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シャングリラ学園シリーズのアーカイブです。 ハレブル別館も併設しております。

庭師  第2話

マザー、庭師は難しい職種です。公園の木の1本ごとの手入れマニュアルを先輩に教えて貰っています。ですが、ブリッジから愉快な思念が漏れてきたので仕事になりませんでした。どうやら休憩室に呪いがかかっていたようです。

「なんじゃブラウ、その格好は!ふざけとるのか?…エラ殿まで巻き込んで何をしとるんじゃ!」
「知るもんか。目が覚めたらマントが変わってたのさ。…そうだろ、エラ?」
「ええ…本当に困ったことです…」
ブリッジの誰かから漏れた思念で長老方の会話と姿が分かりました。ブラウ様とエラ様のマントが白いファーつきの赤いマントに変わっています。伝わってきた思念は明らかに笑いを堪えるものでした。
「…クリスマスにはまだ早いな。また子供たちが悪戯を…?」
「きっとそうじゃ、キャプテン!わしは当分、昼寝はせんぞ!」
「だが休憩は必須だ。…ブラウとエラの次はあなたの番になっている」
「むむぅ…。仕方ない、ヒルマンと将棋でも指すとするかの…」
ゼル様はしぶしぶ休憩室へ向かわれました。

1時間後。またもブリッジから笑いの思念が漏れたのです。
「寝てしもうたのじゃ!…休憩室は呪われておるぞ、キャプテン!」
「いやはや、勝負の最中に寝てしまうとは…。夜更かしもしておらんのに」
ゼル様とヒルマン教授も赤いマントに白のファー。教授は更にサンタのような帽子まで被っておられました。
「キャプテン、次はあんたの番じゃ。…規則は守ってもらわにゃならん」
「…リオが入れ違いに来ましたからな、話していれば眠らんでしょう」
赤い衣装の長老方に追い立てられてキャプテンも休憩室へ行かれたのですが…。

『すみません、ついウトウトした間にこんなことに…。どうしても取れなかったんです』
リオさんの思念と一緒にブリッジ中の爆笑思念が届きました。キャプテンの服に変化はなかったものの、なんと鼻の頭が真っ赤っ赤。そして両耳の補聴器に被せる形で立派なトナカイの角がついているではありませんか!
「へぇ、赤鼻のトナカイか。あんた似合っているよ、ハーレイ。…くくくくく…あーっはっはっは!!」
「…笑い事ではない。私は寝るつもりなど無かったのだ!」
「でも寝てたのは本当だろ?…キャプテンまでこうなっちまったんだ、今日のブリッジは一足お先にクリスマスさ!」
『あの…ぼくはブリッジ要員じゃないんですけど…』
控えめに主張するリオさんのトレードマークの額の紐は、赤と緑のクリスマスカラーになっていました。

マザー、笑いすぎて梯子から転落する人が出たほど、庭師チームを爆笑させた事件ですが。犯人はやはり「そるじゃぁ・ぶるぅ」と、そそのかされた子供たちなのでしょうか?…シャングリラの行く末が心配です…。




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