シャングリラ学園シリーズのアーカイブです。 ハレブル別館も併設しております。
こちらはハーレイ×ブルー作品専用の置き場となっております。
葵アルト様の無料配布本に載せて頂いた作品も、こちらに再録してあります。
ただ、作者はエロが全く書けませんから、全てエロ無し仕様です。
それでもオッケー! という太っ腹な方はどうぞv
※聖痕シリーズのショートは「つれづれシャングリラ」という別サイトにあります。
タイトル一覧の上下のバナーか、こちらから→ショート![]()
タイトルをクリックで本文に飛べますが、『奇跡の青から』のみ長めとなっておりますので
タイトルの横の数字をクリックの方が読みやすいかと思います、はい~。
『泡沫の約束』。 ブルーが欲しいと願ったものは…。
『巡り逢いの扉』。アルタミラ時代のハーレイとブルー。
『キャプテンのランタン』。ハロウィンのお話ですが、17話以降ですので御注意下さい。
『猫キック』。 ハレブルでエロを書こうと修羅場中の方へのエール。阿呆です。
『見るなの扉』。シャン学でお馴染み、葵アルト様シャングリラの「ぶるぅ」の災難。
『奇跡の碧に…』。ブルー生存ネタ。2011年7月28日記念作品。
『奇跡の青から』。<1>・<2>・<3>・<4>・<5(完結)>
『奇跡の碧に…』の続編。ブルー生存EDでございます。
2012年7月28日(土)記念作品。
『奇跡の狭間で』。メギドから生還した後のブルーのお話。2013年7月28日記念作品。
※ここから先は転生ネタ、『聖痕シリーズ』です。ハーレイ先生と14歳ブルーのお話です。
前世の思い出が語られることも…。二人揃って前世の記憶があるというのが強みですv
※ショートは別サイトに置いてあります。→
『聖痕』。転生ネタです。ブルー、14歳の子供です。前世の記憶を持っています。
『君の許へと』。転生ネタの第2弾。メギドの夢を見てしまったブルーは…。
『大きくなりたい』。転生ネタ第3弾。前世に比べて小さすぎる背丈がブルーの悩みです。
『二人一緒に』。転生ネタ第4弾。前世から今までに何度も転生したのか、違うのか…。
『幸せな秘密』。転生ネタ第5弾。ハーレイと再会を果たした直後のブルーのお話。
『素敵な思い付き』。転生ネタ第6弾。ハーレイと食事に行きたいブルーですが…。
『懐かしい味』。転生ネタ第7弾。ブルーだけのためにハーレイが作る、懐かしい味。
『小さなベッド』。転生ネタ第8弾。ブルーのベッド。一人で眠るには充分ですけど…。
『初めての訪問』。転生ネタ第9弾。ハーレイの家へ初めて出掛けた時のブルーのお話。
『聖痕を抱く者』。転生ネタ第10弾。ハーレイがブルーの側に居られる理由は…。
『雨の降る日に』。転生ネタ第11弾。ブルーの心配事。休日のハーレイを束縛する自分。
『猫でもいいから』。転生ネタ第12弾。ハーレイの側で暮らせる猫になりたいブルー。
『恋する十四歳』。転生ネタ第13弾。ハーレイと堂々と恋人同士がブルーの夢ですが…。
『聞こえる幸せ』。転生ネタ第14弾。虚弱な身体のブルーですけど、要らない補聴器。
『守られる者』。転生ネタ第15弾。今度は守られる立場のブルーと守りたいハーレイ。
『小さな印』。転生ネタ第16弾。前世の自分の背丈の印をクローゼットに書くブルー。
『時の無い場所で』。第17弾。ハーレイとブルー、生まれ変わる前に二人が居た場所。
『伸びない背丈』。第18弾。身体測定を控えて、沢山食べようと頑張るブルーですが…。
『木漏れ日の下で』。第19弾。ハーレイが作ってくれた、ブルーのお気に入りの場所。
『羨ましいお酒』。第20弾。ハーレイと酒を酌み交わせる、自分の父が羨ましいブルー。
『遠い愛の記録』。第21弾。キャプテン・ハーレイの航宙日誌に隠された、二人の記録。
『前と違う声』。第22弾。声変わりしていないブルーの声。ハーレイの耳に、その声は?
