シャングリラ学園シリーズのアーカイブです。 ハレブル別館も併設しております。
土曜日の朝、普段通りの朝食の席。父と母と、そしてブルーと。休日だからゆったりと。
父のマグカップは大きめのもので、母はソーサー無しのティーカップを深くしたようなタイプのカップ。ブルーは一度に沢山飲めないから小さなマグカップ。
それぞれに決まったカップと、その日によって変わる飲み物とがあるのだけれど。紅茶だったりコーヒーだったり、ミルクだったり。
(そうだ、カップ…)
何気なく見ていたブルーは、ふと思い出した。ハーレイの家で目にしたマグカップ。
たった二回しか見ていないけれど、父のカップと同じくらいの大きめサイズのマグカップ。
一度だけ遊びに出掛けた時にはティータイムと昼食の席で、メギドの悪夢を見て瞬間移動をして飛び込んでしまった時には朝食の席で。
二回とも同じマグカップだったから、あれがハーレイのお気に入り。
ハーレイのためのマグカップ。ハーレイの大きな褐色の手によく似合っていたマグカップ。
(…ハーレイの好きそうなカップは分かるんだけどな…)
それにハーレイは週末の度に訪ねて来てくれるし、仕事の後に訪ねてくれる平日もある。夕食を一緒に食べることは珍しくもなく、ブルーが寝込んでしまった時には両親と食卓を囲んだり。
家族の一員と言っていいほどのハーレイなのに、ブルーの家にはハーレイ専用のカップは無い。専用のカップは三人分だけで、両親の分とブルーの分。
(やっぱり家族じゃないからだよね?)
どんなに親しく付き合っていても、ハーレイはブルーの家族ではない。家だってハーレイの家は何ブロックも離れた所に在るし、其処で一人で暮らしている。自分専用のカップと共に。
(…ハーレイのカップ…)
今は家には無いハーレイのカップ。
けれどブルーは思い出した。前にハーレイと約束をした。
いつか結婚して二人で暮らす時が来たなら、お揃いのカップを家に置こうと。互いに相手が家に居なくても、「この家で一緒に暮らしています」と分かる目印になるように。
家で留守番をしている間に、寂しさを覚えないように。
二つ揃っているのが当たり前のカップ。文字通りのお揃いのデザインでなくても、二つで一対になるカップ。二人でお茶を飲んだりする時、一緒に出て来る二つのカップ。
どんなカップがハーレイと二人で囲む食卓やお茶のテーブルに並ぶのだろう?
(もしかしたら、ぼくのカップが追加になるとか?)
ハーレイの家で暮らすことになったら、元から家にあるハーレイのカップを買い直す必要はないかもしれない。愛用のカップはもうあるのだから、ブルーの分だけを買い足せばいい。
それともハーレイがブルーの家で一緒に暮らして、ハーレイのために新しくカップを買うか。
(ぼくのカップをハーレイの家に持って行くっていうのもいいよね)
今、使っている小さなマグカップ。
それまでに割れて代替わりしてしまっていなければ、だけれど。
ハーレイが愛用しているカップも、割れていなければ新しく買わなくていいかもしれない。
どちらの家で暮らすにしたって、絶対に揃えたい二人分のカップ。二つで一対になるカップ。
それなのに今は、それぞれの家に、それぞれのカップ。
二つ並べて置きたいけれども、まだ別々に置いておくしかないカップ。
(…ぼくのカップも、ハーレイのカップも、ちゃんとあるのに…)
そんなことをつらつらと考えながら朝食を食べる。
今日はトースト、こんがりとキツネ色に焼けたパンにマーマレードをたっぷりと塗って。両親もお気に入りのマーマレードは少しビターで、夏ミカンの実から作られたもの。
隣町にあるハーレイの実家の庭に大きな夏ミカンの木。その実からマーマレードが沢山出来る。大きな瓶が空になったらハーレイが新しい瓶を持って来てくれる、ハーレイの母の手作りの味。
将来、ハーレイが伴侶に迎えるブルーのために、とハーレイの両親が贈ってくれたのが最初。
