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シャングリラ学園シリーズのアーカイブです。 ハレブル別館も併設しております。

スカボローフェア

 週末の土曜日、いつものようにブルーの部屋で向かい合っていたハーレイとブルー。テーブルを挟んでのティータイムだったが、ブルーが「あっ」と声を上げた。
「ハーレイ、袖のボタンが取れかかってる…」
 夏休みの間は半袖で来ていたハーレイだけれど、学校が始まると長袖になった。
 前の生でキッチリとキャプテンの制服を着込んでいた記憶が無意識の内にもあったのだろうか、前世の記憶を取り戻す前から学校ではスーツ、もしくは長袖のワイシャツだったと聞いている。
 週末にブルーの家を訪ねて来るなら半袖でも一向にかまわないのに、一種のけじめ。今日だって長袖のシャツを着ているし、襟つきな上に袖口もボタンで留めるタイプ。もっとも、同じ長袖でもラフなシャツの時も多いけれども。
 その袖口のボタンが一つ、糸が緩んで取れかかっていた。ティーカップを傾けるハーレイの姿を見ていたブルーが気付く。ハーレイは「ふむ」とカップをソーサーに置いて。
「着る時は何とも無かったんだが…。何処かで引っ掛けちまったかもな。落として失くしたら後で困るし…」
 取れかけたボタンを摘んで、頼りない糸を千切ろうとする。ポケットにでも仕舞っておくつもりだろうが、ブルーは「待って」とハーレイを止めた。
「ちょっと待ってて、付け直すから」
 家庭科で使う裁縫道具が入った小さなバッグを勉強机の側の棚から持って来た。中から針と糸を取り出し、ボタンを留めている糸の色に似た色の糸を選ぶと、床にかがみ込んで縫い付け始める。
「動かないでよ、針が刺さっちゃうから」
 ボタンにしっかりと糸を通しながら、袖口の布とを何度か往復。
「ほほう…。器用なもんだな」
 感心しているハーレイの目の前でボタンを縫い付けた糸にクルクルと糸を絡めて、端を結んで。
「はい、おしまい。…どう?」
「大丈夫だな。糸の具合もちょうどいい」
 ボタン穴に通してみたハーレイが頷く間に、ブルーは裁縫道具を棚に戻して来たのだけれど。
 ハーレイは何故かブルーが縫い付けたボタンをしげしげと眺め、感慨深そうな顔だから。
「ハーレイ、ボタンがどうかした?」
「いや、しっかり上手にくっついてるなと思ってな…。前と違って」
「前?」
 ブルーはキョトンと目を丸くした。
 ハーレイのために裁縫道具を持ち出したことは一度も無かったと思うのだけど…。



 まるで記憶に無いブルーだったが、ハーレイは「前だ」と繰り返した。
「前は前でも、最近じゃないぞ? 前のお前だ」
「…前のぼく?」
 ますますもって記憶が無かった。
 ソルジャー・ブルーだった頃のブルーは裁縫などはしなかった。ソルジャーの衣装は特別だから自分で手入れをすることは無いし、バスローブなども服飾部任せ。
 従って青の間に裁縫道具は置かれてはおらず、ハーレイのために使った覚えも無いのだが…。
 懸命に記憶を遡りながら考え込むブルーの姿に、ハーレイが「うーむ…」と呟いた。
「…忘れちまったのか? スカボローフェア」
「スカボローフェア?」
 聞いたこともない響きの言葉。何のことだか見当もつかない。
「補聴器の記憶装置には入れられないような記憶だし…。それに、不器用の証明だからな」
「不器用?」
 聞き覚えのないスカボローフェアも気になるけれども、不器用の証明だという不名誉さ。過去の自分にいったい何が、と訝る小さなブルーに、ハーレイは「いや、まあ…」と少し言葉を濁して。
「ある意味ではとても器用だったな、前のお前は」
 スカボローフェアだ、と重ねて言われても思い出せない。
 しきりに首を捻るブルーを相手に、ハーレイは昔語りを始めた。



