シャングリラ学園シリーズのアーカイブです。 ハレブル別館も併設しております。
(…金曜日かあ…)
今日を入れてもあと五日、とブルーは授業中に机の下でコッソリと指を折ってみた。
朝のホームルームで担任が告げた今週の予定。金曜日に身体測定があるらしい。
(……ぼくの背、ちゃんと伸びてるかな?)
ハーレイと出会ってから初めての身体測定。入学してすぐの測定で身長は百五十センチと言われたブルーだったが、その時はさほど気にしなかった数字が今は切実な問題だった。
前世でのブルーの背丈は百七十センチで、そこまで大きくならない限りはハーレイはキスさえ許してくれない。ゆえに急いで背丈を伸ばしたいのに、全く変化が無いような…。
(気のせいだよね? 自分で測るからダメなだけでさ)
ちゃんと測れば一センチくらいは伸びている筈、とブルーは金曜日に期待をかける。前の測定から二ヶ月近くも経っているのだし、伸びていないことはないだろう。
それに発表があったホームルームの直後はクラス中がとても賑やかだった。
将来はバレリーナになりたいから身長は低い方がいい、と伸び少なめを期待する子や、スポーツ選手を目指すためにと飛躍的な伸びを望んでいる子や。
早い子はそろそろサイオンが外見に影響を与え始める年頃だけに、皆の期待はかなり大きい。
しかしサイオンで調節出来るからといって、「いつまでも子供料金でバスや施設を利用したい」などと企んでも成長が止まるわけではなかった。それを本気で考える時点で子供失格、立派に成長してしまう。
逆に「早く大きくなりたい」と望んでいても、精神年齢が実年齢よりも幼い場合は、子供の姿を残したままで義務教育を終えてしまったり…。
今の時代、平均寿命は三百歳を軽く超えているのだし、義務教育さえきちんと終えれば成長速度は個人の好みだ。
義務教育を終了した後は上の学校へ進むのも良し、社会に羽ばたいて行くも良し。
上の学校も種類は色々、授業内容は全く同じでも「姿も精神も子供なんです」という者ばかりが通う学校もあったりする。他にもスポーツに特化した学校や実験三昧の学校などなど。
ブルーに確たる目標は無いが、ハーレイと出会って以来「絶対に避けたい」と思うものが子供の姿を残した者たちが通う学校。其処へ行く羽目になるということは、つまりは前世と同じ背丈に育たなかったわけで…。
(それだけは絶対、嫌だから! ホントのホントに困るんだから!)
卒業してもハーレイと本物の恋人同士になれないだなんて最悪すぎる。それは困る、とグルグルしていたブルーだったが…。
「ブルー君、今の続きを読んで」
「……えっ?」
いきなり当てられてキョトンとしてから大パニック。いけない、授業の最中だった…!
「いやー、ブルーでも失敗すんのな」
あれは笑えた、と昼休みの食堂でランチ仲間が可笑しそうにブルーをからかってくる。
「お前、普段は失敗しねえし、余計悲惨になっちまうんだよな」
「うんうん、ああいう時にはさあ…。コソッと隣に視線を向ければ」
「普通は教えて貰えるって! 次は此処だ、って」
「…………」
やってしまった大失敗。ベテランならば「コソッと視線で」お願い出来るらしい助け舟とやらをブルーは思い切り逃してしまった。教師から顔を逸らすことが出来ず、恥ずかしさで顔を真っ赤に染めた挙句に「聞いてませんでした…」と素直に白状した次第。
優等生なブルーとも思えぬ答えに教師の方も苦笑したのだが、其処は本職の教師である。いくら日頃の行いが良くても、授業のルールは変わらないわけで…。
「ブルーが音読、二倍の刑ねえ…」
「そうそう見られるモンじゃねえよな、俺たちはうんと助かったけどよ」
読み間違えたら直されてしまう音読は皆が逃げたがるもの。一人で二人分を担ったブルーは助けの神となったのだったが、ブルーにしてみれば赤っ恥だ。
「ブルー、次の授業でもよろしく頼むぜ!」
「やらないってば!」
二度とやらない、と言い返しながら恥をかいた原因を頭の隅へと必死に追いやる。身体測定の日までに同じ轍を踏んでたまるものか、と思えば思うほど意識はそちらへと向いてしまって…。
(……あっ!)