それ以来、朝の食卓の定番になって、ブルーのお気に入りの味。お日様の光を集めて閉じ込めたような金色を食べると、すくすくと背丈が伸びそうな気もした。
(早く大きくなれますように…)
カップは結婚するまで並べられなくても、せめてキスくらいは出来る背丈になりますように、とブルーは祈る。前の自分と同じ背丈になったら、ハーレイとキスが出来るから。
そうやってトーストを食べながら祈る間に、お揃いのカップのことはすっかり忘れてしまって。
部屋を掃除してハーレイを待って、庭の生垣の向こうに見えたハーレイに窓から手を振る。母がハーレイを部屋まで案内して来たら、二人きりで過ごせる時間の始まり。
お茶とお菓子が置かれたテーブルを挟んで向かい合わせで、様々なことを話して、笑って。
今の生でのこと、前の生のこと。
シャングリラの中だけが世界の全てだった頃には想像もつかなかった幸せな時間。
どれだけ話をしても飽きない。他愛ないお喋りも、懐かしく思い出す昔語りも。
ブルーの部屋で二人で昼食を食べて、食後のお茶に、午後のお茶。
両親も一緒の夕食の後は、二階のブルーの部屋に戻って食後のお茶を。ハーレイが仕事の帰りに来てくれた時は食後のお茶は夕食と同じテーブルに出てくるけれども、翌日も休みの土曜の夜にはブルーの部屋で、ということも多い。
向かい合わせでゆっくりと話して、ハーレイが帰る時間になったから。
ブルーは一緒に階段を下りて、「またね」とハーレイを表まで出て見送った。本当はハーレイの姿が見えなくなるまで通りで手を振っていたいのだけれど、いつも「入れ」と言われてしまう。
仕方なく門扉を閉めて入って、生垣越しに庭から手を振る。ハーレイの後ろ姿が見えている間は一所懸命、庭の端まで行って手を振る。
ハーレイは何度も振り返ってくれて、手を振って。最後に大きく手を振って道の向こうへと姿を消した。足音ももう聞こえないけれど、ハーレイが車で来た日には持てない別れのひと時。寂しいけれども、何処か心が温かくなる見送りの時間。
また次があると、また来てくれると手を振り続ける幸福な時間。
明日があるかさえも定かでなかったシャングリラでは考えもしなかった幸せな時間。
今日は土曜日だし、次は直ぐそこ。明日にはハーレイがまた来てくれる…。
それから二階の部屋に戻って、お茶のカップを下げようとして。
ブルーの手がトレイを持ったままで止まった。
(…ハーレイのカップ…)
ほんの少しだけ、底に紅茶の跡が微かに残ったカップ。
ハーレイの席に置かれたカップ。
其処にハーレイはもういないけれど、いつもハーレイが座る側の椅子の直ぐ前、テーブルの上に残された紅茶のカップとソーサー。カップの横には砂糖を混ぜていたティースプーン。
ブルーの席にあるものと形も模様も同じだけれども、ハーレイが使っていたカップ。
(今日はこれがハーレイのカップなんだ…)
ハーレイ専用のカップではないが、ハーレイのために出されたカップ。つまりは今日のハーレイ専用、ハーレイが食後のお茶を飲むのに使ったカップ。
ついさっきまでハーレイのものだったカップ。
(ハーレイのカップだったんだよね…)
トレイを脇に置き、おずおずと右手を伸ばしてカップの取っ手に触れてみた。
ハーレイの褐色の指が触れていた取っ手。大きな手の温もりを残しているような気がする。
(…そっか、右の手…)
遠い昔にハーレイの温もりを失くした右の手。
メギドで冷たく凍えてしまって、悲しくて泣きながら死んでいくしかなかった右の手。
今でもハーレイがよく温めてくれる右手にほんのり、ハーレイの温もり。
本当はあるわけが無いのだけれど。
すっかり空になってしまった磁器のカップの取っ手が温かいわけがないのだけれど。
(…でも、温かい気がするんだよ…)
そうっと右手で取っ手を摘んで持ち上げてみて、眺めてみて。
(…ハーレイ、これで飲んでたんだよね?)
