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シャングリラ学園シリーズのアーカイブです。 ハレブル別館も併設しております。

ゲームで縛れ

※シャングリラ学園シリーズには本編があり、番外編はその続編です。
 バックナンバーはこちらの 「本編」 「番外編」 から御覧になれます。




シャングリラ学園、新しい年も平和にスタートしたのですが。元老寺での除夜の鐘やら、アルテメシア大神宮への初詣なんかも無事に終わって、学校の新年恒例行事もすっかり終了、次は入試かバレンタインデーか、といった辺りの今日この頃ですが…。
「おいおい、今日も副業やってんのかよ?」
サム君がシロエ君に声を掛けている放課後の「そるじゃぁ・ぶるぅ」のお部屋。シロエ君は一心不乱に作業中というか、副業と言うか。カシスオレンジのチーズケーキは半分以上残っていますし、紅茶だって冷めてしまったのを「そるじゃぁ・ぶるぅ」が入れ替えています。
「おい、シロエってばよ!」
「あ、すみません…。何でしたっけ?」
全く聞いていませんでした、と手を止めて顔を上げたシロエ君。
「明日の予定のことでしたか?」
「いや、そうってわけでもねえけどよ…。予定も何も…なあ?」
「どうせブルーの家だよね?」
土曜日だしね、とジョミー君が笑って、キース君も。
「寒い時期だしな、特にイベントも無いからな…。しかしシロエはこの調子では…」
「間違いなく明日も副業でしょう」
今日も注文多数でしたし、とマツカ君が言い、スウェナちゃんが。
「すっかりブームになっちゃったものねえ…」
「元は柔道部からだったよね?」
確か、とジョミー君が訊くと、キース君が「ああ」と。
「これが遊べたら楽しいのにな、と古いゲーム機を持って来やがったヤツが最初だったな」
「そうです、そうです。それでシロエが持って帰って直してしまって…」
それ以来ですよ、とマツカ君。
「大抵の家にはあるんですよね、ゲーム機もソフトも」
「一時期、相当流行ったからなあ…。無理もないが」
そしてゲーム機はとうにオシャカの筈なんだが、とキース君がシロエ君の手元を見詰めて。
「シロエにかかれば劇的に直ると評判が立ってしまったからな」
「持ち込みが後を絶たないよねえ…」
いっそ料金を取ればいいのに、とジョミー君。タダでは気前が良すぎないか、と。
「いえ、ぼくはこういうのが好きですから…」
「…駄目だな、これは」
明日も副業まっしぐらだな、とキース君が苦笑して、案の定…。



「うわあ、それだけ持って来たのかよ!」
今日の昼飯、カニ鍋だぜ? と呆れるサム君。雪模様の中、会長さんの家の近くのバス停に降り立ったシロエ君は大きな袋を提げていました。中身はゲーム機と修理用の工具に違いありません。
「あのさあ…。カニ鍋でそれやってるとさ…」
確実に負けるよ、とジョミー君が呆れた顔で。
「ただでもみんなが無言なのにさ、シロエがそっちにかかりっきりだと…」
「俺たちで全部食っちまうぜ?」
副業しながらカニを食うのは無理だもんな、とサム君が。
「カニを毟った手で弄れねえしよ、まったく何を考えてんだか…」
「そのカニですけど、ぼくは毟らなくてもいいそうですよ?」
食べるだけで、とシロエ君がサッサと歩きながら。
「ぶるぅが毟ってくれるそうです、昨日の夜に思念波で連絡が来ましたから」
「「「えーーーっ!!!」」」
それは反則とか言わないか、と一気に集中する非難。自分でカニを毟らなくても食べられるカニ鍋、そんな美味しすぎる話があってもいいんでしょうか?
「ずるいよ、ぶるぅに毟って貰って食べるだけなんて!」
ジョミー君が責め、サム君だって。
「ぶるぅはプロだぜ、お前、食いっぱぐれねえに決まっているし!」
「いいんですってば、ぶるぅが言ってくれたんですから」
今日のぼくは副業しながらカニ鍋です、と言い切られては反論出来ません。行き先は会長さんと「そるじゃぁ・ぶるぅ」の家ですし…。
「くっそ~、シロエが羨ましいぜ!」
「ぼくも羨ましくなってきた…」
毟らなくても食べられるカニ、とシロエ君が提げた袋をみんなでジロジロ、袋の中身は免罪符ならぬゲーム機の山と来たものです。
「いいなあ、毟らずに食べられるカニ…」
「でもよ、副業があるからだしなあ…」
無芸大食だとぶるぅも世話してくれねえよな、というサム君の台詞でグッと詰まった私たち。食べるだけなら誰でもお箸と器があったら可能ですけど、古いゲーム機の修理なんかは…。
「…俺には無理だな、どうあがいてもな」
「ぼくも無理だよ…」
仕方ないか、とキース君にジョミー君、他のみんなも。今日のカニ鍋、シロエ君の勝利…。