『大切な誕生日』。第23弾。ハーレイとブルー、それぞれが地球に生まれて来た日は…。
『白い羽根ペン』。第24弾。ハーレイの誕生日に羽根ペンを贈りたいブルーですけど…。
『奇跡の始まり』。第25弾。ブルーの十四歳の誕生日。その日から始まった奇跡の数々。
『夏に着る物』。第26弾。ハーレイが初めて着て来た半袖。胸を躍らせる小さなブルー。
『君の好きな世界』。第27弾。水泳が得意な今のハーレイ。水に憧れるブルーですが…。
『貰いたいキス』。第28弾。唇へのキスが欲しいブルーですけど、貰えるでしょうか?
『催涙雨』。第29弾。授業で七夕を習ったブルー。ハーレイと天の川で隔てられたら…?
『木彫りのウサギ』。第30弾。キャプテン・ハーレイの木彫りのウサギ。今は博物館に。
『マーマレード』。第31弾。ハーレイに貰ったマーマレード。それは特別な贈り物で…。
『ぼくが生まれた日』。第32弾。ブルーが地球の上に生まれて来た日に、ハーレイは…?
『ハーレイの車』。第33弾。ハーレイの愛車。ハーレイがその色の車を選んだ理由は…。
『慟哭の追憶』。第34弾。ハーレイが買ったソルジャー・ブルーの写真集。最終章は…。
『パウンドケーキ』。第35弾。ハーレイが大好きなパウンドケーキ。おふくろの味です。
『君のための椅子』。第36弾。いつもハーレイが座る椅子。ブルーの部屋の大切な家具。
『必要だった時間』。第37弾。前世の記憶を取り戻すまでに流れた時間も、きっと大切。
『星空の下で』。第38弾。夏の夜、庭で二人きりの食事。ハーレイ先生の課外授業です。
『夜明けを見たい』。第39弾。シャングリラでは見られなかった夜明け。それを二人で。
『天使の梯子』。第40弾。雲間からの光、天使の梯子。今のブルーは空を飛べなくて…。
『甘やかされる手』。第41弾。手袋で隠れていた前のブルーの手。今のブルーの手は…。
『追憶の夜』。第42弾。前のブルーの写真集と一緒に飲むハーレイ。忘れられない恋人。
『お揃いの上着』。第43弾。ソルジャーの上着とキャプテンの上着。お揃いだった意匠。
『右目へのキス』。第44弾。前の生の最後に撃たれた右目。キスで温めて欲しいブルー。
『夢のような朝』。第45弾。ハーレイの家にブルーが瞬間移動をした日の朝。夢の光景。
『白い猫の写真』。第46弾。ハーレイよりも後に生まれて来たブルー。小さくても幸せ。
『ぼくを運んで』。第47弾。前の生でハーレイがブルーを運んだ方法。その運び方は…。
『言い訳の雫』。第48弾。前のハーレイとブルーの秘めごと。お互いを誘う言葉の約束。
『好き嫌いを探しに』。第49弾。好き嫌いが無いブルーとハーレイ。前の生の食事は…。
『悪夢から救う者』。第50弾。前の生の悪夢を見てしまった時。夢で救って欲しい恋人。
『憧れのコーヒー』。第51弾。ブルーの舌には苦すぎるコーヒー。前の生でも同様で…。
『身体の目印』。第52弾。今のブルーの身体。前の身体と同じだと分かる目印などは…?
