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シャングリラ学園シリーズのアーカイブです。 ハレブル別館も併設しております。

罪なシャモ鍋

※シャングリラ学園シリーズには本編があり、番外編はその続編です。
 バックナンバーはこちらの 「本編」 「番外編」 から御覧になれます。




春、真っ盛り。ソルジャーたちとのお花見も終わり、シャングリラ学園の年度始めの行事も一段落して今日は何もない土曜日です。北の方ならまだまだ桜もあるんでしょうけど、春休みからノンストップな勢いで遊んでましたし、たまには会長さんの家でゆっくりと。
「かみお~ん♪ 何も無くても賑やかに、だもん!」
お昼は豪華にちらし寿司だよ、と「そるじゃぁ・ぶるぅ」。海の幸たっぷりの海鮮ちらし寿司に大歓声で、早速ワイワイ食べてたのですが。
「あれっ、君たちは海鮮ちらし?」
「「「!!?」」」
誰だ、とキョロキョロ。海鮮ちらしに文句を言われる筋合いは無く…って、今日は来る予定じゃなかったのでは、と声の主を見付けて軽く衝撃。私服のソルジャーが立っています。
「君が食べる分は無いからね!」
会長さんが怒鳴って、「そるじゃぁ・ぶるぅ」が。
「ううん、嘘だよ、ちゃんとあるから! ゆっくりしてって!」
「そうしたいけど、これからお出掛け」
「「「は?」」」
お昼時に出て来て、お出掛けだとは…。それじゃ何しに、と思ったのですが。
「ちょっと自慢に寄っただけ! これからノルディとデートだから!」
「はいはい、分かった」
早く出掛けろ、と会長さんの手がヒラヒラと。
「遅刻はマナー違反だよ? さっさと行く!」
「もちろんさ。今日は鍋だって、楽しみだよね」
何だったかな、とソルジャーは首を傾げました。
「名前を思い出せないんだけど…。鶏の鍋で、美味しいらしいよ」
「トリの水炊きとか、そういうのだろ。ほら、行って、行って!」
「急かさなくても行くってば! じゃあね、ぼくの食事は豪華版!」
パッと姿が消えたソルジャー。海鮮ちらしはトリの水炊きに負けたのでしょうか?
「どうだかねえ…。所詮はトリだし」
鶏だから、と会長さん。モノによっては高いそうですが、「そるじゃぁ・ぶるぅ」の海鮮ちらし寿司の具もこだわりの素材を使っているので負けないだろうという仰せ。ソルジャーにケチをつけられましたけど、こっちはこっちで美味しいんですよ!



おかわりたっぷり、海鮮ちらし。食事の後はのんびりまったり、沢山食べただけに三時のおやつは時間通りに食べられず。けれども春らしい桜クリームなどを使ったミルフィーユは是非とも食べたいところ。四時でいいか、というコトになって。
「かみお~ん♪ そろそろおやつにする?」
四時だもんね、と「そるじゃぁ・ぶるぅ」がいそいそと。お腹の方も頃合いに空いて、ちょうどおやつが欲しい頃。紅茶にコーヒーなども揃って、いざ、とフォークを入れようとしたら。
「間に合ったあー!」
ぼくにも、おやつ! と飛び込んで来た私服のソルジャー。また来たのか、と苦情を述べても聞くわけがないと分かってますから、誰も文句を言いませんでしたが。
「うん、君たちのおやつが遅くて良かったあ!」
ついついノルディと盛り上がっちゃって、とソルジャーは悪びれもせずに腰掛けて桜ミルフィーユを頬張りながら。
「ホントは鍋だけで解散の予定だったんだけど…。素敵な鍋だったから、後にお茶まで」
「それは良かったねえ…」
会長さんの言葉は明らかに社交辞令でした。ところがソルジャー、「うん」と嬉しそうに。
「まさかトリ鍋で、あんなに素晴らしい話を聞けるだなんてね! あ、トリ鍋はトリ鍋だけどさ、ちゃんと名前があるんだよ!」
「トリの水炊きだろ?」
「そうじゃなくって、鶏の方に!」
名前があるのだ、ということは…。ブランドもののトリ肉でしょうか、ナントカ地鶏とかそういった系の…?
「ううん、地鶏じゃないんだな、これが。鶏の品種の名前らしいよ」
「烏骨鶏?」
それともチャボかい、と会長さんが尋ねると。
「シャモって言ったよ、シャモ鍋を食べて来たんだよ!」
「「「あー…」」」
シャモね、と一応、納得です。シャモ鍋だったらトリ鍋の中でもちょっと別格。とはいえ、ソルジャーが素敵だと褒めてエロドクターと盛り上がる理由が分かりません。なんで…?