母のお気に入りのカップの一つ。
模様や形が同じカップとお皿を何客か揃えたセットが幾つか、その中の一つ。どの時間にどれを使うかは厳密に決まっているわけではなく、このカップだって午前のお茶に出る時もあれば、今日みたいに一日の終わりに出ることもある。
白地にグリーンの模様のカップ。
ハーレイが紅茶を飲んでいたカップ。
(…………)
あの温かいハーレイの唇が触れたのはこの辺りだろうか?
今はまだ頬と額にしか貰えないキス。
優しい唇が紅茶を飲むために触れていたカップ。
(……この辺りだよね、きっと……)
右手で摘んだ取っ手の位置から、おおよその場所の見当がついた。
唇で触れてみたかったけれど、そう考えただけで頬が熱くなる。
ハーレイの唇。
まだ触れられない、額と頬にしかキスしてくれない唇が触れたハーレイのカップ。
見れば見るほど、触れたくてたまらなくなるのだけれど。
(…いきなり唇って恥ずかしいよね…)
まるでハーレイにキスをするようで。
自分からハーレイにキスをするようで、それはちょっぴり恥ずかしい。
同じキスならハーレイから先にして欲しい。自分からキスをするなら、その後。
(うん、ハーレイからキスして欲しいよ)
だったら、カップを間に挟んでのキスもハーレイが先。
この辺りかな、とハーレイの唇が触れていそうな辺りを指で触って、その指を自分の唇に持っていこうとして。
(………)
躊躇っていたら、階下から母に呼ばれた。「お片付けはまだ?」と。
「はーい、持ってく!」
何をしていたかを見抜かれたようで、恥ずかしくて。
大慌てで二人分のカップをトレイに乗せると急いで階段を下りていったから、指からハーレイの唇の名残りは消えてしまった。
恐る恐る右手の指先で触れて、唇に持っていこうとしていた磁器のカップの縁の感触。
母にトレイごとカップを渡して、お風呂に入ってパジャマに着替えて。
部屋でベッドの縁に腰掛け、ブルーはしょんぼりと項垂れた。
(……失くしちゃったよ……)
ハーレイの温もりじゃないけれど、とハーレイの唇の名残りを失くした右手を眺める。
メギドでハーレイの温もりを失くしてしまった時の悲しみとは比較にならないけれども、失ったことに変わりはない。ハーレイの唇が触れたカップの感触。
(あの時、ママに呼ばれなかったら唇まで持っていけたのに…)
ハーレイの唇が触った名残りを指先で唇に運べたのに。
こんな結末になるのだったら、指じゃなくて唇で触っておけばよかった。
(…恥ずかしいけど、でも、やっぱり…)
ハーレイの唇が触れていたカップ。
温かな唇が何度も触って、紅茶を飲んでいたティーカップ。
唇の名残りが欲しかった。
今はまだ唇には貰えないキス。その代わりに唇の名残りに触れればよかった。
恥ずかしいなどと躊躇っていないで、唇でカップに触ればよかった…。
触り損ねてしまったカップ。
指ではなんとか触ったけれども、ハーレイの唇の名残りはすっかり失くしてしまった。
自分の唇までそれを運ぶ前に、母に呼ばれて失くしてしまった。
メギドで失くしたハーレイの温もりに比べれば些細なものでも、今のブルーには充分大きい。
ハーレイから唇へのキスを貰いたいのに、いつ貰えるかもまるで見当がつかないのだから。
それを思えば、あのカップ。
取っ手と縁とに触れてみただけの、白地にグリーンの模様のカップ。
(…いいな、あのカップ…)
ハーレイに何度もキスして貰えた幸せなカップ。
まだ唇には触れて貰えない自分の目の前で、何度も何度もハーレイの唇が触れていたカップ。
もちろんカップは紅茶を人の唇へと運ぶためのもので、カップはそのためにあるのだけれど…。
頭では分かっているのだけれども、それでもカップが羨ましい。
ハーレイのキスを貰って当然、唇で触れて貰って当然といった顔をしていたカップが。