『薬指の指輪』。第53弾。前のブルーとハーレイの左手。薬指に嵌める指輪は無くて…。
『暖かなパジャマ』。第54弾。前のブルーが眠る時。何を纏っていたのか、それが問題。
『相合傘』。第55弾。傘を忘れて来てしまったブルー。雨が降り始めて困っていたら…。
『貰った幸せ』。第56弾。前のハーレイから幸せを沢山貰ったブルー。今度の生では…。
『ゆりかごの歌』。第57弾。ブルーが好きな「ゆりかごの歌」。前の生でも聞いた歌声。
『青い海のボート』。第58弾。ブルーが幼かった頃に見たシャングリラ。その正体は…。
『恋文』。第59弾。ハーレイの授業で習った遠い昔の恋文。ブルーも興味津々ですが…。
『写真が欲しくて』。第60弾。前のハーレイの写真集を買いに、書店に出掛けたブルー。
『二人の記念写真』。第61弾。ハーレイとブルー、夏休みの最後の日に写した記念写真。
『無くなった欠片』。第62弾。前のブルーも綺麗好き。形見さえも残らなかったほどに。
『アイスクリーム』。第63弾。前のブルーがハーレイと交わした約束。それは今でも…。
『呪われた背丈』。第64弾。ザルを被ると背が伸びないという言い伝え。ブルーの背は?
『メデューサの目』。第65弾。ミュウの制服には必ずついていた赤い石。その意味は…。
『ミントの記憶』。第66弾。ブルーが見付けたミントのキャンディー。幸せな味の記憶。
『目覚まし時計』。第67弾。ハーレイの声で起きたいな、と夢見るブルーですけれど…。
『夢だった救命艇』。第68弾。前のブルーが欲しかった救命艇。シャングリラにも、と。
『宿題』。第69弾。ハーレイが書いた字が欲しくなったブルー、宿題を相手に悪戦苦闘。
『幸せのクローバー』。第70弾。前のブルーとハーレイが探した四つ葉。幸せの証は…。
『見ていない地球』。第71弾。地球に生まれたのに、ブルーは宇宙から見ていなくて…。
『スカボローフェア』。第72弾。前のブルーが作った奇跡のシャツ。古い恋歌の通りに。
『フォトフレーム』。第73弾。夏休みの記念写真のフォトフレームには、幸せな秘密が。
『サクランボ』。第74弾。シャングリラにあったサクランボ。赤い実とキスの思い出と。
『おまじない』。第75弾。夢で未来の夫に会えるおまじない。ブルーの夢に来た人は…。
『幸運な忘れ物』。第76弾。財布を忘れてしまったブルー。昼御飯用のお金も無くて…。
『羽織ってみた上着』。第77弾。前のブルーが借りて羽織っていた、キャプテンの上着。
『似顔絵』。第78弾。ハーレイの写真が無かった頃。ブルーが挑んだ似顔絵の出来は…。
『時の有る場所で』。第79弾。ブルーが地球に生まれて来る時。ハーレイにも予感が…?
『かくれんぼ』。第80弾。前のブルーが何処にいても、探し出せたハーレイ。今度は…?
『スズランの花束』。第81弾。五月一日はスズランの花束を贈り合う日。その習慣は…。
『ホットケーキ』。第82弾。前のブルーも大好きだったホットケーキ。地球を夢見て…。
『研修の夜』。第83弾。前のブルーの写真集を持って、研修旅行へ。その夜のハーレイ。
『風邪を引いたら』。第84弾。風邪を引いたブルーに、ハーレイが作ったスープとお粥。
『虹の橋のたもと』。第85弾。ナスカで虹を追い掛けて歩いたハーレイ。宝物を探しに。
『青い鳥』。第86弾。窓ガラスにぶつかった青い鳥。前のブルーが欲しかった幸せの鳥。
『美味しさの秘密』。第87弾。ハーレイがブルーに作るスープ。美味しすぎる理由は…。
『朝御飯の場所』。第88弾。前のハーレイと朝食を食べていたブルー。いつも青の間で。
『時計と時間』。第89弾。前のハーレイが死んだ時間は謎のまま。前のブルーの方は…。
『二本の歯ブラシ』。第90弾。青の間にあったハーレイの歯ブラシ。ブルーのと並んで。
『店じまいの季節』。第91弾。秋が深まったら、庭のテーブルと椅子でお茶は無理かも。
『栗の思い出』。第92弾。シャングリラの栗は危険防止にトゲ無し。発案者のゼルは…。
『幸せなカップ』。第93弾。ハーレイが使っていたカップ。後片付けをしたブルーは…。
『秋に着る物』。第94弾。ハーレイが着て来た長袖のシャツ。ブルーが馴染んだ半袖は?
