忍者ブログ

シャングリラ学園シリーズのアーカイブです。 ハレブル別館も併設しております。

中間試験・第3話

明らかに乱れたベッドの上に寝転がっている会長さん。身体に巻きつけたシーツの下はバスローブ1枚で、少し離れたソファで爆睡中のまりぃ先生もバスローブ。私たち5人が踏み込んでしまったのはどう見ても大人の世界でした。
「し、失礼した!」
キース君が叫び、我に返った私たちは真っ赤になって部屋を飛び出そうとしたのですが。
「失礼って、何が?…ぼくは昼寝をしてただけだよ。君たちの純情さには感動するね」
会長さんはゆっくりと起き上がり、バスローブを肩から滑らせました。透き通るように白い肌が覗いた…と思った次の瞬間、目に入ったのは見慣れた制服。きっちりと着込んだ会長さんには一分の隙もありませんでした。惜しげもなく晒されていた足もしっかりズボンと靴で隠れています。
「「「え?えぇぇっ!?」」」
何が起こったのか把握できない私たち。制服は床に落ちていた筈なのに…。
「ぶるぅがダンスパーティーでやって見せただろう?…一瞬で着替え。ぶるぅに出来ることがぼくに出来ないなんて思っていたんじゃないだろうね?」
そういえばそんなことがありましたっけ。でも、一瞬で着替えはともかく…乱れたベッドとバスローブの理由は?昼寝だけだなんて、絶対変です。まりぃ先生もバスローブしか…着てらっしゃらないみたいですもん。キース君は懸命に平静を装っていますが頬がピクピク引き攣ってますし、ジョミー君とマツカ君の頬は赤いまま。スウェナちゃんも真っ赤な顔をして両手で口を覆っています。
「…ああ、バスローブ、ね。まりぃ先生が用意してくれていたんだよ。ぼくを保健室に連れてくるよう、アルトさんとrさんに頼んでるのを知っていたから…A組に入ったついでに連行されてみたんだけど」
「じゃあ、気分が悪くて倒れたんじゃなくて…わざと?」
ジョミー君の問いに会長さんは悪びれもせず頷きました。
「うん。いい加減、退屈していたし…ちょうどハーレイ…いや、教頭先生の授業だったし。教頭先生はまりぃ先生と親しいからね、特別室の存在を知っていたんだ。ぼくを保健室に近づけまいと思っている教頭先生の前で倒れて保健室行きっていうのは楽しいじゃないか」
あ。それで教頭先生は早退させようとなさってたんですね。会長さんはその裏をかいて…。
「そう。教頭先生は授業が終わってから慌てて様子を見に来たんだけど、とっくに手遅れ。『おでかけ中』の札を見つけて呆然とした後、入りもせずに帰っていった。入ってみればよかったのに。…ぶるぅがベッドをトランポリンにして跳ね回っていた時だったから、華麗な技が見られた筈だよ。ムーンサルトとか」
「「「トランポリン!?」」」
「せっかくの大きなベッドだからね、少し遊ばせてやろうと思って。よく弾むから喜んでいたよ。放っておくといつまでも跳ねていて、ぼくの寝る暇が無さそうだったから…半時間ほどで追い返しちゃったけど」
ベッドの上で「そるじゃぁ・ぶるぅ」がトランポリン。じゃあ、くしゃくしゃのシーツの原因は…。

「ぶるぅだよ。他にいったい何があると?」
「…何が、って…」
私たちはソファで寝ているまりぃ先生の方を見ました。バスローブ姿の会長さんと、まりぃ先生が特別室で二人きり。しかも大きなベッドつきで。
「あぁ、まりぃ先生の野望のことか。ぼくにシャワーを勧めてバスローブに着替えさせてから、先生もシャワー室に入って着替えてきたけどね…。ぼくは昼寝がしたかっただけで運動はしたくなかったんだ」
う…運動って…。会長さんがサラッと口にした言葉に、私たちの顔はボンッ!と真っ赤に。でも会長さんは全く気にしていませんでした。
「無理に運動するのは身体によくない。だから、まりぃ先生には夢を見てもらっているんだよ。目が覚めたら凄く満足してると思うな。…あ~んなことや、こ~んなことを楽しんだ後、シャワーを浴びてソファでぐっすり。理想だろう?」
あ~んなことや、こ~んなこと、って…。会長さんは耳まで赤くなった私たちを見てクスクスクスと笑いながら。
「この特別室、気に入ったよ。バスローブの肌触りもいいし、制服よりずっと昼寝向きだ。中間試験まで毎日、退屈だな…と思ってたけど。明日からここに来ることにしよう。好きな時に昼寝が出来るし、教頭先生を困らせて楽しむことも出来るしね」
「…そういえば、あんたの担任は…確か…」
キース君がハッと我に返って会長さんを見つめました。
「そのとおり。教頭先生はぼくだけを担当している担任だ。どこのクラスにも属さないとはいえ、担任もいないんじゃ学園生活に支障を来たす。…だから担任が必要らしいよ。教頭先生にはせいぜい心配してもらうさ」
そう言った会長さんは私たちを促し、まりぃ先生を残して保健室を後にしたのですが。翌日から中間試験前日までの間、会長さんの保健室通いは毎日のこと。そして、たまに見かけるまりぃ先生はとても充実した顔をしていて、色っぽさは普段の5割増でした。

ドキドキの中間試験は3日間。会長さんは約束どおりA組の全員にこっそり正解を教えてくれました。おかげでA組はぶっちぎりで学年1位をゲット。グレイブ先生も大満足です。
「諸君、私は君たちを誇りに思っている。この調子で球技大会も頑張ってくれたまえ!」
えっ、球技大会?…次はそんな催しが?
「そうだ、球技大会だ。A組が1位になるよう期待しているぞ。まあ、まだしばらく先のことだが…。その前に諸君には嬉しいお知らせがある。親睦ダンスパーティーの公式録画の発売日が明後日に決定した。希望する者は生徒会室で申込書を貰い、代金を添えて書記のリオに提出するように」
ワッ、と歓声が上がりました。スウェナちゃんと私も大喜びです。待ちに待ったワルツの録画、早速申し込まなくちゃ!…大騒ぎをしている間に、会長さんは机ごとA組から姿を消していました。A組の学年1位を確保した以上、もう私たちのクラスにいる必要はないですもんね。「そるじゃぁ・ぶるぅ」の部屋に行ったのか、はたまた保健室なのか。…教頭先生を困らせたくて保健室かもしれません。まりぃ先生、今日も素敵な大人の夢を見ているのかな?




PR
Copyright ©  -- シャン学アーカイブ --  All Rights Reserved

Design by CriCri / Material by 妙の宴 / powered by NINJA TOOLS / 忍者ブログ / [PR]