症状が消えるまでに十年、その後に軽症の期間が何年って言ってたっけか…」
「じゃあ、十年ほど頑張ってみれば酷い鼻血は無くなるわけだね、倒れたりするようなレベルのヤツは」
まずは鼻にティッシュくらいで済む日に向かって頑張ろうか、と決意のソルジャー。
「いいかい、明日から必ず君も一緒だよ?」
「ちょっと遅れて参加した方がいいと思うよ、二段構えで鼻血の方が」
「そうかもね! 回数多めがきっといいよね」
力を合わせて鼻血克服! と意気投合の二人ですけど、教頭先生の立場はどうなるのでしょう? 毎日毎晩、鼻血三昧。まさか失血死はしないでしょうけど、貧血とかはあるかもです。
鼻血を克服するのが先か、はたまたドクターストップか。どっちに転ぶか賭けたいですけど、賭けは成立しないかも…。ともあれ、明日からダブルで鼻血。教頭先生、鼻血なんかで死んだりしないで下さいね~!




          治したい症状・了

※いつもシャングリラ学園を御贔屓下さってありがとうございます。
 教頭先生の鼻血克服大作戦。成功するとは思えませんけど、どうなんでしょうね?
 ちなみに「花粉アレルギーが治る人」はいます、管理人自身が生き証人です。
 これが2017年の更新としてはラスト、「ぶるぅ」お誕生日記念創作もUPしました。
 来年も懲りずに続けますので、どうぞよろしく。それでは皆様、良いお年を。
 次回は 「第3月曜」 1月15日の更新となります、よろしくです~!

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 こちらでの場外編、12月は、心配なのが除夜の鐘。なにしろ期待している人が…。
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