シャングリラ学園シリーズのアーカイブです。 ハレブル別館も併設しております。
※シャングリラ学園シリーズには本編があり、番外編はその続編です。
バックナンバーはこちらの 「本編」 「番外編」 から御覧になれます。
暑さ寒さも彼岸まで。秋のお彼岸も済んで、これからが行楽と食欲の秋。何処へ行こうか、何を食べようかと早くも相談会な土曜日、会長さんの家へ集合です。今のシーズン、一つ間違えるとまだ残暑だけに、相談会から始まるわけですが…。
「マザー農場には行きてえよなあ、学校からも行くけどよ」
収穫祭で…、とサム君が言えば、ジョミー君も。
「収穫祭だと、あんまり贔屓はして貰えないしね…。幻の肉までは食べられないし」
「あの肉か…。今年も是非とも食べたいものだが…」
美味いからな、とキース君までが。マザー農場の幻のお肉、本来はシャングリラ号のためにと開発された飼育法で育てた牛のお肉です。宇宙空間でも美味しいお肉になるように、とコツが色々、それを地上で実践するともう最高のお肉の出来上がり。
大量生産していませんから、一部のお店に卸しているだけ、ゆえに幻の肉というわけ。会長さんと一緒にお出掛けすると御馳走になれるチャンスもグッと増えますし…。
「マザー農場、行きたいですねえ…」
シロエ君も賛成、他のみんなも大賛成。行き先、一つは決まりました。さて他は…、とリビングで検討していた所へ、明るい声が。
「こんにちはーっ!」
遊びに来たよ、と空間を超えて出て来たソルジャー。空いていたソファにストンと座ると…。
「ぶるぅ、ぼくにもケーキと飲み物!」
「かみお~ん♪ 今日は渋皮栗のカフェモンブランなの!」
マロンクリームたっぷり、ティラミス風! と「そるじゃぁ・ぶるぅ」がキッチンに走り、ケーキのお皿と紅茶がソルジャーの前にササッと。
「ありがとう! 今日のケーキも美味しそうだよね」
ソルジャーは早速フォークを入れると、「うん、美味しい!」とパクパクと。
「秋って感じのケーキだねえ…。でもって、秋となったら食欲の秋で、性欲の秋!」
「「「は?」」」
何のことだ、と訊き返してしまった私たち。行楽とは違う言葉が聞こえたような気がしましたけど、聞き間違いですか?
「性欲の秋、と言ったんだよ! 秋は人肌恋しい季節だからねえ!」
「それを言うなら、人恋しいの間違いだろう!」
勝手に言葉を作るんじゃない! と会長さんが突っ込みましたが、ソルジャーは。
「えーっ? ぼくにとっては、秋はそういう季節だけれど!」
人肌恋しい性欲の秋、とソルジャーの方は譲りません。今日もアヤシイ話になりそう…。
困った人がやって来た、と私たちの顔には露骨に嫌そうな表情が。けれどもソルジャー、それくらいで怯む人ではなくて。
「これからが素敵なシーズンなんだよ、ぼくのシャングリラも公園は秋になるからね!」
日に日に秋めいてゆく公園でハーレイとデートなのだ、と言ってますけど、キャプテンとの仲はバレバレとはいえ、肝心のキャプテンにバレてる自覚が無かったのでは…?
「そうだよ、ハーレイはバレていないつもり! ぼくと公園を散歩してれば普通はねえ…?」
誰でもピンと来るじゃないか、とソルジャー、溜息。
「そりゃね、手を繋いだりはしてないよ? でもねえ…。二人で歩いていればねえ…」
「君のハーレイとしては、視察のつもりじゃないのかい?」
会長さんの言葉に、ソルジャーは「そう」と。
「ソルジャーのお供で視察をしているつもりなんだよ、ぼくはデートのつもりなのに!」
まるで分かっていないんだから、と、またまた溜息。
「でもねえ、ムードは高まるしね? 暑い季節より、断然、秋だよ! 性欲の秋!」
いつもの店でも勧められたし…、って、何のお店ですか?
「えっ? 漢方薬の店に決まってるだろう、地球で行くなら漢方薬店!」
ぼくの世界じゃ手に入らないレアものの薬が色々沢山…、と言われてみればそうでした。ソルジャーの世界は地球が一度は滅びてしまった世界です。スッポンでさえも超がつくレアで、他の薬は言わずもがな。
かてて加えて、アルタミラとやらで散々に人体実験をされたソルジャー、薬物への耐性が半端なものではないと聞きます。自分の世界の媚薬の類は殆ど効かない体質なだけに、漢方薬にかける期待も大きく、主な使い道はキャプテンの精力増強で…。
「漢方薬は実に素晴らしいよ! あれこれ試してビンビンのガンガン、定番の薬も大量に買っているんだけれど…。この間、別のを勧められてね」
「…また怪しげな薬かい?」
今度は何だい、と会長さんが一応、相槌を打てば。
「それが薬じゃないんだな! 併せて是非ともお試し下さい、とツボってヤツで!」
「「「壺?」」」
どんな壺だ、と思いましたが、ソルジャーは「そっちの壺じゃなくて!」と指をチッチッと。
「ツボはツボでも身体の方だよ、こう、あちこちに押すツボが!」
「「「あー…」」」
ツボ治療の方か、と理解したものの、何故にソルジャー行きつけの漢方薬店でツボがお勧めされるのか。どっちも発祥は同じ国だけに、併せて使えば効果アップとか…?