「シャモはね、特別らしいんだよ」
パワー溢れる鶏で、とソルジャーは語り始めました。
「闘鶏に使うとノルディが言っていたねえ、闘争心が強い鶏だってね?」
「そうらしいな」
シャモは軍鶏と書くくらいだからな、とキース君。
「愛好家の団体もあると聞いたが、あんた、闘鶏でも始めたいのか?」
「そうじゃないけど…。ちょっと欲しいという気がしてね」
強いシャモが、とソルジャーの台詞は意味不明。闘鶏をやりたいと言うんだったら強いシャモだって必要でしょうが、そうでないなら何のために?
「ズバリ、あやかりたいんだよ!」
シャモのパワーに、とソルジャーはグッと拳を握りました。
「今じゃやってないらしいけれどさ、昔は相撲の力士なんかがシャモを食べたとノルディがね…。闘争心とパワーを身につけようと、わざわざシャモの顎の骨とか頭だとかをバリバリと!」
「「「ええっ!?」」」
力士ともなれば流石に違う、とビックリ仰天。シャモの頭はもれなく頭骨が入っていますし、顎の骨だなんて話があるなら、頭も骨ごとバリバリでしょう。私たちが食べたら歯の方が砕け散りそうです。ビール瓶の栓を歯でポンと抜ける教頭先生なら平気かもですが…。
「そういう話を聞いて来たらさ、あやかりたいと思っちゃうだろ?」
「…それはソルジャーとしての話かい?」
パワーをつけて人類軍とのバトルなのかい、と会長さん。
「君の世界のハードさは理解しているし…。シャモのパワーも欲しいわけ?」
「ちょっと違うね、ぼくが欲しいのはシャモの闘争心の方!」
「まさか、シャモを食べて一気に地球まで攻めて行こうとか?」
「やらない、やらない」
そもそも地球の座標を知らない、とソルジャーは片手を振って否定しました。
「ノルディに教わって来たんだよ。シャモの闘争心の源!」
コレを聞いたらあやからねば、と頬を紅潮させてますけど、シャモと言ったら喧嘩をするトリ。ただの喧嘩好きの鶏なんじゃあ…?



「そうか、君たちでも知らないんだ?」
ノルディが博識で実に良かった、と笑顔のソルジャー。エロドクターがシャモに詳しいとは知りませんでした。闘鶏の愛好家な知り合いがいたのでしょうか?
「残念ながら、知り合いにはいないらしいんだ。いるんだったら強いシャモを譲って貰うことも出来ただろうけど…」
「食べられてしまうと知ってて譲るような愛好家はいないと思うんだけどね?」
会長さんの指摘に、ソルジャーは「うん」と。
「ノルディにもそう言われたよ。愛好家はシャモを大事にしてるし、食用には譲ってくれないだろう、とね」
戦わせるくせに愛情たっぷり、と聞かされた愛好家のシャモに対する愛とやら。体調管理もさることながら、バトルの後には傷薬などでしっかり手当てで、傷薬だって自家製ブレンド。秘伝の生薬を漬け込んだりして傷が癒えるよう細やかな世話を…。
「一度戦ったら二週間くらいは休養らしいよ、それくらい派手に戦うらしいけど…」
その闘争心が何処から来るかが大切なのだ、と話はついに核心へと。
「ズバリ、縄張り争いってヤツ!」
「それって普通じゃないですか?」
大抵の生き物はやらかしますよ、とシロエ君。
「アユの友釣りだって縄張り争いを利用して釣ると聞いてますしね」
「まあ、生き物のオスには基本だろうけど…。シャモの場合は命も懸ける勢いで! ついでに目指すはハーレムだから!」
「「「ハーレム!?」」」
「そう、ハーレム!」
シャモはハーレムのために戦うのだ、とソルジャーは胸を張りました。
「元々、鶏はハーレムを作るものらしいんだよ。一羽の雄鶏が頂点に立ってメスを集めて、子孫を残す。その本能と闘争心とが強烈なのがシャモっていうわけ!」
鏡に映った自分の姿に喧嘩を売ろうという勢いだとか。闘鶏の訓練は鏡の自分への挑戦に始まり、闘争心を高めてバトルの場に登場するらしく。
「ハーレムと聞いたら、これにあやからない手は無いよね?」
どう思う? とソルジャーの赤い瞳がキラキラ。闘争心は闘争心でもハーレム作りの方にあやかりたいなら、この話、ヤバくないですか…?