いいな、とブルーの瞳が大柄な同級生たちの群れを捉えた。
運動系のクラブに属するクラスメイトや、その仲間たち。朝も放課後も運動している彼らが空腹を訴えないよう、ランチは常に大盛りだった。
(…毎日あれだけ食べてるんだもの、大きくなるよね…)
羨ましいな、と考えていて気が付いた。大盛りランチは普通の生徒も食べることが出来る。お腹の具合は人それぞれで、普通のランチが物足りなければ大盛りを頼めばいいだけのことだ。
(ぼくも頼んでみようかな?)
変更は当日でも出来るけれども、基本は前日までに要予約。
身体測定の日までに効果は出ないのだろうが、今後を思えば大盛りランチは食べる価値があるとブルーは一大決心をした。日々の積み重ねが大切なのだし、早く大きく育つためには…。
(これでよし、っと)
ランチ仲間が食事を終えて出て行った後で、ブルーは食堂に届けを出した。明日の昼食は大盛りランチ。首尾よく全部を食べ切れたならば、これからは大盛り一筋でいこう。
背丈を伸ばすには日々の努力が欠かせない。大好きなハーレイの決まり文句も「しっかり食べて大きくなれよ」だったから頑張って沢山食べるようにしようと思ってはいても、食の細いブルーは家での食事さえ残しがち。しかし…。
「ママ。キッシュ、もう少し大きく切ってよ」
夕食の席でブルーは母に頼んだ。
「キッシュもなの? さっきはスープも多めがいいって…」
「どうしたんだ、ブルー? お前、そんなに食べられないだろう」
怪訝そうな両親に「食べられるよ!」と威勢よく宣言したまではいいが、やはり些か多すぎた。スープはなんとか飲み終えたものの、キッシュは半分も食べられなくて。
「ほら見ろ、だから言ったのに…。寄越せ、残りはパパが食べてやる」
ママのキッシュは美味いからな、と父がブルーの残したキッシュを頬張る。ハーレイの身長には負けるけれども、父も長身な方だった。それだけに食欲も旺盛で…。
「…パパはいいなあ…」
「ん? 何がだ?」
「子供の頃も沢山食べてた? だからそんなに大きいの?」
「そりゃまあ…。お前よりは沢山食べてたっけな。どうした、大きくなりたいのか?」
父の問いにブルーはコクリと素直に頷く。
「…金曜日に身体測定だって…。前よりも大きくなってるといいな、と思うんだけど…」
「あら、小さくてもかまわないでしょ? ちゃんと幼年学校もあるし」
母がブルーの一番避けたい学校の名前を口にした。
「ブルーには向いているんじゃないか、ってパパとも何度か話してたのよ。そうよね、パパ?」
「ああ。お前はその方がいいんじゃないか、とパパは思うな。…お前はソルジャー・ブルーの記憶を持っている。それを一生隠しておくのか、公表するか。そういったことをゆっくり考えるためには時間が要るぞ? 急いで大きく育たなくても、ゆっくりの方がいいと思わないか?」
「でも、ぼくは…!」
「早く大きくなりたい、ってか? …それは神様次第だよ、ブルー」
お前にピッタリの道を神様が選んで下さるさ、と父の手がブルーの頭を撫でた。
「パパとママはお前にゆっくり育って欲しいんだがなあ…。神様が駄目だと仰った時は仕方ない。…しかしだ、これだけは覚えておきなさい。パパもママも、お前の幸せが一番なんだよ」
一番幸せになれる道を行くといい、と父と母は暖かく微笑んでくれた。幸せへの道が何処にあるのか、ブルーにはちゃんと分かっている。それはハーレイと一緒に生きて行く道で、早く其処へと辿り着くには、まずは大きく育たなくては…。
少しでも早く、少しでも大きく。
次の日の朝もブルーはミルクをおかわりしようと頑張ってみたが、カップに一杯が限界だった。そんなブルーが学校に行って、ランチの時間が訪れて。
「えーっ! ブルー、お前、本気でそれ食うのかよ!?」