 それは遙か昔、白いシャングリラで暮らしていた頃。
 ハーレイとブルーが恋仲なことは秘密だったが、青の間やハーレイの部屋で逢瀬を重ねた。夜になれば勤務を終えたハーレイが青の間を訪ねて来るのが常のこと。暫し二人で紅茶を飲んだりして語らった後、ベッドに移って恋人同士の熱くて甘い時間が始まる。
 その夜もテーブルで紅茶を楽しんでいた時、ブルーがキャプテンの上着の袖口の小さなほつれに気が付いた。ほんの少し糸が出ているだけだけれども、引っ掛けたりしたら更にほつれてしまう。
 キャプテンの上着は毎日洗う類の服ではないから、ハーレイは「明日、服飾部に直させます」と言ったというのに、ブルーは「脱いで」と真顔で返した。
「今夜も二人で過ごすんだよ? せっかちな脱ぎ方をしたらほつれそうだし、明日の朝、うっかり寝過ごしたりしたらどうするんだい? 慌てて上着を羽織った拍子に引っ掛かるかも…」
 そうなったら袖口の生地が傍目にもみっともない状態。別の上着に着替えに戻れば確実に遅刻、ほつれた袖でブリッジに行けばキャプテンも案外だらしがないと評判が立つ。
「…だからね、今の間に直しておくのが一番なんだよ」
 服飾部の腕には敵わないから、仮修理。明日の勤務が終わった後で直しに出しておけばいい。
 そう言って微笑んだブルーの前には、いつの間にか裁縫道具を収めた小箱が鎮座していた。裁縫道具など青の間の何処に置いていたのか、あるいは服飾部から瞬間移動で盗み出したのか。
 どちらにせよブルーは直す気満々、針と糸とを引っ張り出した。
 しかし…。



 アルタミラを脱出した直後は裁縫だってしていたんだから、と言い張るブルーは不器用だった。針に糸を通す所までは無問題だが、通した糸が勢い余って抜けてしまったり、糸の端を留める結び目を上手く作れずに縺れたり。
 ようやっと通した糸の端を結び、準備完了となるまでにかなりかかった。
 この段階で既に危険信号。どう贔屓目に見ても、裁縫が上手いとは思えない。それでもブルーは頑張った。頑張りすぎて生地を引っ張ってしまい、余計にほつれた袖口を縫うべく努力を重ねた。
 ハーレイが脱いで預けた上着と格闘すること半時間あまり、出来上がった縫い目は不揃いな上に生地も不自然に引き攣れて皺が寄っている。
 これではどうにもなりはしないし、結局、直しに出すことになった。明日の朝はハーレイが早く起きて部屋に着替えに戻って、別の制服を着てブリッジへ。その途中で服飾部に立ち寄り、問題の上着を修理に出す。
 ただ、酷すぎる縫い目が出来た上着は服飾部の者の目に触れる。「誰が縫ったか分からなくても恥ずかしいよ!」とブルーが自分の腕の悪さを嘆くものだから、ハーレイが件の縫い目をほどいて多少はマシに見えるようにと縫い直しておいた。
 ブルーが縫って、それをハーレイがほどいて縫い直して。
 二人揃って、余計な手間。
 最初から服飾部に任せることに決めていたなら、手間も時間も全くかからなかったのに。
「すっかり時間を食っちゃったよ…。ほつれてもいいから早くベッドに行けば良かった」
「ですが、あなたが仰ったのですよ?」
 ふてくされるブルーをハーレイがせっせと宥めながらのティータイム。
 ブルーが眠れなくなってしまわないよう、紅茶は薄めで、ミルクを入れて。



