シャングリラ学園シリーズのアーカイブです。 ハレブル別館も併設しております。
※シャングリラ学園シリーズには本編があり、番外編はその続編です。
バックナンバーはこちらの 「本編」 「番外編」 から御覧になれます。
シャングリラ学園番外編は 「毎月第3月曜更新」 です。
第1月曜に「おまけ更新」をして2回更新の時は、前月に予告いたします。
お話の後の御挨拶などをチェックなさって下さいませv
秋になったら学園祭に収穫祭。そんなお楽しみの季節が始まる前にキース君を待ち受けているもの、それが秋のお彼岸。元老寺の副住職だけに逃亡不可能、お彼岸に入れば休日はもれなく墓回向。お中日ともなれば法要、散々なシーズンですけども…。
「やっと終わった…」
今年も死んだ、とキース君は放課後の「そるじゃぁ・ぶるぅ」のお部屋で討ち死にモード。バナナと梨のパウンドケーキにも手を付けないでソファにグッタリ、よほど疲れたものと思われます。
「えとえと…。キース、大丈夫?」
コーヒー飲む? と「そるじゃぁ・ぶるぅ」。コーヒーも放置でしたっけ…。キース君は「ああ、すまん」とカップを手に取り、ゴクリと一口。それからジョミー君とサム君の方に視線を向けて。
「おい、お前たちもいずれは辿る道なんだからな?」
「ぼくは坊主はやらないから!」
「俺も住職の資格は持ってないしよ」
二人が答えると「甘いな」の一言。
「本格的に修行に入ったら、経験値ってヤツがモノを言う。道場ってトコは厳しいぞ? いきなり役を割り振られる上、出来ませんなんて言おうものなら鉄拳だからな」
住職の資格を取りに行く道場の厳しさを説くキース君。
「噂じゃ、去年の道場な…。何処の寺のバカ息子かは聞いていないが、法要の練習で主役を振られた。だが、やり方が分からないしな? 出来ません、とトンズラしようとして、だ…」
「殴られたとか?」
ジョミー君が訊けば「甘い!」と一声。
「殴る程度は普通だ、普通! そいつはトコトン性根が腐れていたらしくて、指導員の愛の鞭が飛びまくった挙句に足を蹴られて脱臼したそうだ」
「「「だ、脱臼…」」」
なんと恐ろしい話なのだ、と私たちは震え上がりましたが。
「それだけで済んだと思うなよ? 脱臼したから修行出来ません、道場にはもうサヨナラです、と言える世界じゃないからな。その足を引き摺って最終日まで、だ」
「「「うわー…」」」
まさかそこまで厳しいとは…。その轍を踏まないよう、サム君とジョミー君も元老寺で練習しておくべし、ととキース君が説き、ジョミー君が断固拒否する光景は見慣れたものですけれど。
「…そうだ、忘れていた」
お彼岸疲れで綺麗サッパリ、とキース君。忘れていたって、いったい何を?
「…実は、お中日の法要の後の打ち上げの席でな…」
キース君はようやっとパウンドケーキを食べ始めながら。
「檀家さんに頼みごとをされたんだ。どうしたものか、と思って保留にしてあるんだが」
「頼みごとねえ…」
会長さんが興味を抱いたようで。
「保留とはまた、君らしくもない。どういう内容だったわけ?」
「いや、それが…。御祈祷を頼む、といった話で」
「そのくらいなら受ければいいだろ、ぼくたちの宗派も御祈祷をしないわけではないし」
基本は南無阿弥陀仏だけれど、と会長さん。
「璃慕恩院でも最近は護摩を焚くようだしねえ、檀家さんのお願いくらいは聞いてあげれば?」
「……御祈祷で何とかなるものならな」
「え? 合格祈願の御祈祷だってする世の中だよ、結果はお寺に関係ないだろう?」
「そういうわけでもないんだ、それが」
だから保留だ、とキース君は少し困った顔で。
「少なくとも俺と親父ではどうにもならん。頼りにされているのは多分、あんただ」
「ぼく?」
「あんたが掛軸を処理した話はウチの寺では有名だからな」
あの掛軸だ、と挙げられた例は、ずっと昔にソルジャーの世界から「ぶるぅ」が飛び出して来た怪しい掛軸。『月下仙境』という名前でしたか、描かれた月が異世界への出入り口になっていて妖怪だの何だのが湧いて出るから、と檀家さんがアドス和尚に預けたのです。
「あったね、そういう掛軸も…」
「あの掛軸を見事に封印したのが、あんただ。だから今回もきっと…」
あからさまには言われなかったが狙いはあんただ、とキース君。
「しかしだ、モノがモノだけに返事をしかねる状況で…」
「ぼくは何でも歓迎だけど? 貰えるんだよね、御祈祷料は」
「ああ、そこの所は間違いない。お布施はこのくらいで如何でしょうか、と訊かれたからな」
キース君が立てた指が一本ならぬ二本。これはなかなかにゴージャスです。
「へえ…。アドス和尚と山分けしたって指一本かあ…」
引き受けよう、と会長さんは即答したのですけれど。
「あんたはそれでかまわないのか? モノは河童だぞ」
「「「河童!?」」」
またしても妖怪変化の類が出ましたか? 河童と言ったら河童ですよね…?