無茶じゃねえの、とランチ仲間が目を瞠った。他の友人たちも仰天している。
「うわー…。お前には無理! いや、絶対に無理だって!」
「減らして貰えば? 間違えましたって言えば替えてくれるよ」
皆が騒ぐのも無理はない。ブルーが頼んでおいた大盛りランチは、どう見ても食べ切れる量ではなかった。これでも一年生用の量で、最上級の四年生用に比べればかなり少ないのだけれど…。
友人たちより一回りも大きいカップに満杯のスープ。トーストは分厚く、サラダだって軽く二倍ほどある。何よりチキンのソテーのサイズが段違いだった。
(……どうしよう……)
誰よりも当のブルー自身が困っていた。途惑いながらも飲み始めたスープはポタージュ、それだけで満腹してしまいそうだ。なのに分厚いトーストにサラダ、ドカンと大きいチキンのソテー。
(…無理だよ、こんなに食べ切れないよ…)
賑やかに喋りながら食べている友人たちの中、黙々とスープと戦っていると。
「誰だ、食べられもしない大盛りランチを注文した馬鹿は」
声と共にコツンと軽い拳が降ってきた。見上げれば、褐色の肌の優しい笑顔があって。
「……ハーレイ先生?」
次の言葉を発する前に、周囲からワッと声が上がった。
「先生、今日は食堂でランチですか?」
「俺たちと一緒に食べませんか!?」
ハーレイは柔道部の顧問だけれども、その人柄のせいで一般の生徒たちにも人気が高い。早くも席を空けようとしている仲間たちの姿に、ハーレイが少し苦笑して。
「うーん…。柔道部のヤツらと先約があるんだが、たまにはいいか。ちょっと待っててくれ」
ランチのトレイを持ったままでハーレイは別のテーブルに行き、声を掛けて直ぐに戻って来た。その間に仲間たちが椅子を動かし、テーブルの上も整理して。
「先生、此処でいいですか?」
「すまんな、俺は何処でもかまわないんだが…。其処に馬鹿がな」
あの馬鹿の分を何とかしないと大切なランチが無駄になる、とハーレイが笑い。
「そうでした! 先生、助けてやって下さい」
「無茶ですよ、こいつ」
こうしてハーレイはブルーの隣の席に座ると、残る筈だった大盛りランチをアッと言う間にパクパクと食べて自分のランチに取り掛かった。その食べっぷりに皆が歓声を上げる。
(…凄いや、ハーレイ…。やっぱり沢山食べられる人は、うんと大きくなれるんだ…)
それに比べて、自分ときたら。ハーレイと一緒のランチは嬉しかったけれど、自分の食の細さを改めて思い知らされたブルーは少しだけ悲しくて情けなかった。
大盛りランチはとても食べ切れず、家での夕食を増やしてみても父が笑って残りを食べるだけ。毎朝のミルクも二杯目は無理で、トーストを分厚くしてしまったら他には何も食べられない。
(…もう明日なのに…)
木曜日の夜、自分の部屋でクローゼットの隣に立ったブルーは微かな鉛筆の印を見上げた。前に自分が目標として書いたソルジャー・ブルーの背の高さ。床から百七十センチの所に付けた印まで背が伸びたなら、ハーレイと晴れて本物の恋人同士になれる時がやって来るのだけれど。
(……少しでもいいから、前よりも大きくなっていますように……)
そう祈りながら仰ぐ印は少しも近付いたようには見えない。けれど百五十センチと言われた時から伸びていないこともないだろう。二センチは無理でも一センチくらい、とブルーは祈る。
(一センチ伸びたら残りは十九センチだものね)
あまり沢山食べられなくても、自分は多分、成長期。一センチ伸びれば次はまた少し、その次は更にもう少し。少しずつでも伸びてくれれば、いつかは目標の背丈に届く。
(…今週、うんと頑張ったのに…。その分、伸びててくれればいいのに)
