シャングリラ学園シリーズのアーカイブです。 ハレブル別館も併設しております。
(…まさかね…)
ブルーはキッチンの棚に重ねて置かれた幾つものザルを見上げていた。母が水切りなどに使っているザル。頭に被れそうな大きなものから、グレープフルーツを一個入れれば溢れてしまいそうな小さなものまで。色も素材も様々なそれが、今のブルーの心配の種。
(…被らないとは思うんだけど…)
今日の二時間目、大好きなハーレイの古典の授業。皆が退屈してくる授業時間の半ば頃、絶妙のタイミングでハーレイが持ち出してくる蘊蓄たっぷりの楽しい雑談。遠い昔の伝説だったり、今は失われた習慣だったりと、生徒の心をガッチリと掴み、自分の話に引き戻す。
ブルーも大好きな時間だったが、まさか怖い話になるなんて。
(…あんなの、ただの言い伝えだよね?)
迷信なのだと信じたい。本当だったら恐ろしすぎるし、仮に本当でも自分とは全く関係が無いと思いたい。それほどに怖くて恐ろしい話。あまりに怖くて、こうして見ずにはいられない。
(…ザルを被ると背が伸びない、って…)
ハーレイが話した、SD体制が始まるよりも遙か昔の言い伝え。皆は笑って聞いていたけれど、ブルーには笑いごとではなかった。
学年で一番小さいブルー。三月の一番末が誕生日だから、年も学年で一番幼い。小さくて当然と考えていた日が懐かしい。
(…背が伸びないと困るんだけど…!)
ホントのホントに困るんだけど、と心配の種のザルを見上げる。
ブルーの身長は百五十センチ。前世での恋人、ハーレイと出会って記憶が蘇り、前の生の自分と同じ背丈の百七十センチが目標になった。そこまで伸びないとハーレイはキスも許してくれない。
それなのに全く伸びてくれない背丈。たとえ言い伝えでもザルの話は恐ろしすぎる。
自分は被っていない筈だと思うけれども、背が伸びないだなんて、やっぱり怖い。
(…だけど、子供じゃ届かないしね?)
記憶にある限り、ザルの置き場所は幼い頃から変わってはいない。キッチンの棚の一番上。今のブルーでも手を伸ばさないと取れない場所だし、子供の手は絶対に届かない筈。
(椅子に上っても無理だよね、うん)
第一、幼いブルーは棚の所まで椅子を運べなかっただろう。だから絶対に大丈夫。
背が伸びなくなるという恐ろしいザルを自分は決して被ってはいない、と頷いてキッチンの中を見回し、再びザルを見上げてみる。あそこがザルの定位置なのだから、大丈夫…。
ホッと息をつき、二階の自分の部屋に戻った。暫くして母に「おやつよ」と呼ばれ、読んでいた本に栞を挟んで階下へと下りる。ダイニングのテーブルにシフォンケーキ。キッチンのオーブンに入っていたものはこれだったのか、と納得しながら自分の椅子に座った。
母と二人でのティータイム。今日の出来事などを母に報告していたら。
「ブルー、キッチンで何を見てたの?」
唐突に母が尋ねてきた。ザルに気を取られて気付かなかったが、どうやら見られていたらしい。恥ずかしいから誤魔化そうかとも思ったけれども、考えようによってはチャンスだ。幼かった頃の自分がザルを被っていなかったことを、母なら証言してくれるだろう。
「えっと…。ママ、ぼくが小さかった頃なんだけど…」
ぼくの背、キッチンの棚まで届かなかったよね?