(カップに表情も何もないんだけれど…)
そうは思っても、すまし顔だったような気がするカップ。
これが自分の役目とばかりに、ハーレイのキスを幾つも貰った白地にグリーンの模様のカップ。
ブルーは唇へのキスを貰えないのに、ハーレイの唇に触れるのが仕事。
カップに残った唇の名残りすら、ブルーは失くしてしまったのに。
(…ぼくには何にも残らなかったし、カップもママに洗われちゃった…)
ハーレイの唇が何度も触れたカップは洗われてしまって多分、棚の中。
白地にグリーンの模様のカップは何客もあるから、どれがそれだか分かりもしない。ハーレイが使ったカップがどれなのか、どれがブルーの分だったのかも。
(…そうなってくると…)
ブルーは「ちょっと待って」と考えてみる。
棚に幾つも母が並べているお気に入りのカップとお皿のセット。その時々の気分やお菓子の種類などから一種類を選んで、お茶の時間や食後のお茶にと登場させているわけだから…。
(ひょっとしたら、明日はぼくの所にハーレイのカップが回って来るとか?)
白地にグリーンの模様の磁器のカップは、ハーレイがブルーの家で丸一日を過ごす時には大抵、一度は出て来るもの。出て来ない日もたまにあるけれど、母のかなりのお気に入り。
多分、明日の日曜日も使われるだろう。
手描きの模様はよくよく見れば微妙に異なる部分もあったが、それこそ比べて見詰めない限りは区別がつかない。今日ハーレイが使ったカップはどれだったのか、と訊かれても模様なんかは見ていなかったから本当にどれだか分からない。
明日、母があのカップを出して来たなら、ハーレイが何度もキスをしていたカップが自分の所に来るかもしれない。今までにもそういう素敵なカップで紅茶を飲んでいたのかも…。
(…だけど、ぼくには分からないよね…。ハーレイが使ったカップがどれなのか…)
残留思念を読み取る術は忘れてしまった。
前の自分はそれを得意としていたけれども、今のブルーにその技は無い。
それに綺麗に洗って片付けられたカップなどには残っていないものかもしれない。
知りたくてたまらないのに、ブルーには見付けることが出来ないハーレイが使っていたカップ。そのカップが自分用として目の前に置かれたとしても、気付く術さえ無いカップ。
そんなカップが幾つもある。
母が来客用にと出して来るカップの種類と数だけ、ハーレイの唇が触れたかもしれないカップがブルーの家の中に存在している。いろんな模様や形のカップが、それぞれの場所に。
(ハーレイが来る度に、いろんなカップがキスして貰ってるんだよね…)
まだハーレイのカップは無いから。
この家にハーレイ専用のカップは置かれていないから…。
それが出来るまで、ハーレイのキスを貰えるカップは色々。
母の気分やお菓子の種類に合わせて棚から出されて、ハーレイの前に「どうぞ」と置かれる。
ハーレイはコーヒーが好きだけれども、ブルーに合わせて紅茶が殆ど。
だからティーカップはもれなくハーレイのキスを貰える可能性を秘めた幸運なカップ。
コーヒーのカップだって、そう。
たまにハーレイのためにと夕食の後で母が淹れるコーヒー。両親も一緒にコーヒーを飲むから、来客用のコーヒーカップ。父と母も普段使っているマグカップではなく、来客用のカップを使う。
その時々で選ばれるコーヒーカップは違うし、コーヒーカップだって幸運なカップ。
ハーレイの温かい唇で触れて貰える幸運なカップ…。
(……いいな……)
ブルーは心底、家にあるカップたちが羨ましくなった。
両親と自分が普段使いにしているマグカップ以外のカップたちは皆、ハーレイの唇に触れて貰う栄誉に浴する機会があるらしい。
それがいつかは分からない上に、選ぶ母次第になるのだけれど。
母に選ばれても、ハーレイの前に置いて貰えるか、ブルーの前に置かれるのかで明暗が分かれてしまうのだけれど、それでもチャンスは巡って来る。