かくしてシロエ君は大量のゲーム機を修理しながら午前中のおやつを平らげ、カニ鍋の方も。食べるのがお留守にならないように、と「そるじゃぁ・ぶるぅ」がマメに声掛けした結果。
「…シロエが一番食ったんじゃねえか?」
カニの殻から察するに、とサム君が指差し、みんなで溜息。
「…負けたようだな…」
俺も頑張って食ったんだが、とキース君がぼやいて、ジョミー君が。
「ぼくも負けないつもりだったのに…。カニの量では敗北したよ!」
でも雑炊では負けないからね、と締めの雑炊をパクパクと。シロエ君の方は雑炊が冷めるに違いない、と眺めていれば。
「終わりましたーっ!」
これで全部、とシロエ君、いきなり戦線復帰と言うか参戦と言うか。修理を終えたゲーム機を置くなり雑炊をパクパク、それも熱い内に。
「嘘だろ、おい…!」
このタイミングで戻って来るなよ、というサム君の声は無駄に終わって、シロエ君が。
「すみません、こっちに刻み海苔を多めで!」
「かみお~ん♪ おかわり、たっぷりあるからねーっ!」
はい、刻み海苔! と「そるじゃぁ・ぶるぅ」がシロエ君の雑炊にパラパラと。熱々の雑炊、シロエ君もリアルタイムで食べるようです。いろんな意味で負けた気がします、今日のカニ鍋…。



せっせとカニを毟った人より、毟らなかった人が勝ったカニ鍋。なんだかなあ…、と溜息をつきつつ、食べ終えてリビングへ移動した後は飲み物片手にお喋りですが。
「そのゲームってヤツ、マジで評判高いよなあ…」
シロエに修理の依頼が山ほど殺到するんだし、とサム君がゲーム機を手に取って。
「なんだったっけか、モンスター狩り…?」
「そうですよ?」
往年の名ゲームですよ、とシロエ君。
「ぼくも少しだけやってましたね、機械弄りの息抜きですけど」
「そいつが何故だか大流行り、というのが今のシャングリラ学園か…」
一般にはもう流通すらもしていないんだが、とキース君。
「シロエの副業で時ならぬブームだ、そうなってくると調べるヤツらも増えてくるしな」
かつてのゲームの遊び方を…、という話から。
「流行りは裸縛りってヤツだったっけ?」
「らしいぜ、キノコ縛りとな」
ジョミー君とサム君が頷き合って、スウェナちゃんが。
「何なの、それは? 裸縛りとかキノコ縛りって…」
「なんか使わないって意味らしいよ?」
ぼくもゲームはやってないけど、とジョミー君が言えば、シロエ君が。
「簡単に言ってしまうとですね、特定のアイテムを使わないでゲームを進めるんですよ」
「そうか…」
あれはそういうヤツだったのか、とキース君。
「そうじゃないかとは思ったんだが、どういう風にだ?」
「裸縛りだと防具無しです、裸一貫っていう感じですね。防御力がグッと落ちるわけです」
「なるほど…。それは難しいかもしれないな」
「そうなりますね。その状況で何処までやれるか、仲間と競って遊ぶんですよ」
キノコ縛りはキノコ無しです、という説明ですが。
「「「キノコ?」」」
「ゲームの世界のアイテムですよ。キノコを食べると回復だったり、効果が色々…」
「それを食わずに進めるんだな、なるほどな…」
面白い縛りがあったものだ、とキース君がニッと。
「俺はゲームはやっていないが、同じやるならキノコよりも裸縛りだな」
そっちの方が楽しそうだ、という意見。キノコよりも裸なんですか…?



シロエ君が修理したゲーム機で流行っているゲーム。同じ遊ぶならキノコ縛りより裸縛りだ、とキース君が言い出しましたが、どうしてそっちの方がいいわけ?
「あくまで俺の個人的な意見ということになるが…。武道を志す者としてはな」
防具無しの方を選びたい、と柔道部ならではの見解が。
「ああ、分かります! ぼくもやるなら、断然、裸縛りの方ですね」
今は修理に忙しいのでやりませんが、とシロエ君。
「一段落したら、ちょっとやろうかと思ってるんです、久しぶりに」
「おっ、やるのかよ?」
お前も参戦するのかよ、とサム君が訊くと。
「もちろんですよ! これだけ流行ってるんですからねえ、やっぱり一度は遊ばないと…」
「それじゃ、シロエも裸縛りでやろうってわけ?」
キノコじゃなくて、とジョミー君。
「縛るんだったら裸でしょう。キノコくらいはどうとでもなります」
「…そういうもの?」
「そんなものですよ、一種のコツがありますからね」
キノコが無くても抜け道色々、とシロエ運。
「ですからキノコを縛るよりかは、裸縛りの方が面白味ってヤツがあるんですよ」
もう本当に運次第で…、とシロエ君が語れば、会長さんも。
「そうだろうねえ、ぼくもゲームはやってないけど、やるならそっちの方を選ぶよ」
「会長もやってみませんか? そうだ、いっそみんなで遊ぶというのも…!」
この際、みんなで裸縛りで…、とシロエ君は乗り気で。
「面白いですよ、あのゲームは」
「そうなのかい? お勧めだったら、その内に遊んでみるのもいいかな…」
「是非やりましょう!」
誰が勝者になるかが全く読めませんからね、と言われてみれば…。
「そっか、ゲームで競ったことって…」
無かったかな、とジョミー君が首を捻って、マツカ君が。
「無いですねえ…。長い付き合いですけれど」
「ね、そうでしょう? 一度みんなで!」
「それもいいねえ…」
悪くないね、と会長さんが頷きました。シロエ君の副業とやらが一段落したら、みんなでゲーム。キノコ縛りだか裸縛りだかで、腕を競おうというわけですか…。