『贅沢だった卵』。第95弾。シャングリラでは貴重品だった時期がある卵。その卵は…。
『温かい右手』。第96弾。右手が冷えるとブルーを襲うメギドの悪夢。それを防ぐには?
『天気雨』。第97弾。晴れた空から雨が降ってくる、狐の嫁入り。狐が羨ましいブルー。
『チョコレート』。第98弾。ハーレイが買って来たキャロブ。それはシャングリラの…。
『食べたい豚汁』。第99弾。ハーレイ御自慢の美味しい豚汁。ブルーが食べる方法は…?
『落とし物の星座』。第100弾。ブルーの部屋の床にハーレイの落とし物。瑠璃色のペン。
101話以降の目次は、こちら→目次その2![]()
こちらからも行けます→http://bluemarmaria.kyotolog.net/Entry/580/![]()
301話目以降の目次は、こちら→http://bluemarmaria.kyotolog.net/Entry/820/
401話目以降の目次は、こちら→http://bluemarmaria.kyotolog.net/Entry/951/
501話目以降の目次は、こちら→https://bluemarmaria.kyotolog.net/Entry/1075/
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11月27日、御礼ショートショート入れ替えしました!![]()
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悪戯小僧もついに5歳になりました!
今年もクリスマス・シーズンがやって来た。ミュウたちが住む宇宙船のシャングリラもアタラクシアの街も華やいだ空気に包み込まれて、イルミネーションが煌めいている。お出掛けとグルメ大好き「そるじゃぁ・ぶるぅ」には心浮き立つ季節だった。
大好きなソルジャー・ブルーに貰ったお小遣いで食べ歩きをして、シャングリラでは悪戯とカラオケ三昧。キャプテンのお小言も右から左に聞き流している毎日だけれど。
「んーと…。今年は何にしようかな?」
シャングリラの公園に聳え立つクリスマス・ツリーを見上げて「そるじゃぁ・ぶるぅ」は悩んでいた。
美しく飾り付けられた大きなツリーの他に、もう1本のツリーがある。そちらは人の背丈より少しだけ高く、置かれているのは公園の入口。オーナメントと一緒に幾つものカードが下がっているのが特徴だ。
ツリーを飾るのは「お願いカード」。クリスマスに欲しいものと自分の名前を書いて吊るしておけば、クリスマス・イブの夜にサンタクロースがそれを届けに来てくれる。
サンタクロースは子供限定だが、大人の場合は意中の人のカードを持ち去り、プレゼントを贈ろうという男女が多数。色恋沙汰には無縁の人でもカードを書けば係のクルーが回収してくれ、クリスマス・パーティーの日にプレゼントが貰えるという仕組みなのだから、カードは増える一方で…。
「去年は凄いお願いが叶ったもんね! 今年もよく考えて書かなくちゃ」
去年、「そるじゃぁ・ぶるぅ」がカードに書いたのは「お誕生日に劇場が満員になって、紫の薔薇の人も来てくれますように」という欲張りなもの。リサイタルを開催するだけではなく満員を希望、更に劇場には姿を見せない「紫の薔薇の人」ことソルジャー・ブルーを呼び出そうとは厚かましい。
案の定、お願いカードは無視された。拗ねてフテ寝をしていたクリスマスだったが、なんと願いは一ヶ月遅れで叶ったのだ。味を占めた「そるじゃぁ・ぶるぅ」の夢が膨らむのも無理はなかった。
「んーと、んーと…。ちょっと悪戯してこようかな? 考えすぎて頭が痛くなっちゃった」
リフレッシュするには悪戯に限る、とスキップしてゆく悪戯小僧。こんな悪い子の所にもサンタクロースは来るのだろうか…?