ソルジャーが勧められたというツボ治療。お灸か鍼かと思いましたが、そうではないという話。
「そういうヤツなら、わざわざ通わなきゃいけないだろう? 面倒じゃないか」
そんな時間があったらセックス! とソルジャーらしい台詞が。
「ぼくのハーレイは忙しいんだよ、ぼくと違って! 空いた時間は有効に!」
「…それじゃツボ治療はどうするんだい?」
会長さんが訊くと、ソルジャーは。
「ツボだよ、グッと押すだけだよ! いろんなツボを教えて貰って、元気モリモリ!」
思わぬ所にツボがあってね…、と得々と語り始めるソルジャー。元気が漲ってくるツボだとか、イマイチそういう気分になれない時に便利に使えるツボだとか。
「なんと、足首にもあるんだよ! そういったツボが!」
「「「足首!?」」」
まるで関係なさそうなのに、と誰もが見てみる自分の足首。そんな所にソルジャーの好きそうな目的に使うツボがあるとは思えませんが…?
「それがあるんだな、こう、この辺に!」
此処、とソルジャーはブーツの上から自分の足首を示しました。
「ハーレイの此処をグッと押してやれば、効果抜群、もうビンビンのガンガンで!」
「…はいはい、分かった」
それで楽しく暮らしてるわけだ、と会長さんが纏めにかかったのですけれど。
「そう呆気なく終わらせないでくれるかな? ぼくはツボの素晴らしさに目覚めたわけで!」
「毎日が楽しい秋なわけだろ、はい、終了!」
ツボの話はもう聞いた、と会長さんが終了宣言をしたというのに、ソルジャーは。
「分かってないねえ、いろんなツボがあるんだよ? 全部が性欲ってわけじゃないから!」
「…そりゃそうだろうね、そういうモノなら鍼灸院とかはアヤシイ所だよ、うん」
普通は肩こりなどを治す所だ、と会長さん。
「腰痛だとか、他にも色々…。本来、ツボはそっち方面で使うものだよ」
「らしいね、ノルディに訊いたら、使えそうなツボが一杯あって…!」
「…ノルディってトコがアヤシイんだけど?」
「何を言うかな、ノルディはあれでも医者だから! オールマイティの!」
それだけにツボにも詳しかった、とソルジャー、ニコニコ。
「ぼくには全く縁が無いけど、ミュウは本来、繊細だからねえ…。胃痙攣なんか、しょっちゅうでさ…。それに効くツボも教わったんだよ!」
「なんだ、ホントのツボ治療か…」
真面目な話だったのか、と会長さん。胃痙攣のツボって、そんなの、あるんだ…?
ツボに目覚めたソルジャーがエロドクターから教わったツボ。胃痙攣の他にも咳が止まらない時に使えるツボとか、虚弱なミュウには役立つ代物らしいです。
「ぼくのシャングリラのノルディに言ったら、半信半疑だったけど…。データベースにそれっぽい資料はあったらしくて、試してみたら胃痙攣の患者が治ったそうでね」
ぼくの世界のノルディも乗り気、とソルジャーは笑顔。
「薬はやっぱり、薬だからさ…。使わずに済むなら、それが一番!」
「それはそうかもしれないねえ…。一種の毒だと言えないこともないからね」
その気持ちは分かる、と会長さん。
「健康的に行くんだったら、ツボで治せるものはツボがいいよね。腰痛とかにしたってねえ…」
エレキバンなんかもあるけれど、と出ました、磁石な貼り薬。あれってツボに貼るものですか?
