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シャングリラ学園シリーズのアーカイブです。 ハレブル別館も併設しております。

特別なイワナ

※シャングリラ学園シリーズには本編があり、番外編はその続編です。
 バックナンバーはこちらの 「本編」 「番外編」 から御覧になれます。




食欲の秋がやって来ました。美味しい料理もお菓子も食べなきゃ損々、放課後の「そるじゃぁ・ぶるぅ」のお部屋でお菓子をパクパク、週末は会長さんの家に出掛けて食べ放題。今日も土曜日、何が食べられるかと遊びに行けば。
「かみお~ん♪ いらっしゃい!」
今日は手作りピザパーティーなの! と「そるじゃぁ・ぶるぅ」のお出迎え。あれこれ注文、いろんなソースや具材のピザを作って貰えるらしいです。
「すげえな、うんと食わなきゃな!」
サム君が歓声を上げれば、ジョミー君も。
「一人何枚? それとも切り分けて何種類でも?」
「えとえと、そこはお好みだよ! シェアしてもいいし、一人占めもオッケー!」
「そうなのか…。俺はどうするかな」
シェアか独占か、とキース君が顎に手を当てると、シロエ君が。
「それこそ、その場のノリってヤツじゃないですか? ピザのアイデア次第ですしね」
「確かにな。で、もう始めるのか?」
昼には早いが、とキース君が訊けば「そるじゃぁ・ぶるぅ」は。
「始めちゃってもいいと思うの、ゆっくり沢山食べられるしね! 食欲の秋!」
「そうだよ、ぶるぅの言う通り!」
会長さんが「始めちゃおう」と宣言を。
「ティラミスとかのお菓子もあるから、まずはそっちで準備運動かな? それからどんどん焼いては食べる! それでこそピザパーティーってね!」
楽しくやろう、とダイニングに案内されて紅茶やコーヒー、それにマロンのティラミスが。美味しく食べている間にピザの注文、第一弾。「そるじゃぁ・ぶるぅ」が注文を取って回って、ソースを塗ったりトッピングしたり。やがていい匂いが漂って来て…。
「お待たせー! 出来たよ、これがキースので、こっちがシロエで…」
広いテーブルにピザがズラリと。シェア用に取り皿も沢山あります。やっぱり他の人のも食べてみたいですし、まずはスウェナちゃんのを一切れ貰おうかな?
「「「いっただっきまーす!」」」
みんなで合掌、賑やかに始まるピザパーティー。うん、スウェナちゃんと交換したのも美味しいです。あっ、ジョミー君のも美味しそう! 次はああいうのを頼もうかな?



ワイワイガヤガヤ、ピザ食べ放題。アイデア次第で色々出来て、思いがけない組み合わせなんかも飛び出したりして、楽しさ最高。もう入らない、とギブアップするまで三時間くらいは余裕で食べたと思います。休憩してはまた食べて、といった具合に。
「美味しかったあー!」
こんなのもいいね、とジョミー君が満足そうに言って、他のみんなも大満足。おやつは当分入りそうになく、飲み物だけを手にしてリビングに座って寛ぎの時間。
「実に美味かったな、好き放題にやった割には」
妙なピザは一つも出来なかったし、とキース君。
「ぶるぅの準備のお蔭じゃないですか? 厳選された具材とソースで」
きっとそうですよ、とシロエ君。
「適当にあれこれ注文したって、元がきちんとしたものだったらおかしなことにはなりませんよ」
「そうかもしれんな、基本から外したつもりでやっても美味いわけか…」
ゲテモノを食いたくてやっていたわけじゃないからな、というのもある意味、正論。なにしろ自分が食べるのですから、変わり種ピザを頼むにしたって味は想像してみますし…。
「要は美味けりゃいいってな!」
多少ビジュアルが変でもよ、とサム君も自分のピザのチョイスに自信を持っている様子。誰が一番ヘンテコなピザを注文したのか、「お前だ」「違う!」と面白半分、やり合っていると。
「楽しそうだねえ?」
「「「!!?」」」
「こんにちは。君たちは何を食べていたわけ?」
いきなり現れたお客様。私服姿のソルジャーです。私服ってことは、お出掛け前かお出掛けの帰りに決まっていますし、今日も今日とてエロドクターとデートですか?
「あっ、分かる? ノルディと食事に行って来たんだ」
「「「………」」」
またか、と誰もが深い溜息。食事を済ませて来たってことは、今度はこっちに居座るんですね?
「そうだよ、おやつはあるんだろう?」
「不本意ながらね!」
会長さんがフンと鼻を鳴らし、「そるじゃぁ・ぶるぅ」が。
「えとえと、梨とブドウのタルトだけれど…」
「食べる!」
それと紅茶、という御注文。うーん、早くもティータイムですか…。