「…ぼくはホントに頑張ったのに…」
 ハーレイのために精一杯頑張って縫い上げたのに、と不満そうなブルー。
 その上着は椅子の背に掛けてある。ハーレイは黒のアンダーを纏った姿で薄い紅茶を飲みつつ、不器用すぎる恋人と上着とを交互に見比べていたのだけれど。
 不意に悪戯心が頭を擡げて、まだ「頑張った」と主張しているブルーに「どうでしょうか?」と疑問を呈した。
「本当に私のためだと思っていらっしゃったなら。…とんでもない縫い目を作るどころか、縫い目の無いシャツを作れそうですが」
「なに、それ?」
 ブルーが赤い瞳を見開く。ハーレイは穏やかな笑みを浮かべた。
「遠い昔の古い歌ですよ。スカボローフェアという歌なんです」
「…スカボローフェア?」
「ええ。SD体制よりもずっとずっと昔に栄えた町がスカボロー。…其処で開かれた市をフェアと呼んだそうです。その市の名前の歌なんですよ」
 スカボローの市に出掛ける人に頼む伝言。其処に住んでいる昔の恋人に伝えてくれ、と。
 パセリ、セージ、ローズマリーにタイム…。
 縫い目も針仕事も無しで亜麻のシャツを作ってくれたなら、あなたこそ私の真の恋人です、と。
 ハーレイが歌ってやった古い古い歌に、ブルーは熱心に聴き入った末に。
「縫い目も針仕事の跡も無い亜麻のシャツ? 分かった、それが作れたら正真正銘、ぼくの裁縫の腕を認めてくれるんだ?」
「は?」
 それは勘違いというものだろう、とハーレイは慌てて訂正した。
「いえ、そういった意味ではなくて…。これは恋人の真心の深さというものを…」
「恋人だからだよ、認めて欲しいよ! ぼくはハーレイの恋人なんだから!」
 もう一度歌って、とブルーは強請った。
 パセリ、セージ、ローズマリーにタイム。
 不思議な響きのハーブの呪文を織り込んだような、遠い昔のスカボローフェアを。



 そしてブルーは作り上げた。
 服飾部から亜麻の布をせしめて、縫い目も針仕事の跡も無い真っ白なシャツを。
「ほら、ハーレイ。…出来たよ、君が歌ってくれたスカボローフェアに出て来るシャツ」
 ハーレイがブリッジから青の間に戻るのを待ち兼ねていたらしい、得意満面のブルー。
 真っ白なシャツはハーレイが黒のアンダーの下に着ているものにそっくり。入念にチェックしてみたけれども、本当に縫い目も針跡も無い。
 サイオンで繊維を瞬間的に溶かして、一瞬で接着したのだろうか。しかし…。
「このシャツはどうやって着るのですか、ブルー?」
 ブルー御自慢のシャツを矯めつ眇めつ眺めたものの、着られそうには思えなかった。
「えっ? ちゃんと服飾部でハーレイのシャツのサイズを調べて作ったんだけど…」
 ブルーはハーレイの身体にピッタリの筈だと言い張ったけれど。
「…そのシャツは伸縮性のある素材でしょう? この布では、ちょっと…」
 無理に被ろうとしたら破れそうです、とハーレイが困惑するとおり。
 亜麻のシャツは清潔感溢れる代物だったが、如何せん、元になったものが下着のシャツ。首元が丸く開いている他には袖口と裾しか開いていないし、アルタミラの研究所で着せられた上着ほどに余裕のあるサイズでもない。
 これを頭から被ったならば、腕を通す前にビリッと音がするだろう。音だけで済めばまだマシな方で、あっけなく裂けてしまうかもしれず…。
「着られないわけ?」
 シャツを手にして困り顔のハーレイに、ブルーが尋ねる。
「…残念ながら、そのようですが…」
 ついさっきまで得意そうだったブルーの顔色がみるみる変わった。
「それじゃ、ぼくはハーレイの本物の恋人じゃないってこと!?」
 パセリ、セージ、ローズマリーにタイム。
 縫い目も針仕事の跡も無い、ブルーがやり遂げた恋人の証の亜麻のシャツ。
 サイオンという技を使ったにしても、無理難題としか思えないそれをブルーが作り上げてくれたことは嘘偽りのない真実だから。
「いいえ。…お気持ちだけで嬉しいのですよ、たとえ着ることが叶わなくても」
 ハーレイはブルーを強く抱き締め、桜色の唇が開く前に自分の唇で覆って言葉を封じた。
 古い古い歌、スカボローフェア。
 亜麻のシャツを作ってくれとは歌うけれども、それを自分が着るとは歌っていないから…。