「うーん…。基本はツボに貼るんだけどねえ、大抵の人は自己流だよねえ…」
この辺りだ、と自分が思う所に貼るし、と会長さんが言えば、キース君も。
「それは分かるな、俺の親父もそうだしな。ちょっと貼ってくれ、と言われて出掛けて、説明書の通りに貼ろうとするのに、其処は違うと言いやがるんだ」
もっと右とか左とか…、とキース君。
「あれだけ肉をつけてやがると、ツボもズレるかもしれんがな…。親父が其処だと貼らせてる場所と、本来のツボは常にズレているな、間違いない」
「…それで効くわけ?」
ズレてるのに、とジョミー君が首を捻りましたが、「効くらしい」との答え。
「親父が効いたと言ってるからには効くんだろう。…ズレたツボでも」
「ふうん…。多少ズレていても効くんだ、ツボは…」
ぼくのハーレイでもズレていたっていいのかな、と言ったソルジャーですけれど。
「待ってよ、エレキバンとか言ったかい?」
「言ったけど?」
会長さんが返事し、キース君も。
「言ったが、それがどうかしたか?」
「んーと…。エレキバンってアレだよね、普通の薬局で肩こり用に売っているヤツ」
「あんた、知ってるのか? …って、こっちの世界も長かったか」
「うん。買って使ったことはないけど、エレキバンの存在と使い方なら知ってるよ。でも…」
ツボとは結び付いていなかった、とソルジャーは顎に手を当てて。
「あれって、ツボに貼るものなんだ…? 自己流はともかく、基本としては」
「そうなるな」
説明書を見るとそれっぽいな、とキース君。普段貼ってる人が言うなら、そうですねえ…。
キース君がアドス和尚に頼まれて貼ってるエレキバン。腰なら此処で肩なら此処、と説明書に図解があるらしいです。もっともアドス和尚は自己流、説明書とはズレてるみたいですけど。
「キースのお父さん、エレキバンは効いているんだね?」
ソルジャーの問いに、キース君が「ああ」と。
「効いてなければ買わんだろう。あれもけっこう高いからなあ…。一度貼ったら長く使えるとはいえ、一ヶ月も使えはしないからな」
「えっ、貼りっ放しにするのかい、あれは?」
一晩とかじゃなかったんだ、とソルジャーが言えば、会長さんが。
「貼ってじっくり治すんだしねえ、モノにもよるけど一週間くらいは貼ったままかな。磁石の力でツボ刺激なんだよ、人間の指で押す代わりにね」
「へええ…! だったら、エレキバンを貼っても効くのかな?」
ぼくのハーレイに役立つツボ、と訊かれた会長さんは。
「そういうツボとは別物じゃないかな、そのために貼るって話は聞かない」
「うーん…。ちょっといいな、と思ったんだけどね?」
そのエレキバン、とソルジャーが。
「エレキバンそのものを使うのもいいけど、ぼくの世界にはもっと便利なものがあるから…」
「君の世界にもエレキバンに似たものがあるのかい?」
「医療用のグッズじゃないんだけどねえ…。もっと物騒なモノなんだけどさ」
ついでに今は廃番だけど、って、それは効かないからなんじゃあ…?
「違うね、効きすぎるからなんだよ!」
現にこのぼくに劇的に効いた、と自分の身体を指差すソルジャー。何処かでエレキバン、貼られましたか?
「ずいぶん昔の話だよ。ぼくの最初の記憶と言ってもいいくらい!」
それよりも前の記憶は無いから、ということは…。まさか記憶を失くした頃の?
「その通り! 成人検査で使われたんだよ、エレキバンもどき」
身体にペタペタ貼られたのだ、とソルジャーは説明し始めました。
「今から思えば、機械の思念波を伝達するためのモノなんだけどさ…。そんなモノだと思わないしねえ、ただの検査だと思ってたしね?」
エレキバンもどきを貼られたソルジャー、医療器機に似たモノに送り込まれたらしいのですが。其処で待っていたのが成人検査で、エレキバンと頭に被せられた機械から思念波が届いたとか。
「記憶を手放せ、と言われちゃってさ、それは嫌だと叫んだのが全ての始まりなんだよ」
気付いたら機械は全壊してしまっていて、ソルジャーはミュウになっていたという話。それは確かに物騒すぎます、そのエレキバンもどきな代物とやら…。
ソルジャーの思い出話は壮絶でしたが、今となっては別にどうでもいい話らしく。
「無事にあそこから逃げ出せたしねえ、シャングリラだって今じゃすっかり居心地のいい場所になったし、昔のことにはこだわらないよ。でも…」
あのエレキバンもどきは使えるのでは…、と言うソルジャー。
「なにしろ思念波を伝達するんだ、磁石なんかより効きそうだよ、うん」
「…それはまあ…。磁石と違って、人間の意志が伝わるんだし…」
ある意味、ツボを指で押すのに似ているかもね、と会長さんも頷きました。