乱入して来たソルジャーに仕切られ、始まったおやつの時間ですけど。デザートは別腹とはよく言ったもので、あれだけピザを食べた割にはタルトも美味しく食べられます。ソルジャーも御機嫌で頬張りながら。
「今日はね、イワナ尽くしを食べて来たんだよ!」
「イワナねえ…。ノルディの趣味かい?」
会長さんが訊くと、ソルジャーは「うん」と。
「何処の名物だったかな? ノルディの行きつけの店が大イワナってヤツを仕入れたとかで」
「「「大イワナ?」」」
「そう! 普通のイワナの倍のサイズに育つと評判らしいんだよねえ、大イワナ!」
美味しかった、とソルジャーは気に入ったみたいです。でも、普通のイワナの倍に育つって、そういう品種か何かなのかな?
「それが品種じゃないんだな! 卵の段階で工夫を凝らしてあるとかで…」
「「「工夫?」」」
「らしいよ、卵を産まないイワナだってさ」
「「「はあ?」」」
そんなイワナがいるんでしょうか? 卵を産まないイワナだなんて、それじゃ絶滅しちゃいませんかね、次の世代が出来ないんですし…。
「え、絶滅って…。普通のイワナから作るらしいから、一代限りでも問題無し!」
「ああ、あれか…」
思い出したよ、と会長さんが。
「卵を産む時期にはやせ細っちゃうから、卵を産ませない方向で…、っていうイワナだよね、大イワナ。卵さえ産まなきゃ成長し続けるわけで、倍のサイズに」
「ピンポーン♪ 生簀にいるのを見せて貰ったけど、ホントに大きなイワナだったよ」
味も良かったし、とソルジャーは笑顔。
「それでね、卵を産ませないための工夫とか、色々と聞いて来たんだけれど…。素晴らしいよね、技術ってヤツは」
「まあね、食の欲求ってヤツは凄いからねえ…」
美味しいものを食べるためなら努力もするさ、と会長さん。
「今日のピザパーティーもそうだよ、あれが美味しそうだと思うのが出来たら、みんながそっちに突っ走るとかね」
あはは、そう言えばそうでした。誰かが絶品の組み合わせを作れば、アッと言う間に真似しましたっけね、みんな揃って…。



「なるほど、食の欲求ねえ…」
分かる気がする、と頷くソルジャー。
「ぼくも自分の世界ではあまり食べる気にならないんだけど…。栄養剤とお菓子だけあれば充分かな、って思っちゃうけど、こっちに来たら食べたい気持ちがグンと増すしね」
やっぱり地球の食材は違う、という話。ソルジャーが自分の世界では食事をマトモに食べないことはキャプテンからも聞いています。私たちの世界に来た時だけは食欲旺盛、それもあってキャプテンはソルジャーがせっせとお出掛けしてても止めないのだ、とも。
「君の場合は極端なんだよ、栄養バランスも考えたまえ!」
会長さんが叱りましたが、ソルジャーは。
「ぼくの世界の栄養剤ならバランスはいいよ? 実際、あれだけで生きて行けるし」
「食事というのはそういうものじゃないんだよ!」
食べて栄養を摂取することに意味がある、と会長さん。
「きちんとしっかり食べていないと、心身に影響が出て来ることもあるんだからね」
「それは分かるよ、ぼくも日頃から考えてるから」
「だったら、どうして栄養剤って発言に!」
「栄養剤は身体の栄養! ぼくが言うのは心の栄養!」
そっちが大切、とソルジャーらしからぬ台詞が飛び出しました。心の栄養って、いわゆる癒しとかリラックスとか、およそソルジャーとは縁が無さそうな気がします。それともアレかな、SD体制で苦労していると言っているだけに、実は癒しも必要だとか?
「うーん…。SD体制のせいってわけでもないんだけどねえ…。心に栄養は欲しいね、うん」
愛されているという証、と妙な言葉が。それって何?
「分からないかな、ぼくのハーレイとの満ち足りた時間! それが心の栄養なんだよ!」
そっち方面の欲求に関してはぼくは貪欲、と言われたら一発で理解したものの、放っておいたらヤバイ方向へと行きませんか?
「はいはい、分かった。栄養の話はもういいから!」
会長さんがシッシッと手を振っています。けれどソルジャーは気にもしないで。
「実はさ、心の栄養だけど…。今日のイワナで閃いたんだよ、実に素敵なアイデアが!」
「「「イワナ?」」」
「そう、食べて来たばかりの大イワナだよ!」
あれは凄い、と褒めてますけど、この話、聞いても大丈夫ですか…?