悪戯を繰り返していた「そるじゃぁ・ぶるぅ」が青の間に呼び出されたのは数日後のこと。
毎日顔を見せているのに呼び出しとくれば穏やかではない。ちょっと悪戯が過ぎたかも、と反省したのかしないのか…。とにかく「そるじゃぁ・ぶるぅ」は青の間へヒョイとテレポートした。
「かみお~ん♪ 呼んだ?」
「ああ。…少し聞きたいことがあってね」
青の間の主がコタツで穏やかに微笑んでいる。この静謐な部屋に似合わないそれを最初に持ち込んだのは「そるじゃぁ・ぶるぅ」だ。ブルーは気に入ってくれたらしくて、以来、コタツは冬の青の間の定番となった。それが嬉しくて「そるじゃぁ・ぶるぅ」は毎年新しいコタツ布団を買いに行っては届けていたり…。
ブルーはコタツの上に置かれた「そるじゃぁ・ぶるぅ」専用湯呑みに昆布茶を注いで差し出しながら。
「ぶるぅ、お願いカードを書いただろう? あれはどういう意味なんだい?」
「え? えっと、えっとね、そのまんまだよ!」
「ミュウと人類が仲良くなれますように…って?」
「うん! ぼく、頑張って考えたんだ!」
凄いでしょ、と「そるじゃぁ・ぶるぅ」は胸を張った。
「だってね、サンタクロースは宇宙に一人しかいないんでしょ? ミュウのサンタクロースと人類のサンタクロースが別々にいるってことはないよね?」
「あ、ああ…。それは無いだろうが…」
「だからお願いするんだよ。プレゼントを配るついでにお手紙とか配ってくれたらいいな、って! 大きくなったらミュウと仲良くしましょうね、って。そしたらブルーの夢が叶うし、地球にも自由に行けるようになるし」
「…そうだったのか…。いい考えかもしれないけれど…」
難しいよ、とブルーは小さな溜息をつく。
「人類の世界には色々あってね。14歳になった子供には成人検査というものがある。…その時に記憶を書き換えちゃうから、サンタクロースに貰った手紙のことは忘れて大人になるんじゃないかな」
「そうなの?」
目を丸くする「そるじゃぁ・ぶるぅ」は人類側の世界の仕組みを理解するには幼すぎた。マザー・システムのことも漠然と「ミュウの敵」と認識している程度だ。もちろん成人検査については単なる通過儀礼としか思っておらず。
「じゃあ、サンタさんにお願いする! パパとママにもお手紙を見せるようにって書いといてね、って! それならきっと大丈夫でしょ? サンタさんの言うことだったらパパとママだって聞いてくれるよ」
「おやおや。…そんなに書いたらカードから文字がはみ出しちゃうよ? それにサンタクロースは忙しいんだ。子供たちに手紙を書いたりしている時間は無いんじゃないかな。プレゼントの用意で大変そうだし」
「そっかぁ…。来年のクリスマスには間に合うように一年かけて手紙の準備をお願いします、って付け加えたら長すぎてカードからはみ出しちゃうし、どうしよう…。あっ、そうだ!」
いいことを思い付いた、といった様子で「そるじゃぁ・ぶるぅ」はニッコリ笑った。
「お願いカードを書き換えてくる! お話があるから会って下さい、って」
「えっ?」
「直接お願いするんだよ。そしたら色々相談できるし、サンタさんにも名案があるかも!」
行ってくるね、と「そるじゃぁ・ぶるぅ」はテレポートして消えてしまった。そしてツリーには「お話したいから会って下さい」というカードが吊るされたのである。
「…ソルジャー。あれをどうなさるので?」
ハーレイが青の間を尋ねて来たのは翌日のこと。ブルーは眉間に皺を刻んだキャプテンに昆布茶を勧め、コタツに入るよう促した。甘い物が苦手なハーレイに用意されるお茶受けは塩煎餅だ。
「あれって、お願いカードのことかい?」
「もちろんです。…ぶるぅが妙なカードを吊るしたのを見て、他の子供たちも真似しています。サンタクロースに会いたいなどと書かれても非常に困るのですが…」
