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シャングリラ学園シリーズのアーカイブです。 ハレブル別館も併設しております。

水泳大会・第1話

会長さんがハーレー製だとかいう白黒縞の海水パンツを披露しようかな、と言っていた水泳大会が迫ってきました。今日は大会に備えた健康診断。体操服を持って登校すると、A組の教室の一番後ろに机が一つ増えていて…座っていたのは会長さん。机の上には「そるじゃぁ・ぶるぅ」が座っています。グレイブ先生は入ってくるなり、二人に気付いて不機嫌な顔。
「諸君、おはよ…。またお前たちか!」
「またとは御挨拶だね、グレイブ。…水泳大会もちゃんと順位を決めるじゃないか。1位が大好きな君のために来たんだけれど、迷惑かな?」
「「「いいえ!!!」」」
クラス全員が叫びました。また会長さんが男子を引っ張り、「そるじゃぁ・ぶるぅ」が女子に入ってくれるに違いありません。1位を取ってくれる助っ人たちが迷惑だなんてとんでもない!
「ふん、A組は他人に頼りっぱなしか。…それでは実力もつかんし、競争心も養えないと思うのだが」
「「「かまいませーん!!!」」」
クラス中の大合唱にグレイブ先生は舌打ちをして、水泳大会では問題を起こさないようにと釘を刺してから出て行きました。私たちは着替えを済ませ、あとは保健室に呼ばれるのを待つだけになっていたのですが…。
「あれ?…体操服、買ったんじゃなかったっけ」
ジョミー君が会長さんの服装に疑問を抱いているようです。前の健康診断の時と同じ水色の検査服なんですけど、言われてみれば検査服は「体操服を持ってないから」届けられた、と聞きましたっけ。でも球技大会の時の会長さんは学校指定の体操服。あの時、体操服を買っているのに、どうして検査服を着ているのでしょう?
「ハーレイの所に届いたんだよ。これを着て来いってことらしいね。…まりぃ先生の趣味なんだろう」
「「「まりぃ先生!?」」」
かなりの数の男子がワッと声を上げて会長さんの周りに殺到します。
「まりぃ先生、素敵ッスよねぇ!ご指名だなんて羨ましいっス!」
「よく保健室に行ってますよね。もしかして、いいコトしてるんですか?」
ワイワイと騒ぐ男子に「そるじゃぁ・ぶるぅ」が首を傾げて。
「いいコトって、なぁに?…ぼく、大きなベッドでトランポリンさせてもらうの大好きだけど、ブルーはあそこで寝るんだよねえ?」
「「「寝る!???」」」
ジュルッ、と涎が垂れそうな顔の男の子たちを会長さんが手を上げて制しました。
「シッ!君たち、声が大きすぎるよ。…ぼくを退学にしたいのかい?」
「い、いえ…。け、決してそんな…」
スゴスゴと自分の席に戻っていく男子生徒たち。女の子たちは真っ赤な顔で会長さんを見つめています。その中でアルトちゃんとrちゃんはお互いに肘でつつきあいながら、蕩けそうな顔をしていました。お守りの効果、絶大みたい。その内に女子から先に保健室に呼ばれ、私たちは当然のようにくっついてきた「そるじゃぁ・ぶるぅ」を連れてゾロゾロと…。

保健室の前の廊下で順番待ちをしている間、体操服の「そるじゃぁ・ぶるぅ」はスウェナちゃんと私の間に並んでワクワクしているようでした。健康診断ってそんなに楽しいかな?この前もやっている筈なのに。
「ねえねえ、今日は『せくはら』してくれるかな?」
いきなり爆弾発言をされて、私たちは目が点になりました。期待に溢れた顔をしていますから、本当にセクハラの意味を知らないようです。
「あ、あのね…。セクハラっていうのは、されない方がいいことなのよ?」
やっとのことでスウェナちゃんが言ったのですが、通じるわけがありません。
「ええっ、そんなの不公平だよ!ぼくだってちゃんと男の子なのに!キースもマツカもシロエもさ…柔道部の健康診断の度にセクハラだって言ってるし。…こないだの健康診断だって、クラスの男の子たち、セクハラだって言ってたよ。…嬉しそうな子、沢山いたよね」
恐るべし、子供の観察眼。「そるじゃぁ・ぶるぅ」の頭の中ではセクハラというのは『男の子だけが体験できる特別なこと』だと変換されているのでしょう。そりゃあ、確かに特別ですが…。
「だからね、ぼく、今日は頼んでみるつもりなんだ。『せくはら』してね、って♪」
あひゃあああ!とんでもないことになってきました。スウェナちゃんと私はもとより、アルトちゃんにrちゃん、話を聞きつけた他の子たちも必死になって止めるのですが、逆効果だったみたいです。
「ひどいや、みんなでダメ、ダメばっかり!…そんなにダメって言うんだったら、健康診断やめちゃうもんね。せっかく女の子の水着で水泳大会に出てあげようと思ったのにさ。いいもん、お部屋で昼寝するもん」
プゥッと膨れて立ち去ろうとした小さな背中にA組女子の必死の叫びが飛びました。
「「「待って、行かないでーっ!!!」」」
水泳大会で1位を取るには「そるじゃぁ・ぶるぅ」が必要不可欠。競技内容は知りませんけど、そうなのに違いありません。でなければA組に来てないでしょうし。「そるじゃぁ・ぶるぅ」はクルッと振り向きましたが、まだ拗ねた顔をしています。ここで機嫌を取らなかったら、ヒョイと姿を消しちゃうかも…。
「お願い、健康診断を受けて!」
「…でもでも…セクハラはやめといた方が…」
拝み倒しにかかった私たちがよほど憐れに見えたのでしょう。「そるじゃぁ・ぶるぅ」はコクンと頷き、スウェナちゃんと私の間に元通り並び直しました。
「まあいいや。ブルーも出てあげなさいって言ってたんだし、健康診断、受けてあげるね」
ああ、よかった…と胸をなでおろした時です。
「でも『せくはら』は注文するから。…止めたらその場で出て行っちゃうよ」
ひえええ!なんとか思いとどまらせようとジタバタしている間に、健康診断の列はどんどん進んで…。
「はい、お待たせ~。次の三人、中へどうぞぉ♪」
保健室の扉が開いて、スウェナちゃんと私と「そるじゃぁ・ぶるぅ」は呼び込まれてしまったのでした。