ソルジャーがエロドクターとのデートで食べた大イワナ。卵を産まないために産卵期も痩せず、普通のイワナの倍に育つという話ですが、そこからどういうアイデアが湧いて出たのでしょう?
「それはもう! 倍ってトコだよ、つまり大きさ!」
大きなサイズに憧れるのだ、とソルジャーは瞳を輝かせました。
「ぼくのハーレイ、シャングリラでは一番のガタイを誇っているわけだけど…。それに見合ったモノも持ってて、多分、一番大きいんだけど!」
「その先、禁止!」
会長さんが止めに入っても止まらないのがソルジャーで。
「いいって、いいって! このくらいは別に…。それでね、つまりはシャングリラで一番、立派なモノを持ってるんだと思うんだけど…。もっと大きくならないかなあ、って!」
「「「はあ?」」」
「アソコだよ! 大きいほどイイっていう話だから、もっと大きくしてみたくって!」
「退場!!!」
叩き付けられたレッドカード。けれどもソルジャー、鼻で笑って。
「まだまだ、話は始まったトコ! 万年十八歳未満お断りだと通じないかもだけど、男のシンボルはデカイほど立派とされていてねえ、それは素晴らしいエッチが出来ると!」
「君の場合は当てはまらないし!」
女性と一緒にしないように、と会長さんがテーブルをダンッ! と。
「何を考えたかは理解したけど、普通にケガするオチだから! でなければ痔とか!」
「そうかなあ? ヤッてみないと分からないじゃないか、とってもイイかもしれないよ?」
ハーレイのがもっと大きくなったら、とソルジャーはウットリした表情。
「奥の奥まで突っ込まれる時も、今よりもグッと奥の奥まで! イイ所への刺激もより強力に、太くなった分、パワフルに!」
「絶対、切れ痔なオチになるから!」
「三日や四日は腰が立たなくても、一時の快楽もいいものだよ!」
選ぶんだったら断然そっち、と言い切るソルジャー。
「たとえ、ぼくの世界のノルディに頼んで薬を貰う羽目になろうと、ハーレイのアソコがデカイ素晴らしさを味わいたいねえ、ぼくとしては!」
「ケガしてもいいと!?」
「それがエッチのついでならね!」
流血沙汰でも大いに歓迎、と言ってますけど、痔だの切れ痔だのと強烈ですよ…?



日頃のソルジャーの猥談のお蔭で、少しくらいは大人の時間が理解出来ている私たち。大イワナの大きさからインスピレーションを得たらしいソルジャー、キャプテンのアソコを大きくしたいらしいです。でも、本当にケガで切れ痔な世界じゃないかと思いますけどね?
「それもいいんだよ、ぼくはケガには慣れているから! 戦闘でケガすることに比べれば、大きなアソコでケガするくらいは掠り傷ってね!」
そして掠り傷を越えた先にロマンが…、とソルジャーはそれはウットリと。
「元々、少しは痛みを伴うものだしねえ? その痛みすらも吹っ飛ぶ快感! デカくなったら、快感の方もより深く!」
「…それで?」
会長さんは疲れ果てた顔でレッドカードをつついています。もはや効力など微塵も残ってはいないカードを。ソルジャーに効くわけないんですってば、レッドカードは…。
「大イワナで閃いたって言ったよ、デカくなるかもしれない方法!」
まあ聞いてくれ、とソルジャーは膝を乗り出しました。
「イワナの場合は卵を産むからやせ細るんだよ、卵を産まなきゃデカくなるってね!」
「ぼくの記憶じゃ、大イワナってヤツは雌だったんじゃあ、と思うけど?」
確か雌しかいない筈だ、と会長さん。
「卵を産めないように細工してある雌ばかりだと記憶してるよ、雄はいない筈!」
「そう聞いたけどさ、要は卵を産むのに凄いパワーが生殖器の方に集まった結果、痩せてしまうという話だし…」
ヤらなかったらハーレイのアソコもグンと大きくなるのかも、とカッ飛んだ話が飛び出しました。大きくなるって、キャプテンの場合は成長期ってヤツをとっくに過ぎていますけど…?
「試してみなくちゃ分からないじゃないか! それにさ、ヤッたらエネルギーを使うってことは本当だしね! 発射直後は萎えてるんだし、エネルギーの再充填が完了しないと出来ないし!」
発射出来ないようにしておけば色々な面で成長するかも、と斜め上な理論。
「大きさもそうだし、持ちとか硬さもグンと増すとか、期待出来そう!」
「君のハーレイはイワナじゃないから! そう簡単にはいかないから!」
それに第一…、と会長さん。
「出来ないようにして待つってことは…。その間、君も禁欲なんだよ?」
「最高のセックスを目指すためなら、ちょっとくらいの禁欲くらいは我慢出来るよ!」
天国が待っているんだからね、と主張してますけど、それってリスクは無いんでしょうか? もう絶対に成功する、と決まったわけではなさそうですが…?



