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シャングリラ学園シリーズのアーカイブです。 ハレブル別館も併設しております。

前と違う声

 夏休みまで一ヶ月足らずとなった、とある日の朝。教室で気心の知れた友人たちと他愛ない話をしていたブルーの耳に、少し離れた場所で上がった叫びが届いた。
「えーーーっ!?」
時ならぬ大声に友人たちも一斉にそちらの方を見、其処には数人の男子生徒が群れていて。
「声変わりって、あの先輩が?!」
「嘘だろ、先輩、まだまだ行けそうだったのに!」
「そうなんだけどさ、こないだから喉が調子悪いって言っててさ…」
 ワイワイと騒ぐ群れの中心は合唱部所属の男子だった。
「みんな喉を傷めただけかと思ってたんだよ、そしたらなんか違うらしくて」
「んじゃ、夏休みのコンクールはどうなるんだよ?」
「もうメチャメチャだよ、今から代わりに歌えるヤツっていないしさあ…」
 俺たちの合唱部の期待の星が、と頭を抱える男子生徒を周りの者が気の毒そうに見詰めている。その輪の中には入らないまでも、ブルーの友人たちも「なんだかなあ…」と複雑な顔で。
「どの先輩だろ、合唱部のことは分かんねえけど」
「期待の星って言ってるんだし、よっぽど上手いか声が凄いかだったんだろうなあ」
「コンクール直前はキツイよね…。合唱部、これから大騒ぎかも」
 合唱部はクラブ活動の一つ。十四歳からの四年間を過ごす学校だったが、人類が皆ミュウである今、サイオンが成長速度に影響する者も多かった。ゆえに四年生でも素晴らしいボーイソプラノを保つ生徒もいるから、合唱部の中には少年だけで構成される部門も存在する。
 件の男子生徒は其処の所属で、夏休み中に開催されるコンクールでの優勝を狙っていたようだ。それなのに夏休みまで一ヶ月を切った今頃の時期に、期待の星が声変わりだとは…。
「…あればっかりは分かんねえしな、いつ始まるのか」
「早い人は早いって聞くけどね…」
「とりあえず俺たちはまだまだ先かな。…特にブルーは」
「ぼく?」
 いきなり自分に話を振られて、ブルーはキョトンと目を見開いた。
「…なんで、そこでぼく?」
「小さいからだよ、決まってるだろ」
「そうだ、合唱部に助っ人に行ってやらねえか? お前、歌だって上手いじゃねえかよ」
 仲間たちは賑やかに騒ぎ始めたが、彼らに話を合わせながらもブルーの思考は違う方へと向かいつつあった。
 背丈ばかりを気にするあまりに忘れ果てていた前世での声。ソルジャー・ブルーと呼ばれていた頃、自分の声は今よりもずっと低くて落ち着いていて、まるで別物だったのでは…。