「ぼくは裸縛りを推しますね!」
やるならソレです、とシロエ君が熱く勧めて、キース君も。
「キノコ縛りよりは、そっちだという気がするな…」
「縛り無しっていうのは?」
ジョミー君が声を上げましたが、サム君が。
「同じやるなら縛りつきだろ、無しだとイマイチ面白くねえよ」
「ぼくもそっちに賛成だよ!」
「「「!!?」」」
あらぬ方から声が聞こえて、振り向いてみればフワリと翻る紫のマント。ソルジャーがツカツカとリビングを横切り、空いていたソファに腰を下ろして。
「ぶるぅ、ぼくにも何か飲み物! おやつもあると嬉しいんだけど…」
「かみお~ん♪ そろそろおやつも入りそうだしね!」
サッとキッチンに走って行った「そるじゃぁ・ぶるぅ」がアーモンドクリームタルトを切り分けて運んで来てくれました。紅茶やコーヒー、ココアなんかも注文を聞いて熱いのを。
「はい、どうぞ!」
「「「いっただっきまーす!」」」
うん、美味しい! と頬張った所で、ソルジャーが。
「それでさ、さっきの裸縛りの話だけどさ…」
ぼくたちもやってみたいんだけど、とタルトを口に運ぶソルジャー。えっと、ぼくたちって…?
「決まってるだろう、ぼくとハーレイ!」
遊ばせてよ、と言われましても。
「あのぅ…。そういうゲームですよ?」
シロエ君が念を押しましたが。
「ゲームだからこそ、やりたいんじゃないか! 裸縛りを!」
是非ともそれで遊んでみたい、と熱意溢れるソルジャーの瞳。そんなにゲーム好きでしたっけ?
「モノによるんだよ、ハーレイとはレトロなボードゲームもやったりするしね」
「ああ、なるほど…。分かりました」
それじゃ二人分を余分に調達します、とシロエ君。
「なにしろ昔のゲームですから、行く所へ行けばタダ同然で売られてますしね」
「…売られてるって…。タダ同然で!?」
なんて素晴らしい世界だろう、と妙に感激しているソルジャー。誰も遊ばなくなったようなゲームとゲーム機、そういうものだと思いますけどね?



ゲームをするなら混ぜてくれ、と現れたソルジャーはシロエ君の言葉に感動しきりで。
「それじゃシロエに任せておくけど、アレだね、シロエも顔が広いね」
「それはまあ…。こういう道では長いですから」
行きつけの店も多いんですよ、とシロエ君。
「バイトから店長になった知り合いも大勢いますし、情報も豊富に入って来ますよ」
「素晴らしすぎるよ! まさかシロエにそんな特技があっただなんて!」
知らなかった、と嬉しそうなソルジャー。
「だったら、これからはノルディばかりに頼っていないで、そっちのルートも活用しなくちゃ!」
「「「は?」」」
どうして其処でエロドクターの名前が出るのだ、と思いましたが。
「だってそうだろ、シロエの方でもルートがあるっていうんだからさ!」
しかもタダ同然で色々なアイテムが手に入るルート、とソルジャーの瞳がキラキラと。
「あの手のヤツって、ぼったくりだと思ってたけど…。ある所にはあるんだねえ!」
「…何がです?」
何のことです、とシロエ君が訊き返すと。
「嫌だな、今更、照れなくっても…。裸縛りのゲームに使うアイテムだってば!」
「ああ、それは…。ぼったくる店もありますけどね」
店の見分けが大切なんです、とシロエ君。
「マニアとかコレクター向けの店だと、プレミアがついて高値になるのがお約束です。でもですね、そういったものには見向きもしないような人が多い店だと…」
「安いってわけだね、それはそうかも…」
その趣味が無い人には売れないだろうね、とソルジャー、納得。
「高い値段をつけておくより、安くても売れる方がいい、と」
「そうです、そうです。仕入れたからには売らないと店も損をしますし…。それに売りに行く方も心得てますよ」
詳しい人なら、とシロエ君は得々として。
「タダでも引き取って貰えそうにないものと、自分にとってはどうでもよくても世間で人気の高いものとを持ってってですね、セットでなければ売りません、と言うわけですよ」
「なるほどねえ…! そうやって成り立っているわけなんだね、あの業界は」
「チェーン店だと駄目ですけどね」
その手の技が通用しません、と得意げに語られる玄人ならではの知識の数々。狙い目は個人経営の店なんですか、そうですか…。