卵を産まない大イワナとやらに刺激を受けて、キャプテンのアソコを大きくしようと目論むソルジャー。けれど方法も確立していないのに、万一、失敗しちゃったら…。禁欲して待った努力がパアだという気がするんですけどね…?
「それは充分、分かっているさ。だから事前に実験をね!」
「「「実験?」」」
「そうだよ、こっちのハーレイで!」
「「「ええっ!?」」」
教頭先生で実験するって、いったい何をやらかす気ですか、大イワナの真似とかいうヤツで?
「実験と言っても人体実験とはかなり違うね、ハーレイはお風呂に入るだけだし」
「「「お風呂?」」」
「うん、お風呂。大イワナが卵を産まなくなる理由はお風呂なんだよ」
「おい、本当か?」
騙されていないか、とキース君が突っ込みました。
「イワナなんぞを風呂に入れたら死ぬんじゃないかという気がするが…。あれは渓流の魚の筈だぞ、冷たい水を好みそうだが?」
「その辺はどうか知らないけれど…。大イワナについて聞いた話はお風呂だったよ、これは絶対、間違いないから!」
ねえ? とソルジャーの視線が会長さんに。
「大イワナの話、ブルーも知ってるみたいだし? 作り方だって知ってるよねえ?」
「…あれをお風呂と言うのであればね」
「マジかよ、マジで風呂なのかよ!?」
サム君が驚き、マツカ君も。
「…イワナが煮えてしまいませんか? お風呂だなんて…」
「ぼくも温度が何度なのかは知らないからねえ、人間から見てお風呂と言えるかどうかは分からないけど…」
でもお風呂だと言われればお風呂、と会長さんの答え。本当にイワナがお風呂に入ると?
「正確に言えば、イワナじゃなくって卵だけどね」
「「「卵!?」」」
それは魚のイワナよりも熱に弱そうな感じですけれど? 卵なんかをお風呂に入れたら煮えそうですけど、本当にお風呂なんですか…?



「お風呂と言うより温水なんだよ、だから温めの水じゃないかな」
その辺りは企業秘密であろう、と会長さん。大イワナは名物として売り出すだけあって、そのノウハウは秘中の秘。こういう風にして作るのだ、としか一般人には分からないとか。
「ぼくやブルーなら技術はサイオンで簡単に盗めるけどねえ、たかがイワナの養殖方法、そこまで極める必要も無い。とにかく温水、ここがポイント!」
「らしいよ、卵の間に温水に一定の時間、浸けておいたら生殖能力が無くなるとかでさ…。それで卵を産まないイワナが出来るってわけ」
だからハーレイにもお風呂に入って貰うべし! とソルジャーはブチ上げましたけれども。
「あのう…。生殖能力が無くなるっていうのはヤバくないですか?」
シロエ君が恐る恐るといった風で。
「この手の話に首を突っ込みたいとは思わないんですけど…。生殖能力が無くなるとしたら、この先、大いに困りませんか?」
「平気だってば、無くなるわけがないからね! ハーレイはもう卵じゃないから!」
充分に成長してるんだから、とソルジャーからの反論が。
「アソコが一時的に休眠状態とでも言うのかな? ヤらずにパワーを溜め込む方へと!」
そしてビッグなサイズに変身、とソルジャーは自説を滔々と。
「大きなサイズに成長するのか、それとも持ちが良くなるか…。あるいは硬さがググンと増して、もうビンビンのガンガンになるとか、きっとそういう方向なんだよ!」
「…そうでしょうか?」
まだ食い下がるシロエ君。けれども気持ちは分かります。万一上手くいかなかったらソルジャーがキレて当たり散らすとか、大暴れだとか、大いにありそうな展開ですし…。
けれど。
「ぼくはいけると踏んでるんだよ、だけど禁欲期間もあるしね…。まずは実験、適切な温度を見付け出したら、それからぼくのハーレイで!」
「本気なのかい?」
会長さんが些か呆れた顔で。
「こっちのハーレイで実験するって、あのハーレイを毎日お風呂に入れるって?」
「もちろんさ! 何度くらいのお風呂がいいのか、それをしっかり確認しなくちゃ!」
せっかく同じ顔と身体のハーレイがこっちにいるんだから、とソルジャーはやる気満々です。教頭先生をお風呂に入れる実験らしいですけど、どうやって適温を見付け出すと…?