ハーレムを目指して命懸けのバトルをするらしいシャモ。そのシャモ鍋をエロドクターに御馳走になったソルジャー、強いシャモが欲しい上にあやかりたいとか。もしや強いシャモを食べてパワーを身につける人って、ソルジャーじゃなくて…。
「ピンポーン♪」
大正解! とソルジャー、誰の心を読んだのやら。
「シャモを食べさせたいのは、ぼくのハーレイ! そして漲るパワーでガンガン!」
ハーレムを作る代わりにぼくに尽くして欲しいのだ、という主張に「やっぱり…」と心で嘆き節。つまりはシャモを精力剤としてゲットしたいというわけですね?
「そうなんだよ! 最強のシャモが欲しいんだけど!」
「…譲って貰えば?」
愛好家に、と会長さん。
「食べるんです、と正直に言っても場合によっては譲ってくれるよ」
「本当かい!?」
「ただし、ヨボヨボのシャモだろうけど」
引退してから長いシャモなら貰えることがあるかもしれない、という話。
「シャモが美味しいことは食べて来たなら分かるだろう? 愛好家と言っても色々いるしね、老いさらばえて死なせるくらいなら食べてしまえというタイプも皆無ではない」
「…でも、ヨボヨボのシャモしかくれないんだね?」
「当たり前だろう! 現役のシャモは絶対くれないし、引退したてでも無理だろうね」
手塩にかけて育てたシャモを誰が鍋に…、と正論が。ソルジャーの話では傷薬までも自作するという愛好家。それだけの愛情と手間を注いだシャモなら、後は鍋しか道が無さそうなほどに衰えない限り食用には譲らないでしょう。
「…というわけでね、最強のシャモは貰えないよ。元最強とか、そういうシャモで我慢しないと」
「ぼくが欲しいシャモは現役だってば!」
ヨボヨボのシャモではあやかるどころか萎れそうだ、と言われても…。
「現役ねえ…。いっそ自前で育ててみたら?」
「「「えっ?」」」
会長さんの台詞に、ソルジャーどころか私たちも首を捻る羽目に。現役のシャモで尚且つ最強、そんなの、自分で育てられますか…?



「まるで不可能ってわけではないよ」
やってやれないことはない、と会長さんは人差し指を立てました。
「君がシャモ鍋を食べたくらいだ、食用のシャモを育てている場所はあるってね。そういう所に頼みに行ったら気の強そうなのを買える筈だし」
「…それで?」
「何羽か纏めて譲って貰って、暫く飼ってみればいい。それからバトルで、勝ち残ったのが最強のシャモということになるね」
「なるほどねえ…」
確かにそうだ、とソルジャー、納得。
「いい案だけれど、愛情をこめた世話とやらは? ぼくはそういうのに向いてないけど」
「…向いてなさそうだね」
まるで駄目だ、と会長さんが返し、私たちも顔を見合わせて「うん、うん」と。青の間の片付けも出来ないソルジャーに生き物の世話が出来るとはとても思えません。普通に飼育も無理っぽいのに愛情をこめて飼うなんて…。
「ね、ぼくには無理だと思うだろ? 君が代わりに飼ってくれるとか?」
「なんでぼくが!」
「アイデアを出してくれたからには、飼い方のフォローもお願いしたいな」
「無茶を言わないでくれたまえ!」
誰があんな凶暴な鶏の世話を…、と会長さんは突っぱねたものの。
「…待てよ、凶暴な鶏の世話か…」
「誰かいるのかい?」
「迷惑をかけるなら断然こいつ、って人間ならいる」
会長さんの言葉にサーッと青ざめる私たち。そういう対象になりそうな人って、もしかしなくても一人だけしかいないのでは…。
「それで正解!」
この世にたった一人だけ! と会長さんは高らかに。
「ズバリ、ウィリアム・ハーレイってね! 惚れ込んでるぼくの頼みだったらシャモくらい!」
愛情こめて世話をするだろう、との恐ろしい読み。やっぱり教頭先生でしたか、ソルジャーが欲しい最強のシャモを育てるための飼育係は…。



「お、おい、あんた…」
本気なのか、とキース君が会長さんに。
「シャモは相当にキツイと聞くぞ? 愛好家でも生傷を覚悟らしいが…」
「そうだけど? 食用に飼ってるシャモは多少はマシだろうけど、養鶏場から出て来た後には闘争本能に点火するだろうね」
自由の身だから暴れまくり、と会長さんはニヤニヤと。
「一羽ずつ離して飼っておいても、自分が頂点に立つ日を夢見てバサバサ、ドカドカ。餌をやったら蹴られるだろうし、つついて捻って大暴れだね」
「「「うわー…」」」
それを教頭先生が…、と私たちは震え上がりましたが。
「ふうん…。そこまで凄いなら、ぼくにも一羽欲しいかなあ…」
「「「へ?」」」
ソルジャー、生き物は飼えないと言っていませんでしたか? だから教頭先生ですが?
「そうなんだけどさ、このファイトを見習え、とハーレイ用にね」
バサバサ、ドカドカでハーレムを目指す魂の方にもあやかりたい、と斜め上な発想。
「ハーレムを作ろうと暴れる鶏と日々戦ったら、ぼくのハーレイもきっと逞しく!」
「「「………」」」
本当にそういうものだろうか、と悩みはしたものの、誰も突っ込む勇気は無くて。
「うん、決めた! シールドさえすれば青の間の中でシャモを飼っても大丈夫!」
検疫とかの必要は無い、とソルジャーお得意の自分ルールが。
「でもって、こっちのハーレイにもシャモを飼って貰って…。その中で最強ってコトになったヤツとさ、ぼくのハーレイが飼ったシャモとで頂上決戦!」
そして勝った方のシャモを食べればハーレムなパワーを取り込める、とソルジャーは一気に燃え上がりました。
「ぼくのハーレイにも強いのを育てて欲しいしねえ…。まずは気の強いシャモのゲットからかな、纏めて何羽か!」
「それで行くなら、お試しで飼って…。キツそうなのを二羽だけ選んで、一羽ずつ育てる方が強いのを作りやすいと思うよ」
どうだろう? と会長さんが。えーっと、教頭先生とキャプテンが一羽ずつですか…?