サイオンで浮かんだりもしていないよね、と思い切って切り出してみた。
「なあに? キッチンの棚がどうかしたの?」
「…ザル…。あそこにあるザル、オモチャにしたりはしてないよね、ぼく?」
「ザル?」
ブルーは母が即座に否定するだろうと期待した。なのに…。
「あらっ、もしかして忘れちゃったの?」
幼稚園に持って行ったじゃないの、と思わぬ答えが返って来た。
「ザルにいっぱいボールを貰って帰って来たでしょ、スーパーボール」
「…スーパーボール…」
記憶の彼方から蘇って来る遠い日の思い出。
ソルジャー・ブルーだった頃よりは遙かに近しい記憶だけれども、幼かった幼稚園児のブルー。制服を着て帽子を被って、小さな鞄を肩から掛けて、幼稚園のバスに乗っていた。
幼稚園で人気があったオモチャがスーパーボール。よく弾むゴムで出来たボールで、競い合って投げたり弾いたりした。家にも沢山あればいいのに、と思っていたことを覚えている。夢が叶って山ほど貰って、大喜びで帰りのバスに乗った日のことも。
宝物だった沢山の小さなスーパーボール。きらきら光って、いろんな色で。
そうだ、幼稚園の遊びで貰った。水に浮かべたスーパーボールを掬う遊びにザルを使った。前の日に先生が「素早く沢山掬えない子は、大きいザルを持って来てね」と説明してくれたから、他の子に取られてしまわないよう、大きなザルが要ると思った。
母に頼んで用意して貰った幼稚園の帽子よりも大きなザル。一度に沢山のボールが掬えるザル。これで素早い子にも負けはしない、と喜んだ。
(そのザルを持って行って…。どうしたっけ?)
誰にも負けない秘密兵器の大きなザル。帽子よりも大きいザルが嬉しくて、幼稚園の鞄と並べて眺めた。あれで沢山ボールを掬って貰って帰ろうとワクワクしていた。
何度もザルを手に取ってみて、幼稚園の帽子のサイズと比べて大満足で、うんと得意になって。帽子よりも大きいんだ、と嬉しくなった末に部屋の鏡を覗き込みながら…。
(…被っちゃった…!)
鏡に映った得意そうな顔の幼い自分。帽子よろしく大きな黄色いザルを被って、満面の笑顔。
(…ど、どうしよう…。被っちゃったんだ…!)
思い出してしまった最悪な記憶。顔から血の気が引きそうになる。被ったら背が伸びなくなると教わったザル。それを被った幼い自分。取り返しのつかない過去の過ち。
ブルーの異変に気付いたのだろう、母が紅茶のポットを手にして尋ねてきた。
「どうしたの、ブルー?」
「……ザル……。ぼく、被っちゃった…」
「ああ、そうねえ!」
とっても可愛かったわよ、と母はブルーのカップに紅茶のおかわりを注ぐ。
「幼稚園から帰って来るなり被ってたわねえ、ぼくのが一番大きかったよ、って」
「…か、被ってたの?」
「あらっ、ゲームをした日の話じゃないの? 他の日にもザルを被ってたの?」
「う、うん…。前の日の晩に……」
大きなザルが嬉しかったから、と白状しながらもブルーの気分はドン底だった。ザルは一度しか被っていないと思っていたのに、帰ってからも被ったという自分。この調子では幼稚園でもきっと被っていただろう。誰よりも大きなザルが自慢で、幼稚園の帽子よりも大きいのだ、と。
可笑しそうに笑う母にはザルの言い伝えを話せなかった。母は言い伝えを聞いたことがないのに違いない。知っていたならブルーを止めてくれた筈。「ザルを被ると背が伸びないわよ」と。
(……被っちゃったなんて……)
被ってしまうと背が伸びなくなる呪いのアイテム。遠い昔の言い伝えのザル。
幼稚園の先生たちもザルの言い伝えを聞いたことがなかったのだろう。被ってはいけないと注意されたら覚えている筈。家に帰ってもう一度被るわけがない。
スーパーボールを山ほど貰って御機嫌で家に帰ったけれども、大きなザルで得はしなかった。
一度に沢山掬えるザルで挑むか、普通のザルで素早く何度も掬ってゆくか。結局の所、ボールを幾つ掬えるかは個人の力量であって、遊びが終わると持っているボールの数はまちまち。
ブルーは山のように掬って満足だったが、まるで掬えなかった子も少なくはなくて、そんな子は追加のボールを貰った。先生が公平に数を数えて、足りない子には幾つも追加があった。
(…おんなじだけ貰ったんだっけ…)
自分で掬った分、好みの色のボールが多いという利点はあったのだけれど、貰ったボールの数はみんなと同じ。欲張って大きなザルを持って行っても、遊びで有利だっただけ。
(…被った分だけ、損をしちゃった?)