イワナの卵を温水とやらに突っ込んでおくと、生殖能力が無くなってしまって卵を産まないイワナが誕生。生殖器にパワーがいかなくなる分、普通のイワナの倍に育って大イワナ。それをキャプテンに応用したい、とソルジャーは力説しているわけで。
「ハーレイに丁度いい音頭を見付け出すには、お風呂の温度を変えるトコから! ハーレイの家のお風呂も、お湯の温度はちゃんと調節出来るよねえ?」
「そりゃ出来るけど…。無駄に凝ってるバスルームだから、バスタブのお湯の温度調節も細かいけれど…」
腹立たしいことに、と唸る会長さん。なにしろ教頭先生ときたら、会長さんとの結婚生活を夢見てバスルームにも凝っているのです。いつ会長さんが入りに来たって大丈夫なようにボディーソープやシャンプーを揃え、バスルームそのものも快適に。
「うんうん、そのお風呂、今夜から大いに役立つってね!」
「「「今夜から!?」」」
「決まってるじゃないか、善は急げと言うんだろう?」
もう早速に今夜からだ、とソルジャーは拳を握り締めています。
「まずはハーレイに話を通して、ぼくがお風呂のお世話をね!」
「なんだって!?」
会長さんが悲鳴に近い声を上げました。
「お風呂の世話って、何をする気さ!? まさか一緒に入るとか…!」
「入りはしないよ、それじゃ勢いでヤッてしまってどうにもこうにも…。もっとも、勢いでヤリたくってもヤることが出来ない休眠状態を保つ温度を探すんだけどね」
それと時間と…、と指を折るソルジャー。
「この温度のお風呂にこれだけの時間、浸けてみました、っていう実験だから! その結果としてハーレイがサカるかサカらないかが問題で!」
「サカるって…?」
あまり訊きたくないんだけれど、と顔を顰める会長さん。
「それはどういう状態なのかな、君の姿で欲情するかどうかって意味だったりする?」
「それに近いね。ぼくはお風呂の世話をした後、さっさと姿を消すんだよ。ヤリたくなってもヤれないからねえ、孤独に寂しく噴火するしかないってね!」
せっせと一人で寂しく噴火、とソルジャーはニヤリ。
「今でも孤独にやっているけど、それをやらない夜が来たなら、それが適温! 適切な時間!」
ハーレイを浸けるのにピッタリのお風呂、という話ですが。ソルジャー、本気でそれを探すと?



「本気に決まっているってば! もう最高のプロジェクトだから!」
ハーレイのアソコが立派に変身を遂げるのだ、とソルジャーの思い込みは至って激しく、もはや実験あるのみといった様相です。会長さんがフウと溜息をついて。
「…その計画。君が一人でやるんだろねえ、ぼくは手伝わないからね?」
「手伝って貰おうとも思わないけど…。監視はした方がいいんじゃないかな、万一ってこともあるからね」
「万一?」
「ハーレイがサカる前に逃げようと思っているけど、ぼくがウッカリその気になるとか」
ちょっと味見をしたくなるとか…、とソルジャーの舌が自分の唇をペロリ。会長さんは震え上がって、「それは困る!」と抗議の声を。
「ただの実験だと言ったじゃないか! そんな方向に行くんだったら止めるから!」
「ほらね、止めたくなるかもしれない。だからさ、一応、監視ってことで覗き見をね。今日は初日だから、シールドに入って見学するのをお勧めするよ」
そこのみんなも一緒にどうだい、とソルジャーからのお誘いが。教頭先生のお風呂なんかは誰も見たいと思いませんから、我先に断ったんですけれど。
「遠慮しておく! 俺は覗きの趣味は全く無いからな!」
「ぼくもです! それに教頭先生だったら、柔道部の合宿で一緒にお風呂もありますからね」
キース君とシロエ君を筆頭に懸命に逃げを打ったんですけど、私たちは見事に忘れていました。ソルジャーは天邪鬼だという事実を。逃げれば逃げるだけ追い掛けて来て強引に引っ張り戻され、巻き込まれるという傾向を。つまり…。
「ふうん…? そんなに遠慮をされてしまうと、なんだか申し訳ないねえ…」
「いや、かまわん! 気にしないでくれ!」
俺たちのことは忘れてくれ、とキース君が必死に断っているのに、ソルジャーは。
「それじゃ、ぼくの気が済まないよ。是非とも見学に来てくれたまえ!」
遠慮しないで今夜だけでも、と有無を言わさぬ命令が。
「ぼくの素敵なお風呂プロジェクト、見学しないって手は無いだろう? ぶるぅかブルーにシールドして貰って、今夜は楽しく見学をね!」
「かみお~ん♪ ハーレイのお家に行くんだね!」
ぼく、頑張る! と「そるじゃぁ・ぶるぅ」は大はしゃぎです。何も分からないお子様っていいな、と思いますけど、既に手遅れ。でもまあ、教頭先生のお風呂見学だけなんですから、普段のコースよりかはマシかな…。



