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シャングリラ学園シリーズのアーカイブです。 ハレブル別館も併設しております。

戦闘員  第3話

マザー、戦闘員の職場もいろいろありましたが…最終日は先輩の一人が入手した地球の画像をモニターに映して皆で鑑賞していました。すると何の予告もなくドアが開いて「そるじゃぁ・ぶるぅ」が来たのです。
「アイスにしますか、それとも梅酒?」
「上手だね…」
愛想よく声をかけた先輩は今回もあっさり無視されました。撫でようとした先輩もそっぽを向かれ、かくなる上は遊ぶしかないと覚悟を決めてお気に入りのアヒルやラッコのオモチャを棚から出そうとした時です。
「…地球が見たい」
そう呟いた声が聞こえました。あ、地球ですか…どうぞどうぞ。モニターの前に椅子を置きましたが、「そるじゃぁ・ぶるぅ」は不機嫌な顔をしています。
「ぼくが見たいのはフィシスの地球だ」
えぇぇぇぇ!!…それはちょっと、私たち戦闘員からは非常に頼みにくいんですけど~!!
「…ぼくが行く」
あぁぁぁぁ。「そるじゃぁ・ぶるぅ」はスタスタと部屋を出て行きます。行き先が行き先だけに、託児所…もとい戦闘員として放置するわけにはいきません。先輩たちと顔を見合わせ、私を含む3人が付き添うことになりました。

天体の間までは特に問題も起きずに到着。ところが…。
「お通しできません」
アルフレート様が厳しいお顔で「そるじゃぁ・ぶるぅ」を止めたのです。あのぅ、取次ぎもなしですか?
「…今はソルジャーがおいでです」
えっ、あのソルジャー・ブルー様が!?…じゃあ、ここで待ってたらお顔を拝めたりしちゃいますか~!??…多分、私の周りには「はぁと」の思念がキラキラ浮かんでいたでしょう。先輩方も姿勢を正して嬉しそうな顔をしています。ソルジャー・ブルー様にお会いできる機会は滅多に無いと評判ですから。なのに、なのに、なのに!
「お~ん!!」
いきなり「そるじゃぁ・ぶるぅ」が吠えました。文字通り「吠えた」のです。
「お~ん、お~ん、お~ん!!!」
「静かになさい!フィシス様はソルジャーに地球を」
見せておられるのですよ、と言おうとしたらしい気の毒なアルフレート様。言い終える前に「そるじゃぁ・ぶるぅ」にガブリと噛まれてしまわれました。しかも攻撃は一度で終わらず、ガブリガブリと…って、止めなければ~!!

先輩が麻酔薬入りの吹き矢を飛ばして…「そるじゃぁ・ぶるぅ」はゆっくりと床に倒れました。
「…地球を…見たかった…」
なんとか眠ってくれたようです。可哀相ですが、ソルジャー・ブルー様にご迷惑はかけられません。看護師を呼んでアルフレート様を医務室に運び、リオさんに土鍋の手配をお願いしました。土鍋を温めるのに少し時間がかかるそうですが、構いません。ここにいればソルジャー・ブルー様がお通りに…。うふふふふふ。

マザー、出待ちは失敗でした。ソルジャー・ブルー様は青の間に直接お帰りになった、とフィシス様が出てこられた時、私たちはまだ土鍋の到着待ちだったのです。吠えるほど地球を見たかった「そるじゃぁ・ぶるぅ」をフィシス様が撫でておられましたが、地球の夢を見せて貰えたのかどうかは今もって謎のままです、マザー…。




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