 その日、ブルーは帰宅してからも自分の声が気になって仕方がなかった。
 深く考えれば考えるほどに、前世の自分と今の自分の声の違いを思い知らされる。ソルジャーとして皆を指揮していた頃、ブリッジで、あるいは青の間で、何度も何度も指示を飛ばした。
 長く潜んだアルテメシアを離れて宇宙へと飛び立った時も、その決断を下したのはブルー。あの時、「ワープしよう」とブリッジに指示した声が今の自分のものだったならば、皆は従ってくれただろうか?
(えーっと…)
 ブルーは勉強用の椅子に座って息を大きく吸い込み、精一杯の威厳を保って言ってみた。
「ワープしよう!」
 それから録音していた今の声を再生してみてガックリとする。
「……全然ダメだよ……」
 もう一度、と試してみても結果は同じ。どう聞いたって子供の声で、ソルジャー・ブルーが下す指示とも思えない。それに…。
(…あれは青の間から言ったんだっけ…。それに叫んでもいなかったし…)
 つまりは「ワープしよう!」と勢い込んで叫ぶのではなく、「ワープしよう」。ごくごく普通に話す口調で、けれど重々しく、皆が異論を唱えられない説得力をも声音に乗せていた自分。
 今の自分にはそんな芸当、とても出来ない。
 録音した声が示すとおりに甲高い声で、まるで劇中の台詞よろしく叫ぶのが自分の精一杯。
(……どうしよう……)
 前世の自分とは全く違った子供そのものな自分の声。こんな声でいくらハーレイに「好きだよ」と告げても、実は可笑しいだけかもしれない。「大きくなったらパパと結婚する!」と叫ぶような幼児とレベルはさほど変わらないのかも…。
(…ハーレイが全然相手にしてくれないのも、声のせいかも…)
 キスを強請ろうとしては叱られ、「駄目だ」と頭を小突かれる。それはそうだろう、子供の声で「キスしてもいいよ」と誘ってみたって、ハーレイがその気になるわけがない。
 一向に伸びてくれない背丈の方もさることながら、声も行く手に高く聳える恋のハードルだったのだ。今の今まで気付かなかったが、声変わりだって急がなければ。
(でも……)
 これまた背丈と同じ理屈で、ただ成長を待つしかない。クラスメイト曰く「ブルーは遅そう」。
(…前のぼくって、いつ声変わりしたんだろう?)
 懸命に記憶を遡ってみたが、あの頃の自分は忙し過ぎた。気付けば背丈はすっかり伸びていて、声も低く落ち着いたものになっていて…。
(何の参考にもならないってば!)
 ブルーは心底、悲しくなった。いつになったら自分の声は昔と同じになるのだろうか…?



 その週末。訪ねて来てくれたハーレイとテーブルを挟んで向かい合わせに座ったブルーは、単刀直入に切り出した。
「ねえ、ハーレイ」
「なんだ?」
「…ハーレイ、ぼくの声は好き?」
「声?」
 唐突すぎるその質問に、ハーレイは何を訊かれたのか分からなかった。ブルーとは恋人同士なのだから「ぼくのこと好き?」なら自然な流れだ。
 しかし、好きかと問われたのは声。何処をどうすればその問いになるのか意図が全く掴めない。どう答えればブルーが満足するのか、それすらも分からないままに…。
「…お前の声なあ……。俺は好きだが」
「本当に? 前の声よりも?」
「前?」
 今度こそ意味が不明になった。前の声とは何のことか、と暫し考えてハタと思い当たる。
「…前って、前のお前の声か? …ソルジャー・ブルーの?」
「そうだけど…。どっちが好き? 今と、前のと」
「……うーむ……」
 ハーレイは腕組みをして視線を天井に向けた。ブルーと再会して間もない頃なら、迷うことなく「前だ」と答えられただろう。前の生で愛して結ばれたブルーは今のブルーよりもずっと大きく、それは美しくて声も甘くて柔らかだった。
 けれども今のブルーと二ヶ月近くも日を過ごす内に、年相応に愛らしくて無垢なブルーもいいなと思い始めた自分がいる。背伸びして一人前の恋人気取りで纏わりついてくるブルー。子供らしい声で強請られるキスを「駄目だ」と叱ってはいるが、強請る仕草もまた可愛い。
(…前はゆっくり聞いているどころじゃなかったからなあ…)
 その分、今を楽しみたいな、と思う自分が確かに居る。
 前世で今と同じ声をしていた頃のブルーは、とうに十四歳ではなかった。アルタミラの収容所で長い時を過ごし、十四歳の姿を留めてはいても皆を指揮するリーダーだった。
 後にシャングリラとなる船を奪って脱出した後、ブルーは幼さを残した身体で一人戦い、物資を奪いにその身一つで宇宙を駆けては頑張りすぎて倒れたりもして…。
 十四歳の子供の身体に相応しい言葉を喋るよりも前に、小さくても既に戦士だったブルー。皆の命をただ一人背負い、前だけを見詰めて走り続けたブルーの子供らしい声を自分は知らない。
(…そうだ、あいつはいつだって見かけどおりじゃなかった)
 それに比べて目の前のブルーはどうだろう。くるくると変わるその表情も、愛らしい唇から飛び出す言葉も十四歳の子供そのもの。背伸びしてみても子供から決して抜け出せはしない。