シロエ君の話に聞き入ってしまった私たち。ソルジャーも相槌を打ったり質問したりと、大いに満足したようで。
「それじゃよろしく頼むよ、シロエ。ぼくとハーレイも混ぜて貰うってことで!」
「いいですよ。…用意が出来たら連絡ってことでいいですか?」
「どうしようかなあ…。次の週末、暇なんだけどね?」
「次ですか…」
シロエ君は壁のカレンダーを眺めて、それから指を折ってみて。
「その辺りだったら、なんとか間に合うと思いますよ。副業の方は当分忙しそうですが…」
たまには息抜きに遊んでみます、という返事。ソルジャーは「いいのかい?」と嬉しそうで。
「そこならハーレイも休めるんだよ、帰ったら早速、休暇届けを出しとかなくちゃ!」
「…遊び方の説明とかは要らないんですか?」
要るようでしたら付けときますが、とシロエ君。
「初めて遊ぶって人ばかりですしね、入門書をサービスしてるんです。ぶっつけ本番がいいって人も多いんですけど、入門書希望の人もけっこう…」
「ふうん…? 入門書まで作っているのかい?」
「ごく簡単なヤツですけどね。ページ数はそんなに無いんですよ」
基本のプレイと使い方くらいで、とシロエ君は謙遜していますけれど、その入門書。一度は要らないと断った人が貰いに来るほど、実は人気の品だったりします。分かりやすいと評判も高く、基本と言いつつ裏技も多数。
「へええ…。シロエがそういう入門書をねえ…」
流石は裸縛りの達人、とソルジャーはいたく感心したようで。
「ぼくも入門書は要らないってクチの人間だけどさ、それは貰っておこうかなあ…」
「分かりました。ゲームとセットで渡せるようにしておきますよ」
「…先には貰えないのかい?」
その入門書、とソルジャーが。
「入門書だけ先に貰えるんなら、ぼくのハーレイと是非、読みたいんだけど!」
「いいですけど…。生憎と今日は持って来てなくて…」
「君の家にはあるのかい?」
「ありますよ。人気ですしね、昨夜も何冊か作ってたんです」
余裕のある日に作っておかないと在庫切れになってしまいますし…、という計画性の高さ。この几帳面な性格が反映されてる入門書ですから、そりゃあ人気も出ますってば…。



シロエ君の家にはあるらしいですが、持って来てはいない入門書。ソルジャーはそれに興味津々、少しでも早く欲しいらしくて。
「シロエの家にあるんだったら、一冊、欲しいな…。それとも二冊貰えるのかい?」
ぼくの分とハーレイの分とで二冊、とソルジャーが訊くと。
「もちろんです。サービスですから、一人一冊は基本ですよ」
「嬉しいねえ! …出来れば持って帰りたいけど、君の家だし…」
瞬間移動で取り寄せるのは反則だよね、と残念そうにしているソルジャー。
「普段から馴染みの家なんだったら、ヒョイと取り寄せちゃうんだけれど…。シロエの家とは馴染みが無いから、家探しみたいになっちゃうし…」
「かみお~ん♪ ぼく、お手伝い出来ちゃうよ!」
シロエを家まで送ればいいの! と「そるじゃぁ・ぶるぅ」が名乗り出ました。
「しょっちゅう送り迎えをしてるし、瞬間移動で送ってあげれば、シロエが入門書を二冊用意して帰って来られるよ、合図一つで!」
「本当かい? …シロエ、そのコースでお願い出来るかな?」
ソルジャーがシロエ君に視線を向けると。
「いいですよ? えーっと…。ぶるぅ、ぼくの部屋まで送って貰えますか?」
「お部屋でいいの? 作業部屋じゃなくて?」
「入門書は部屋の方なんですよ」
「オッケー! 行ってらっしゃーい!」
帰りは思念波で合図をしてね! とキラッと光った青いサイオン。シロエ君の姿がパッと消え失せ、ソルジャーは「有難いねえ…」と「そるじゃぁ・ぶるぅ」に御礼の言葉を。
「ありがとう、ぶるぅ! 君はいい子だよね、ぼくのぶるぅと違ってね」
「えーっ!? ぶるぅもいい子だと思うんだけど…」
「アレはダメだね、だからゲームにも混ぜてやる気は無いんだよ、うん」
ぼくのハーレイだってやる気を失くしてしまうから…、とブツブツと。
「いくら周りが盛り上がっていたって、ぶるぅはねえ…」
「ぶるぅ、駄目なの?」
「よくないね! なにしろ悪戯が生き甲斐だけにね!」
ついでに覗き…、とソルジャー、溜息。
「せっかくのゲームがパアになるんだよ、ぶるぅがいるっていうだけで!」
「「「あー…」」」
それはそうかも、と私たちも深く頷きました。悪戯されたらゲームどころじゃないですしね…。