夕食はボリュームたっぷりステーキ丼。熱々のガーリックライスの上に焼き立てステーキ肉が何切れもドッカンと。クレソンも添えられ、ソースも美味で。
「いいねえ、地球の肉はやっぱり違うってね!」
力が湧いてくるんだよね、と頬張るソルジャー。ステーキ丼で元気一杯、教頭先生の家に殴り込みだか実験だかにお出掛けしようと意気盛ん。
「最初は何度にしておこうかなあ、お風呂の温度」
「さあねえ? 長く浸けたいなら温めがお勧め、短くするなら熱めだけれど?」
会長さんが半ばヤケクソといった体で答えると、ソルジャーは。
「それじゃ温めでいこうかな? 初日はゆっくり、じっくりとね!」
「ハーレイの普段の入浴時間は知っているわけ?」
「知らないよ? その辺はハーレイに訊いてみないと…。温度の方はバスルームを見れば分かるんじゃないかな、ハーレイ好みにしてあるだろうし」
その温度よりも低めに設定してみよう、というのがソルジャーの計画。ついでに今夜は長湯の方向、温めのお湯にゆっくり、じっくり。
「記録もきちんと取らなくっちゃね、何度のお湯に何分浸けた、と」
「好きにしたまえ、実験するのは君だから」
「もちろんだよ! ハーレイがサカらなくなる適温と時間、必ず見付けてみせるから!」
応援よろしく、と言われましても、私たちは言わば部外者です。シールドの中から応援も何も、そもそも教頭先生からは姿なんか見えていませんってば…。



教頭先生のアソコが休眠状態に陥ってしまうお風呂の温度と入浴時間とを見付け出す計画、ソルジャーは思い立ったが吉日とばかり今日から実行するつもり。夕食が済むとサイオンで教頭先生の家を窺い、「よし!」と一声。
「ハーレイの食事も済んだようだし、出掛けようか。ブルー、用意はいい?」
「…仕方なく…だけどね」
「かみお~ん♪ しゅっぱぁ~つ!!」
パアアッと青いサイオンが溢れ、私たちの身体がフワリと浮いて。瞬間移動で教頭先生の家のリビングへと飛び込みましたが、ソルジャー以外はシールドの中。ソルジャーだけがニッコリと。
「こんばんは。お邪魔するよ」
「こ、これは…! 直ぐにお茶を用意いたしますので…!」
紅茶でよろしかったでしょうか、と教頭先生はいそいそと用意。買ってあったらしいフィナンシェまでが出て来ました。自分は甘いものが苦手なくせして、こういうお菓子が置いてある辺り、会長さんの来訪を待ち侘びているのが分かります。
「悪いね、ブルーの方じゃなくって」
「いえ、ブルーは一人では来てくれませんし、おいで下さって嬉しいです」
それで御用は…、と教頭先生。
「今日は私服でいらっしゃいますが、何処かへお出掛けでらっしゃいましたか?」
「うん、ちょっと…。ノルディと食事に行ったんだけどね、其処で食べたイワナで閃いたことがあったから…」
「イワナですか?」
「そう、イワナ。美味しかったよ、イワナ尽くしで」
それでね…、とソルジャーは教頭先生の顔を見詰めて。
「そのイワナが特別なイワナだったというわけ! 普通のイワナの倍に育つと評判の!」
「大イワナですね、聞いたことならありますよ。まだ食べたことは無いのですが…」
「本当かい? だったら話が早くて助かる。ちょっとね、君の大事な部分を大イワナみたいにビッグサイズに育てたくってね…」
「は?」
キョトンとしている教頭先生。そりゃそうでしょう、大イワナとアソコのサイズなんかは普通じゃ絶対、繋がりませんって!