「シャモは鏡の自分にも喧嘩を売ろうっていう鶏だ。徹底的に仕込むんだったら一対一!」
見込んだシャモに愛情を注いで、逞しく強く育ててなんぼ、と会長さん。
「こっちのハーレイが一人で飼うと言うなら、同じように世話して最後に勝ち抜き戦でいいと思うけど…。君のハーレイも飼うとなったら、これぞってヤツに一点集中!」
「いいかもねえ…。より逞しいシャモを作る、と」
「そういうこと! それでどうかな、君たちの世界でも飼うのならね」
「その話、乗った!」
是非やろう、とソルジャーはガップリ食い付きました。まずは気の強いシャモの調達からで。
「こっちのハーレイに飼って貰って、その中から特にキツイのを二羽選ぶんだね?」
「うん。ハーレイに殴る蹴るの暴行を浴びせまくったのを二羽ってことだね」
「だったら、六羽ほど譲って貰えばいいのかなあ?」
「それくらいがハーレイの限界だよ、きっと」
蹴られて噛まれて世話をするんだし、と会長さんは教頭先生の限界ギリギリの数のシャモを飼わせるつもり。勝手に決めていいんだろうか、と思っている間に、気付けば夕食時が近付いていて。
「ぶるぅ、夕食は鍋だった?」
「うんっ! 今日は寄せ鍋で締めはラーメン!」
「鍋はゆっくり食べたいし…。先にハーレイの方を片付けないとね」
シャモを育てて貰う件、と会長さんの視線がソルジャーに向いて、ソルジャーも「うん」と。
「今から行けばいいのかな?」
「そうだね、全員でお邪魔しようか、それから帰って鍋パーティーだよ」
行くよ、という声が終わらない内にパアアッと溢れた青いサイオン。ソルジャーのだか会長さんだか、「そるじゃぁ・ぶるぅ」か知りませんけど、瞬間移動でお出掛けですか~!



毎度お馴染み、教頭先生宅のリビング直撃コース。教頭先生はソファで仰け反っておられましたが、取り落とした新聞を拾い上げながら。
「今日は何の用だ?」
「そう言って貰えると話が早いね、鶏を飼って欲しいんだけど」
「鶏?」
「うん、鶏。君の家の庭で六羽ほど」
どうかな? と会長さんはおねだり目線。
「庭で六羽か…。平飼いの卵でも欲しいのか?」
「ぼくじゃなくって、ブルーがね。鶏が一羽欲しいらしくて、ちょっとお願いに」
「なるほど、向こうの世界で飼うとなったら色々と大変だろうしな…」
検疫とかが、と直ぐに言葉が出て来る辺りはシャングリラ号のキャプテンならでは。ソルジャーが「ぼくのシャングリラでは一羽くらいしか…」と口を挟みました。
「君に纏めて飼って貰って、これはと思う一羽を選んで飼いたいな、とね」
「ああ、分かりました。私が庭で飼っている間に検疫などを…」
「それに近いかな、お願いできる?」
「私でお役に立てるのでしたら」
胸を叩いた教頭先生。会長さんと会長さんにそっくりのソルジャー、二人揃ってのお願いとなれば断る筈がありません。会長さんは「いいんだね?」と念を押してから。
「だったら、明日からお願いしたいな。鳥小屋はぼくが用意するから」
「いいのか、日曜大工で作れんこともないが」
「飼って貰うのに手間がかかるし、鳥小屋くらいは調達するよ」
だからよろしく、という会長さんに「任せておけ」と教頭先生の頼もしい返事。
「鶏を六羽、飼うだけだろう? お安い御用だ」
「悪いね、それじゃそういうことで。暫く庭がうるさくなるけど」
「ご近所からは文句は出ないぞ、この辺りはみんな寛容だ」
むしろ鶏の声で朝が来るのを喜ばれるくらいだ、と教頭先生は二つ返事で引き受けましたが。庭がうるさいって朝一番のコケコッコーじゃなくて、教頭先生に殴る蹴るの暴力をふるう時の凄い騒ぎのことなんじゃあ…?