「それで、そのエレキバンもどき…? 君の世界で治療に使うと?」
「ちょっといいかな、と思ってね! あれで肩こりとかが治るようなら便利だよね」
まるで考えたことも無かったけれど…、というソルジャーの言葉に、会長さんが。
「試してみる価値はあるかもねえ…。ぼくは作ろうとは思わないけどさ」
サイオンを持つ人間の数も限られているし、エレキバンだってあるからね…、と。
「でもさ、君の言う、そのエレキバンもどき。廃番になった理由が効きすぎっていうのは何?」
「そのまんまだよ、ぼくがミュウになったくらいなんだよ? 思念波を伝えすぎるんだよ!」
あまりにもダイレクトに伝わるせいでミュウが続々、という説明。成人検査に使う機械の思念波、強く伝わりすぎると高確率でミュウになってしまうと判断されたのだとか。
よって今では廃番になって、エレキバンもどきも医療機器もどきの機械も無し。ただのヘルメットみたいなものを被せておしまいらしくって…。
「あのエレキバンもどき、いつから廃番になっちゃったんだか…。データを探すのに苦労しそうだけど、使えそうとなれば頑張らなくちゃね!」
探し出してシャングリラで使ってみよう! とソルジャーは思い切り前向きです。
「そうと決まれば、思い立ったが吉日ってね! 早速、帰って!」
「…お昼御飯はいいのかい?」
「あっ、そうか! 今日のお昼は?」
「かみお~ん♪ チキンのタンドリー風と、カレーピラフだよ!」
食べて帰る? と訊かれたソルジャー、「食べる!」と即答。急いではいても、美味しい食事は話が別だということです。ツボの話で盛り上がる内に、お昼御飯の時間になって…。
「エレキバンもどき、データを探すなら、やっぱりアルテメシアだと思う?」
「「「アルテメシア?」」」
「ああ、ごめん! この町じゃなくて、ぼくの世界の…。星の名前だよ、シャングリラのいる」
そこでも成人検査をやっているから、そういった所で探した方が早いだろうか、という話。そりゃあ闇雲に探すよりかは、成人検査の現場でしょう。危ない場所かもしれませんけど、虎穴に入らずんば虎子を得ずとも言いますしねえ…?
昼食を終えたソルジャーは「じゃあ、行ってくる!」と大急ぎで帰ってゆきました。第一目標がアタラクシアで、第二目標がエネルゲイアとやら。
「…なんと言うか…。不純な目的で行くつもりだねえ、ユニバーサルとやらに」
よりにもよってエレキバンもどきの仕組みを探しに行くなんて…、と会長さんが呆れたように。
「普段は成人検査の邪魔をして仲間を救出するんじゃなかったかなあ、ユニバーサルを相手に」
「そう聞いているが…。思い立ったが吉日なんだと言っていたしな」
俺は余計な話をしたんだろうか…、と自己嫌悪に陥っているキース君ですが。エレキバンの話自体は会長さんが先に持ち出したわけで、それに関しては責任ってヤツは無いのでは…?
「どうなんだか…。多少ズレても効くとか、そういう話は俺だしな…」
もしもあいつに何かあったら…、と心配する気持ちも分からないではありません。エレキバンもどきを探し当てる前に発見されて攻撃されるとか…。
「ブルーだからねえ、その点は心配していないけどね?」
ぼくよりもずっと力が上だ、と会長さん。
「まして相手の邪魔をしようってわけじゃなくって、単なる潜入調査だから…。入り込まれたことにも気付かないままってことも有り得るよ、ユニバーサルの方は」
「あいつ、そこまで凄いのか?」
なら心配は要らないだろうか、とキース君。手首の数珠レットを繰ってますから、本気で心配していることは確かですけど…。
「まず心配は無用ってね。それよりも別の心配ってヤツをしておいた方がいいんじゃあ…」
「「「えっ?」」」
会長さんの言葉に首を傾げた私たち。別の心配って…どういう心配?
「エレキバンだよ、エレキバンもどき! ブルーはツボに凝ってるんだよ?」
普通のツボ治療だけで終わればいいけど…、と言われてサーッと引いてゆく血の気。そういえばソルジャー、元々は漢方薬店でお勧めされてツボ治療にハマッたんでしたっけ…。
「ブルーがエレキバンもどきの仕組みを見付けて、開発させて。…最初は普通に使うだろうけど、効くとなったら何に使うか…」
「「「ま、まさか…」」」
「そう、原点ってヤツに立ち返った挙句、漢方薬店で教わったとかいうツボに使わないという保証はない!」
そうなったら巻き込まれる危険だって…、と会長さん。
「よく効くと自慢しに毎日来るとか、恐怖の猥談地獄だとか…」
「「「うわー…」」」
それは困る、と泣きそうです。ソルジャーがエレキバンもどきを開発したなら、そういう結末?