檀家さんから頼まれたらしい御祈祷のお値段、指二本分。素晴らしいお値段に会長さんは乗り気なのですが、キース君曰く、モノは河童で。
「河童って…。出るのかい?」
何処に、と会長さんが尋ねました。
「そういう噂は聞かないけれども、アルテメシアの川だよね?」
「…川だったらまだいいんだが…」
「沼か池かい? 別に何処でもかまわないけど」
流石は伝説の高僧、銀青様。御祈祷で河童を封印するのか、倒すのか。やる気満々、お布施という名の報酬に釣られて行け行けゴーゴー状態です。
「とにかく出るのを何とかすればいいんだろう? そのくらいならお安いご用さ」
「出る方だったら俺も悩まん!」
保留にはせん、とキース君。
「じゃあ何さ? まさか実害、出ちゃったとか? …出そうだとか?」
河童の子とか、と会長さんがブツブツと。
「そっちだったら産婦人科の仕事だねえ…。河童が来ないようにする方は出来るけれどさ、妊娠しちゃった子供の方はどうにもこうにも」
え。河童の子って…。産婦人科って、人間が河童の子供を妊娠するわけですか?
「そういう事例が遠い昔にはあったと聞くねえ、実際に見た事は一度もないけど」
会長さんによると、河童の子供は言い伝えレベル。とはいえ生まれた例が皆無とは言えず、現に「ぶるぅ」が飛び出して来た掛軸からは妖怪がゾロゾロ出て来たのですし…。
「河童の子供は産婦人科にお任せするよ。それで祟りが怖いと言うなら御祈祷を」
「……子供の方もまるで無関係とは言えんのだが……」
だが、とキース君は苦悩の表情。
「あんた、遺伝子の組み換えとかは出来るのか?」
「え?」
なんで、と会長さんの目がまん丸に。
「それって研究者の仕事だろ? なんで御祈祷が関係するわけ?」
「檀家さんの頼みがそいつだからだ! 有り得ない生物を作ってくれと!」
「「「ええっ!?」」」
有り得ない生物を作れと言う上に、河童の子供も無関係ではない話。もしや人間の胎児を遺伝子組み換え、河童の子供に仕立てようとか?
「…そ、そういうのは倫理的には如何なものかと…」
いくら自分の子供でも、と会長さんは顔色が良くありません。
「どういう目的で河童が欲しいのか分からないけど、人間の子供を河童にするのは…」
「俺はそこまで言っていないが」
壮大な話を作り上げるな、とキース君は苦い顔をしました。
「檀家さんの依頼は河童のミイラだ。そいつを本物の河童に仕立てて将来に備えたいらしい」
「「「は?」」」
今度こそ話が意味不明。本物の河童に仕立てるも何も、河童のミイラは在るのでしょう。そりゃあ河童のミイラってヤツは偽物だらけと聞いていますが、それを遺伝子組み換えとやらで本物に仕立てて将来にどう備えると…?
「分からんか? 河童のミイラは檀家さんの家の家宝でな…。と言うか、昔から屋根裏に宝物があると伝わっていて、だ。最近、家をリフォームするのに大工を入れたら謎の箱が」
屋根裏の梁に古びた大きな箱が結び付けられていたという話。蓋に『河伯』の二文字があって、開けてみたらば河童のミイラ。
「それでだ、檀家さんは今は金には困っていないが、子孫の代にはどうなっているか分からんからな? 今の間に河童のミイラを正真正銘の河童にしたい、と」
そうすれば将来、鑑定に出せば謎の生物として箔がつく上、高く売れるとか見世物にするとか、本当の意味での宝物になるであろう、というのが檀家さんの読み。
「なにしろ現時点では効き目が絶倫だけだからなあ…」
「「「絶倫?」」」
「あれだ、あっちのブルーが目の色を変える絶倫だ。宝物に関する言い伝えの中に、「もしも子孫が絶えそうになったら宝物を探して粉にして飲め」とあったらしい。それで絶倫、早々に子宝に恵まれること間違いなしだと」
「「「へえ…」」」
河童のミイラが精力剤だとは知りませんでした。しかし会長さんが河童の子供が云々などと言ったからには好色な河童が居ても可笑しくないわけで。
「檀家さんが言うには河童のミイラはまず間違いなく偽物らしい。だが、偽物だと分からない時代もあったわけだし、そんな時代に宝物のミイラで絶倫と聞けばプラシーボ効果も…」
プラシーボ効果、すなわち偽薬でも信じて飲んだら効くというヤツ。イワシの頭も信心からで、河童のミイラで子宝も充分ありそうです。
「というわけでだ、子供も無関係では無いとは言った。問題はその先の祈祷の話だ」
出来るのか? とキース君は会長さんを見詰めました。明らかに偽物であろう河童のミイラを「鑑定に出してもバレないレベルの謎の生物」に仕立てられるのか、と。
「うーん……」
腕組みをする会長さん。この段階で無理難題に近いということは分かりました。とはいえ、考え込むからには何か方法が…?