飼育係の件は無事に解決、後は帰って鍋パーティー。締めのラーメンを入れる頃には、居座って食べていたソルジャーのためのシャモの調達先も決まりました。明日の朝から会長さんと一緒に出掛けて六羽貰ってくるそうです。強烈な性格と評判なのを。
「…教頭先生、血を見るんじゃあ…」
帰り道にジョミー君が呟き、サム君が。
「俺たちも見ることになるんだぜ、その血」
「そうでしたね…」
明日も集合かかってましたね、とシロエ君。
「会長の家に十時ですから、その足で教頭先生の家に行くんじゃないですか?」
「だろうな、鳥小屋へシャモを入れにな」
さぞかし恐ろしい眺めであろう、とキース君が手首の数珠レットを繰って南無阿弥陀仏のお念仏。
「シャモは本気で蹴ってくるしな、多分、流血の大惨事だ」
「…何処かで見たわけ?」
ジョミー君の問いに「檀家さんの家でな」という答え。
「月参りに行ったら、鳥小屋で格闘中だった。「ちょっと待ってて下さいねー!」と俺に叫んで、シャモとバトルだ。闘鶏用のシャモでなくても充分なほどのパワーがあった」
「…教頭先生、大丈夫でしょうか…」
マツカ君の声に、スウェナちゃんが。
「シールドでなんとか出来るでしょ? タイプ・グリーンよ、教頭先生」
「でもさあ…。普段、サイオン、忘れていない?」
ジョミー君の鋭い指摘。サイオンは公に出来ませんから、教頭先生はあちこちへ出向く職業柄もあって使用頻度が低い方。と、いうことは…。
「「「……大惨事……」」」
流血沙汰だ、と意見が一致。明日は朝からスプラッタかな?



翌日の十時、私たちが会長さんの家に出掛けてゆくと。
「かみお~ん♪ トリさん、来てるよ!」
みんな、とっても元気なの! と「そるじゃぁ・ぶるぅ」のお出迎え。後ろに続いてリビングに入れば、其処にシールドが張られていて。
「やあ、おはよう」
「見てよ、この元気一杯なシャモたちを!」
凄いだろう、とソルジャーが誇るだけあって、シールドも歪むかという勢いで繰り出される蹴りに、バサバサ羽ばたき。六羽のシャモは喧嘩できないようにシールドの中で区切られているという話ですけど、鏡の自分に喧嘩を売るという鶏ですから…。
「ぼくが思うに、こいつが一番キツイんじゃないかと」
ソルジャーが一羽を指差し、会長さんが。
「こっちもなかなかの面構えだよ? それに向こうのも」
「いずれ劣らぬ乱暴者です、と言っていたしね、飼っていた人」
選りすぐりの六羽を買ったわけだし、とソルジャー御自慢の凶暴なシャモが大暴れ中。そういえば最強の候補として残る二羽の他はどうなるんでしょう?
「ああ、それね。それなりに強いし、鍋にしようかと思ったんだけど、ブルーがね…」
「無益な殺生はやめておけ、って言ったんだよ。ぼくも一応、高僧だから」
「鍋にするなら一羽だけ、って言われちゃってさ。仕方ないから、四羽は寄付で」
「「「寄付?」」」
こんな凶暴な鶏を何処へ、と思ったのですが、行き先はマザー農場でした。他の鶏と交配するのに使えるらしくて、つまりは其処で…。
「うん、ハーレムを貰えるわけだよ」
シャモにとってはいい話だよね、とソルジャーが頷き、会長さんが。
「本来は食用のシャモだったしねえ、それを四羽も救ってあげれば残りを鍋にしてしまったって一応の徳は積めるだろう。それに残りの二羽も片方は鍋を免れるんだし」
「負けた方に用は無いからね? ハーレムで好きに暮らせばいいよ」
そして勝った方はハーレイの血肉となってハーレム! とソルジャーはブチ上げていますけれども、キャプテンのお相手はソルジャーだけ。一人だけしかいない場合でもハーレムと呼んでいいのかどうかが、正直、悩ましい所です…。