「そうだろうねえ。子供たちにプレゼントを配っているのは保育部だし。…ぶるぅだけはカンが鋭いから、万一に備えて君にサンタ役をお願いしているわけだけど…。子供たち全員の部屋にプレゼントを配るというのはやっぱり嫌かな?」
「配るのは別に構いません。問題は面会を求められても応じられないという点でして…」
サンタクロースに面会希望は有り得ません、とハーレイは苦い顔をした。
「良い子にプレゼントを届けてくれるサンタクロースは子供時代の暖かな夢です。姿を見せてくれないからこそ、夢も希望も膨らむのです。…たとえ正体がバレないように細工が可能だったとしても、子供たちがサンタクロースに会うというのは反則でしょう。エラたちも同じ意見です」
「分かっている。サンタクロースの姿をチラッと見せてあげるだけならロマンがあっていいんだけどね、ぶるぅの場合は会いたいというだけじゃない。とんでもない夢を持っているから対処しようとは思っていた」
「対処…ですか?」
「うん。…子供たちがサンタに会いたいと口にしていたら、こう言うんだよ」
ブルーがハーレイに教えた策は素晴らしかった。
青の間を後にしたハーレイは早速それを保育部に伝え、アッと言う間に子供たちの間に広がっていって……その日の夜には子供たちのお願いカードは全て書き換えられていた。もちろん「そるじゃぁ・ぶるぅ」が吊るしたカードも書き換え済みで、それを確かめたキャプテンの眉間の皺が浅くなったのは言うまでもない。
そしてシャングリラにクリスマス・イブがやって来た。御馳走が用意され、賑やかなパーティーが繰り広げられて、子供たちも大人も大満足。悪戯好きの「そるじゃぁ・ぶるぅ」もこの日ばかりはサンタクロースに「良い子です」とアピールするために悪戯しないし、平和な内に夜は更けて…。
「では、ソルジャー。行ってきます」
青の間に現れたハーレイはサンタクロースに扮していた。大きな袋には長老たちから預かって来た「そるじゃぁ・ぶるぅ」へのプレゼント。ブルーからもプレゼントを預かり、袋に入れて出発だ。
照明が落とされた通路を歩き、目指すは「そるじゃぁ・ぶるぅ」の部屋。すれ違った夜勤のクルーに「ご苦労様です」と労われながら辿り着いた部屋の扉を開けて踏み込んだ途端。
「うわっ!?」
クイッと足が何かに引っ掛かり、ガシャーン! と落ちて来た鉄製の檻。同時にガランガランと鳴り響く鐘だか鈴だかの大きな音。…ハーレイは罠にかかったのだ。サンタクロース捕獲用の。
「かみお~ん♪」
常夜灯だけが灯された部屋の奥の土鍋から「そるじゃぁ・ぶるぅ」が飛び出してきた。
「やったあ! サンタさん、ぼくのお話、聞いて!」
マズイ、とハーレイは青ざめたが…。
「…危ない所だったね、ハーレイ」
クスクスクス…とブルーが笑っている。
ここは青の間。ハーレイはコタツの脇に放心したように座り込んでいた。サンタクロースの衣装はそのまま、袋の中には届け損なったプレゼントが。
「ぶるぅはやっぱり諦め切れていなかったか…。あれも悪戯と取るべきなのかな?」
「…悪戯です! サンタクロースを捕まえるなど…」
「でも、本人は真剣だったみたいだよ? おんおん泣いて後悔している」
「当然でしょう!」
約束を守らないからです、とハーレイは拳を握り締めた。
「ソルジャーが助けて下さらなかったら正体がバレていたのですよ? そうなれば来年からプレゼントは無しです。そっちに転ばなかっただけでも、ぶるぅには感謝して貰いませんと…」
「まあね。しっかり懲りているようだから、二度とやったりしないだろうが…。サンタクロースを捕まえてまで頼みたかったことがミュウと人類の和解というのが可哀想と言えば可哀想かな」
「は…?」