間もなくシロエ君から「用意出来ました」と思念波が。「そるじゃぁ・ぶるぅ」のサイオン発動、シロエ君はリビングに青い光と共に戻って来て。
「昨夜作った甲斐がありましたよ、休日に二冊も出るなんて思っていませんでしたし…」
「申し訳ないね、急に我儘言っちゃって…」
「いえ、せっかくのゲームですから…。早めに知識を入れておいたら有利ですよ」
どうぞ、と差し出された入門書が二冊。
「あっ、俺も貰っておきてえな、それ!」
「ぼくも早めに欲しいんだけど!」
サム君とジョミー君が声を上げ、キース君も腰を浮かせています。そういうのは早めに言ってあげたらシロエ君も一回の往復で済んだのに…、と思ったのですが。
「…モンスター狩り入門ねえ…」
ある意味、モンスター狩りかもね、と表紙を眺めているソルジャー。
「普通の人には敷居が高いものだとも聞くし、ぼくとハーレイにしたってねえ…。ハーレイはヘタレが基本だからねえ、モンスターに挑むようなものだよね、うん」
「「「は?」」」
キャプテンのヘタレとゲームで遊ぶのとにどう関係があるんだか、と首を傾げていれば、ソルジャーは入門書をウキウキ開いて。
「…えっ?」
キョトンと目を見開いているソルジャー。異世界のゲーム機の操作方法が謎だったのか、ゲーム機そのものに馴染みが無いのか。どっちだろう、と観察していると。
「…これって、ゲーム機の使い方のように見えるんだけど?」
「そうですよ? まずは其処から書かないと…。今のとは形が変わって来ますし」
「ふうん…? じゃあ、この先が問題ってことで…」
ゲーム機を何に使うんだろう、とソルジャーはページをパラパラめくっていましたが…。
「ちょっと訊いてもかまわないかな?」
これについて、と指差す入門書。
「いいですけど? 分からない単語でも出て来ましたか?」
「そうじゃなくって…。これの何処が裸縛りなわけ?」
「ああ、それはですね…。入門書には書いていないんですよ、そういう遊び方までは」
防具無しっていう意味ですね、とシロエ君はソルジャーに解説しました。入門書にも載っているような基本の防具も無しで遊ぶのが裸縛りで、防具無しだけにリスクが高いと。それだけに達成感も大きく、キノコ縛りも人気なのだと。



「…裸縛りって…。そんな遊びのことだったわけ!?」
おまけにキノコ縛りなんていうのもあったのか、とソルジャーは愕然とした表情で。
「どおりでシロエが詳しい筈だよ、入門書まで作るくらいにね…」
「…どうかしたわけ?」
君は何かを間違えたのかい、と会長さんがニヤニヤと。
「ぼくたちと一緒にゲームしたいとか、君のハーレイまで連れて来るとか、妙に嬉しそうにしていたからねえ、あえて訊くような無粋な真似はしなかったんだけれどね?」
「分かってたんなら、無粋なチョイスで良かったんだよ!」
ぼくの期待を返してくれ、とソルジャーの泣きが入りました。
「シロエが詳しいっていう店の方も、どういう店だか分かったよ! ぼくが思ってたような店じゃなくって、シロエでも堂々と入れる店で!」
「…何の店だと思ってたんです?」
売る時には身分証明書とかが要るんですけど、とシロエ君が訊くと、ソルジャーは。
「そういう店の逆だってば! 身元なんかは分からない方が良くて、十八歳未満かどうかの確認くらいで、それだって微妙なくらいのお店!」
早い話がアダルトショップ、と出て来た言葉に唖然呆然。万年十八歳未満お断りと言われる私たちですが、アダルトショップが何かくらいは分かります。シロエ君とソルジャーが盛り上がっていたのがアダルトショップと勘違いしての話となったら、裸縛りの方だって…。
「そうだよ、ぼくは裸で縛り上げる方の遊びだとばかり…!」
真っ裸にしたり、真っ裸にされたり、それをロープや紐やらで…、と斜め上な台詞。それってどういう遊びなんですか、ソルジャーの言う裸縛りとは…?
「いわゆるSMプレイだよ! それをやろうとしているんだと思ってさ…!」
だから混ざりたかったのだ、とソルジャーはシロエ君が作った入門書を手にしたままで。
「ハーレイにだって休暇を取らせて、こっちの世界でSM三昧! 次の週末はそれに限ると、ぶるぅなんかは混ぜたら終わりだと思ったのにさ…!」
なんてこった、とガックリ眺める入門書。本当に本物のモンスター狩りのゲームだったと、SMプレイというモンスターに挑むわけではなかったと。
「…あのねえ…。気付かない方がどうかしてると思うんだけどね?」
この面子で、と会長さんが私たちの方を順に指差しました。
「普段から何も分かっていないと評判の面子! これでどうやってそういう遊びを?」
「…シロエが詳しいって聞いたから余計に騙されたんだよ…」
ちゃんと話が噛み合ってたから、と項垂れられても困りますってば、そんな勝手な勘違い…。