「君は大イワナが出来る仕組みは知らないのかな? 普通のイワナの卵に細工をするんだけどね」
「すみません、私は生物の教師ではありませんので…」
古典ですので、と教頭先生は大真面目。アソコがどうとかというアヤシイ部分は聞き逃したか、意味が全く掴めてないかに決まっています。
「ぼくもそれほど詳しくないけど、生殖器に集まるパワーを止めれば倍のサイズに育つらしいよ。卵を産まなくしてやれば」
「ほほう…。あれはそういう仕組みでしたか、一つ勉強になりました」
「勉強ついでに、君も成長してみないかい? アソコに集まるパワーを止めれば、止められたパワーがググンと溜まってサイズがグンと大きくなるかもしれないよ?」
君の大事な部分だよね、とソルジャー、ニッコリ。
「サイズが大きくならなくっても、持ちがとっても良くなるとか! あるいは硬さがグンと増してさ、もうビンビンのガンガンだとか!」
「あ、あのう…。わ、私の大事な部分というのは…」
「もちろん君の息子だよ! 君の分身とか、君自身だとか、言い方の方は色々あるねえ!」
それを大きく育ててみよう! とソルジャーは瞳を煌めかせて。
「イワナの場合は卵の間に一定の時間、温水に浸ければ生殖能力が無くなるらしい。君のアソコも休眠状態に入る温度とか時間があるんじゃないかな、それを見付けてパワーアップ!」
「は、はあ…。ですが…」
「それを使うアテが無いってことかい? いつかは出番が来ると思うよ、ブルー相手に!」
結婚した時に生かしたまえ、と煽りにかかっているソルジャー。
「ぼくがキッチリ記録を取るから、データはきちんと残るんだ。ブルーと結婚した暁には、たまに休眠状態に! そして目覚めてパワフルに攻める!」
「…ぱ、パワフル…」
「いいと思うよ、大きさが増しても、持ちや硬さが増してもね!」
ブルーも大いに悦ぶであろう、と会長さんそっくりのソルジャーがせっせと勧めるのですし、教頭先生がその気にならないわけがなく…。
「そうですか、ブルーが喜びますか…」
「そこはバッチリ、保証するってね! ぼくはこの道、長いんだよ?」
パワフルなアソコは男の最大の魅力なのだ、と強調されると、教頭先生はもうフラフラと。
「良さそうですねえ…」
「良さそうだろう?」
だから是非とも協力をね…、とソルジャーの笑みが。教頭先生、大きく頷いちゃってますよ~!



教頭先生のアソコが休眠状態になる温度と時間。ソルジャーは「今日から当分、お風呂で実験!」と言い放ちました。
「今日は温めのお湯で行こうと思うんだよ。時間も長めで」
「長湯ですか…」
「お湯はこれから張るトコだよね? ぼくが調節してもいいかな、お風呂の温度を少し低めに」
「ええ、お任せします」
どういう実験だかイマイチ分かっていないらしい教頭先生、ごくごく普通の顔付きです。ソルジャーはいそいそとバスルームに向かい、お風呂の用意をして来たようで。
「お湯が張れたら、君に入浴して貰うけど…。実験の内容が内容だけにね、ぼくからのサービスが毎日つくから!」
「サービス…ですか?」
「そう! 背中を流してあげるわけだよ、ぼくが腰タオル一枚で!」
「ちょ、ちょっと…!」
会長さんが叫んだものの、シールドの中だけに声は届かず。代わりにソルジャーの思念が送られて来て…。
『平気だってば、腰タオル一枚は演出だから! 下着はちゃんと着けておくから!』
「そ、それならいいけど…」
『そのくらいやって煽らないとね、単にお風呂に入れただけでは駄目なんだってば!』
サカるかどうかを見極めないと…、と思念は其処でブッツリと。ソルジャーは教頭先生に愛想のいい笑みを浮かべてみせて。
「ぼくの姿で興奮してもね、アフターケアは無いんだな。ぼくは実験をしているだけだし、君の相手をしに来たわけじゃないからね。だけど毎日、背中を流してあげるから!」
「そ、それはどういった意味なのでしょう…?」
「えっ、意味かい? 普通だったら君は興奮、ぼくが帰った後はせっせと抜かなきゃいけないわけだけど…。それをしなくてもいい日が来たなら、それが休眠状態なんだよ!」
その時のお風呂の温度と入浴時間が肝になるのだ、とソルジャー、ニッコリ。
「休眠状態になるお風呂ってヤツを見付け出したら、継続あるのみ! アソコが日に日に大きく育つか、パワーが溜まって持ちが良くなるか…」
「でなければビンビンのガンガンというわけですね!」
「そうなんだよ!」
二人で頑張って見付け出そう! とソルジャーが教頭先生にパチンとウインク。教頭先生もすっかり乗せられ、チャレンジする気でらっしゃいますねえ…。