「……そうだな…」
 ブルーが心配になるほどの時間を考えた末に、ハーレイはようやく口を開いた。
「俺は今のお前の声が好きだな、もちろん前のお前の声も好きだが」
「それって両方、好きだってこと?」
「ああ。俺はお前の今の声が好きだ。いつまでも聞いていたいとも思う」
 いつかは聞けなくなってしまうが、とハーレイはブルーの赤い瞳を見詰めた。
「俺はな、今の幸せそうなお前が好きなんだ。子供らしい顔で、子供らしい声で、嬉しそうに笑うお前が好きだ。今のお前と同じ姿だった前のお前に、幸せな時があったのかどうか…。お前自身は全く気にしていなかったろうが、今から思えば可哀相でな」
「……可哀相? 前のぼくが?」
「そうだ。お前は俺より年上だったし、それに相応しく生きていたんだと思う。それでも、お前は随分と無理をしていたんだろう。…子供らしく見えたお前の記憶は俺の中には無いからな」
「…だって、子供じゃなかったもの」
 その頃の自分の年がとうに成人に達していたことはブルー自身も覚えている。そんな自分が子供らしく振舞う必要などは無かったのだし、第一、子供だからと甘えられる余裕も皆には無かった。
 けれどハーレイは「いいや」と首を左右に振ると。
「お前が見かけどおりの年じゃないことは、皆、知っていたさ。……だがな、身体は子供だった。いくらサイオンが強いと言っても体力は子供並みだってことを気遣う余裕が誰にも無かった」
 お前に無理をさせ過ぎたんだ、とハーレイは辛そうに顔を歪めた。
「お前が十四歳の姿のままで自分の時間を止めていたのが何故だったのか、今なら分かる。…あの頃は気付きもしなかったんだが、幸せそうな今のお前を見ていれば分かる」
「…なんで? ぼくが子供のままだったのは多分、栄養が不足していたからで…」
「俺だってそう思っていたさ。…しかしだ、あれだけの実験を続けようってヤツらが貴重な唯一のタイプ・ブルーを栄養失調にさせると思うか? 栄養は足りていた筈なんだ」
 足りなかったのは別のものだ、と続ける。
「お前に不足していたものはな、幸せってヤツだ。お前には辛い毎日だけしか無くて、育ったって何一ついいことはない。今を保つのが精一杯で、必死に自分の心を守っていたんだろう」
 育つよりも、ひたすら現状維持。そのために成長しなかったのだ、と言われればそんな気もしてきた。あの頃は毎日が人体実験の繰り返し。何もかもどうでも良かったけれども、いつかは生きて此処を出るのだと何処かで常に願っていた。そのためだけに自分は成長を止めて待ったのか…。



 自分でもまるで気付かなかった、前の生で止めた成長の理由。
 それを恐らくは言い当てただろうハーレイの言葉は、更に続いた。
「俺はな、お前が止めていた時の分まで、お前に幸せに過ごしてほしい。子供らしい声で話して、俺の名前を何度も何度も、その声で呼んで欲しいんだ」
 そして嬉しそうに笑ってくれればいい、と鳶色の瞳が愛しい者を見守るように細められる。
「…俺はお前の今の声が好きだ。幸せそうに笑う今の小さなお前が好きだ。だからそのままでいてくれ、ブルー。声変わりなんてしなくていいから。小さいままでかまわないから」
 それはハーレイの心からの願い。前の生でブルーが失くしてしまった子供としての時の分まで、幸せな時を過ごして欲しい、と。
 何かと言えばブルーに「しっかり食べて大きくなれよ」と決まり文句を言ってはいても、小さなブルーを見ていたい。前の生では痛々しいほどの重荷を背負って駆け抜けていった姿だけが記憶に残る幼い戦士が、年相応に幸せに笑って生きる姿を。