自分に都合よく聞き間違えたか、取り違えたか。裸縛りをしたかったらしいソルジャーの思惑は分かりましたが、アヤシイ遊びに付き合う義理はありません。シロエ君は「じゃあ、この冊子は要らないんですね?」と入門書二冊を回収すると。
「ゲーム機とソフトの手配も要りませんよね、勘違いですし」
手間が省けて助かります、と立ち直りの早さは頭脳派ならでは。いえ、柔道も凄いですから文武両道と言うのでしょうけど…。ダメージの深さはソルジャーの方が大きそうだな、と見ていると。
「待ってよ、ゲーム機はどうでもいいけど、裸縛りの方だけは…!」
そっちは諦め切れないのだ、とソルジャーが始めた悪あがき。次の週末は裸縛りで遊びたいのだと、裸縛りをやってみたいと。
「あのですね…。ゲーム機が無いと出来ませんからね、裸縛りは!」
ついでにキノコ縛りも無理です、とシロエ君が毅然と切り返しを。
「ぼくたちが遊びたい裸縛りはゲーム機が無いと不可能です! キノコ縛りも!」
「待ってよ、キノコ縛りというのは何なんだい?」
それも魅力的な響きだけれど…、と食い下がるソルジャー。シロエ君は「キノコと言ったらキノコですよ」とバッサリと。
「ゲームの中で使うアイテムなんです、キノコを食べれば色々な効果があるわけですが…。それを一切使わないのがキノコ縛りというプレイです!」
「…たったそれだけ?」
「それだけです!」
それ以上でも以下でもないです、とシロエ君は容赦がありませんでした。…って言うか、ソルジャー相手にここまで戦えた人が今までに誰かいただろうか、と思うくらいに強いシロエ君。あのソルジャーにはキース君はおろか会長さんでも歯が立たないのが私たちの常識だったんですが…。
「そのキノコの効果って、どんな風に…?」
色々というのはどんな感じで…、とソルジャーはまだ未練たらたら。シロエ君は「そんなのを知ってどうするんです!」と一刀両断、ゲームもしないのに意味など無い、と言いつつも。
「回復薬とか強化薬とか、栄養剤とか、秘薬とか…。いにしえの秘薬もありましたね、ええ!」
どれも関係無いですけどね、とツンケンと。
「知りたかったら、まずはゲームを始めて下さい。それからだったら相談に乗ってもいいですよ」
裏技だろうが、キノコ縛りの抜け道だろうが…、と言われたソルジャー、悄然として。
「…そのキノコ、全部、ゲームの世界のものなんだ…?」
おまけに縛るのもゲーム用語か、とそれはガックリきている様子。キノコなんかを縛った所で何かの役に立つんでしょうかね、この現実の世界ってヤツで…?



