忍者ブログ

シャングリラ学園シリーズのアーカイブです。 ハレブル別館も併設しております。

アルトちゃんレポート・その13

 気がつくと窓の外が明るかった。
「rちゃん!」
 時計を見ると6時過ぎ。
 何かあったとしてももう大丈夫だよね?
 バタバタと着替えて隣の部屋をノックする。
 でも返事がない。
「rちゃん?」
 そっと呼んでみたけどやっぱり返事はないし、まさかと思ったけど当然ながら鍵は閉まってるし。
 電話しよう!
 携帯を取りに部屋に戻ろうとした時、ドアが開いた。
「rちゃん」
「……アルト~…」
 駆け寄るときゅっと抱き締めてきて、そのまんま。ど…どうしよう…。じゃなくて、とりあえず部屋の中に入った。
 rちゃんは窓際にフラフラと歩いていったかと思うと、ペタンとその場に座り込んじゃって、ぼーっとしてる。
 手には吊したはずのお守りが握られている。
 でも昨日のと違うもののような気がする…。 そして服は…パジャマ。
 ということは着替えたんだよねと思うと顔が熱くなった。
 いや、いや。まだ先に聞くことある。
「rちゃん……来たの?」
 じーっとあたしの目を見て、ほんの少しだけだけどrちゃんは頷いた。
 つ…次の質問は……。
 よかった?はアレだよね。えっと楽しかった?もちょっと違うかなぁ…。
 でもでも逆だったら、生徒会長だって許さないんだから!
「……アルト…」
「なに?」
「…今夜はアルトが吊しなよ、お守り」
 ……ということは、素敵な夜だったってこと? そうだよね?
「そうする!」

 あたしは吊すつもりなかったんだけど、rちゃんを見てるととっても幸せそうで、羨ましくなって吊すことにした。
 rちゃん、ありがとう。
 あたしも勇気出すよ!
 それから必死に掃除して、お茶菓子は違うものがいいよねと、唯一作れるブラウニーを作って。
 いつもやらないからそれだけで夕方になっちゃった。
 rちゃんはお部屋で一日幸せに浸っていた。
 もう一方的な恋でもいい。
 そんな素敵な経験が出来れば、っていうノリでお守りを吊して準備万端で待っていた。
 と、ベランダでガタンという音がして、あたしの心臓はどきっと鳴った。
 そして部屋が真っ暗になって…。
「かみお~ん♪」
「え?」
 くるくるっと回りながらパッと現れたのはぶるぅ。
 教室にやってきて楽しそうにみゆちゃんたちと話しているのは見たことあるけど、こんなに近くで、そして話すのは初めて。
「ねえねえ。僕のマカロン美味しかったって?」
「う…うん」
「ありがとう。美味しいって言ってくれるとうれしいな」
「そ、そうだよね。すっごく美味しかった。rちゃんと、どんなふうに作るんだろうって話してたんだよ」
「そうなの? 今度教えてあげようか?」
「ほんと?」
「うん。あ、これ、ブラウニー?」
「ああっ これしか作れなくて。バナナ入りだよ。食べる?」
「食べていいの?」
 うん、って言う前にぶるぅは一口で全部食べちゃって、びっくりして息をするのも忘れちゃった。
「えとえとアルトだよね? 息しないと死んじゃうよ?」
 言われて呼吸をしてないことに気付いて、はぁ~と深呼吸。
「バナナ味も美味しいね」
「ほんと? よかった」
「ねえねえ。お守り吊すとブルーがくるんだよね?」
「う…うん」
「それでねお守り持っていた子のこと、食べちゃうって言ってたんだよ。僕、そんなの嫌だから来たんだ。でも昨日は疲れて寝ちゃってて、ブルーが帰ってくるまで分からなくて。お友達、大丈夫?」
 良く考えると凄い内容のような気がするけど、き…きっと食われて本望…だよね?
「大丈夫…だと思う。とっても幸せそうだったし。それにお料理して食べるわけじゃないし」
「そうなの? ブルーもほんとに食べたりしないって言ってたけど嘘じゃなかったんだ。よかった」
「心配して来てくれたんだ」
 ありがとうって言いながらぶるぅをきゅっと抱き締めるて、ほっぺにチュってしたらとっても柔らかくて。1歳児って言ってたけど本当なんだなぁ。
 でも本当の1歳児はホッペにチューで真っ赤にならないよね。
 頭の先からつま先まで真っ赤になったぶるぅは照れ隠しするように「かみお~ん♪」と歌い始めて、色々な話をしてくれた。
 一番笑ったのが、教頭先生は生徒会長から貰った紅白の縞柄パンツを大事に履いてるってことで。
 その時、生徒会長は僕とお揃いだよって言って、白黒縞パンツをチラつかせたっていう話。
 それからそれから……。
 ちょっと寒くなって二人でお布団に入って、沢山話を聞いていたらいつの間にか眠ってた。
 真夜中過ぎ、目が覚めるとぶるぅはぐっすり眠っていて、ちっちゃい子の体温はあったかくて、寝息も気持ちよくて。
 頭を撫でながら目を閉じた。
 その時、生徒会長の姿が見えた……ような気がしたのは夢かな? うんきっと夢。


 翌朝起きると、ブラウニーがあったお皿は空っぽで、お茶も飲み尽くしていて、ベッドの隣に小さく丸まって寝ていたぶるぅの跡があった。
 rちゃんとは違う夜だったけど、楽しかった。
 朝ご飯を食べながら、縞パンのことを話して二人で笑おうっと。
 あ、内緒って言っていたからこっそりね。
 そうして久しぶりに家に帰って。
 会長に手紙を出そう。ぶるぅにも。
 でもきっとすぐに学校が恋しくなりそうだな。 

 


※アルトちゃんレポート
rちゃんに何があったのか!?
それは本人のみぞ知る(笑)
聞きたいわ~♪ 

 

※rちゃんレポート
気がつくと窓の外が明るかった。
アルトちゃんの部屋の方向を見ているあたし。

アルトちゃん........どうなったのかなあ。
親友だから、アルトちゃんにも幸せな思いをして欲しい、でもやっぱり気になるよ...。(イヌかネコの鳴き声のようなのが聞こえた気がするけど...何だったんだろう..........)

ああ、でも今思い出しても夢の様だなあ...ホントに夢だったのかなあ...。 




PR
Copyright ©  -- シャン学アーカイブ --  All Rights Reserved

Design by CriCri / Material by 妙の宴 / powered by NINJA TOOLS / 忍者ブログ / [PR]