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シャングリラ学園シリーズのアーカイブです。 ハレブル別館も併設しております。

絶賛修行中・アルト様バージョン

ハーレイ+ハーレイ×ブルー

 お一人目のハーレイは、クリスマス企画の掲示板で現在生徒会長のブルーに片想い中のハーレイ教頭先生。
 彼はうちのハーレイが驚くほどの超強力ヘタレですv それがまたいじらしくて素敵なんです。(みゆ様作です)
 そのみゆ様から『女性向とか18禁とか知っている、おませなアルトさんぶるぅのお話をお願いします』というキリリクが♪
 みゆ様のぶるぅは家事カンペキで悪戯しない良い子ぶるぅなのですが、うちのは……(笑)
 どうせならヘタレ教頭先生を拉致っちゃおうかな~?なんて思って書きました。
 「ブルーを壊さないでね」と「昨夜はお疲れ気味だったの?」という過去に私が書いたぶるぅ台詞を入れることも忘れずに。
 …が、ちょっと変則な台詞挿入になってしまいました。ごめんなさい。
 悪のり大好き~なので遊んでみましたv
 ヘタレ教頭先生、ごめんなさい。でもたぶん懲りないです(笑)
 教頭先生の超強力ヘタレっぷりが楽しいので♪


+++++++++++++++++++++++++++++++++++

 