ハーレイや父に助けて貰いはしたが、普段よりは多く食べていた。その努力が数字に現れることを真剣に祈るブルーが思っているほど、食事の量は増えてはいない。育ち盛りの子供だったら摘み食いにしか過ぎない程度で「多めに食べた」と信じるブルーに神が報いてくれる筈もなく。
待ちに待った金曜日、身体測定の結果を告げられたブルーは失意のドン底に突き落とされた。
「はい、百五十センチちょうど。前と同じね」
測ってくれた養護教師が笑顔で数値を入力する。ブルーが懸念する幼年学校コースの子供でなくとも、今の時期はまだ目に見えて伸びない子供も多い。それだけに何の注意も無ければ、栄養指導などの「成長のため」のアドバイスも貰えず、あっさり終わってそれっきりで。
(……どうしよう……)
一センチも伸びていないなんて、と帰宅したブルーはクローゼットの印を見上げて大きな溜息をついた。目標まで残り二十センチ。一センチどころか一ミリすらも縮まらなくて、おまけに背丈を伸ばすための指導も受けられなかった。
帰って直ぐに母に向かって「全然伸びていなかった…」と零してみたら、「これからでしょう? それより、おやつにしない?」と微笑まれた上に「幼年学校も楽しそうよ?」と言われる始末。
誰が自分の悩みを分かってくれるだろう?
前世と同じ背丈まで育たない限り、一番幸せになれる道には辿り着けない。
その道が何処に在るのか分かっているのに、手を伸ばしても届かない。
(…早くハーレイと恋人同士になりたいよ…。今と違ってホントに本物の恋人同士…)
キスを交わして、それから本物の恋人同士の関係になって。
自分がハーレイの家に行くのか、ハーレイがこの家に来てくれるのかは分からないけれど、二人一緒に同じ家で暮らして、食事だっていつも一緒に食べて…。
(…そうだ、明日はハーレイが来る日だったっけ…!)
身体測定のことばかり考えている内に金曜日が残り少なくなってしまったが、金曜日が終われば土曜日が来る。ハーレイから何の連絡も来ていない以上、土曜日は空いている筈で。
(うん、ハーレイならきっと分かってくれるよね)
ぼくが大きくなれない辛さを、とブルーの胸がグンと軽くなる。
ソルジャー・ブルーと同じ背丈に育つまではキスも駄目だ、とブルーに告げたのがハーレイだ。そのハーレイなら、ブルーが大きくなれない悩みを分かち合ってくれるに違いない。何かといえば「しっかり食べて大きくなれよ」と言うハーレイ。
きっとハーレイだって、ブルーが前世と同じくらいに大きく育つ日を待ち侘びている。その日が来たら本物の恋人同士になれるし、別々の家で暮らさなくてもよくなるし…。
そして土曜日。
ブルーはいつものように部屋を綺麗に掃除し、訪ねて来たハーレイを迎え入れた。母が紅茶と菓子とを置いて行った後、足音が聞こえなくなるまで待ってから強請ってハーレイの膝の上に座る。
「…ねえ、ハーレイ」
「なんだ?」
「昨日の身体測定だけど…」
「ああ、そういえば昨日だったな。…どうだ、少しは伸びていたか?」
ん? と至近距離で顔を覗き込まれて「ううん」と俯く。
「…頑張って沢山食べてたのに…。全然伸びていなかったんだよ、どうしたらいい?」
きっとハーレイも自分と一緒に悲しんでくれるに違いない、とブルーは悩みを口にしたのに。
「全然? …たったの一ミリもか?」
「…うん…」
「ははっ、そりゃいい! そいつはいいな」
百五十センチのお前のままか、とギュッと強い左腕で抱き締められて右手が頭をクシャクシャと撫でた。まるでペットの猫か何かのように、可愛くてたまらないという表情で。
「そうか、全然変わらなかったか…。うん、俺はまだまだ可愛らしいお前を見られるわけだ」
「ちょ、ちょっと…! ハーレイ、悲しいと思わないの!?」
「何故だ? なんでそういうことになるんだ」
