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シャングリラ学園シリーズのアーカイブです。 ハレブル別館も併設しております。

アルトちゃんレポート・その5
「ここにいたんですね、パスカル先輩」
「ああ、セルジュ」
 保健室に飛び込んできたのは絵に描いたような美少年。
 シャングリラ学園って、いわゆるイケメンパラダイスってやつですか? っていう質問は…やっぱり出来ないよね。
「新入部員が体調崩してしまってね」
「そうなんですか」
 入部してないと叫ぼうとしたけれど、至近距離で「大丈夫?」と尋ねられては叫ぶに叫べない。
 何とか「大丈夫」の意味で頷くだけだった。
「そう。セルジュ君も数学同好会なのね」
「はい。パスカル先輩には初等部から親しくして頂いてますから」
「B組、だったわよね」
 うわ。まりぃ先生の情報すごい。
「何か悩みがあったらいつでもいらっしゃい」
 そう言って微笑するまりぃ先生は、目眩がするほどの大人の色香を漂わせていて、私たちの方がどきどきしてしまう。
 ボナール先輩はドキドキどころじゃなさそうだ。
「ありがとうございます。まりぃ先生」
 丁寧にお礼を言うセルジュ君はすぐにこちらを向き、
「名前は?」
「ア…アルトです」
「君は?」
「rです」
「二人ともB組じゃないよね」
「A組だ。グレイブ先生んとこ」
 セルジュ君、ちょっと肩をすくめて「そうですか」とパスカル先輩に返した。
 ……もしかして、なにか訳あり?
「通学かな? それとも寮?」
「寮です」
 rちゃんとハモってしまった。
 それを聞いたセルジュ君が頷きながら笑う。
「僕も寮なんだ。女子寮まで送って行くよ」
「あ、ありがとうございます!」
 またもやハモってしまう。
 rちゃんと顔を見合わせれば笑みが浮かんだ。
 数学同好会。
 数学は倒れるほどイヤだけど、入ってもいいかも?と思ったのはまだ内緒にしておこう。
「アルトさん、お大事に。いきなり難しい問題を見つめちゃ、ダメよ」
「はい。ありがとうございました。まりぃ先生」
「でも倒れるなら、今度は生徒会長の前で倒れなさい」
「は……い?」
 それって勧めてるんでしょうか?
 ひょっとして強制?
 尋ねるのも恐くてさっさと保健室から出ると、目の前に『親睦ダンスパーティー』という文字が躍ったポスターが貼ってあった。
 そして写真は……。
 生徒会長と金髪美女のダンスシーンだった。
 ドキ、と胸が高鳴った。




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