「この前は隠れてなかったから怒られちゃったんだ」
「……は…はぁ」
「だからね、これ以上頭をあげちゃ駄目なんだよ。分かった? キャプテン」
 ベッドの端から目から上だけ出して、ぶるぅはチラリと隣で同じようにしているハーレイ教頭を見る。
「は…はい」
「その返事の仕方、僕、ちょっと心配」
「頭は上げませんが……、このままここにいてもよろしいのでしょうか?」
「大丈夫だよ。僕、ちゃんと調べたから」
「調べた?」
 ハーレイ教頭は視線をぶるぅに移して尋ねたが、ぶるぅが変な顔をして見返していることに気付き「どうかしましたか?」と重ねて尋ねた。
「……キャプテンのスーツ姿って見慣れないから変」
「私は最近はこの服装の方が多いですから」
「そうなんだ。じゃあキャプテンって呼ぶよりハーレイの方がいいんだね。それとも教頭先生の方がいい?」
「あ……いや…どちらでも」
 答えるハーレイの視線は今はもう隣のぶるぅにしっかり向けられていて微動だにしない。
 聞こえてきた声に視線が動かせなくなってしまったのだ。
 甘い声と誘う言葉。
 衣擦れの音と肌を這う静かな水音。
 ベッドの上の二人が気になって気になって、だが見てはいけないという気持ちも働き、結果ぶるぅだけを見るという結論に至ったのだ。
「どっちにしようかな~?」
 ぶるぅが真剣な声でそう言った瞬間、ベッドの上のハーレイが動きを止めた。
「……ぶるぅ」
「なぁに?」
「お前もミュウだったと思ったが」
「そうだよ」
「それもタイプブルーだ。3分というリミッター付だが」
「そうなんだよね。全開だと3分しか力が使えないって、僕がまだ子供だからかなぁ?」
「その件はおいておいてだ。思念波で会話すること、シールドで姿を隠すことにリミットはないはずだ」
「うん。それはほとんど力を使わないからね」
「何故それを今使わない?」
「何でって、その方がいいかなと思って」
「理由を聞いている」
「この前ライブラリで調べてたら見つけたんだ。見られてると燃えるんだって」
 うっと呻いたのはぶるぅの隣のハーレイ教頭だった。
「教頭先生?」
 鼻を押さえたハーレイ教頭は、その奥がカッと熱くなるのを自覚した。
 くすくすくすと笑い声が室内に響く。
 成り行きを見守っていたブルーだったが、堪えきれなくなったのだ。
「お前の好奇心はどこまで行ってしまうんだろうね? ぶるぅ」
「好奇心じゃなくて探求心!」
「ああごめん。でも、見られて燃える人もいるけれど、僕たちは違うんだよ」
「みんな同じじゃないの?」
「僕は見られても平気。ハーレイは見られると意気消沈」
「縮んじゃうの?」
 これは二人のハーレイが咳き込んでしまった。
「そう。気持ちが縮んじゃうんだよ」
「なんだぁ。じゃあ姿が見えちゃうと駄目なんだね」
「そうだよ」
「教頭先生が修行に行くからよろしくねってシャン学のぶるぅに言われたから色々調べたのに失敗だったのか。残念」
「修行……ですか?」
 加えて一体どんな修行なのかと問いたいような問いたくないような声音でハーレイが尋ねれば、
「はひ」
 鼻を押さえたままハーレイ教頭が答えた。
 ハーレイのその思いを感じとったのか、それとも興味からか、ブルーが身を乗り出し、
「念のために聞くけど、どんな修行?」
「ヘタレ直し!」
 すくっと立ち上がったぶるぅが声高らかに答えた。
 げふ、と再びハーレイが咳込み、ハーレイ教頭は身体全体を縮ませた。
「あ、教頭先生が縮んだ……」
 ぶるぅの指摘にブルーがまた笑う。
 自分そっくりの……と言うより自分の分身が二人に遊ばれているようで少々不快になったが、それを指摘して反省するような二人ではない。
 諦めろと自分に言い聞かせ、ベッドサイドからティッシュボックスを取り教頭に渡す。
「ず…ずびばせん」
 受け取ると何枚か取り出し鼻を押さえた。
《そういえばお前は鼻血出したことなかったな。刺激が足りなかったってことか?》
 ブルーが思念でハーレイに問う。
《……鼻血を出す暇もありませんでした》
 馬鹿正直な返答にブルーの口元が緩む。
「ぶるぅ」
「は~い」
「土鍋」
「え?」
「聞こえなかったのか?」
「……だって僕が頼まれたのに」
「ここから先は大人の時間」
 ビク、と反応したのはハーレイ教頭だった。
「大人って何年後? 十年後? 百年後? 二百年後?」
「恋をしたらね」
「………」
 トトト、と部屋の隅に置いてある土鍋の中に入ると物音一つしなくなった。
「では今夜は私もこれで」
 床に落ちていたバスローブを拾い上げようとしてブルーが止める。
「お前はここに」
「承伏致しかねますが」
「お前はお前自身を助けてやろうとは思わないのか? 成就出来ない恋を応援しようという気持ちはないのか?」
「私の助力の必要性を感じませんが、ソルジャー」
 しばらく見つめ合う二人を、鼻を拭きながらハーレイ教頭は恐々とした思いで上目遣いでチラチラと見る。
 やがてブルーが手を差し出すと、ハーレイはバスローブを拾い上げて手渡した。
 きちんと着込んで再びベッドの上に上がると、ベッドの端を軽く叩いてハーレイに座るよう促し、溜息をつきながら腰を下ろしたハーレイを確認してからハーレイ教頭の前に寝転がった。
「訂正。見られてると欲情する。それもお前に見られていると特別に」
 はいはいと小さく頷いたハーレイは諦めたようだった。
「修行に来たんだろう? 上がって」
 言葉で誘っても動かないハーレイ教頭を見て、ブルーは身を寄せて首に抱きつくと「きて」と耳元で囁いた。
 鼻の奥どころか、頭の芯まで熱に満たされた。

 

 