「あらぁ、ぶるぅちゃん、今度も来たのねぇ。…また女の子になりに来たのかしら?」
まりぃ先生は今日もお色気たっぷりです。ウフン、と艶っぽいウインクをして、まずはスウェナちゃんと私の健康診断。身長や体重とかを測って、問診をして…てきぱきとお仕事を済ませ、それから「そるじゃぁ・ぶるぅ」の方を見ました。手元には一応、前回のデータがあるみたい。
「えっと、1年A組ね。今度も女の子として扱っとくけど、男の子は上半身を脱いでもらうことに…」
まりぃ先生がそう言いながらメジャーを用意した時です。
「ぼく、『せくはら』をしてほしいんだけど」
あちゃ~!スウェナちゃんと私は慌てて「そるじゃぁ・ぶるぅ」の口を押さえにかかりましたが。
「「あいたっ!!!」」
「あ、ごめん!…噛んじゃった…」
スウェナちゃんと私の手には見事な歯形がついていました。反射的に噛んでしまったのでしょう、「そるじゃぁ・ぶるぅ」はしょげています。
「どうしよう、ブルーに叱られちゃう…。噛んじゃダメって言われてたのに…」
「あらあら、噛み付いちゃったのねぇ。ちょっと見せて」
まりぃ先生は私たちの手についた歯形を調べ、血が出てないのを確認してから。
「大丈夫よ。ちょっと赤くなってるけれど、傷にはなっていないもの。しばらく経ったら消えちゃうわ。でも…今、教室に戻るのはマズイわねぇ?生徒会長は目ざといわよ」
そう言って、まりぃ先生は意味ありげな微笑を浮かべました。
「噛み付いちゃった痕が消えるまで、ここでゆっくりしていかない?…せっかくだからサービスしちゃう♪」
あ、あのぅ…。サービスって、いったい何を?スウェナちゃんと私がキョトンとしている間に、まりぃ先生は内線でヒルマン先生を呼び出して。
「すいませ~ん、保健室のまりぃですけど。…ちょっと急用ができまして…健康診断の代理をお願いできますか?…ええ、そうです。それじゃ、保健室の方へお願いしますぅ♪」
それから保健室の扉を開けて、廊下に並んでいたクラスメイトに言いました。
「あのね、スウェナちゃんたち、気分が悪くなっちゃったの。奥のお部屋で休ませるけど、私が付き添うことにするから…健康診断の続きはヒルマン先生にお願いしたわ。だからヒルマン先生がいらっしゃるまで待っててね。あ、それから…生徒会長はA組の男子に入っているのかしら?」
そうです、と誰かが答えると…。
「じゃ、生徒会長に伝えてくれる?健康診断は私が復帰してから来るように、って。…あの子は虚弱体質だから、正規の養護教師が診断しなくちゃいけないのよね」
クラスメイトはアッサリ納得してしまいました。伝えておきます、という声を聞いてから、まりぃ先生は扉を閉めて。
「じゃあ、奥の部屋へ行きましょう。ここは健康診断の続きに使うことになるから」
唖然としている私たちの前を横切り、まりぃ先生が「どうぞ」と開けたのは特別室への扉でした。