 何度も何度もブルーにそう言い聞かせて、納得させて、指切りをして。
 背丈が百五十センチのままでも、声が幼い子供のままでも、それでいいのだと約束をした。
 ブルーには急ぐ必要はなくて、幸せな今を満喫しながらゆっくり成長してゆくのだと。
 そうして二人頷き合った後、向かい合って紅茶のカップを傾けていたら、ブルーが尋ねた。
「でも、ハーレイ…。ぼくが今の姿のままだと、本物の恋人同士になれるのはいつ?」
 キスを交わすのはブルーの背丈が前世と同じになってから。
 ハーレイが決めて、ブルーが渋々「うん」と言ったのは、二人が再会した日から間もない頃。
 もしもブルーの背が伸びなければ、キス出来る日すらもやっては来ない。キスの先など夢のまた夢、ブルーが夢見る「本物の恋人同士」になれる日とやらは遙かに遠い未来のことだ。
 ブルーにとっては大問題だが、ハーレイにはそれは些細なこと。だから笑って答えてやる。
「ははっ、そうだな、いつになるかな? だが、お前は俺の所に戻って来てくれたんだ。…何十年だって俺は待てるさ、一度はお前を失くしたんだしな」
「……ぼくは小さいままでもかまわないよ?」
「こらっ! 背伸びするなと言ってるだろうが!」
 誰が子供を相手にするか、とブルーの頭をコツンと軽く小突いたものの。



(…待てよ? ブルーがこのまま卒業した時はどうなるんだ?)
 ゆっくり大きくなれとは言った。今の姿が好きだとも言った。ついでに固く指切りまでも。
 しかし本当にブルーが育たなかったなら、四年後に卒業を迎える時もブルーは今と変わらない。
 ハーレイが教鞭を執り、ブルーが通う義務教育の最終段階である学校。其処を卒業してゆく生徒は誰でも十八歳か、近日中に十八歳か。
 十八歳は結婚が認められる年。
 卒業式が終わった後の三月の末にブルーは十八歳を迎えるわけで、結婚出来る年齢になって…。
(…見かけが十四歳の子供ってヤツと結婚するのはどうなんだ?)
 それはマズイ、とハーレイの心の中でタラリと冷汗が垂れた。
 身近でそういう事例は無いし、噂すら聞いたこともない。けれど十八歳になったブルーは絶対に結婚したがるだろう。
(……諦めて幼年学校へでも行ってくれればいいんだが……)
 身体が幼いままであるということは、心も今と全く変わらず幼いまま。いくら前世の記憶があるからと言って、いわゆる本当の結婚生活を送るには心身共に無理が有りすぎる。
 ブルーの言う「本物の恋人同士」の関係こそが結婚生活の真の姿なのだし、結婚はちょっと…。
(…しかしだ、ブルーが諦めるとは思えんぞ?)
 何が何でも結婚すると言い張るだろう、とハーレイは天を仰ぎたくなった。
 諦めないブルーもさることながら、ブルーの両親が何と言うやら…。ただでも大事な一人息子のブルーが同性のハーレイと結婚となればパニックだろうし、そのブルーは見た目が十四歳で。
(……やはり普通に育ってくれと言うべきだったか?)
 そうは思うが、小さなブルーも捨て難い。何十年だって見ていられる上に、待てるのだが…。