「やってやれないことはない。…ただし、御祈祷料が全然足りない」
その百倍は貰わないと、という強烈な仰せ。
「河童のミイラとやらに半永久的にサイオンを張り巡らせることになるからねえ…。何処を削ってサンプルを採られても、MRIだのCTだので撮影されてもバレないように…さ」
そこまでのサイオンを使うんだったら御祈祷料は安くて百倍、本当だったら千倍貰ってもいいくらいだ、と言われましても。
「お、おい! その檀家さんは裕福ではあるが、河童のミイラにそんなに出すなら…」
「お金で残しておくんだろ? そっちがオススメ」
断りたまえ、と会長さんはバッサリと。
「ぼくの力をアテにしてるんなら、こう言うんだね。「イカサマに加担する気は全く無い。阿弥陀様の前で嘘はつけない、嘘は妄語で五戒に反する」と断られた、と」
「そうか、五戒か…。坊主は五戒を破れんからな」
その線で行くか、とキース君も頷いたのですけれど。
「ちょっと待ったぁーっ!!」
いきなり響いた叫び声。誰だ、と振り返った先に見慣れた紫のマント。
「…河童だって?」
ミイラだってね、とソルジャーが笑顔で立っていました。
「しかも粉にして飲めば絶倫、子宝に恵まれるんだって?」
「いや、だから! そいつはプラシーボ効果というヤツで!」
誰も効くとは言っていない、とキース君は反論しましたが。
「さあ、どうだか…。昔の人の知恵っていうのも侮れないしね、まるで根拠が無いとも言えない。そのミイラ、ぼくに任せてくれたら遺伝子くらいはどうとでも……ね」
「なんだって!?」
「分からないかな、ぼくの世界は技術が遙かに進んでいる。このぼくでさえも人工子宮から生まれてるんだよ、そんな世界に遺伝子を弄る技術が全く無いとでも?」
サイオンなんかは要らないんだよ、とソルジャー、ニッコリ。
「いろんな惑星の環境に合った植物や動物を作り出すとか、人類だってやっている。そんな時代に生まれたミュウが本気のサイオンを使った場合は!」
新種の生き物も作れるのだ、とソルジャーは威張り返りました。そういえばサイオンを使えるナキネズミとやら、ソルジャーが作ったと聞かされたような…?
「ぼくはナキネズミだって作ったんだよ」
新種の生物で生殖能力もちゃんとある、と得意げな顔で話すソルジャー。
「ああいうのを一から作るのに比べたら、河童のミイラの一つや二つを作り替えるくらいは朝飯前でね。だってミイラだし、それ一体だけ作り替えればいいんだろう?」
「…それは確かにそうなんだが…」
「じゃあ、やるよ。報酬の方は別に要らない。お小遣いに不自由はしてないからね」
ソルジャーのお小遣いはエロドクターからの貢物。ランチやディナーに付き合うだけで気前よくポンポンくれるらしくて、そのお小遣いでキャプテンと一緒にこっちの世界で食べ歩きをしたり、素敵なホテルに泊まったり。ゆえにお布施など必要無くて。
「指二本分の報酬だっけ? それは君たちで山分けすれば?」
「せめてお布施と言ってくれ!」
キース君はそう叫びましたが、河童のミイラな依頼の件はどうやら解決出来そうなわけで。
「…あんたがやってくれるのか…。だったら檀家さんの期待も裏切らずに済むが」
「ぼくにドカンとお任せってね!」
ついでに絶倫な成分の入ったミイラだといいな、とソルジャーはウットリしています。
「偽物が多いとか話してたけど、偽物作りに使った材料が絶倫になれる代物だったら期待大! こっちの世界のスッポンとかは効果が素晴らしいしね」
「…河童のミイラはスッポンではないと俺は思うが…」
「とにかく河童のミイラとやらを借りて来てよね、でないと何も出来ないから!」
「その点は俺も承知している。御祈祷をすると言って借りて来る」
現地での御祈祷は難しいのだ、と言えば簡単に借りられるであろう、とキース君。それはそうでしょう、指二本分もの御祈祷料を頂く御祈祷、普通の民家のお座敷なんかじゃ有難さも何もあったものではありません。
「よし、どうせブルーに……いや、こっちのブルーに期待をかけての依頼なんだし、一ヶ月くらい借りておいても問題無かろう。その線でいこう」
「了解。それじゃ、河童のミイラとやらの作り替えにはブルーの家を借りてもいいかな?」
ぼくのシャングリラでやるのはちょっと、と言うソルジャーに、会長さんが「うん」と。
「お布施を山分けしてもいいなら、場所くらい貸すよ」
「オッケー、商談成立ってね!」
河童のミイラを借り出して来い、とソルジャーがキース君に指示を下して、河童プロジェクトがスタートすることになりました。キース君は帰ったら早速、檀家さんに電話をするそうですけど、河童のミイラを拝める日はいつになりますかねえ…?