 ブルーが作った白い亜麻のシャツは、ハーレイの部屋のクローゼットの奥に大切に仕舞われた。
 遠い昔に有り得ないものとして歌に歌われた亜麻のシャツ。
 縫い目も針仕事も無しに作り上げられた亜麻のシャツなど、誰が想像できただろう?
 ブルーが縫い上げた愛の証。
 ハーレイの本物の恋人なのだと証明したくて、針さえ使わずに縫い上げてくれた。
 裁縫さえも満足に出来ないほどの不器用なブルーが、奇跡のシャツを作ってくれた。
 縫い目も針跡も無い、真っ白な亜麻で出来たシャツ。
 身に纏うことは出来ないけれども、ハーレイのサイズにぴったりのシャツ。
 これが宝物で無いと言うなら何だろう?
 パセリ、セージ、ローズマリーにタイム…。
 愛おしいブルーの姿を思い浮かべて、ハーレイは真っ白な亜麻のシャツをそうっと撫でる。
 あの歌を歌いながら亜麻のシャツを撫でる。
 誰よりも愛してやまない恋人。
 銀色の髪に赤い瞳の恋人が成し遂げてくれた奇跡を、真の恋人の証のシャツを…。
 そうして大切に仕舞っていたのに、ついに一度も着られなかった。
 破れてしまうと分かっていたのもあったけれども、ブルーを失くしてしまったから。
 縫い目も針跡も無いシャツを作ってくれたブルーを、ハーレイは失くしてしまったから。
 今にして思えば、あれを着て地球に降りれば良かった。
 たとえあちこち破れたとしても、過ぎ去った時の流れで繊維が弱くなっていたとしても、地球に降りるという記念すべき日に相応しい晴れ着だったのだから…。



 その後、白い亜麻のシャツがどうなったのかは分からない。
 ハーレイが使っていた部屋はトォニィが手を触れないで残していたから、机の上に置かれた羽根ペンのように手つかずでクローゼットに仕舞われたままだった可能性もある。
 けれど、シャングリラが時の流れに連れ去られた時に、亜麻のシャツも消えてしまっただろう。もしも誰かが縫い目も針跡も無い不思議なシャツだと見抜いていたなら、残っていたかもしれないけれど。作った人が誰だったのかも分からないままに、その不思議さのゆえに宇宙遺産として。
 そう、ハーレイが彫った木彫りのナキネズミが博物館に残っているように。ミュウの多産を祈るウサギなのだと勘違いされて、宇宙遺産のウサギにされてしまったように…。



 というわけで、とハーレイは昔語りを終えた。
「思い出したか、スカボローフェアを? お前は前の俺の上着の袖口を直すどころか余計に悲惨なことにしたのと、着られないシャツを作ったというダブルショックで綺麗に忘れたみたいだが」
 どうなんだ、と問われたブルーは頬をプウッと膨らませた。
「思い出したよ、それだけキッチリ喋られちゃったら!」
「ほう…。それで、裁縫が得意な今のお前は亜麻のシャツだって作れるのか?」
 ただし、縫い目も針跡も無しだ。
 それが歌の中で出された条件なんだし、本物の恋人を気取るんだったらそれくらいはな?
 からかうようにハーレイの瞳が笑っているから、ブルーは「もうっ!」と眉を吊り上げた。
「本物の恋人同士になってないこと、ハーレイだって知ってるくせに!」
 キスも駄目だと言ってるくせに、と仏頂面になるブルー。
「ほうほう…。だったら、いつかは作るということなんだな?」
 そういうことだな、とハーレイは片目をパチンと瞑った。
「お前が言う本物の恋人同士になった時には、縫い目も針跡も無しのシャツを作ってくれるのか。…今度は着られるシャツで頼むぞ、前が開いててボタンで留められるシャツとかな」
 上等の亜麻のシャツがいい。
 それを着て街まで出掛けられるような、うんとお洒落なシャツなんかがいいと思わないか?
 お前が作った奇跡のシャツをだ、俺が着てお前が隣を歩く。うんと得意そうにしていればいい。
 スカボローフェアに出て来るシャツだぞ、縫い目も針跡も無い奇跡のシャツだ。
 頑張ってくれ、と励まされたブルーは「無理だから!」と叫んでハーレイをキッと睨み付けた。
「無理なこと、分かっているくせに! サイオンはトコトン不器用だってこと!」
 ソルジャー・ブルーだった頃ならともかく、今のブルーに奇跡のシャツは無理だった。
 パセリ、セージ、ローズマリーにタイム。
 いくら呪文を唱えたところで、不器用すぎるサイオンが目覚めるわけがない。
「分かった、分かった。…今のお前には期待してないさ」
 亜麻のシャツは二人で買うとするか、とハーレイが笑う。
 いつかお揃いの亜麻のシャツ。サイズ違いの同じシャツを着て、手を繋いで街を歩くのだ、と。



