忍者ブログ

シャングリラ学園シリーズのアーカイブです。 ハレブル別館も併設しております。

球技大会・第2話

健康診断は1年生から順に保健室へ行くことになりました。まりぃ先生が一人でなさるので、まずはA組女子からだそうです。体操服に着替えて保健室前の廊下にズラッと並んでいると…。
「かみお~ん♪ぼくも一緒に並んでもいい?」
現れたのは体操服を着た「そるじゃぁ・ぶるぅ」。健康診断に興味を持っているのでしょう。でも今は女子の時間です。スウェナちゃんと私の間に並ぼうとした「そるじゃぁ・ぶるぅ」にスウェナちゃんが注意しました。
「あのね、今は女の子の時間なの。A組の教室でジョミーたちが順番を待っているから、そっちに混ざった方がいいわ」
「そう?…でも、球技大会は1位を取らなくていいの?取りたいんなら…ぼくが混ざってた方がいいと思うな」
「「「え?」」」
A組女子の視線が「そるじゃぁ・ぶるぅ」に集中します。グレイブ先生は1位がお好き。球技大会でも1位を望んでらっしゃいますが、取れなかった場合どうなるかを聞いていなかったので特に気に留めていませんでした。
「1位を取れなかったら、グレイブ、絶対怒ると思うよ。シャングリラ学園じゃ球技大会は男女別。種目はドッジボールに決まってて…どっちかのチームの内野が0人になるまで延々と試合が続くんだけど」
ひえええ!…それは根性が要りそうです。ついでに逃げ足も。
「ぼく、最後の一人になるまで逃げ回るくらい簡単だよ?みんなと一緒に健康診断を受けたら、ぼくの所属はA組女子になると思うな」
「「「ぜひ!!」」」
どうやって女子になるつもりかは分かりませんが、球技大会1位のためなら細かいことは言っていられません。私たちは大喜びで「そるじゃぁ・ぶるぅ」を順番待ちの列に加えたのでした。健康診断は順調に進み、スウェナちゃんと私も「そるじゃぁ・ぶるぅ」を連れて保健室の扉をくぐりましたが。
「あらぁ?…センセ、ちょっと疲れてきたのかしら。男の子が混じって見えるんだけど?」
まりぃ先生の指摘に「そるじゃぁ・ぶるぅ」はエヘンと胸を張りました。
「ぼく、A組女子に混ぜてもらいたいんだ。いいでしょ?まだ1歳にしかなってないもん」
「そうねぇ…。6歳未満の男の子は女湯に入れるんだっけ。許しちゃおうかな?どうしよっかな~?…えっと…まずはスウェナちゃんからね。身長を測るからここに立って」

計測と問診が終わると、次に呼ばれたのは私でした。「そるじゃぁ・ぶるぅ」は…ダメなんでしょうか?健康診断をして貰えなかったらA組女子にはなれません。球技大会1位のために助っ人はどうしても欲しいんですけど。
「はい、みゆちゃんも異常なし!…で、ぶるぅちゃんは…健康診断、受けたいのかな?」
「うん!…えっと、ぼく、男の子なんだけど…『せくはら』するの?」
まりぃ先生がゲホッ、と咳き込みましたが、「そるじゃぁ・ぶるぅ」は無邪気にニコニコ笑っています。セクハラという言葉の意味を知らないに違いありません。
「ゲホゲホ…。んまぁ、可愛いわねぇ。じゃ、センセが健康診断をして…あ・げ・る。はい、こっちで身長を測るわよ。次は体重ね♪」
身長、体重までは私たちと同じでした。ところが…。
「今度は胸囲を測るんだけど、男の子は上半身裸で測ることになってるの。脱いでくれるかしら♪」
あひゃあ!もしかして、これがセクハラもどき?息を飲んだ私たちでしたが、次の瞬間。
「かみお~ん!!」
パパパパパパッ!なんと「そるじゃぁ・ぶるぅ」は体操服の上下ばかりか下着まですっかり脱いでしまいました。まりぃ先生の指示を勘違いしてしまったようです。スッポンポンの「そるじゃぁ・ぶるぅ」は幼児体型で可愛いですけど、えっと、えっと…どうなってしまうのでしょう?
「きゃぁぁあっ、なんて素直な子なの!センセ、嬉しくなっちゃうわ」
まりぃ先生は「そるじゃぁ・ぶるぅ」のスリーサイズを素早く測り、ついでに小さな身体をあちこちペタペタ触りまくって。
「いやぁん、ぷにぷにのぽやぽや~!うんうん、A組女子でオッケーよん♪あぁぁ、なんて幸先がいいのかしら!」
もしかしてショタの気もありますか、まりぃ先生?…でも「そるじゃぁ・ぶるぅ」は全く気にせず、服を着ていいと言われるまで裸のまま問診に答えていました。とりあえずA組女子は「そるじゃぁ・ぶるぅ」という心強いクラスメイトを見事にゲット。教室で待機している男子と入れ替わるためにクラスに戻ると…。