河童のミイラの作り替え。御祈祷をする、とキース君に連絡を貰った檀家さんは大喜びで翌日の朝に古ぼけた箱を元老寺へ運び込みました。其処から先は会長さんとソルジャーの仕事。まずは会長さんがアドス和尚からお布施を受け取り、瞬間移動で河童入りの箱を自分の家まで。
「いやあ、アドス和尚も気前がいいねえ…」
まさか全額貰えるだなんて、と会長さんは御機嫌です。アドス和尚は元老寺の面子が立って評判が上がれば充分と考えていたらしくって、分け前は不要。指二本分のお布施はまるっと会長さんの懐に転がり込むことに…。
「それで河童のミイラはどうだったわけ?」
偽物だった? とジョミー君。此処は放課後の「そるじゃぁ・ぶるぅ」のお部屋です。
「偽物だろうと思うけど…。まだ確認はしてないんだよ」
どうせだったら皆でジャジャーン! と開けたいじゃないか、と会長さん。
「ブルーが来るのは明日だしね? みんなの目の前で初公開だよ」
「いいですね!」
楽しみです、とシロエ君。
「色々調べてみたんですけど、偽物はサルとからしいですね?」
「サルに細工をするのよね」
私も調べた、とスウェナちゃん。
「いろんな見かけのミイラがあったわ、サイズも色々」
「俺も調べてみたんだけどよ…。すっげえ上手に出来ているよな、それっぽいよな」
サム君も楽しみにしているようです。もちろん私も河童のミイラなんて実物を見るのは初めてですから、ドキドキワクワク。
「大いに期待しててよね。ぼくもサイオンで透視はしてない」
どんなミイラが出て来るやら…、と会長さん。河童のミイラはピンからキリまで、本物としか思えないものからショボイものまであるのだそうで。
「どうせだったら本物っぽいのを希望だよ、うん」
せっかく作り替えるんだから、と言いたい気持ちは分かります。胡散臭いのを作り替えて凄いミイラを作り出すより、それっぽいのがいいですよね!
土曜日の朝、私たちはバス停で待ち合わせてから会長さんのマンションに向かいました。管理人さんに入口を開けて貰って、エレベーターで最上階まで。玄関のチャイムを鳴らすと間もなく扉がガチャリと開いて。
「かみお~ん♪ いらっしゃい! ブルーも来てるよ!」
入って、入って! と飛び跳ねてゆく「そるじゃぁ・ぶるぅ」の行き先は普段と違う部屋。いつもだったらリビングに通されるか、はたまたダイニングか。けれど本日はまさかの和室で。
「やあ、おはよう」
「一足お先にお邪魔してるよ」
広い和室に会長さんと私服のソルジャーが座っていました。会長さんはピシッと正座で、ソルジャーは体育座りというヤツ。
和室の棚には阿弥陀様が収められた御厨子が安置されていて、その前の畳に大きな古びた木の箱が。阿弥陀様は私たちが特別生になって初めての夏休みに埋蔵金を探していた時、蓮池の底から掘り出した思い出の黄金の阿弥陀様。
古びた木箱が河童のミイラ入りの箱なのでしょう。御祈祷と銘打ったなら阿弥陀様のある部屋が相応しいですが、なんとも大きな木箱です。畳一枚の半分くらいは余裕でありそうな長方形の木箱。古ぼけっぷりも半端ではなく…。
「大きいだろ、これ」
サルだとしたらかなり大きい、と会長さん。
「この国のサルではないかもね。精力剤として輸入してきた特別なサルのミイラとか…」
「サルって精力剤なのかい?」
ソルジャーの問いに、会長さんは「さあ?」と無責任な答え。
「そういう話は聞かないけれども、サルは性欲が凄いからっていう例えで「サル並み」と言うね」
「サル並みだって?」
「そう。性欲の強い男性を指すのにサル並みだ、とね」
「それは凄いね、それじゃ効くかも!」
早く開けよう、とソルジャーが膝を乗り出し、会長さんも。
「百聞は一見にしかずだしねえ、まずは拝んでみるとしようか」
それじゃ一応、と数珠を取り出し、ジャラッと繰ってから朗々と読経。お念仏やら呪文のような真言やらを織り交ぜ、最後にパパッと手で印を切って。
「これでよし、っと。頼まれたからには御祈祷ってヤツもしておかないとね」
なにしろお布施が指二本分、とのお言葉ですけど、それにしては思いっ切り略してませんか?