ソルジャーについて心配するなら別方向で…、と会長さんが言っていたとおり、ソルジャーは無事に帰って来ました。次の日に会長さんの家に集まっていたらヒョイと現れ、おやつを食べ食べ、昨日の自慢話をひとしきり。
「それでさ…、やっぱり情報を持っていたのはユニバーサルでさ!」
しっかり漁ってゲットして来た、とエレキバンもどきの設計図などを見せられましたが、何のことやら意味不明。シロエ君でも分からないそうで。
「…どういう仕組みなんですか、コレ?」
「ん? この部分がサイオンを受け止めるように出来ていてねえ…。エレキバンと言うよりはアレだね、電磁治療器用のパッドの方が近いかな?」
そういうイメージ、と言われて頭に漠然と浮かぶ粘着パッド。アレのサイオン用のヤツか、と思いはしても、具体的にはやっぱり謎で。
「分からなくてもいいんだよ! 君たちが使うわけじゃなし!」
「…それは確かにそうですね」
ぼくは肩こりしていませんし、とシロエ君。機械弄りが大好きですけど、肩がこる前にストレッチだとか軽い運動、肩こり知らずらしいです。
「俺もたまには貼りたくなるが…。まあ、二、三日もあれば治るし…」
「えっ、キース先輩、肩こりですか?」
「馬鹿野郎! 親父に叱られて五体投地をさせられた時だ、三百回とか!」
「「「あー…」」」
南無阿弥陀仏に合わせての五体投地はスクワットに匹敵すると聞きます。素人は百回で膝が笑うと評判なだけに、三百回だと、キース君でも…。
「ああ、明くる日にはエレキバンな気分で間違いないな。だが、筋肉痛には運動だ!」
エレキバンに頼るよりかは運動なんだ、と柔道部ならではの流石な解釈。エレキバンのお世話にはならず、黙々と筋トレするのだそうです。
「なるほどねえ…。ホントに君たちとは縁が無いねえ、エレキバン…」
でも作る、とソルジャーは既に開発に入らせていました。昨日の間に向こうのシャングリラのノルディに相談、サイオン治療に使えそうだとのお墨付きを貰って、今日から開発。
「ぼくのシャングリラは年中無休が売りだからねえ、日曜日だって仕事はするし!」
「あんた、しょっちゅう休んでいないか?」
キース君の指摘に、ソルジャーは。
「いいんだってば、普段の働きが違うから! 今日もしっかり週末休暇!」
今日の御飯は? と居座る気満々、食べる気満々。ソルジャーの世界のシャングリラの中では開発担当のクルーが働いている筈ですが…。そっちは放置ということですね?
かくして開発されてしまった、エレキバンもどき。次の週末、ソルジャーはまたしても自慢に現れました。磁力の代わりにサイオンを届けるエレキバンもどき、好評だそうで。
「水曜日から実用品として医療現場で使ってるんだけど…。なかなか評判いいんだよ」
肩こりのクルーが楽になったと喜んでいて…、とソルジャー、ニコニコ。
「腰痛にも効くと喜ばれてるし、あれはいいねえ!」
「それは良かった。…でもさ、君も肩こりとは無縁そうだねえ…」
効き目を実感できそうにないね、と会長さんが言うと、ソルジャーは。
「そう、其処なんだよ! せっかく開発したというのに、ぼくには御縁が無くってねえ…」
「いいじゃないか、たまにはソルジャーとして皆に喜ばれておけば」
医療部門で喜んで貰えるだなんて、そうそう機会が無いだろう、と会長さん。
「どちらかと言えば戦闘担当、医療なんかは無関係ってイメージが強いけどねえ、君の場合は」
「その通りだけど…。あれの恩恵、ぼくも蒙りたくってねえ…」
「肩こりとか腰痛希望だったら、そこのキースに頼めばいいよ」
アッと言う間に筋肉痛にしてくれるから…、と話を振られたキース君は。
「俺か? あんたの嫌いな南無阿弥陀仏のお念仏は俺が唱えてやるから、運動してみろ」
こんな具合で…、と五体投地の見本が一回。
「あんたの希望の極楽の蓮までの距離がグンと短くなると思うが」
「筋肉痛は要らないんだよ! ぼくが欲しいのは別方面での恩恵で…!」
ツボと言ったら元々はコレ、とソルジャーがピタリと指差す足首。そのツボは、確か…。
「覚えてるかなあ、ぼくのハーレイが元気になるツボ! 今も使ってるんだけど…」
「…それで?」
会長さんの声が震えて、私たちも震えたい気分。会長さんの予想通りに、ソルジャーは良からぬ目的に向かってエレキバンもどきを使いたいらしく…。
「こういうツボにもエレキバンもどきが効くのかなあ、って…。でもねえ、使用例が無いものだから…。下手に使って逆効果だったら困るしね?」
念には念を入れて使いたいのだ、と言うソルジャー。それって、何処かで実験するとか…?
「ピンポーン!」
大当たり! とソルジャーの声が。
「こっちの世界に一人いるじゃないか、ぼくのハーレイのそっくりさんが!」
「「「教頭先生!?」」」
「あれで試すのが一番なんだよ、エレキバンもどきが効くのかどうか!」
ジャジャーン! と取り出されたエレキバンもどきを入れた箱。それって貼るだけで使えるんですか、エレキバンもどきですもんねえ…?