「やぁ、ぶるぅ。…無事にA組女子になれたようだね」
教室の一番後ろに机が増えていて、水色の検査服を着た生徒会長さんが座っていました。
「ぶるぅは机は要らないだろう?…ぼくも球技大会までA組にいることにしたんだ。1位を目指すクラスに貢献するのも悪くない。じゃ、ぼくは健康診断に行ってくるから」
会長さんはゾロゾロと出て行く男の子たちの列の最後尾に並び、まりぃ先生の待つ保健室へ。セクハラ疑惑を知っているのはスウェナちゃんと私だけですし、不安でも相談する人が…。
「大丈夫かしら、ジョミーたち」
「…そるじゃぁ・ぶるぅ相手でもアレだったもんね…」
その「そるじゃぁ・ぶるぅ」はとっくに部屋に帰ってしまって姿が見えませんでした。やがて男の子たちが教室に戻り始めましたけれど、女子の時より時間がかかっているのは確かです。中には明らかに気分が高揚していると分かる生徒や、落ち込み気味の生徒の姿も。ジョミー君は頬を赤らめて帰ってきましたし、マツカ君は暗い顔でした。キース君が不機嫌そうに戻ってきて、深い溜息をつきながら。
「まりぃ先生、やっぱり今日も燃えているぞ。会長がノコノコやって来てたが、今日ばかりはマジでヤバイんじゃないか?」
「…ですよね…。ぼく、いつも以上に触られまくった気がします」
そう言ったマツカ君の横でジョミー君が頷きました。
「ぼくなんか「全部脱いじゃったらどうかしら?」って言われたよ。脱いでくれるかしら、と言ったら素っ裸になったヤツがいるんだってさ。…誰だろうね?」
あちゃ~。「そるじゃぁ・ぶるぅ」のことに違いありません。まりぃ先生、そういえば「幸先がいい」とか言ってましたっけ。あぁぁ、会長さん、大丈夫かな…。まさか無理やり脱がされたりは…。

「脱がされたりはしてないよ?」
笑いを含んだ声が聞こえて会長さんが帰ってきました。ストン、と椅子に座ると検査服のまま足をゆったりと組んで。
「せっかくだから脱いでみようと思ったんだけど…ちょっと困ったことになってね。ほら」
見てごらん、と会長さんが指差したのは鎖骨のそばの白い肌にくっきりと浮かんだ赤い痕でした。こ、こ、これって…もしかしなくてもキスマーク!?
「まりぃ先生、仕事をすっかり忘れちゃってさ。ぼくは別に構わないけど、健康診断ができなくなると大変だし…また夢を見せて特別室に置いてきたよ。で、ハーレイ…いや、教頭先生を呼んで、健康診断の続きはヒルマン先生にバトンタッチして貰うよう頼んできたんだ」
ふぅ、と息をついた会長さんの肌に残された赤い痕から目を離せないまま、私たちは真っ赤になっていました。まりぃ先生が夢の世界に送られたってことは、会長さんの勝利でしょうけど…。会長さん、余裕ありすぎです。心臓がドキバクしてますよぅ~!
「ぼくを何歳だと思ってるんだい?…百年もすれば君たちだって平気になるさ」
クスクスクス。会長さんは検査服の襟元を閉めて赤い痕を隠し、教室をグルッと見渡しました。
「そんなことより、球技大会の心配をした方がいいと思うよ。女子はぶるぅが1位を勝ち取ってくれるだろうけど、男子はどうする?…ジョミー、キース、マツカ…君たちが希望するなら手を貸そう。ぼくもA組の生徒なんだし」
「「「お願いします!!!」」」
即答したのはジョミー君たちではなく、教室中の男子生徒でした。土下座している人までいます。会長さんは苦笑しながら申し出を受け入れ、A組男子も1位への道をゲットしました。よ~し、ドンと来い、球技大会!




PR
Copyright ©  -- シャン学アーカイブ --  All Rights Reserved

Design by CriCri / Material by 妙の宴 / powered by NINJA TOOLS / 忍者ブログ / [PR]