ともあれ開封のための御祈祷完了、会長さんとキース君が二人がかりで箱の蓋を開け。
「「「うわあ…」」」
蓋に墨で黒々と書かれた『河伯』の二文字はダテではありませんでした。出て来たミイラは大きさの方もさることながら、浮き出た骨格はサルっぽいどころか謎の生物。頭骨はサルと言われればサルに見えなくもないですけれども、身体がまるで違います。
「えーっと…。これってホントにサル…?」
見えないんだけど、とジョミー君が指差し、サム君が。
「なんか違うよなあ、俺が調べた河童のミイラにこんな形のは無かったぜ?」
「私もこういうのは見てないわ」
スウェナちゃんが悩み、マツカ君が。
「頭と手は辛うじてサルでしょうか?」
「ですねえ、水かきがついてますけど…」
よく出来てます、とシロエ君。ミイラの手には水かきもきちんとついていました。水かきはサルの手につけられるとしても、ミイラの身体。どう見てもサルらしくない骨格。
「なんだろう、これ?」
「俺にも分からん」
まさか本物…、とキース君が首を捻る横から、ソルジャーが。
「…ぼくも詳しくはないんだけどさ。地球の生き物には疎いんだけれど、オットセイかな?」
「「「オットセイ!?」」」
どの辺が、と思いましたが、サルよりはオットセイとかアザラシの方が近そうです。会長さんが「ちょっと調べて来る」と部屋を出てゆき、暫くしてから一枚の紙を持って戻って来て。
「…多分、正解」
これがオットセイ、と差し出された紙にはオットセイの骨格標本がプリントアウトされていました。見比べてみるとよく似ています。前足と後ろ足を外してサルの手足と替えたら、こんな感じになるでしょう。ついでに頭もサルと交換。
「オットセイか…。あんた、よくオットセイだと見抜いたな」
「そりゃね、お馴染みの生き物だしね?」
ソルジャーはパチンとウインクして。
「オットセイのパワーは凄いんだよ! まさに絶倫、オットセイの薬は基本の基本!」
オットセイはハーレムを作るんだから、とソルジャー、力説。
「その絶倫のパワーを秘めた薬は効くからねえ…。うんうん、それでキースが言ってた言い伝えとやらが出来たのか…。子孫が絶えそうな時は飲んで絶倫、子宝パワー!」
素晴らしすぎる、とソルジャーは感激してますけれども、オットセイのミイラだったとは…。
河童のミイラの正体はどうやらオットセイとサル。本物の河童でないことは分かりました。この偽物を鑑定に出してもバレないレベルの謎の生物に作り替えるのが御祈祷ならぬソルジャーの仕事。どうするのかな、と私たちは興味津々です。
「やっぱりサイオンを使うのかい?」
会長さんが訊くと、「ナキネズミはそうやって作ったけどねえ…」と、のんびりと。
「でもねえ、これはとっくの昔に死んでる上にミイラだしさ」
そんなに手間暇かけなくても、とソルジャーは「どっこいしょ」の掛け声と共に宙から箱を取り出してきて。
「とりあえず、お手軽に使える薬剤がこれだけ」
箱の蓋が開くと、中にズラリと何種類もの液体が入った試験管。
「ぼくの世界じゃ、学校なんかでこういう実験もするんだな。これに浸すだけで細胞レベルの変化が起こったりもする。学校の実験で新薬発見、なんてニュースも珍しくない」
ぼくは頭からぶっかけられたり水槽に放り込まれたり、と人体実験をされていた時代の怖い話も出て来ました。
「ぼくなんかはタイプ・ブルーだからねえ、何をされても平気だけどさ。ハーレイなんかも防御力に優れたタイプ・グリーンだから問題無いけど、弱いミュウだと免疫系を破壊されちゃって死んじゃうこともあったらしいね」
「「「………」」」
そんな薬を持ち込むな、と誰もが心で思いましたが、ウッカリ声に出してしまって頭からバシャッとかぶる羽目になったら困ります。此処は黙って見守るが吉。ソルジャーはウキウキと防水シートなんかも取り出し、畳の上に「よいしょ」と広げて。
「このシートはねえ、こう折って…。そしてこういう風に曲げれば」
ヒョイヒョイとソルジャーが作業する内に、防水シートは金魚すくいの水槽みたいな形に化けました。便利な物があるのだなあ、と眺めていれば。
「はい、此処に河童のミイラをよろしく」
ソルジャーが会長さんとキース君に促し、その二人が。
「なんで、ぼくが!」
「なんで俺が!」
「適役だから」
ソルジャーはサラリと返して「ほら、早く」と。
「御祈祷を引き受けて来たのは君たちだろう? 力仕事くらいは手伝う!」
此処にミイラ、と防水シートの水槽の底をトントンと。うーん、ミイラって重いんですかね?