「うーん…。貼るだけと言えば貼るだけ、だけどアフターケアが必要!」
サイオンだから…、と言うソルジャー。
「ある程度のサイオンは乗せておけるけど、パワーは少しずつ落ちてゆく。ぼくのシャングリラなら、その点はあまり心配要らないんだけど…」
微弱なサイオンが常に船の中に流れているから…、という話。ソルジャーが張り巡らせているサイオンの他にもステルス・デバイス用やら何やら、サイオンだらけらしいです。
「そういうサイオンがプラスされるし、落ちたパワーも補えるんだけど…。こっちの世界じゃそうはいかないから、貼りっ放しにするんだったらサイオンのフォローが要るんだよ」
「ああ、なるほど…。それじゃ長時間は試せないねえ?」
会長さんが頷き、ソルジャーも。
「短時間で効果を見極めなくちゃ、って所かな? だけど元々、長時間効いてもぼくのハーレイは長期休暇を取れないし…」
一時的に効けばそれで充分、という話。それじゃ、教頭先生は…?
「ちょっと付き合ってくれればいいんだ、実験に! これをツボに貼って!」
ちょうど暇そうにしているし…、という言葉が終わらない内に、パアアッと光った青いサイオン。私たちは会長さんや「そるじゃぁ・ぶるぅ」も一緒にソルジャーの瞬間移動に巻き込まれて教頭先生の家へ。リビングにドサリと放り出されて…。
「うわあっ!?」
ソファで仰け反ってらっしゃる教頭先生に、ソルジャーが。
「こんにちは。ちょっとね、君にお願いがあって…」
「…お願い…ですか?」
「うん。ツボ治療ってヤツに凝っていてねえ、ぼくのシャングリラでサイオンを使ったエレキバンもどきを開発したから…」
君に試して貰えないかな、と訊かれた教頭先生、ツボについては素人だったらしく。
「はあ…。ツボ治療だと言われましても、肩こりも腰痛も今の所は特に…」
「そうなのかい? でもねえ、ツボには色々とあって…」
足首に一つ貼ってもいいかな? と指差された教頭先生、「はあ…」と怪訝そうに。
「足首とは、また…。そんな所に貼って、何に効くのですか?」
「元気が出るツボと言えばいいかな、悪いようにはしないよ、うん」
両足首に一つずつ貼るだけ! と言われた教頭先生は「分かりました」とソファに座り直し、ソルジャーが靴下をグイとめくって足首の上の方にエレキバンもどきを一つ、ペタリと。両足首にそれぞれ一個のエレキバンもどき、さて、この後は…?
どうなるのだろう、と見守っている内に、ソルジャーがサイオンを送り始めたみたいです。教頭先生の頬が赤らみ、ソファでもじもじと身じろぎをして。
「あのう…。少し失礼してもよろしいでしょうか?」
「失礼って…。何処へ?」
ソルジャーの問いに、教頭先生が「トイレですが」と答えると。
「やったね、やっぱりそういう気持ちになって来たかい?」
「…は?」
「普通にトイレじゃないんだろう? こう、盛り上がった気分を鎮めに行くんじゃないかと」
君の分身…、とソルジャーが教頭先生の股間を指差し、教頭先生は耳まで真っ赤に。
「…い、いえ…。あのぅ…、そのぅ…」
「遠慮しなくてもいいんだよ! そういうツボに貼ったんだしねえ、エレキバンもどき!」
「ツボですって!?」
教頭先生の声が引っくり返って、ソルジャーは。
「そうだよ、モリモリ元気が出て来るツボってね! ぼくのハーレイもよく使っているよ」
押すだけで男のパワーが漲るツボで…、と教頭先生の足首をグッと掴んでニッコリと。
「ご協力、どうもありがとう! 御礼にトイレに行かなくっても、このぼくが!」
「…あなたが?」
何を、と教頭先生が言い終わらない内に、ソルジャーの手がツボをグッと押し、その手を離すと教頭先生のズボンのファスナーを下ろして…。
「今のツボ押しで元気一杯、漲った君にぼくが御奉仕! 遠慮しないで!」
ズボンの前は見事に全開、紅白縞へとソルジャーが突進しましたが。
「やめたまえ!」
会長さんが怒鳴り付けるのと同時に教頭先生の鼻から鼻血がブワッと。さっきからトイレと仰っていただけに血の気は充分に昇っていたらしく、ソルジャーの突撃がダメ押しになって…。
「…うーん…。せっかく御奉仕してあげよう、って言ってるのにさ…」
失神だなんて、とソルジャーはブツブツ、会長さんはギャーギャーと。
「余計なことはしなくていいんだよ! ハーレイにはトイレが似合いだから!」
「でもねえ、実験に協力して貰った御礼はしたいし、美味しそうだし…」
「もうヘタレたから! 役に立たないから!」
「…それっぽいねえ、残念だけど」
食べ損なった、とソファに沈んだ教頭先生の足首からエレキバンもどきを剥がすソルジャー。エレキバンもどきの効力は証明されたみたいですから、この騒ぎもこれで終わりですかねえ…?