欲張った者が酷い目に遭う昔話を思い出す。ハーレイお得意の雑談の中でも大きなつづらの話を聞いた。つづらは遠い昔の時代の蓋つきの籠。身体に見合った小さなつづらを選ぶと宝物入りで、欲張って大きなつづらを選べば中身は怪物という話。
(…ホントに怪物だったんだけど…)
大きなザルには「頭に被ると背が伸びない」という恐ろしいオバケがくっついて来た。怖すぎる怪物を追い払いたければ、どうすればいいというのだろう?
相手はSD体制の時代よりもまだ前の古い言い伝え。それだけ古ければ力の方も凄そうだ。
(…確か、言霊だったっけ…?)
ハーレイの雑談で聞いたと思う。言葉には霊的な力が宿るという話。長い年月を生き続けて来たザルの言い伝えがどれだけの力を秘めているのか、考えるだに恐ろしい。
(…言い伝えを消すなら、言い伝えかな…?)
そうでなければ、おまじない。
背が伸びる言い伝えかおまじないを探して実行すれば、とブルーは考えた。幼い自分が知らずに被ったザルの呪いを無効にするには、逆のことをするしかないのだろう、と。
身長を伸ばす効果を持つ言い伝えか、もしくはおまじない。
背が伸びなくなるザルの呪いを自分にかけてしまったらしいブルーは必死になって探し回った。図書館に置いてある本はもちろん、データベースも端から調べた。
それなのに何も見つからない。背が伸びなくなるザルの言い伝えは何処にでもあるのに、伸ばす方は諸説入り乱れて決定打が無い。そもそも言い伝えに入っていないのだ。
(…迷信って呼べるレベルですらないよ…)
背が伸びるおまじないは幾つもあったが、統一性を欠いていた。
目標の身長を紙に書いて枕の下に入れて眠るだとか、「背が伸びますように」と唱えてミルクを飲むだとか。ザルの呪いに比べるとまるで説得力が無い。
(これが一番、それっぽいけど…)
目を付けたおまじないは「ひまわりの種を黄色い布に包んで靴に入れる」という簡単なもの。
身長を書いた紙やミルクよりは幾分、マシに思えた。ひまわりは背丈の高い花だし、黄色い布も色をわざわざ指定してある所が頼もしい。
(…でも、言い伝えの中には入ってないよ…)
何処を探しても言い伝えの中にはハーレイから聞いたザルの話だけ。ひまわりの種は含まれてはおらず、効果のほどは根拠が無かった。
(どうしよう…。ぼくのザルって、無効に出来るの?)
