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シャングリラ学園シリーズのアーカイブです。 ハレブル別館も併設しております。

救助班補佐  第1話

マザー、今度は救助班補佐になりました。私ごときがお役に立てる職場なのかが心配です。救助されてまだ日も浅い見習いなのに…。なんとかうまくやっていますが、救助班の仕事は多いのですね。

ゼル様が「そるじゃぁ・ぶるぅ」に新しいマイクを与えて以来、シャングリラにパワーアップした「かみお~ん♪」が響かない日はありませんでした。救助班が呼ばれて耳栓を配ったことも度々です。それなのに今日は奇妙に静か。
「静かだ…」
夕食も終わり、当直以外は自室に引き上げようかという頃、先輩がボソリと呟きました。
「歌いすぎて喉を痛めたという噂を聞いたが、静かすぎる。俺の経験からして、こんな日はろくなことがない」
「そうだな…。このまま無事に済むわけがない…」
先輩方は百物語でも始めそうな顔でテーブルを囲んで座っています。過去に何があったというのでしょうか?あのぅ、と質問しようとした時、ブリッジから緊急連絡が入りました。
「ヒルマン教授の実験農園で遭難事故発生。被害者1名、救助班、急げ!」

「うわぁ…。ビンゴ」
「よりにもよって農園かよ…」
露骨に嫌な顔をしつつも先輩方は機敏に準備を整え、飛び出します。置き去りにされないように必死で艦内を走り、実験農園へ駆けつけてみると…既に野次馬が一杯でした。私は実験農園に来たのは初めてですが。
「どけ、どけ!…これは見世物じゃないぞ!」
「そんなことを言われても…。なぁ?」
面白いじゃん、という思念が飛び交っています。そして、そこはかとなく漂う変な匂いは…?救助班補佐の立場も忘れて、私は思いきり背伸びしました。でも人の頭しか見えません。
「そうか、そうか…。そんなに救助したいか、新人?」
リーダー格の先輩に背中をバン、と叩かれました。
「では、英雄の地位を譲ろう。ほら、ロープだ。しっかり救助してやってくれ」
わっ、と笑いが巻き起こりました。状況が全く掴めないまま、私は前へ押し出され、野次馬たちが道を開け…。

ああ、マザー!…思い出したくもありません。いかに実験農園とはいえ、シャングリラに『肥溜め』があるとは知りませんでした。まして「そるじゃぁ・ぶるぅ」に「人を化かす」特技があったとは…。被害者さんの名誉のために名は伏せますが、肥溜めはとてもいい湯加減だったらしいです。「そるじゃぁ・ぶるぅ」が早くカラオケに復帰できますように…。

 

 

 

 

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