失神した教頭先生を見捨てて、会長さんの家に戻った私たち。ソルジャーはエレキバンもどきが自分の役にも立ちそうだと分かってウキウキで。
「まさかあんなに効くなんて…。思った以上の効き目だよ!」
「…普通に押すより効き目があるとか?」
会長さんが嫌そうに言うと、ソルジャーが「うん」と。
「ツボを押すにはコツがあってね、それなりに効いてはいるんだけれど…。エレキバンもどきを通してやったらコツは要らないし、効果の方も抜群だから!」
これに限る、と嬉しそうなソルジャー。
「下手をしたら逆効果になっちゃうかも、って思っていたから、こっちで実験したけれど…」
「「「逆効果?」」」
「いわゆるEDとかだよね、うん。ツボにサイオンを送り込むんだし、何が起こるか分からないしねえ…。癒し効果で癒されちゃったら、肝心の部分も眠っちゃうから!」
だけど元気になると分かった、とエレキバンもどきを大絶賛。
「此処でのんびりしちゃいられないよ、急いで帰ってハーレイの休暇を取らなくちゃ!」
「休暇って…。まさか、今日の分かい?」
今からなのかい、という会長さんに、ソルジャーは。
「もちろんだよ! 一分一秒も惜しいって感じ! 今すぐ休暇を申請したなら、夕方にはブリッジを出られるからね! そして明日の夜までガンガン!」
このエレキバンを貼ってガンガンやりまくるのだ、とソルジャーは急いでお帰りに。いつもだったらお昼御飯もおやつも食べて、夜まで居座るコースですけど…。
「じゃあねー!」
またね、と消えてしまったソルジャーの姿。私たちはポカンと取り残されて…。
「…教頭先生、大丈夫でしょうか?」
助けに行った方がいいんじゃあ…、とシロエ君が呟くと、会長さんが。
「放っておけばいいんだよ! あんなスケベは!」
「しかしだな…。今回のアレは不可抗力というヤツで…」
何も御存知なかったのだし…、とキース君。けれど、会長さんはツンケンと。
「トイレに出掛けて何をしようと考えてたかが問題なんだよ! どうせオカズはぼくだから!」
「「「…おかず?」」」
「スケベな妄想のお供って意味!」
だからスケベは捨てておくのだ、と会長さん。自業自得とも言ってますから、助ける気など皆無でしょう。まあ、真っ裸でもないんですから、放っておいてもいいですよね…?
キャプテンに休暇を取らせると言って帰ったソルジャーは次の日も姿を見せませんでした。宣言した通り、夜までガンガンとかいうヤツでしょう。鬼の居ぬ間に何とやら…、と私たちは会長さんの家でゆっくり過ごして、美味しい食事やお菓子なども。
週明けも無事にスタートを切って、平穏な日々が流れて行って…。
「…当分、あいつは来ないようだな」
エレキバンもどきの御利益で…、とキース君が合掌している土曜日の朝。会長さんの家へ行こうと集合したバス停でのことです。
「来そうにねえよな、この一週間、見ていねえしよ」
「キャプテンが順調ってことでしょうねえ、アレのお蔭で」
サム君とシロエ君が頷き合って、私たちも揃って「うん、うん」と。ソルジャーがキャプテンとベタベタしようが何をしようが、あちらの世界は全く関係ありません。エレキバンもどきでツボ治療とやら、大いに頑張って欲しいものだ、と思っていたら…。
「こんにちはーっ!」
会長さんの家に着くなり、狙いすましたように湧いたソルジャー。今日はキャプテンと休暇なのではないのでしょうか?
「えーっと…。休暇には違いないんだけれど…。ちょっと君たちに相談があって…」
「「「相談?」」」
「うん。このエレキバンもどきのことなんだけどね…」
こっちで量産出来ないだろうか、と妙な話が。量産って…?
「そのまんまの意味だよ、大量生産出来ないかなあ、と…。ぼくのシャングリラでは限度があって…。そりゃあ、データを誤魔化せば済む話だけれど…」
大量に消費するものだから、と聞かされて会長さんが「それは変だろ」と。
「エレキバンもどきはよく知らないけど、エレキバンは一週間は持つんだよ?」
「俺もそう思うが、そのエレキバンもどきは持たないのか?」
二日か三日で駄目なのか、とキース君が訊くと。
「二日どころか、一日でパアになっちゃうんだけど!」
「「「一日!?」」」
それはあまりに短命なのでは…、と驚きましたが、ソルジャーは。
「普通に使えば一週間はいけるんだよ! でもねえ、ぼくたちみたいな使い方だと駄目なんだ」
「何をしたわけ?」
会長さんの問いに、返った答えは。
「タイプ・ブルーのサイオンをMAX…」
「「「え!?」」」
それってどういう使い方ですか、エレキバンもどきを攻撃したとか…?