(結婚するんだ、と言い出した時が実にマズイぞ)
 十四歳の子供にしか見えないブルーと結婚という事態になったら何が起こるか…、とハーレイはブルーの方にチラリと目をやる。するとニッコリと嬉しそうに笑い、首を傾げるものだから。
(…いかん、こいつは結婚どころか俺と深い仲になりたい奴だった…!)
 俺にそういう趣味は無いんだ、と思いたいのに、ブルーが微笑む。
「ハーレイ、さっきからどうしたの? ぼくはきちんと指切りしたよ。…ホントは早く大きくなりたいんだけど、ハーレイはゆっくりがいいんだよね?」
「あ、ああ…。そうだな、うんとゆっくり幸せになれよ」
「うんっ! だけど結婚するのは忘れないでよ、十八歳になったら出来るんだから!」
 ブルーの言葉はハーレイの予想と寸分違わぬものだった。ゆっくり育つと約束しながら、十八歳での結婚を希望。もしもそれまでに前世と同じに育たなかったら、今と見かけが変わらぬブルーが結婚したいと言ってくるわけで…。
(…ほ、本人がいいと言っているなら、それでいいのか?)
 ハーレイの向かい側にチョコンと座って無邪気な笑みを湛えるブルー。その身体はソルジャー・ブルーであった頃より遙かに小さく幼いけれども、桜色の唇も透き通る肌も前世そのままで、その顔立ちもまたいずれ花開く美を匂わせるもの。
(……す、少し小さいが…。いや、かなり小さいが、結婚したならかまわないのか?)
 ブルー自身が望むからには、体格的に多少無理があっても深い仲になっていいのだろうか。そう思いかけて「駄目だ」と自分自身を叱咤する。
(…俺はよくてもブルーの負担が…。こんな小さな身体には無理だ)
 もしも結婚する羽目に陥ったならば我慢あるのみ、とハーレイはテーブルの下で拳を握った。
(ブルーが何と言ってこようが、俺は絶対に手は出さん! 育つまで待つ!)
 どんなにブルーが小さかろうとも、結婚して共に暮らす間に少しずつ育ってゆくだろう。上手く運べば真の結婚生活をしたいがために劇的に育つかもしれないのだから。
 そう決めたものの、「ハーレイ?」と呼び掛けてくる声に心がグラリと揺らぐ。
(……この声は今しか聞けないんだよな?)
 ソルジャー・ブルーよりもずっと高くて愛らしい響きのブルーの声。
 この声が前世で何度も耳にしていたあの声のように、腕の中で震え、喘いだならば。
 あるいは高く、甘く啼いて掠れたならば…、と頭を擡げようとする欲望。
(いや、いかん! …それだけは絶対にやってはいかんぞ、腐っても俺は教師だからな!)
 教え子の前で不埒なことは…、と更に強く、強く拳を握って懸命に耐えているというのに。



「ねえ、ハーレイ?」
 約束だよ、と小さなブルーが右手の小指を差し出して来た。
「ぼくが十八歳になったら、結婚! 別に誕生日じゃなくてもいいから!」
「た、誕生日…?」
「うん! その頃ってハーレイ、忙しいよね? 三月の末だし、新婚旅行に行けそうにないし」
 年度末と年度初めの教師が多忙なことにブルーは気付いていたらしい。しかし…。
「お前、本気で十八歳で結婚する気か?!」
「…んーと…。とりあえず今日はそのつもりだけど、どうしようかな…」
 考え込んでいる様子のブルーに、ハーレイは辛うじて心の平静を取り戻してから。
「今日は、ってことは未定なんだな? 明日になったら気が変わるかも、と」
「明日はどうだか分からないけど、他にやりたいことが出来たら」
「そうか、それなら今、約束をしなくてもな?」
 別にいいだろ、と返したハーレイの右手の小指にブルーの右手の小指がグイと絡んだ。
「ダメーッ! 結婚だけは絶対、約束!」
「お、おい、ブルー! 俺の都合も考えろ、ブルー!」
 強引に絡められた指ごと一方的に押し付けられてしまったブルーと結婚する約束。
 それはブルーの小さな姿と愛らしい声とを伴い、暫くの間、毎夜ハーレイを苛んだけれど。そういう約束を交わしたことすら忘れているのが十四歳の小さなブルー。
 ブルーにとってはハーレイと共に歩む未来は約束せずとも、あって当然。
 ゆえにブルーは今日も夢見る。早くハーレイと結婚したいと……。




          前と違う声・了


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