裸縛りを勘違いしてSMプレイがしたかったソルジャー、今度はキノコに御執心。キノコを縛って何の得があるというのやら…、と思っていたら。
「だって、キノコを縛るんだよ!?」
ぼくのハーレイにもそれは立派なキノコが一本! とソルジャーはキッと顔を上げて。
「ぼくにもそれほど立派じゃないけど、キノコってヤツがついてるんだよ! 正確に言えばキノコじゃないけど、キノコそっくりの部分がアソコに!」
此処に、とソルジャーが指差す股間。ハーレイのアソコは立派なキノコだと、こっちの世界で言う松茸だと。
「「「…ま、松茸…」」」
なんというものに例えてくれるのだ、と今の季節が秋でなかったことに感謝しました。松茸の季節はとうに終わって今は真冬で、当分の間、松茸には会わずに済む筈です。松茸も、他のキノコにも。けれどソルジャーは「キノコなら此処にあるじゃないか」と譲らなくて。
「裸縛りも魅力的だけど、キノコ縛りだって…! しかも強化薬とか秘薬だなんて…!」
いにしえの秘薬もあるだなんて、とシロエ君が挙げたラインナップをズラズラと。
「それでこそ最高のキノコなんだよ、食べればもれなくパワーアップ!」
しっかり縛って、それから食べる! とグッと拳を。
「ハーレイのアソコをキッチリ縛れば、きっとパワーが漲るわけで!」
「…勝手にやっててくれませんか?」
次の週末はぼくたちはゲームをするんです、とシロエ君はまさに最強でした。
「ゲーム機を持たずに参加はお断りです、キャプテンと二人でお好きに遊んでおいて下さい」
「…裸縛りとキノコ縛りで?」
「遊び方は人それぞれですから、縛らない人も中にはいますよ」
縛ったら最後、まるでゲームが進まない人も多いんですから、と当然と言えば当然な話。
「縛りプレイは猛者向きなんです、素人さんにはそうそうお勧めしませんね!」
でもぼくたちはやりますけどね、とキッパリと。
「キース先輩も乗り気でしたし、他のみんなもやるなら裸縛りなんだということですし…。次の週末はゲームなんです、ゲーム機を持たずに来て頂いても、いいことは何もありませんから!」
「…そういうオチかい、ぼくはわざわざやって来たのに?」
「ぼくだって、わざわざ入門書を取りに帰りましたよ!」
勘違いのせいで瞬間移動はお互い様です、と言い返されたソルジャーは。
「ぼくのは空間移動なんだけど…」
「ほんの一文字、違うだけです!」
どっちもサイオンで移動ですから、とシロエ君も負けていませんでした。かくしてソルジャー、手ぶらで帰って行く羽目になって…。



「すげえな、シロエ! 追い返したぜ、あいつをよ!」
サム君がシロエ君の肩をバンバンと叩いて、キース君が。
「俺はお前を見直さないといけないな…。柔道の方なら負けはしないが、あいつの扱いについては負けた。一本取られたという気がするぞ」
「本当ですか、キース先輩!?」
ぼくは先輩に勝ったんですか、とシロエ君は感無量で。
「夢を見ているような気分ですよ。ぼくはゲームについて語っただけなんですが…」
「いや、充分に凄かった。流石はゲーム機を修理出来るだけの達人ではある」
しかもゲームもやり込んだんだな、とキース君はシロエ君を絶賛しました。だからこそソルジャーに口先だけで勝利できたと、見事に叩き出せたのだと。
「俺は猛烈に感動している。まさかあいつに勝てるヤツが存在していたとは…」
「ぼくも同感だよ、シロエがアッサリ勝つだなんてね」
あのブルーに…、と会長さんも大感激で。
「話が最初から噛み合ってないことは分かっていたけど、シロエがいなけりゃ、今頃はね…。もう間違いなく大惨事ってね」
「そうでしょうか?」
「うん、保証する。次の週末はゲームどころか仮装パーティーとかにされていたね」
そして裸で縛りなのだ、と会長さんは吐き捨てるように。
「ぼくたちは絶対参加しないと言ったってさ…。相手はなにしろブルーだからねえ?」
もう強引に押し掛けて来るに決まっている、と言われて私たちも「うん、うん」と。ソルジャーだけに教頭先生を巻き込むこともありそうで…。
「その線も大いにあっただろうねえ、仮装パーティーをやらかすならね!」
真っ裸にされて縛り上げられたハーレイを肴に飲む会だとか…、と会長さんの発想の方もソルジャーに負けず劣らず酷いものでした。教頭先生を裸縛りだなんて…。
「だけどブルーは好きそうだろ? そういうのもさ」
「…好きそうですね、あの性格なら」
裸もキノコも縛りますよ、とシロエ君が溜息をついて、ソルジャーの手から回収して来た入門書の表紙を手でパタパタと軽くはたいて。
「この二冊、誰か要りますか? 今ならお得な裏技ペーパーをサービスしますが」
裏技ペーパーのお届けは明日に会った時に、という声に「ハイ、ハイッ!」と挙がる手が多数。ジャンケン勝負の末にサム君とマツカ君がゲットしました、マツカ君、ジャンケン、強かったんだ?