本を調べても駄目、データベースを探しても駄目。
ついに手詰まりとなったブルーが縋れる手段は、もはやハーレイだけだった。ザルの言い伝えを雑談レベルで持ち出してこられるハーレイならば、対抗手段を知っている可能性がある。なにしろ古典の教師なのだし、古い言い伝えにも詳しいだろう。
出来ればハーレイには話したくなかった過去の過ち。素敵な自分だけを見て欲しいのだけれど、そんなことは言っていられない。ザルの呪いで背が伸びなければ、ハーレイとキスを交わすことも出来ずに小さいままで過ごさなくてはならないのだし…。
ブルーは訪ねて来てくれたハーレイと自分の部屋で向かい合わせに座って覚悟を決めた。
「…ハーレイ…。こないだの授業で言ってたザル…」
「ざる?」
何のことだ、と問うハーレイに「言い伝え…」と口ごもりながら。
「ザルを被ると背が伸びなくなる、って言ったでしょ? あれの反対のおまじない、教えて」
「…はあ?」
ポカンと口を開けたハーレイだったが、少しして意味が飲み込めたようで。
「ああ、ザルな。…ザルは頭に被るものじゃない、っていう意味の戒めだったらしいぞ、あれは。食べ物を入れる器を粗末にするな、という意味もあるし、不衛生だという意味でもある」
「…それで?」
「だからだ、ザルを被ると背が伸びないぞ、と怖がらせないと子供ってヤツは悪戯するしな?」
脅すだけだ、とハーレイは笑った。本当に背が伸びなくなるという根拠は何処にも無い、と。
「で、お前も悪戯したクチなのか? あれの反対を知りたいってことは?」
「悪戯じゃないよ!」
ブルーはムキになって反論した。
「幼稚園の時だし、被ってもママは怒らなかったし!」
「なるほど、お母さんも知らなかった…、と。可愛いだろうな、幼稚園時代のお前の頭にザルか」
幼稚園の帽子に負けないくらいに似合いそうだ、とハーレイが目を細めるから。
「笑いごとじゃないよ!」
真剣になって怒りをぶつける。
ザルの言い伝えに根拠が無くても、現に自分の背は伸びない、と。
ブルーにとっては人生が懸かった背丈の問題。前世と同じ百七十センチまで伸びなかった時は、大好きなハーレイと結婚どころかキスも出来ずに終わるしかない。
今の身長は百五十センチ、まだ二十センチも伸ばさなくてはいけないわけで、ザルの呪いなどに捕まったのでは堪らない。事実無根の言い伝えだろうが、言霊なるものも馬鹿には出来ない。現にサイオンなどは霊的と言えば霊的なのだし…。
懸命に言い募るブルーの姿に、ハーレイがフウと溜息をついた。
「分かった、分かった。…それで、お前、ザルを被っちまった頃にはどのくらいのチビだ?」
「んーと…。多分、このくらい……かな?」
幼稚園時代のブルーは眠る時は両親のベッドに行っていたけれど、自分の部屋は今と同じ部屋。当時の視点の高さからしてこのくらい、という高さを右手で示す。
「ふうむ…。安心しろ、確実に背は伸びている」
大丈夫だ、とハーレイは穏やかに微笑んでくれたが、ブルーの心配は其処ではない。
「でも、今、全然伸びないんだけど…! 一ミリも!」
「確かにな…。ザルの呪いが今頃だってか? さて、SD体制の時代よりも古い言い伝えだけに、どうしたもんかな…」
「…もしかしてハーレイも知らないわけ? ザルの反対…」
「残念ながら、俺もそいつは全く知らん」
ハーレイの答えに、ブルーは絶望的な気持ちになった。幼い自分が被ってしまった呪いのザル。それが今まさに祟っているかもしれないというのに、対抗手段が皆無だなんて…。
「じゃ、じゃあ、ひまわりの種は?」
「ひまわりの種?」
「ひまわりの種を黄色い布で包んで靴に入れると背が伸びるって…!」
縋るような思いで口にしてみたが。
「ほほう…。そいつは初耳だな。入れてみたらどうだ?」
「…ハーレイが知らないんだったら全然ダメだよ…」
ザルのパワーの方が強いよ、とブルーはガックリと項垂れる。
呪われてしまった自分の背丈。もしもこのまま、百五十センチで止まってしまったら…。
「こらこら、しょげるな」
ハーレイの大きな手が伸びて来て、ポンポンと頭を叩かれた。
「お前も俺も、前とそっくりの姿になるよう生まれ変わって来たんだろ? 呪われたにしてもだ、ちゃんと百七十センチまでいけるさ。…前世のお前を信じておけ」