エレキバンもどきのパワーの源はサイオンなのだと聞いています。実際、ソルジャーもサイオンを乗せているようですけど、MAXだなんて、どうしてそこまでのパワーが必要…?
「ぼくじゃなくって、ぶるぅなんだよ」
「「「ぶるぅ?」」」
あの悪戯小僧の大食漢が何をしたと?
「エレキバンもどきをハーレイのツボに貼っておいてさ、ヤリまくってたら、ぶるぅが覗きに来たらしくって…。エレキバンもどきにサイオンをサービスしてくれたんだよ」
MAXパワーで乗せてくれた、と言うソルジャー。でもでも、「ぶるぅ」はサイオン全開だと三分間しか持たないのでは…?
「そこがエレキバンもどきの凄さなんだよ、ぶるぅが一瞬放出した分でジンジンとパワーを保つってわけ! ツボ刺激の!」
そしてハーレイは疲れ知らずでヤリまくるんだけど…、と深い溜息。
「エレキバンもどきは、そこまでのサイオンを受け止めることを想定してないし…。結果的に一日で壊れちゃうんだ、そして新しいのが必要になる、と!」
「…君のシャングリラで増産すれば?」
その方が早い、と会長さんが言ったのですけど、ソルジャーは。
「データを誤魔化す暇も惜しいと言うべきか…。エレキバンもどきを貼ったハーレイは実に凄いからねえ、あのパワーに酔っていたいんだよ…!」
無駄なエネルギーは使いたくない、と我儘放題、言いたい放題。あんな代物、こっちの世界で作るとなったら設備も一から要りそうなのに…。
「そこをなんとか! 助けると思って!」
「…エレキバンで代用しておけば?」
これ、と会長さんが投げ渡しているエレキバン。まさか、何処かから万引きしたとか?
「失礼な! フィシスの予言で買っておいたんだ、昨日の夜に! ドラッグストアで!」
エレキバンが必要になるでしょう、とフィシスさんから連絡があったというから凄いです。会長さんの女神はダテではありません。でも、エレキバンは所詮、エレキバン。エレキバンもどきとは違うわけで…。
「…これでどうしろと?」
「効くと思って使えば効く…かもしれない。こっちの世界でフォローできるのはここまでだね!」
後は知らない、と言われたソルジャー、文句を言いつつエレキバンの箱を手にして消えました。本当に時間が惜しいんですねえ、キャプテンは今日も休暇と聞きましたしね…?
会長さんが渡したエレキバン。ただの磁石のエレキバン。ところが、それは劇的に…。
「効くんだよ、アレは!」
ぶるぅのサイオンを乗せるには持ってこいだった、と笑顔のソルジャー。あれから一週間が経ったわけですが、至極ご機嫌麗しくて。
「本物のエレキバンもどきと同じで、磁石は一日でパアになるけど、効果は同じ! それに何より、こっちの世界じゃドラッグストアで買えるからね!」
もう手放せないよ、とドラッグストアの袋にエレキバンの箱がドッサリ山ほど。
「…それは良かったねえ…」
ぶるぅも力の揮い甲斐が、と会長さんが言えば、ソルジャーも。
「そうなんだよ! 覗きをしてても叱られない上、ハーレイの凄いパワーを見放題だしね!」
ぶるぅも大喜びなんだ、と言ってますけど、「ぶるぅ」の覗きは、キャプテン、苦手でらっしゃったんじゃあ…?
「ああ、それかい? エレキバンでパワーアップをしてる間は大丈夫!」
ぶるぅなんか目にも入ってないから、と上機嫌。つまりエレキバン、お役に立っているわけですねえ、ソルジャーの世界のシャングリラで…?
「そうなるねえ! ぼくの青の間限定でね!」
当分はコレでガンガンと…、とご自慢ですけど、もう溜息しか出て来ません。たかがエレキバン、されどエレキバン。ツボの効果はいつまで持続するものでしょうか、慣れれば効かなくなるのでしょうか。ともあれ当分、エレキバン。ソルジャーの買い出し、続くんでしょうねえ…。
貼って元気に・了
※いつもシャングリラ学園を御贔屓下さってありがとうございます。
ソルジャーが開発したエレキバンもどき。成人検査、昔はシステムが違いましたからね。
あのエレキバンもどきから、とんだ代物が生まれましたが、普通のエレキバンも凄いかも。
次回は 「第3月曜」 9月21日の更新となります、よろしくです~!
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こちらでの場外編、8月といえばお盆のシーズン。今年も棚経が問題ですけど…。
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