「…仕方ない。キース、そっちを持って」
「ああ。壊さないように気を付けてくれよ、檀家さんの家の家宝だからな」
二人がかりで抱え上げられた河童のミイラが水槽の中へ。会長さんとキース君が言うには見た目よりかは相当に軽いらしいです。ソルジャーは「始めようかな」といつの間にやら白衣まで。
「まずは、これ、っと」
河童のミイラの干からびた胴体の上に薬がポタポタ。染み込んだのを確認してから「そして三分間ほど待つ!」と何処のカップ麺かと勘違いしそうな台詞が。三分経ったら「結果を調べる!」と顕微鏡ならぬ万華鏡みたいな筒状の………ルーペ?
「ああ、これかい? これで覗くだけで細胞の状態とかが分かる仕組みで」
ソルジャーは薬剤を染み込ませた部分とそうでない部分を見比べた末に。
「うーん、イマイチ…」
次はコレだ、と別の薬剤をポタポタポタ。また三分間待つのだろうか、と思えば今度は十五分間ほどだとか。薬によって待ち時間も変わるみたいです。
「色々と効き目が違うからねえ、この手の薬も。これなんかは十五分だけに期待出来ると思うんだけど…。DNAの配列なんかも変わったりするし」
「そんな薬を平然と使わないで欲しいんだけど!」
普通の部屋で、と会長さんが文句をつけたのですけど、ソルジャーときたら。
「平気だってば、影響が出ないように一応シールドしてるしさ。試験管から直接飲んだりしない限りは大丈夫だよ、うん」
「だけど!」
「怖いんだったら部屋から出てれば? ぼくが一人で実験するから」
サイオンで覗き見してればいいじゃないか、という意見は至極もっともでした。恐ろしげな薬を次から次へと試す現場に付き合わなくても、リビングとかで中継画面を眺めていればいいわけで…。
「…そうしようか?」
会長さんが私たちをグルリと見回し、キース君が。
「そうすべきだな」
危険すぎる、という意見。白衣のソルジャーは「それがいいね」と頷いて。
「それっぽいのが完成したらお知らせするから、出ていれば? 河童のミイラは壊したりしないよ、大事なものだと分かってるしね」
「じゃ、じゃあ…。そういうことで、君に任せた!」
「俺もあんたに一任する!」
それじゃ、と私たちはダッシュで和室から逃げ出しました。人体実験経験者なんかと同列にされるのは御免です。変な薬を浴びてしまう前に、君子危うきに近寄らずですよ~!
トンズラしてからはリビングでお茶にしようかという案も出ましたが、如何せん、目の前にソルジャーを監視しておくための中継画面。その向こうで河童のミイラ相手に薬剤を試すソルジャーがポタリポタリと液体を垂らしては待つわけですから、飲み物はあまり…。
「かといって菓子を食うのもな…」
どうもイマイチ食欲がな、とキース君。河童ならぬオットセイのミイラは食欲がわくようなモノではありません。仕方ないので飲まず食わずでいる内に昼食時になって。
「もしもーし!」
ぼくの御飯は、と白衣のソルジャーがリビングに。よくもあの状況で食べられるものだ、と感心したものの、人体実験だの戦場だのをくぐり抜けて来た猛者でしたっけ…。
「何も無いわけ? 食べる物とか?」
「えとえと、急いで作るから!」
すぐ出来るから、と「そるじゃぁ・ぶるぅ」がキッチンに走り、昼食に予定していたらしい秋ナスとブロッコリーのアンチョビパスタが運ばれて来ました。揚げ焼きにしたナスがドッサリ、ニンニクも効いて美味しいですけど。
「……何か?」
ソルジャーが私たちの視線に首を傾げて、会長さんが。
「白衣くらいは脱ぎたまえ! それに手はきちんと洗って来たんだろうね!?」
「洗ってないけどサイオンで殺菌」
「洗いたまえ!!」
もうキッチンでも何処でもいいから、と怒鳴りつける会長さんと、ゲンナリしている私たちと。ソルジャーの性格が大雑把なことは知ってましたが、あんなミイラに薬剤を次から次へと試しまくっている実験中でも手を洗わないで昼御飯ですか、そうですか…。
破壊的としか言いようのないソルジャーの実験は午後も続いて、午後の三時頃。
「出来たーーーっ!!!」
バアン! とリビングのドアが開いて、もはや中継画面も見ないでゴロゴロしていた私たちの前にソルジャーが。
「出来た、出来たんだよ、凄いのが!」
「…正真正銘の河童のミイラ?」
会長さんが返すと、ソルジャーは。
「出来たんだってば、まあ見に来てよ!」
凄いんだから、と興奮気味のソルジャー。これは見るしかないのだろう、と皆で立ち上がり、実験室と化した和室に入ってみれば。
「「「………」」」