可愛いお前もいいじゃないか、とハーレイは鳶色の目を細めてブルーに微笑む。
「育ってしまったら、もう逆戻りは出来ないしな? 子供の間は子供らしいお前を見ていたい」
「だけど、ぼくの身体が小さい間はキスも出来ないし…」
その先は言葉に出来なかったけれど、ハーレイは「まあな」とブルーの頬に優しく触れた。
「…俺はお預けを食らうわけだが、別にかまわん。いつかは食べ頃に育つわけだし」
それからゆっくり食べることにするさ、とパチンと片目を瞑ってみせる。
「ブルー、お前は今、幸せだろ? 優しいお父さんとお母さんがいて、暖かな家も飯もある。前のお前とは比べ物にならん幸せな場所で生きているんだ、今の生活を満喫しておけ」
「でも…!」
「安心しろ、俺にだって我慢の限界はある。いつかはお前が嫌だと喚いても攫いに来るし、貰って行く。…そうなった時に後悔されてはたまらないからな、今の内にうんと甘えておくんだ」
……俺のものになってしまったら、もうお母さんたちには甘えられんぞ?
そう囁かれた耳元が熱い。上手く丸めこまれたような気がしないでもなかったけれども、優しい言葉に嘘は無かった。確かに今の幸せな日々は子供の特権だったから…。
そうやって一度は納得したものの、アッと言う間に忘れ去るのも子供というものの特権で。
二人で過ごした穏やかで幸せな時間が終わってハーレイが家に帰ってしまうと、ブルーは視線をクローゼットの方にやる。其処に付けた印まで背丈が伸びない間は、こうして別れがやって来る。
「…早く伸びないと困るんだけどな…」
ハーレイが自分の家に帰ってお別れだなんて酷すぎる。二人一緒に暮らしていたなら、日暮れになっても夜になっても別れなど来ず、ましてや夜がとっぷりと更けたとなれば…。
(……ハーレイと本物の恋人同士だったら、夜が一番大切なのに)
これからの時間が大切なのに、ハーレイは家に帰っただなんて。おまけに自分の背丈が伸びないことを喜ぶだなんて、あんまりだ…!
「ハーレイの馬鹿っ!」
ブルーはプウッと頬を膨らませ、此処には居ない恋人を睨み付けた。
明日から頑張って沢山食べて、早く大きくなってやる。小さいだなんて言えないくらいに。前と変わらない背丈になるまで、急いで大きくなるんだから…!
(次の身長測定までには絶対大きくなってやる! 同じだなんて言わせないから!)
百五十センチで止まってたまるものか、と決意を固めるブルー自身は全く気付いていなかった。
背が伸びなかった本当の理由は自分の中にあることに。
ブルー自身にも自覚など無い心の奥底の深い所で、ブルーはハーレイの本当の願いを読み取り、それを自らの身体へと映す。
前の生では叶わなかった分まで、ブルーが幸せに育つこと。ゆっくりと幸せに大きくなること。
ハーレイ自身にも把握出来ていない「真の願い」を、ブルーはその身に体現していた。
十四歳の小さなブルーの、百五十センチしかない背丈。
それが前世と同じ背丈に伸びる日までに、どれほどの幸せがブルーに訪れるのか。
ハーレイと手を取り合って歩み出せる日がまだ見えなくても、ブルーは幸せに満たされる。
優しい両親と恋人に守られ、ゆっくりとブルーは育ってゆく。
愛するハーレイと共に歩む未来へ、その恋が実る日を夢に見ながら……。
伸びない背丈・了
※いつもハレブル別館にお越し下さってありがとうございます。
ハーレイ先生のお誕生日は、実は8月。そういう設定になっております。
お誕生日は8月28日です!
肝心のお誕生日を巡るお話はまだ先ですけど、お祝いに今月は3回更新。
来週月曜、8月25日がお祝い更新となります、よろしくです~。
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