大暴れしている六羽のシャモ。会長さんたちと瞬間移動でお邪魔してみた教頭先生の家の庭には既に鳥小屋が出来ていました。会長さんが調達して来て据え付けたもので、六羽分のスペースが分けて取られた立派なもので。
「さて、ハーレイ。一羽ずつ入れてくれるかい?」
これを、と会長さんが示す先ではシールドに入った六羽がバタバタ、バサバサ。どう見ても普通の鶏ではなく、シャモであることが丸分かりで。
「…こ、これを私が入れるのか…?」
「決まってるだろ、今日から君が飼うんだからさ」
「よろしく頼むよ、ぼくの世界じゃ六羽はとても…」
会長さんの命令と、ソルジャーからのお願い攻撃。教頭先生は腹を括ってシールドに手を突っ込みましたが…。
「うわぁーっ!!!」
顔面に向かって炸裂した蹴り。教頭先生が狙いをつけた一羽はシールドが解かれ、自由の身となってしまったらしくて、蹴りに続いてクチバシでつつき、羽ではたいて殴る蹴るの世界。それでも出現しない教頭先生のサイオンシールド、たちまち流血の惨事ですけど。
「…な、なんとか入れたぞ…」
ゼイゼイと肩で息をしている教頭先生に次なる任務が。
「ご苦労様。残りは五羽だし、頑張ってよね」
「ぼくからもよろしくお願いするよ」
「わ、分かりました…」
頑張ります、と頭を下げる教頭先生は全く気付いていませんでした。会長さんとソルジャーの力ならば瞬間移動でシャモを鳥小屋に収納可能な事実に。ですから自分にシールドなんかは思い付きもせず、蹴られ、はたかれ、つつかれまくって…。
「…こ、これで全部を入れたのだが…」
どうすれば、と尋ねる姿はとうにズタボロ、生傷だらけ。会長さんは「ありがとう」と笑顔で返して、「これ」とシャモ用の飼料が詰まった袋を瞬間移動でドッカンと。
「今日から大事に世話をしてよね。一週間後に選別するから、それぞれ個性を見極めておいて」
「…個性?」
「強い個体を残したいんだってさ。上位の二羽から選ぶらしいよ」
凶暴な二羽を見付け出すことが君の仕事だ、と会長さん。身体を張れとか言ってますけど、ゴールは其処ではないんですけどね?



その日から教頭先生の孤独な戦いが始まりました。学校の授業なんかで出会う度に増えてゆく絆創膏。生徒というものは無責任ですから、凶暴な野良猫を飼っているとの噂も。それでもめげずに世話を続けて、一週間後の日曜日。私たちとソルジャーが瞬間移動でお邪魔すると。
「…ど、どうだろうか…」
これとこれだと思うのだが、と鳥小屋の扉に付けられた印。マジックでキュキュッと黒く塗ってあるだけで、印と言うより目印です。リボンでも結んだ方が分かりやすそうなのに…。
「リボンは酷い目に遭ったようだよ」
ぼくの世界から見てたんだよね、と話すソルジャー。
「鳥小屋に結ぼうと巻いた途端に、中からクチバシ! つつかれて指に穴ってね」
「え、ええ…。実にお恥ずかしい限りです…」
こんな具合で、と褐色の指に絆創膏。他にも沢山貼られていますが、それが最新。教頭先生は印をつけた二羽を指差し、どちらも特に凶暴であると保証しました。
「つつくのも蹴るのも激しいですね。他の四羽とはケタが違います」
「それじゃ、どっちがより凶暴かな?」
ソルジャーの問いに、「甲乙付け難いものがあります」という返事。
「もう少し飼えば分かるかもしれませんが、現時点ではどちらとも…」
「ありがとう。だったら気分で貰って行くから、君は残った方の世話をね」
「は?」
「そういえば説明しなかったかなあ? ぼくは最強のシャモが欲しくて、そのために一羽飼育する。君にも一羽飼って貰って、一週間後にバトルなんだよ」
闘鶏のルールは分からないから普通に喧嘩、とソルジャーはニコリ。
「君が飼ってる方が勝った場合は名誉なんだよ、最強の一羽!」
「で、では、私はこれから一週間もコイツを飼うのですか?」
「ぼくの世界では一羽が限界。…それは分かるね?」
「わ、分かりますが…」
分かるのですが、と肩を落としそうな教頭先生に向かって、会長さんが。
「ブルーのシャモに勝てるのを育ててみたくないかい? ぼくも応援しているからさ」
「お、お前が応援してくれるのか?」
「応援だけね」
何も手伝ってあげないけどね、と会長さんの笑みは冷たいものでしたけれど、応援の一言は効果絶大。教頭先生は凶暴な一羽の飼育を引き受け、生傷地獄の延長戦~。