いつの間にやらビッグサイズに化けた水槽の中に河童のミイラが薬剤にドップリ浸かって入っていました。つまりは実験成功なわけで、今は全身の細胞だか組織だかDNAだかを丸ごと作り替えている段階である、と…。
「平たく言えばそうだね、うん」
こうして明日まで浸けておけば…、と水槽の中を見下ろしている白衣のソルジャー。
「遅くとも明日の夜には全部の組織が別物に変わる。この世界には全く居なくて、オットセイでもサルでもないっていう凄いミイラが出来るんだけど…」
「出来るんだけど…?」
会長さんが問い返した途端、ソルジャーは。
「このミイラってさ、貰っちゃってもいいのかな?」
「「「はあ?」」」
「ぼくが貰ってもかまわないかな、って訊いてるんだけど」
「それは困る!」
檀家さんの家の家宝だ、とキース君がグッと拳を握りました。
「何を思ってそう言い出したのか知らんが、これは譲れん! 作り替えたのを返さんと!」
「レプリカを返すっていうのはどう?」
これとそっくりに作った偽物、と白衣のソルジャーが水槽を覗き込みながら。
「オットセイとサルで出来てるんだろ、仕組みが分かればレプリカくらい!」
頑張ってみんなで作ろうじゃないか、と提案されても、サッパリわけが分かりません。凄いミイラが完成したとか言っておきながら、なんでレプリカ? もしかして何か失敗しちゃって、水槽から出したら粉々だとか…?
「…うーん…。粉々と言うか、ぼくが粉々にしたいと言うか…」
本当に凄いのが出来たんだから、とソルジャーは実験に使っていた万華鏡もどきを操作し、和室の壁に画像や図などを映し出しました。
「よく見てくれる? これが元々のミイラのデータで、こっちが最終的に得られたデータ。全部の部分がこうなるようにと作り替えてるのがこの水槽の中の液体で…」
「それは分かるよ、だけどデータの意味が読めない」
会長さんにも謎らしいデータは私たちには謎でしかなく、キース君とシロエ君にも意味が掴めない代物で…。
「君たちには意味が不明だったら、文字通り猫に小判だよ。レプリカを作ってそれを返そう、もったいないから」
「「「もったいない?」」」
どの辺が、と画像を眺めても図を見詰めてもソルジャーの意図が分かりません。けれどソルジャーは腰に手を当て、仁王立ちして。
「絶倫パワーが元のミイラの三百倍!!」
「「「三百倍!?」」」
聞き間違いではないだろうか、と耳を疑うその数値。ソルジャーが細かく丁寧に説明してくれても根拠はサッパリ、でも本当に三百倍もの絶倫パワーを秘めたミイラが出来上がりつつあるらしく。
「これほどの薬、ぼくも今までに見た事も聞いたことも無い。ぼくのハーレイに飲ませた場合は小さじ半分でビンビンのガンガン、ヌカロクどころか徹夜でヤッても疲れ知らずに!」
是非とも欲しい、とソルジャーの赤い瞳がキラキラと。
「キース、檀家さんには一ヶ月くらい借りておくって言ったんだろう? それだけあったらレプリカは充分作れるよ! ミイラにするのも古ぼけた風に加工するのも責任持つから、ジャストサイズのオットセイ探しを手伝って!」
「「「オットセイ探し!?」」」
「そう! このミイラから適正なサイズを割り出すから!」
「「「えーーーっ!?」」」
よりにもよって生きたオットセイを探す所からレプリカ作り? しかもミイラに仕立てるだなんて、探し出されたオットセイはもれなくソルジャーにブチ殺されてミイラにされちゃうわけなんですよね? それと手足と頭にするサル…。
「お断りだ!」
キース君が怒鳴り返すまでには三秒もかからなかったと思います。眉を吊り上げ、怒りの形相。
「いいか、俺はこれでも坊主なんだ! 殺生の罪を犯すわけにはいかん!」
「ぼくも同じだね。銀青が殺生をしたとなったら、其処の阿弥陀様にも顔向けできない」
会長さんが同意し、サム君と、普段は坊主を拒否するジョミー君までが僧籍を盾に逃げの姿勢で。残るはシロエ君とマツカ君、スウェナちゃんと私だけですけれど…。
「「「お断りします!」」」
捕まったら最後、殺されるであろうオットセイ探し。そんな作業に加担したくはありません。おまけにサルも探さなくてはいけないかもで、そのサルももれなく殺されるわけで…。
「でも、ぼくはミイラを諦めたくはないんだよ! 絶倫パワーが三百倍!」
どうしても欲しい、と喚くソルジャーに向かって、キース君が。
「やかましい! レプリカとやらを作って頑張れ、同じ手順で出来る筈だろうが、そのパワー!」