「そうか、誰にも話していなかったっけ。…ぶるぅはミュウにも人類にも等しくプレゼントを配ってくれるサンタクロースにお願いするつもりだったんだ。ミュウと人類が仲良くなれるよう、力を貸して下さい…ってね」
叶わないと分かっているからサンタクロースには会わせられなかった、と儚い笑みを浮かべるブルーに、ハーレイの胸が微かに痛む。
「そうでしたか…。それは可哀想なことをしましたね…」
「いいんだよ。ぶるぅがガッカリしないようにと策を講じたのに、あの罠だろう? 悪戯小僧にサンタクロースは来ないってことを悟ればいいさ」
たまには罰も必要だ、と呟いてブルーはミカンに手を伸ばした。
その頃、「そるじゃぁ・ぶるぅ」の部屋では泣きじゃくっている子供が一人。言わずと知れた「そるじゃぁ・ぶるぅ」だ。
「うわぁぁぁん、サンタさん、ごめんなさい~っ! もうやらないから帰ってきてよう~!」
サンタクロースを閉じ込める筈の鉄製の檻は空っぽだった。プレゼントの代わりに転がっているのは引っくり返った折詰の箱。蓋も吹っ飛び、焼き鳥の串や巻き寿司などが床に撒き散らされている。
「ごめんなさい、ごめんなさいってば~! サンタさぁ~ん!」
わんわんと泣き喚く「そるじゃぁ・ぶるぅ」が目にしたものは夢が現実に変わる瞬間。
クリスマス前に子供たちの間で囁かれていた噂のとおり、サンタクロースは消えてしまった。「サンタクロースに会いたいです」という願いを書いた子供たちが大人に諭され、真顔で教えられた話はこうだ。
『決してサンタクロースを見てはならない。もしもコッソリ見ようとすれば、サンタクロースは酔っ払いのおじさんに化けてしまって、プレゼントも酔っ払いが提げているお土産になってしまうのだ』と。
たかが噂だと思っていたのに、まさか本当だったとは…。
罠で捕まえたサンタクロースは目の前でヘベレケに酔った年配の男に変わってしまい、そのままドロンと姿を消した。残されたものは酔っ払いが両手に提げていた折詰だけだという始末。
「うわぁぁぁん、ごめんなさい、ごめんなさい~っ!」
おんおん泣いて泣き疲れてもサンタクロースは二度と帰って来なかった。
それはそうだろう、サンタクロースの扮装をしていたハーレイはとっくに自室のベッドで夢の中。サンタクロースがハーレイだとバレないようにサイオニック・ドリームを使った上に青の間までテレポートで逃がし、プレゼントを折詰と入れ替えてしまったブルーの方もぐっすり眠っているのだから…。
泣きながら土鍋の寝床にもぐり込んだ「そるじゃぁ・ぶるぅ」の誕生日の朝は最悪だった。
例年ならばサンタクロースが届けてくれたプレゼントが沢山あって幸せなのだが、今年は違う。悪い夢だと思いたいのに床には折詰の箱が転がり、焼き鳥の串や巻き寿司が散らばったままだ。
「どうしよう…。サンタさん、帰ってこなかったよう…」
しくしく泣いていた「そるじゃぁ・ぶるぅ」にフワリと優しい思念波が届く。
『ぶるぅ、青の間に来てごらん。…おや、泣いてるのかい? どうかした?』
「ううん、なんでもない!」
言えない。サンタクロースに逃げられたなんて、ブルーには絶対知られたくない。そんな格好悪いこと、と「そるじゃぁ・ぶるぅ」は涙を拭って青の間へテレポートしたのだが…。
「ぶるぅ、サンタクロースに悪戯したね?」
「えっ、なんで…なんでブルーが知ってるの!?」
「目を覚ましたらプレゼントが置いてあったんだ。ぼくは大人なのにおかしいな、と思って見たら手紙があった。…ほらね」
ブルーが差し出した紙にはこう書いてあった。
『そるじゃぁ・ぶるぅ君へ。君の罠にはビックリしたよ。姿を見せてはいけないからね、急いで逃げたというわけだ。でも、君が私に会いたがったのは我儘や好奇心からではないらしい。だからプレゼントは君の大好きなブルーの所に預けておくよ。サンタクロースより』
「……サンタさんだ……」