カチリ、と音がして扉に鍵がかかります。ど、どうしよう…。とんでもない所に連れ込まれちゃった…。休んでいる、と言われてしまった以上、逃げ出すわけにもいきません。青ざめている私たちを他所に「そるじゃぁ・ぶるぅ」は大きなベッドに大喜び。さっそく飛び乗って楽しそうにピョンピョン飛び跳ねましたが、そこに近づいたのは、獲物を狙う豹のような目をしたまりぃ先生。
「…ねぇ、ぶるぅちゃん。セクハラ、体験してみたい?」
「せくはら!?」
ピョーン、と大きく弾んで「そるじゃぁ・ぶるぅ」はフカフカの絨毯の上に飛び降りました。
「そうよ、せ・く・は・ら。…よかったら先生、一生懸命サービスしちゃうわ。どう?」
「ほんと?…ホントに『せくはら』してくれるの?」
「もっちろんよぉ♪…センセ、ぶるぅちゃんのこと、気に入っちゃった」
いらっしゃい、と「そるじゃぁ・ぶるぅ」の手を引っ張って、まりぃ先生は特別室の奥へ歩いて行きます。そこには更に扉があって、二人は扉の向こう側へ…。固まっていたスウェナちゃんと私が我に返って駆けつけた時には、扉には鍵がかかってしまってビクとも動きませんでした。
「た、大変…。この向こうっていったい何なの?」
「わかんない…」
扉に耳を押し付けてみても、何の物音も聞こえません。私たちがついていながら「そるじゃぁ・ぶるぅ」に何かあったら…って、確実に今、何かが起こっているのです。それもセクハラという名の恐ろしいことが。
「…だ、大丈夫よね…。ぶるぅ、子供だし…」
「何かあったら、さっきみたいに噛み付くもんね…」
ベッドにもソファにも座れないまま、私たちはただ立ち尽くしていました。手に残っていた赤い歯形が少しずつ薄れ、時間の経過を教えます。もうどのくらい経ったのでしょう。ほんの少しの窪みを残して歯形は殆ど残っていません。いくら目ざとい会長さんでも気付かないほどになってきた頃、ようやく扉が開いたのです。
「「ぶるぅ!!!」」
同時に叫んだ私たちの前に「そるじゃぁ・ぶるぅ」がフワフワした足取りで現れました。頭のてっぺんから爪先まで真っ赤に染まって、なんだかとても幸せそう。幼児体型の身体はすっかり丸見え、フルヌードです。スッポンポンの「そるじゃぁ・ぶるぅ」はベッドの上にパタリと倒れてフニャフニャと顔を綻ばせました。
「気持ちよかったぁ~♪」
げげっ!気持ちよかった、って…スッポンポンで…。追い討ちをかけるように現れたまりぃ先生はバスローブしか着ていませんでした。わ、私たち、もうダメかも…。
「ぶるぅちゃん、お洋服を着ないと風邪引くわよん♪」
まりぃ先生が転がっている「そるじゃぁ・ぶるぅ」にパンツを履かせ、体操服をよいしょ、と着せて。
「さ、特別コースはおしまいよ。お次は生徒会長の番ね」
うふふ、と微笑むまりぃ先生に「何をしたのか」なんて聞けません。私たちはホカホカと上気している「そるじゃぁ・ぶるぅ」を抱えるようにして特別室を出ようとしたのですが…。ん?ホカホカ…?「そるじゃぁ・ぶるぅ」の温まった身体からはボディーソープの香りがしました。湿った髪はシャンプーの匂い。どちらも艶かしい香りですけど、もしかして、これは…。
「ぶるぅちゃん、お風呂に入れてあげたの」
まりぃ先生がソファに座ってチュッと投げキッスをして見せました。
「ぷにぷにのホヤホヤで可愛いのよ~。特に可愛かったのは、あ・そ・こ。…センセ、なんだかドキドキしちゃった。また一緒に入りましょうね、ぶるぅちゃん♪」
コクン、と頷いた「そるじゃぁ・ぶるぅ」はちょっとのぼせてしまったみたい。私たちはヒルマン先生がB組女子の健康診断をしている横をすり抜けるようにして、教室へ帰っていったのでした。

「お帰り。…やっと、ぼくの番だね」
検査服で座っていた会長さんが、私たちを見て立ち上がります。教室の中はまだ健康診断の名残で体操服と制服のクラスメイトが混在している状態でした。
「あ、あの…。ぶるぅが…」
大変なことになっちゃったんです、と言おうとした時、「そるじゃぁ・ぶるぅ」が夢見心地で呟きました。
「…お風呂に入れてもらったよ。まりぃ先生、柔らかかった」
ひゃあああ!な、なんてことを…と思ったのですが。
「…ママってあんな感じなのかな。ねぇ、ブルー…?」
そして「そるじゃぁ・ぶるぅ」は会長さんの机に登ってクルンと丸まり、スヤスヤ寝息を立て始めたのでした。
「ママ、ねえ…。まりぃ先生、ショックで倒れてしまうかもね」
会長さんがクスクスと笑い、丸まった身体を撫でながら。
「うん、大丈夫。…ぶるぅは何もされていないよ。一緒にお風呂に入っただけさ。必要以上に念入りに洗われちゃったみたいだけどね」
よかったぁ…と座り込みそうになった私たち。会長さんは「そるじゃぁ・ぶるぅ」が風邪を引かないようにとキース君に借りたバスタオルを掛け、まりぃ先生が待つ保健室へ。
「ぶるぅがお世話になったようだし、今日は色々サービスしないといけないかな」
水色の検査服の裾を翻して去っていった会長さんが残した言葉は、やっぱり深~い意味なんでしょうか…?




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