忍者ブログ

シャングリラ学園シリーズのアーカイブです。 ハレブル別館も併設しております。

救助班補佐  第3話

マザー、救助班補佐の最後の仕事は「梯子持ち」でした。いえ、庭師に逆戻りしたわけではありません。現場は確かに公園でしたが…梯子も庭師の梯子でしたが、ちゃんと救助班の仕事です。任務は半端に終わりましたが…。

「公園で「そるじゃぁ・ぶるぅ」遭難!…救助班、直ちに出動せよ!」
ブリッジからの緊急連絡に私たちは顔を見合わせました。公園で遭難?…それもあの「そるじゃぁ・ぶるぅ」が?半信半疑で駆けつけてみると、公園は人で一杯です。そして一番高い木の下で長老方が遥か頭上を見ておいででした。
「お~ん!お~ん!」
木のてっぺんで「そるじゃぁ・ぶるぅ」が叫んでいます。いつもの「かみお~ん♪」とは全く違う悲痛な声で。いったいどうなっているのでしょう?
「…だいたい、あんたが悪いんだよ」
ブラウ様がゼル様を吊るし上げておいででした。
「またたびアイスなんて作るから!…見なよ、救助班まで呼ぶ羽目になってしまったじゃないか!!」
「…わしは…わしは寝るかと思うたんじゃ。ほれ、ヨダレを垂らして寝るというから…。猫みたいじゃし…」
「ゼル殿。それは個体差がありますな。…興奮することもあると聞きます」
溜息まじりにヒルマン教授がおっしゃいました。どうやら騒ぎの原因は「またたびアイス」らしいです。ゼル様が「そるじゃぁ・ぶるぅ」に食べさせたら興奮して木に駆け登り、さんざん歌いまくった挙句に…降りられなくなってしまったとか。

「分かりました、救出しましょう。…いいか、サイオンを集中するんだ。集中が切れると落としてしまうぞ」
サイオンで「そるじゃぁ・ぶるぅ」を地面におろす。救助班の腕の見せ所です。ところが…。
「いかん!ぶるぅにサイオンはいかん!」
ゼル様の「待った」がかかりました。
「今のぶるぅに善意は通じん。うかつにサイオンを使ったら最後、凄まじいサイオン攻撃が来るわい」
「………。仕方ありません、登ってみましょう。梯子の用意だ!」
リーダーの指示で素早く梯子がかけられました。そして流石はリーダー、誰もが恐れる「そるじゃぁ・ぶるぅ」を救助するべく迷わず梯子を登っていきます。確かにミュウの救出作戦に比べたら大したことではないでしょう。…でも。
「…駄目です、とても怖がっています!…シールドを張ってて、近寄れません!」
上から声が降ってきました。「お~ん、お~ん」という泣き声も激しさを増しています。
「…私が行こう」
名乗りを上げたのはキャプテンでした。

マザー、やはりキャプテンは凄い方です。パニックに陥った「そるじゃぁ・ぶるぅ」のシールドを破り、ガブリガブリと噛まれながらも抱えて梯子を下りてこられました。一件落着した後、傷の手当を受けておられたキャプテンにシールドをどうやって破ったのか、と皆の質問が集中しましたが、答えてもらえませんでした。
「『女性向のお話』をクリックだ」
そう聞こえたのは多分、空耳だったと思います、マザー…。




PR
Copyright ©  -- シャン学アーカイブ --  All Rights Reserved

Design by CriCri / Material by 妙の宴 / powered by NINJA TOOLS / 忍者ブログ / [PR]