シャングリラ学園シリーズのアーカイブです。 ハレブル別館も併設しております。
とは言ったものの、お守りを使うのは終業式の翌日の夜にしようということになった。
補習があって校舎に生徒はいても、寮生はほとんどが補習免除になり家に帰ってしまっているからだ。
やっぱり危険は少しでも減らしたい。
そう決めた日の朝。
rちゃんはずっと挙動不審で話しかけても上の空だった。
そうなっちゃうのも仕方ないなと思いながら一緒に時間を過ごす。
なんだかとっても長く感じる一日。
ほとんど食事も出来なくて。うん、あたしも食欲なくて、ずっとずっとドキドキしてる。
そして夕方。
rちゃんは意を決してお守りを吊した。
「……ね、ねぇ」
「…うん……」
「落ちないよね」
「大丈夫。ちゃんと結んだし確認したし」
「だよね。ところで、服、このままでいいと思う? それとも夜だからパジャマ?」
と口にした瞬間、rちゃんは叫んだ。
「ああああっ 可愛いネグリジェ買っておけばよかった!」
「そ、それなら可愛い洋服でいいんじゃない?」
「そ…そうか。洋服でも…いいよね?」
そう言ってクローゼットに向かうrちゃんの右手は右足と一緒に前に出てる。
ものすごっく緊張してるんだ。
「これ、どうかな?」
「それ初めて見る。可愛い♪」
「だって、着る機会なかったし」
「じゃお初だね」
「うん」
着替え始めたrちゃん。
でもその手が止まる。
「どうしたの?」
「夜に洋服じゃ変かな? やっぱり。っていうか、どこで待ってればいいのかな。……ベッドの中じゃ…さ……」
たしかにそれって……心臓に悪い気がする。もちろん自分たちの心臓。
「洋服着て、遊びに来てもらう感じで。お茶用意するとかの方が…」
「そ、そうだよね! あ、お茶菓子!」
「あたし持ってくるよ」
何だかもうどうしていいのか二人とも分からなくて、最後は二人で顔を見合わせて笑っちゃった。
昼間、二人で目一杯お掃除した。
お茶の用意をして、お茶菓子のクッキーも…ぶるぅのクレープには負けるけどね。手作りしてもよかったかもって話にもなって。
じゃあねってrちゃんの部屋を出たのは夜の8時過ぎだった。
rちゃんはドキドキしながら待ってるだろうな。
でもあたしもドキドキしてる。
rちゃんの部屋は隣。耳を澄ませて……なんていられなくてベッドに潜り込んですぐヘッドフォンをした。
大好きな音楽も耳に入らない。
どうしたかなぁ……。
思っていたけど、いつの間にか眠っていた。
※rちゃんレポート
ああっ、どうなる、あたし、頑張れあたし!
こんなチャンスは二度とない...。