ソルジャー・ブルーとそっくりになるなら百七十センチは要るんだからな。
その背に届くまでにどのくらいかかるかは、ザルを被ってしまった分だけ時間が加算されるかもしれないが。
「…ぼく、本当に百七十センチになれる…?」
まだ心配そうな顔のブルーに、ハーレイは「なれるさ」と笑顔を返した。
「いつかはきっと、前のお前とそっくりになれる。…しかしだ、俺は小さなお前も好きだし、今の姿を長く見られるならザルに感謝をしないとな」
「ええっ?」
「何度も言っているだろう? 焦らず、ゆっくり大きくなれと。…お前が焦ってもザルがそいつを止めてくれるのなら俺は嬉しい」
ついでに言えば、とハーレイの鳶色の瞳がブルーを見詰める。
「ザルを頭に被ったという幼稚園時代のお前に会いたかったな。とても可愛い子供だったろうに、俺は会えずに来ちまった。せっかく同じ町に居たのに、残念なことをしたもんだ」
「ぼくも若いハーレイに会ってみたかったよ。公園で会って肩車とか…」
もしもその頃に会えていたなら、とブルーも思う。
言い伝えを知っていたハーレイがいればザルを被りはしなかったろうし、背丈が伸びない呪いの影に怯えなくても済んだだろう。それに何より…。
(…もっと長い時間をハーレイと一緒に過ごせたよ…)
小さな自分を抱き上げて貰って、今よりもずっと小さいのだから、きっと家にも遊びに行けて。文字通り家族ぐるみの付き合いになって、旅行にも一緒に行けたかもしれない。
けれども、それは叶わなかった。
十四年間も同じ町に住んでいたのに、ハーレイとは出会えないままだった。だから…。
「ねえ、ハーレイ。…ぼくたち、きっと何処かで会っていたよね、知らなかっただけで」
ブルーの言葉にハーレイが頷く。
「そうだな、同じ町で暮らしていたんだしな? すれ違ったりはしてるだろうな」
俺たちだからな、と鳶色の瞳が片方、パチンと閉じて開いた。
「まるで会っていないってことだけは無いさ。前から数えりゃ何年越しの付き合いなんだか」
「うん。…会える時が来ていなかっただけ。きっとそうだよ」
「うんうん、今よりも小さなお前にあの傷痕は背負えんさ」
あれが無ければ記憶は戻らない仕掛けになっていたのだろう、とハーレイの手がブルーの両肩に触れて離れた。聖痕現象と診断されたブルーの傷痕。前世の最期にメギドで撃たれた時の傷痕。
「今のお前でも痛かっただろうに…。小さかったらショック死しかねん」
「…だろうね。だけど、あの傷のお蔭でハーレイに会えた。だから、いいんだ」
とても痛かったけれどかまわないんだ、とブルーは微笑む。
実際、傷痕が現れた時には痛みのあまりに気を失ってしまったけれども、ハーレイに再び会えた喜びもまた大きかった。もう一度会えたと、ハーレイの腕の中に帰って来られた、と…。
「そうか、痛くてもかまわないってか。…よし、その意気でザルの呪いも吹っ飛ばしておけ」
あの傷に比べりゃザルの呪いくらいは大したこともないだろう、と言われればそういう気もしてくる。ザルは幼い自分でも被ってしまえたけれども、あの傷の痛みは耐えられはしない。
「…今のぼくならザルの呪いにでも勝てる?」
「勝てるさ、前のお前が負った傷の痛みも乗り越えたしな。前のお前にきっと追い付ける」
呪いのザルにこう言っておけ。負けやしないと、いつか百七十センチになるんだ、とな。
「うんっ!」
どんな言い伝えよりも、おまじないよりも、ハーレイの言葉が嬉しかった。
死の星だった地球が蘇るほどの長い長い時を越えて、生まれ変わって来たハーレイ。
その言葉にはきっと、力がある。
ザルの言い伝えにも負けない言霊。古い言い伝えよりも強い言霊。
誰よりも好きで、誰よりも頼れるハーレイの言葉。
だからブルーはザルの呪いをもう恐れない。
知らずに被ってしまったけれども、大好きなハーレイが「大丈夫だ」と言ってくれたから…。
呪われた背丈・了
※ザルを被ったら背が伸びないと聞いてしまって、震え上がったブルーです。
背が伸びるおまじないより心強いのがハーレイの言葉。「大丈夫だ」という一言だけで…。
←拍手して下さる方は、こちらからv
←聖痕シリーズの書き下ろしショートは、こちらv