やがてソルジャーがバスルームを見に行き、満面の笑顔で戻って来て。
「ハーレイ、お湯が入ったよ!」
「では、行きましょうか」
「君の普段の入浴時間はどのくらいだい? それよりも五分ほど長めにしようか、今日の所は」
語らいながらバスルームに向かった教頭先生とソルジャー、実験とあってアヤシイ会話も炸裂しないみたいです。教頭先生が脱いでいる間、ソルジャーは「まだかい?」と声掛けのみで。
「お待たせしました。…もう入ってもいいですか?」
「ああ、掛かり湯を忘れないでよ?」
「もちろんです!」
教頭先生がバスタブに浸かると、ソルジャーは何処からか取り出したストップウォッチで計測開始。まだ腰タオル一枚ではなくて服を着たまま、のんびり計って。
「あと三分って所かな? ぼくが合図をしたら上がって、それから背中を流すってことで!」
「は、はい…!」
楽しみにお待ちしております、と返した教頭先生にクルリと背中を向けたソルジャーは服を脱ぎ捨て、腰にタオルを。会長さんとの約束通りに下着は着けているんですけど…。
「実験終了~! さあ、上がって!」
ゆっくり背中を流してあげる、と現れたソルジャーの姿に教頭先生は耳まで真っ赤。ソルジャーが背中を流す間もドキドキらしくて、時々、鼻の付け根を押さえていたり…。
「うーん…。今日の温度と時間じゃ休眠しないかな?」
元気モリモリって所かな、とソルジャーが何をやらかしたのかは知りませんけど、教頭先生、鼻血がツツーッと。
「す、すびばせん…!」
「いいって、いいって。まだまだ明日も明後日も…ね」
休眠状態になれる温度と時間がバッチリ分かる時まで頑張ろう! とソルジャーは本気。教頭先生に「また明日ね」と手を振った後は、私たちと示し合わせて会長さんの家に戻って…。
「うーん…。やっぱり今日はサカッているねえ…」
寝室で孤独に頑張ってるね、と大きな溜息。
「当たり前だろ、あの状態だと!」
会長さんが怒鳴りましたが、ソルジャーの方は。
「だけど絶対、ある筈なんだよ! 休眠状態になるってヤツが!」
それを見付けてパワーアップ! と闘志満々、これって当分、続くんですよね…?



ソルジャーと教頭先生のお風呂での実験は条件を変えては毎日、毎晩。会長さんも最初の内こそ危機感を抱いて監視していたようなのですけど、まるで危険は無いらしくって。
「平和なものだよ、ハーレイとブルー。昨日も背中を流していただけ」
とある土曜日、会長さんからの定例報告。
「うーん…。休眠状態なんていうのがあるのかなあ?」
イワナじゃなくって人間だけど、とジョミー君。
「さあなあ…。俺もサッパリ見当が付かんが、あったとしてもだ…」
あいつが言うような効果があるのか、とキース君が。
「「「…さあ…?」」」
無いんじゃないの、と言いたい所が本音でしたが、ソルジャーに逆らうと後が怖いと知っているだけに言えません。そしてその夜、会長さんの家でお泊まりだ、と寛いでいると。
「発見したよーっ!」
ついに休眠状態だよ、とソルジャーが瞬間移動で飛び込んで来ました。
「とうとうハーレイがサカらない温度と入浴時間を発見したんだ、これで完璧!」
「間違いないと言えるのかい?」
偶然ってことも…、と会長さんが指摘すると。
「だから明日からデータの裏付け! 毎日これが続くようなら、使えるデータに間違いないよ!」
アソコが眠ってパワーアップをするデータ、とソルジャーは頭から決めてかかって…。



「…あれって結局、どうなったわけ?」
ジョミー君が尋ねた、一週間後の土曜日のこと。会長さんの家に集まってリンゴのシフォンケーキを頬張る私たちに向かって、会長さんが。
「休眠状態をキープしたまま、昨日まで続けていたけどねえ…。これは使えると判断したみたいで、この週末が終わった後はあっちで実践するようだよ」
「すると本気でやらかすつもりか…」
効くんだろうか、と首を捻っているキース君。ソルジャーが実践するのはかまいませんけど、キャプテンは本当にパワーアップをするんでしょうか?
「どうだかねえ…。ぼくが思うに、イワナじゃないから休眠するだけ?」
「「「休眠するだけ?」」」
どういう意味だ、と会長さんの方に視線を向ければ。
「あえて言うなら開店休業? こう、使い物にならないと言うか、何と言うか…」
「それはEDとか言わないか!?」
キース君の叫びに、会長さんが「まあね」と遠い目を。
「でもまあ、ものは考えようだし? 禁欲明けに一発ヤッたら新鮮なのかもしれないからさ…」
それならパワーアップと言える、という話ですが、どうなんでしょう? ソルジャー、わざわざキャプテンをEDにしたと知ったらキレそうです。どうか真実に気付くことなく、禁欲明けを満喫して欲しいものですが…。どうなりますかね、南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏…。




            特別なイワナ・了

※いつもシャングリラ学園を御贔屓下さってありがとうございます。
 卵を生まないイワナは大きくなる、と知ったソルジャーのアイデアでしたけど…。
 実験台にされた教頭先生、EDになっただけのようです。ソルジャーは大満足ですけどね。
 次回は 「第3月曜」 9月16日の更新となります、よろしくです~!

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 こちらでの場外編、8月は、恒例のお盆。スッポンタケの棚経ですけど、今年は…。
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