シロエ君がソルジャーを追い返したお蔭で、一週間は何事も無く過ぎてゆきました。水曜日には「早めに慣れておいて下さい」とシロエ君からゲームソフトとゲーム機が配られ、入門書も。放課後の「そるじゃぁ・ぶるぅ」のお部屋で練習を重ね、家でも練習をして…。
「かみお~ん♪ いらっしゃい!」
今日はみんなでゲームだよね! と「そるじゃぁ・ぶるぅ」が出迎えてくれた、土曜日の朝の会長さんの家。寒波襲来で寒かったですから、まずは身体と手を温めて…。
「よーし、やるぞーっ!」
負けないぞ、とジョミー君がゲーム機の電源を入れて、私たちも。会長さんも「そるじゃぁ・ぶるぅ」もシロエ君が修理した古いゲーム機でスタンバイです。
「会長、サイオンは抜きですよ? それに、ぶるぅも」
「分かってるよ。ついでに裸縛りだっけね」
「かみお~ん♪ 防具無しでも頑張るんだもん!」
さあやるぞ、とゲーム画面に向かった時。ピンポーン♪ と玄関チャイムが鳴って。
「誰かな、いきなり出鼻をくじいてくれたのは?」
宅配便かな、と会長さんがチッと舌打ち、「そるじゃぁ・ぶるぅ」が出てゆきましたが…。
「えとえと…。誰か、ハーレイ、招待してた?」
「「「はあ?」」」
なんだ、と顔を上げれば、「そるじゃぁ・ぶるぅ」の後ろに教頭先生が。コートを手にして、何故だか大きな紙袋まで。まさか中身はゲーム機では…、と注目したら。
「…そ、そのう…。今日はゲームだと聞いたのだが…」
「ゲームの日だけど?」
見ての通りで、と会長さんが自分のゲーム機を持ち上げて見せて。
「忙しいんだよ、今から始めるトコだから!」
「そうか、間に合ったようで良かった。注文の品を色々と揃えて来たものだから…」
これだ、と指差された紙袋。差し入れの食料か何かでしょうか? でも誰が…?
「ありがとう、ハーレイ! 買って来てくれた!?」
「「「!!?」」」
いきなり降って湧いたソルジャー、それも私服ときたものです。隣には私服のキャプテンまでが。
「どうも、ご無沙汰しております。本日はよろしくお願いします」
「いえ、私の方こそ…。お役に立てればいいのですが」
こういった縛りは初めてでして…、と挨拶している教頭先生。もしや紙袋の中身はゲーム機でも差し入れの食料でもなくて、もっとイヤンなものだとか…?



「ゲーム機はちゃんと用意して来たよ、この通り!」
こっちのハーレイも、ぼくのハーレイもゲーム機でね、とソルジャーは胸を張りました。この二台を使って裸縛りにキノコ縛りだと、ぼくも縛って貰うのだと。
「ちょ、ちょっと…!」
なんで何処からそういう話に…、と会長さんが慌てたのですが。
「君のアイデアがヒントになってね! 仮装パーティーなんてケチなことは言わずに、しっかりゲーム! 縛って遊んで、朝までガンガン!」
脱いで、脱いで! とソルジャーが促し、キャプテンが。
「脱がないことには始まらないそうです、ご一緒しましょう」
二人でしたら私も多少は心に余裕が…、と教頭先生に声を掛け、教頭先生が頷いて。
「そうですね…。脱がないと裸縛りになりませんしね、買って来た道具も無駄になりますね」
「ちょ、道具って…!」
いったい何を買ったわけ!? と会長さんが叫べば、ソルジャーが。
「それはもう! 紐にロープに他にも色々、栄養ドリンクとか精力剤とか!」
いにしえの秘薬も、それっぽいのを漢方薬店で特別配合! と強烈な台詞。
「これを使って裸縛りにキノコ縛りだよ、ちゃんとゲームに参加するから!」
特別休暇は取って来た! という声が響いて、ソルジャーはセーターをバサリと脱ぎ捨てました。
「さあ、始めるよ、裸縛りを! はい、脱いで、脱いで!」
「…だそうです、脱ぎましょうか」
まずはセーターを、とキャプテンが脱いで、教頭先生もセーターをポイと。
「そういうゲームの日じゃないんだけど!」
あくまで今日のは…、と会長さんがシロエ君の方を振り向いて。
「シロエ、あれを止めて! もう止められるのは君しかいない!」
「…え、えーっと…」
ぼくもこういうのは範疇外で…、とシロエ君も今回はお手上げでした。一度はソルジャーを追い返したというシロエ君でも駄目となったら…。
「…は、裸縛り…」
「キノコ縛りも来るのかよ!?」
もうこうなったらゲームに集中、それしか道はありません。ゲーム画面を見ている限りは…。
「「「何も視界に入らない!!!」」」
徹夜で朝までゲームしてやる、と決意したものの、狂乱の宴に勝てるのでしょうか? いえ、その前に教頭先生はどうなるんでしょうか、早くも鼻血で轟沈ですが…、って見ている場合じゃないですね? ゲーム、とにかくゲームです。裸縛りで頑張りますーっ!




           ゲームで縛れ・了

※いつもシャングリラ学園を御贔屓下さってありがとうございます。
 シロエ君が始めた副業のお蔭で、あのソルジャーを相手に、劇的な勝利でしたけど。
 なんと言ってもソルジャーなだけに、まさかの逆転。悲惨な徹夜ゲームの行方が心配です。
 次回は 「第3月曜」 6月15日の更新となります、よろしくです~!

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 こちらでの場外編、5月はGWも終わった平日のお話。キース君が朝から災難で…。
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