ぼくのこと分かってくれたんだ、と「そるじゃぁ・ぶるぅ」は手紙を書いたのがブルーとも知らずに大喜びで跳ね回る。サンタクロースを罠にかけたことがブルーにバレたのは恥ずかしいけれど、どうして会いたいと思ったのかはブルーも分かっている筈だから。
「わーい、サンタさんのプレゼントだぁ! 開けていい?」
「かまわないけど…。サンタクロースに悪戯したのはどうかと思うよ」
ちゃんと反省した方がいい、とブルーの手が伸びて「そるじゃぁ・ぶるぅ」の小さな頭をクシャリと撫でる。
「理由がどうあれ、やってはいけないことというのはあるんだよ。…お前も今日で5歳だろう? そろそろ覚えておかないとね。来年もまたサンタクロースに来てほしかったら」
「う、うん…。ごめんなさい、って思ってる…」
「じゃあ、プレゼントは無事に返ってきてくれたんだし、ぼくからの誕生日プレゼントは反省文を書くまで無しにしておこう」
「えぇっ!?」
そんなの酷い、と「そるじゃぁ・ぶるぅ」はまた泣きそうになったのだが。
『『『ハッピー・バースデー、そるじゃぁ・ぶるぅ!!!』』』
艦内に響き渡ったシャングリラ中からのお祝いの思念に涙はたちまち吹っ飛んだ。
クリスマスの日は「そるじゃぁ・ぶるぅ」の誕生日。クリスマス・イブに続いてシャングリラはお祭り気分で湧き返る。
「ほら、ぶるぅ。ケーキの用意が出来てるようだよ、御馳走もね」
行っておいで、とブルーに言われて「そるじゃぁ・ぶるぅ」は駆け出した。目指すはパーティー会場になる公園だ。テレポートすら忘れてしまう勢いというのが微笑ましい。
「ブルーも来てね! ぼく、先に行って待ってるからね!」
ケーキの蝋燭を一緒に消そうね、と走り去ってゆく悪戯っ子をブルーはとても愛おしそうに瞳を細めて見送った。
ミュウと人類を仲良くさせようとして頑張っていた悪戯小僧。サンタクロースを罠にかけるのは褒められたようなものではないが、そうなるに至った思い付きだけは素晴らしくて…。
「…反省文なんて要らないよ、ぶるぅ」
言ってみただけさ、とブルーは微笑む。
「お前なら……いつかミュウと人類が仲良くなる日をその目で見られるかもしれないね。元気に地球まで行くんだよ、ぶるぅ。…ぼくの分もね」
ベッドの下に隠してあった誕生日プレゼントを取り出して抱え、公園に先回りしてテレポートした。そこへ駆け込んで来た「そるじゃぁ・ぶるぅ」はアッと驚き、踊り上がってピョンピョン跳ねて…。
「ぶるぅ、誕生日おめでとう。…はい、プレゼント」
「えっ、ぼく、まだ…」
反省文を、と言おうとした口をブルーの指がスッと塞いだ。
『サンタクロースに逃げられました、なんてカッコ悪いことは内緒にね。反省文も書かなくていいよ』
だって、お前の誕生日だもの…、と「そるじゃぁ・ぶるぅ」にだけ届く思念波でブルーが告げる。そして今度は公園に集まった仲間たちに向けて。
「ぶるぅの誕生日を祝ってくれてありがとう。ぶるぅも今日で5歳になった。まだまだ迷惑をかけると思うけど、よろしく頼むよ」
「「「はい、ソルジャー!!!」」」
分かりました、と皆が答えてハッピー・バースデーの合唱が始まった。
夢中でブルーからのプレゼントを開けていた「そるじゃぁ・ぶるぅ」が歓声を上げて取り出したのは黄色いアヒルの形の浮き輪。空気を入れれば青の間の水面にプカプカ浮かぶことだろう。
「わーい、アヒルちゃんだぁ! 小さいアヒルが後ろに沢山くっついてる!」
アヒルちゃんの行列だぁ、と飛び跳ねている「そるじゃぁ・ぶるぅ」はサンタクロース捕獲作戦もその失敗も綺麗に忘れてしまったようだ。
大きなケーキが運び込まれてバースデーパーティーの幕が開く。悪戯っ子が頑張り過ぎたクリスマス・イブの夜の騒ぎはブルーとハーレイの胸にだけ…。
「そるじゃぁ・ぶるぅ」、5歳の誕生日おめでとう!