「…え? あ、そうか…。そういえばそうかも…」
レプリカの方も弄らなくっちゃいけないのか、とソルジャー、納得。
「河童のミイラを作るんだったね、この世界には無い生物に作り替えなきゃ駄目だったっけ…」
絶倫パワーの前段階でも充分に別物の生物だけど、とソルジャー、ブツブツ。
「そこまで出来たし、もうひと押し、って薬を加えたら絶倫パワー! そうか、一から作ればいいのか、ぼく専用に…」
「そうだと思うぞ、オットセイのサイズも選び放題になるんじゃないのか?」
キース君の言葉にソルジャーは「ああ、なるほど!」と手を叩いて。
「同じ作るなら大きなオットセイがいいねえ、そうするよ! 実験のデータは残らず記録を取ってあるしね」
これこれ、と万華鏡もどきを嬉しそうに覗いているソルジャー。
「このミイラよりもうんと大きなオットセイを捕まえて絶倫パワーを三百倍! うん、こんな小さなミイラなんかよりビッグなサイズで夜もパワフル!」
それでいこう、と大喜びのソルジャーはミイラを寄越せとゴネる代わりに翌日の夜に完成品のミイラを水槽から出し、サイオンで乾かしてキース君に嬉々として引き渡しました。
「ありがとう、キース! これのお蔭で凄い薬が手に入りそうだよ、檀家さんにもよろしくね」
「いや、檀家さんには礼を言われる立場なんだが…。感謝する」
正真正銘の河童のミイラをデッチ上げてくれて礼を言う、と深々と頭を下げるキース君。こうして河童のミイラは『河伯』と墨書された古びた箱へと納められて…。
「あの箱、檀家さんの家の天井裏に戻されたって?」
次の週末、会長さんの家のリビングで会長さんに訊かれたキース君は。
「そうらしい。子孫のために梁に結んでおきました、と報告がてら礼金と菓子折を貰ってな」
これだ、と分厚いお布施の袋と菓子折が。私たちが貰っていいそうです。
「「「やったー!!」」」
貰った、と狂喜しつつも、気がかりは此処には居ない功労者で。
「…オットセイ狩りに行ったらしいね?」
ジョミー君がブルブルと震え、シロエ君が。
「それ、済んだんじゃなかったですか? 今はミイラに加工中だったかと…」
「もう乾燥に入ったらしいよ」
仕事が早い、と会長さん。
「まったく無意味な殺生を…。お蔭でぼくは阿弥陀様への礼拝を増やす羽目になったし!」
「そして当分うるさいだろうな、三百倍のパワーとやらでな…」
キース君の溜息と同時に、全員が超特大の溜息をついて今後を憂えたのですけれど。それから程なく、私たちは受難の日々を迎える事になりました。
「やっぱりアレでなくっちゃいけないんだよ!」
響き渡るソルジャーの怒声は例のミイラを指しての叫び。檀家さんの家の屋根裏で数百年を経て来たミイラは特異な変化を遂げていたらしく、ただのオットセイのミイラを加工したって三百倍のパワーは出ないらしいのです。
「アレは絶対ダメだと言うなら、他の河童のミイラでいいから! とにかく河童!」
ミイラを寄越せ、と押し掛けて来ては騒ぐソルジャー。いっそ盗め、と禁断の入れ知恵を会長さんがやらかしてくれて、檀家さんの家の屋根裏の箱の中から河童のミイラは消えたそうです。
「…やっちゃったよ…」
ブルー除けとはいえ盗みを働けと言ってしまった、と落ち込んでいる会長さん。盗みは嘘をつくのと同じで五戒とやらに含まれるとか。ソルジャーが盗んだ河童のミイラの絶倫パワーでお楽しみの間、私たちも罪滅ぼしにお念仏を唱えるべきなのでしょうか?
「お布施と菓子折、山分けしちゃったもんね…」
「やっちゃいましたね…」
仕方ないか、と檀家さんへのお詫びの気持ちで今日から当分、おやつの前には南無阿弥陀仏のお念仏。きっといつかは罪も消えるとお唱えしましょう、南無阿弥陀仏…。
凄すぎる河童・了
※いつもシャングリラ学園を御贔屓下さってありがとうございます。
河童のミイラが屋根裏に…、というのは「割とよくある」例かもしれません。
ソルジャーが盗んでしまいましたけど、檀家さんは空の箱を大事に残すのでしょう。
シャングリラ学園、来月は普通に月イチ更新です。windows10 は今も絶望的に駄目です。
次回は 「第3月曜」 9月18日の更新となります、よろしくです~!
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こちらでの場外編、8月は、恒例となったスッポンタケの棚経。ところが…。
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