今日は駄目でも、また次の時に。次が駄目でも、そのまた次に…。
(…待っているだけで、ハーレイがキスしてくれるかもしれないんだよ…)
小さすぎるからとキスさえして貰えない自分と違って、カップはハーレイに断られない。
ハーレイの前に置かれさえすれば、温かな唇で触れて貰えてキスが貰える。
今日が駄目でも、また次の時に。
待っていればキスを貰えてしまう。ブルーと違って、待っているだけでハーレイのキスを貰えるカップ。「大きくなるまでキスは駄目だ」と言われないで済むカップたち。
(今日が駄目でも、待つだけなんだ…)
待つという点ではブルーも同じだけれども、ブルーの場合は前の生と同じ背丈に育つまで。何年かかるか考えただけで悲しくなるのに、カップの場合は運の問題。
母に選ばれて、ハーレイの前に置かれる時だけを待てばいい。
よほど運の悪いカップでない限り、ブルーほどには待たされないで済むだろう。
カップが何客セットなのかを考えてみても、運が最悪のカップであってもブルーが唇へのキスを貰うより先にハーレイのキスを貰うのだろうし…。
(…ぼくって、カップに負けちゃってるんだ…)
運が最悪のカップにも負けるだなんて、と考えた所で思考が別の方へと向いた。
キスして貰える幸せなカップは、ハーレイが来る度に次々に変わっているのだろうか?
それとも何度も繰り返し使って貰った幸運なカップがあるのだろうか?
(…絶対に無いとは言い切れないよね?)
そんなカップがあるのだったら、ちょっと唇で触れたい気もする。
ハーレイが使った直後のカップは恥ずかしくてとても無理だけれども、綺麗に洗われて棚の中に並んだカップなら。
その中にハーレイが何度も何度も使ったカップがあるなら、使ってみたい。
おやつの時間に何気ない風で棚から出して、いつものマグカップの代わりに紅茶を注いで。
きっとママだって何も言わない。たまには気分を変えたいんだろう、って思うだけ。
ハーレイが何度も使ったカップに紅茶を注いで、それがぼくのカップ。
そしてハーレイの唇が触れた辺りに、唇でそっと触れられたなら…。
そういう夢を思い描いたけれども、肝心のことが分からない。
ハーレイが何度も繰り返し使ったカップがあるのか、そうでないのかが分からない。
(…ぼくのサイオン、不器用だしね…)
けれど未練はたっぷりとある。
ハーレイにキスして貰える幸せなカップ。
自分が貰えない唇へのキスを当たり前の顔をして貰える幸せなカップ。
(…明日はどのカップが幸せなカップになるんだろう?)
今日と同じか、別のカップか。
それともハーレイ専用とばかりに、何度も繰り返し使われている幸運すぎるカップなのか。
一度でいいから、白地にグリーンの模様の磁器のカップを全部ズラリとテーブルに並べて紅茶を注いで飲んでみようか、とブルーは欲張って考えてみる。
全部のカップで飲んでみたなら、どれかがきっと幸せなカップ。
ハーレイの温かな唇が触れた、キスを貰った幸せなカップ。
何度も繰り返しキスを貰ったカップがあるなら、そのカップから紅茶を飲んでみたいけれど。
きっと、両親にうんと叱られるだろう。
おやつの食べ過ぎならばともかく、紅茶の飲み過ぎとは何事なのか、と。
それ以前に、そんなに沢山飲めない。
幸せなカップには会いたいけれども、紅茶を山ほど飲むなんて無理。
だけど会いたい、幸せなカップ。
ハーレイ専用のカップがもしもあるなら、それで紅茶を飲んでみたいよ…。
幸せなカップ・了
※ハーレイとの間接キスを狙っていたのに、躊躇っている内に逃したチャンス。
カップの方がぼくより幸せ、と思うブルーも可愛いですよね、お子様ならでは。
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