ソルジャーの青の間と、教頭先生の家の鳥小屋と。各一羽ずつのシャモを残して、他の四羽は会長さんがマザー農場に移しました。ついでに鳥小屋の仕切りも外され、残った一羽は広い鳥小屋で暴れ放題、教頭先生を蹴り放題でつつき放題。
そんな一週間が過ぎて日曜日が来て、私たちは朝から会長さんのマンションへ。
「かみお~ん♪ 今日はリビングで闘鶏なんだよ!」
土俵もあるの、と「そるじゃぁ・ぶるぅ」。
「「「土俵?」」」
「大きい桶なの、中でトリさんが喧嘩するんだって!」
凄いんだよ、と飛び跳ねてゆく後ろに続いてリビングに入ると、直径二メートルはあろうかという桶というか巨大なタライと言うか。そして…。
「おはようございます」
本日はお世話になります、と私服のキャプテン。隣に私服のソルジャーが立っていて、二人の前には不敵な面構えのシャモが入ったシールド。
「見てよ、強さがググンとアップ! ハーレイが頑張って世話をしたんだ」
「実に凶暴な鶏ですねえ…。シールド無しでは近付けませんよ」
なるほど、キャプテンは教頭先生と違って無傷。教頭先生の方はあれからも生傷が絶えない毎日、きっと今日だって…。
「うん、ハーレイならボロボロだってね。それじゃ呼ぼうか」
準備は整っているようだから、と会長さんの青いサイオンが光ったかと思うと、教頭先生がパッと出現。シールド入りのシャモもくっついています。
「やあ、おはよう。今日も酷い目に遭ったようだねえ?」
「お、お前が応援すると言ってくれたから頑張れたのだが…」
果たしてこいつは勝てるのだろうか、と教頭先生の自信はイマイチ。けれど…。
「やっぱアレだよな、身体を張ってた方が攻撃力はあるよな」
サム君がシャモをチラリと眺めて、キース君も。
「暴力をふるいまくっていたヤツの方が多分ファイトがあるだろう。好き放題に暴れていたんだ、こっちに勝ち目があると思うが…」
「ぼくもそういう意見だけどね?」
結果はどうだろ、と会長さん。いよいよバトルの始まりです。無制限一時間一本勝負。闘鶏のルールは知りませんけど、勝ったらソルジャーに鍋にされちゃうわけですが…?



教頭先生に暴行を加え続けて二週間のシャモと、この一週間はキャプテンに世話をされていたシャモと。桶に放された二羽の勝負は一時間も続きませんでした。殴る蹴るの大喧嘩が派手に繰り広げられて十五分くらい、キャプテンの方のシャモが桶の縁へと飛び上がろうとして。
「勝負あったあーっ!」
そこまで! と会長さんの声。闘鶏のルールでは土俵から逃げようとした方が負けで、これ以上バトルを続けさせると負けた方のシャモが殺されかねないという話。
「はい、君の方のシャモが勝ったってね。おめでとう」
「い、いや…。頑張って世話をした甲斐があって良かった」
この一羽が頂点に立ったわけだな、と教頭先生、感無量ですが。
「ありがとう。君のお蔭で最強のシャモが手に入ったよ」
ソルジャーが教頭先生に握手を求めて。
「ぼくのハーレイのシャモは駄目だね、マザー農場送りってね。そして君のシャモは…」
「あなたの世界で飼って頂けるわけなのですね、嬉しいです」
「えっ、飼わないけど?」
このまま店に連れて行くんだけど、とシャモをシールドで包むソルジャー。
「流石にこれでは持って行けないから、後でケージに入れるんだ。そして肉屋に」
「…肉屋?」
「そうだよ、絞めて貰ってシャモ鍋に!」
「シャモ鍋ですって!?」
そんな、と教頭先生は愕然とした表情に。
「さ、最強のシャモがどうしてシャモ鍋なのです、飼うと仰るなら分かりますが…!」
「あやかるためだよ、シャモの闘志はハーレム作りのためらしいしね」
ねえ? とソルジャーの視線がキャプテンに向けられ、キャプテンが。
「ブルーがこちらの世界で聞いて来たそうで…。シャモ鍋は私が食べるということになっております、これだけ強いシャモの肉でしたらパワーもあるかと」
「…シ、シャモ鍋……」
教頭先生はダッと駆け出し、ソルジャーのシールドに包まれてしまったシャモの前へと。
「き、聞いたか、お前!? シャモ鍋にされてしまうそうだぞ、お前はあんなに頑張ったのに!」
私と特訓を積んできたのに、と叫ぶ教頭先生、どうやら会長さんのために勝ちたくてシャモと戦っていたようです。その戦友が鍋と聞いたら、ショックを受けても無理ないかも…。