「こんにちは~!」
 シャングリラ学園のぶるぅの部屋にぶるぅが元気に飛び込む。
「いらっしゃい。今日はアップルパイを焼いたんだよ」
「良い匂い」
「食べていってね」
 エプロン姿のぶるぅが言うと、上機嫌で「うん」とぶるぅが答える。
 そこに姿を現したのはシャングリラ学園生徒会長ブルーだった。
「分身してるな」
「お邪魔してます。分身じゃなくてあっちもこっちもぶるぅだよ」
「ごめんごめん。いらっしゃい。もしかして送ってきてくれたのかい?」
「うん。教頭先生疲れちゃったから、送ってあげなさいってブルーに言われたの」
「疲れたって何か運動したの?」
 できたてのアップルパイをお皿にのせてキッチンから戻ってきたぶるぅが尋ねる。
「うん。昨日の夜、いっぱい運動したんだよ。ブルーがね壊れちゃいそうだって言ってた」
 ありがとうと言いながらパイにかぶりついたぶるぅを見つめ、ブルーは眉をひそめる。
「それは本当なのか?」
「だって教頭先生、送ってきたらすぐにベッドに潜り込んじゃったし。ブルーもベッドから出てこないし」
「ねえねえ、どんな運動?」
「えっとね、大人の運動。僕も恋をしたらするんだ!」
 エッヘンとパイを頬張ったまま威張る。
「いいなぁ。僕も大人の運動とか恋とかしたいな」
「じゃあさ、僕とする?」
「うん!」
 二人のぶるぅが盛り上がっている中、真実を知ろうとブルーはぶるぅの思考を読もうとしたが出来なかった。
「僕、まだ大人じゃないから土鍋の中に入れって言われたから、何にも見てないよ。それに防音土鍋だし冷暖房も完備だし」
 説明しながらおかわりのパイに美味しいと言ってかぶりつく。
「あ、これね、ブルーからお土産だよ」
 テーブルの上に乗せられたハート型の箱にブルーは嫌な予感を感じた。
「何が入っているのかな~?」
「開けるな」
「駄目だよ。ちゃんと説明してきなさいって言われたから」
 蓋を開け、一つずつ取り出して並べる。
「綺麗な色」
「これもこれも気持ちよくなる魔法の薬だよ。こっちは飲んで、こっちは塗るの。あとね」
「説明は必要ない」
「え? ブルーも持ってるの?」
「持ってない。持ってないが分かる」
「すごい。タイプブルーってすごいなぁ。僕は3分限定だから色々調べないと駄目なんだ」
「僕だってタイプブルーだけど、これ、全然見たことないし何だか分からないよ」
「分からなくていい」
「やっぱり恋をしないと駄目なんだ」
 ブルーの言葉をきっぱり無視して結論づける。
「ぶるぅ。アップルパイをお土産に渡して、お帰り願ってくれ」
「もう? せっかく遊びにきてくれたのに」
「焼きたてを食べてもらいたいだろう?」
「あ、うん。そうだね。ちょっと待っててね」
 準備していたのかキッチンに行ったかと思えば。ぶるぅはすぐに箱を持ってきた。
「ありがとう。じゃあね」
「ばいばい」
「ぶるぅ、僕と恋しようね」
「うん」
 ぶるぅが消えると同時にブルーから大きな溜息が漏れた。

 

 

「美味しいよ。ハーレイ」
 ベッドの中でパイを食べるブルーの傍らで、ハーレイはまた清掃チームに文句を言われると重いため息を吐き出した。
「そんなに甘くないから食べられると思うよ。ほら」
 口を開けて、とブルーが勧める。
「少し……後ろめたいのですが」
「大丈夫。すぐにバレるから」
「ですが……」
「だって」
 思い出してブルーはくすくす笑う。
「何とかベッドに上がって、僕の上に身体を乗せたら僕の胸元に鼻血が垂れて、それ見て失神しちゃうんだからさ。筋金入りのヘタレだよね」
「………」
「修行に来たのにそれじゃ何にもならないし、僕も満足出来ないからその後のお前との睦み合いを記憶に流したけど、教頭先生は正視出来ないだろうからしばらくは自分がと思っているだろうね」
「……ものすごく、恥ずかしいのですが」
「どうして?」
「あちらの方はすぐに気がつかれるでしょうし」
「ああ、お前、見られて煽られるタイプか」
「ちっ……違います」
「見られなくても大丈夫なら、ねえ」
 絡みついてきたブルーの腕を振り払えなかった。





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