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シャングリラ学園シリーズのアーカイブです。 ハレブル別館も併設しております。

戦闘員  第1話

マザー、戦闘員に配属されました。思えば遠くへ来たものです。最初はお皿を洗っていたのに…。今度の職場は「今まで本格的な戦闘はしたことがない」というだけあって訓練メイン。万一に備えて迎撃システムのシミュレーションをしています。演習も実習もありません。シャングリラは「人類に発見されない」ことが重要なので実地訓練はないそうです。

「よし、本日の訓練終わり!…新人、だいぶ上手になったな」
えへ。モニターの敵を60%くらいは落とせるようになってきました。
「この調子なら100%も夢じゃない。本格的に戦闘員をやってみないか?」
ミュウはおとなしい気質が戦闘に向かず、この職場は重要な割に人員不足。私もゲーム感覚のシミュレーションなら大丈夫ですが、実戦となったら訓練どおりにこなす自信はありません。
「…だよな、やっぱり」
先輩は残念そうに溜息をついて言いました。
「俺だって自信ないんだよ。…戦闘員が向いてるヤツって、あいつくらいなものだしな…」
「シッ!…そんなことを言ってると来るぞ」
別の先輩が注意し、声をひそめてキョロキョロと辺りを見回します。戦闘員の皆さんが恐れるものとは…。
「かみお~ん!」
「うわぁ、本当に来やがった~!!」
招かれざる客「そるじゃぁ・ぶるぅ」が突然姿を現しました。テレポートはマスターして…いませんよね?ドアから入ったと思いたいです。カラオケマイクを握ってますから、ここはとりあえず…
「かみほー♪1曲お願いします!」

皆さんの拍手に乗った「そるじゃぁ・ぶるぅ」は1時間余り歌いまくって満足そうに出て行きました。
「よ、よかった…。さっさと帰ってくれて」
先輩方は汗びっしょりです。私もシールドを長時間張った疲れで今にもへたり込みそうでした。「そるじゃぁ・ぶるぅ」の歌の破壊力は確実にパワーアップ中です。
「なんたってアイツだけだからなぁ、サイオキャノンを撃ちたがるのは」
「本物を撃ってみたいってのは子供の発想の基本だけど、な」
口々に語る先輩方の手には怪しいエモノが握られていました。麻酔銃に吹き矢、特殊警棒。以前「そるじゃぁ・ぶるぅ」がサイオキャノンを撃ちたいと暴れて以来、常備されているのだそうです。ステルスデバイスがいくら優秀でも、サイオキャノンが発射されれば人類に見つかってしまいますから。

マザー、戦闘員の非常時における任務の第一番は「そるじゃぁ・ぶるぅ」の拘束です。何をやらかすか分からないので、とにかく部屋から出さないこと。…「ただし戦闘員が使い物にならなくなった時はこの限りにあらず」ともマニュアルにはしっかり書かれています。シミュレーションをやったら100%敵を落とすという「そるじゃぁ・ぶるぅ」。心臓に毛が生えていそうな彼なら実戦も平気かもしれませんけど…出番が来ないことを祈ります、マザー…。




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