「うーん…。情が移ったというヤツかな?」
シャモを庇っている教頭先生を横目に、会長さんがノホホンと。
「蹴りの特訓だと缶の蓋を盾にして立ち向かったり、とにかくファイトだと真っ向勝負を挑んでみたりと自己流で励んでいたからねえ…。勝ったらシャモ鍋になるとも知らずに」
「そ、そこまでなさってらっしゃったのか!?」
どおりで生傷だらけの筈だ、とキース君。
「それだけの愛情を注いだシャモをだ、鍋となったら…」
「止めたいだろうね、全力で。だけど相手はブルーだからねえ…」
まず勝てないね、と会長さんは笑いましたが、教頭先生はガバッと土下座。
「このとおりです! 鍋にしないでやって下さい、あいつは本当に頑張ったんです!」
「…ぼくはそのファイトが欲しいわけでね、是非ハーレイに食べさせないと!」
だから、とソルジャーはキャプテンの背中をバンと叩くと。
「見たまえ、向こうは土下座で来たよ? あれに対抗してシャモをゲットだ!」
「私がですか!?」
「他に誰がいると?」
奪って来い! と押し出されたキャプテンは目を白黒とさせながら。
「…で、ですが、ブルー…。土下座よりも強力なお願いの方法はあるのですか?」
「知ってたらアドバイスしているよ!」
オリジナルで行け! と蹴り飛ばされたキャプテンですけど、オリジナル土下座などがあるわけもなくて。
「お願いします!」
こちらもガバッと教頭先生の前に土下座で、額を床に擦り付けました。
「最強のシャモでパワーをつけろとブルーに言われておりまして…。そのシャモを譲って頂けませんか、何もかもブルーのためなのです!」
「…し、しかし…」
いくらブルーのためでもシャモは…、と教頭先生。
「こいつはこっちのブルーのためにと頑張ったのです、それを鍋にはさせられません!」
「そこをなんとか、私のブルーのためにですね…!」
土下座対土下座、シャモ鍋がかかった一本勝負。教頭先生が勝つか、キャプテンが勝つか、と私たちは固唾を飲んで見守りましたが…。



「仕方ないねえ…」
最強のシャモのパワーは温存する方にしておこうかな、とソルジャーの声が。
「食べてしまったら一回こっきり、パワフルになっても一度きりってね。…それよりはパワーを小出しに細く長くのお付き合いかな」
「「「はあ?」」」
「そっちの負けたシャモと一緒にマザー農場! そしてハーレムで卵をせっせと産ませる!」
その卵を毎日貰いに来よう、という大きな譲歩が。
「ハーレムだったら卵は一日一個じゃないだろ、雌鶏の数だけあるんだろうし…。ぼくのハーレイに毎日一個ずつ失敬したって問題ないと思うけど?」
どう? と訊かれた会長さんは。
「まあ、そうかな…。一羽頼むよ、と言っておいた分が二羽になっても大したことは…」
「じゃあ、それで! ぼくのハーレイのぼくへの愛の深さは土下座合戦で分かったから!」
愛の深さが分かった以上は、次は実践! とグッと拳を。
「いいかい、ハーレイ? その愛でもって、毎日シャモの卵を食べる! そしてパワーを!」
「分かりました、ハーレムを作る勢いで毎晩、尽くしまくればいいのですね!」
「そう! 君が飼ってたシャモがヘタレなハーレイのシャモに負けた分を償って余りあるパワフルな時間を期待してるから!」
早速帰って一発やろう、とバカップルならではの熱いキス。次の瞬間、姿がパッと消えてしまって、届いた思念波。
『最強のシャモの卵、よろしくーっ!!』
「「「た、卵…」」」
シャモ鍋が卵に変わったのか、とホッと一息つきましたけれど、ソルジャー、なんて言いましたっけ? 毎日シャモの卵を失敬しに来るとかって…。
「あいつ、毎日来やがるのかよ!?」
「それくらいだったらシャモ鍋の方がマシでしたよ!」
毎日迷惑かけられますよ、というシロエ君の叫びに泣きの涙の私たち。けれども教頭先生はと言えば、ソルジャーのシールドが解けたシャモをガッシリ抱き締めていて。
「よ、良かったな、お前…! 鍋にならずに済んだぞ、お前…!」
マザー農場で強く生きろな、と呼び掛ける教頭先生でしたが。
「ケーーーッ!!!」
シャモの蹴りが一発、顎に炸裂。バサバサバサと羽をバタつかせ、教頭先生の頭を蹴って、つついて…。所詮は鶏、三歩も歩かず恩を忘れたみたいです。シャモでもコレだとソルジャーの方は…。明日から毎日シャモの卵を貰いにやって来るだなんて、誰か助けて下さいです~!




          罪なシャモ鍋・了

※いつもシャングリラ学園を御贔屓下さってありがとうございます。
 ソルジャーのとんでもない提案のせいで、シャモを飼うことになった教頭先生。
 情が移ってしまいましたが、闘鶏のルールは本物です。シャモは本来、闘鶏用です。
 次回は 「第3月曜」 7月16日の更新となります、よろしくです~! 

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 こちらでの場外編、6月は、キース君を別の世界に追い払う企画が着々と…。
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