 ソルジャー・ブルーがサイオンで作った奇跡の真っ白な亜麻のシャツ。
 縫い目も針跡も見当たりはしない、真の恋人の証のシャツ。
 ハーレイは今のブルーに作れはしないと笑った上に、夜までブルーの家で過ごして夕食を食べ、「また明日な」と手を振って帰って行ったのだけれど。
 その夜、お風呂に入ってパジャマを着た後、勉強机の前に座ってウンウンと唸る小さなブルー。机の上には白い亜麻のハンカチ。母の部屋から失敬してきた。特に飾りもついていないし、消えていたって母は気付きはしないだろう。
(…前のぼく、どうやってくっつけたんだろう…)
 三角形に二つ折りにしたハンカチの山の天辺同士をくっつけたいのに、くっつかない。
 どう頑張っても手掛かりさえも見付からないし、ハンカチは広げればアッと言う間に真っ四角。
(…ハンカチだってくっつかないんじゃ、シャツなんかくっつけられないよ…)
 どうやるんだろ、と睨み付けても、手で撫で擦ってもどうにもならない。
 ハーレイが歌ってくれた古い歌。
 前の生でもハーレイが歌った、スカボローフェアという名の古い歌。
 印象的だった繰り返し何度も歌われる言葉。無理難題を吹っかける合間に、何度も、何度も。
(パセリ、セージ、ローズマリーにタイム…)
 順に唱えられるハーブの名前は、そこだけを聞くとまるで魔法の呪文だけれど。
 そんなハーブの魔法をかけてシャツを作ったわけがない。
 前のブルーはソルジャー・ブルーで、ミュウの長。
 魔法使いではなかったのだし、ハーブの呪文は効かないと思う。
(…でも、ハーレイのために作ってみたいよ、縫い目も針の跡も無い亜麻のシャツ…)
 ブルーは真剣に悩み続ける。
 ハーレイに真の恋人の証を贈った前の自分に引けを取らない亜麻のシャツを作る方法のことで。
 そんなシャツを作ることが出来ても、袖口のほころびすらも上手く直せなかった恋人よりかは、器用にボタンをつけ直してくれる恋人の方が素敵な伴侶になれそうなのだが…。
 其処に気付かず、全く分かっていない辺りが夢見るお子様たる所以。
 ハーレイもきっと、縫い目の無いシャツを差し出されるより、日常の些細な繕い物などをこなすブルーの姿にいたく感激するのだろうけど。
 そうした日々を手に入れる前に、まずは結婚せねばならない。
 ブルーが縫い目の無いシャツを作るのが先か、結婚が先か。それは神様が決めてくれること…。




          スカボローフェア・了

※ハーレイが歌うスカボローフェア。歌の通りのシャツを作ったソルジャー・ブルー。
 奇跡のシャツもいいんですけど、裁縫が上手な今のブルーも充分素敵な恋人ですよね。
 スカボローフェアを御存知ない方は、こちら→スカボローフェア
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 ←聖痕シリーズの書き下ろしショートは、こちらv






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