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シャングリラ学園シリーズのアーカイブです。 ハレブル別館も併設しております。

マザー、教育補佐として「そるじゃぁ・ぶるぅ」を教育するよう特命を受けてしまいました。『愛と正義の美少女戦士セーラームーン』になった覚えはないのですけど、教育的指導を発動させるのに必要とあらばポーズくらいは…。

「お札の効力はあったようだね」
ソルジャー直々にお説教をくらった「そるじゃぁ・ぶるぅ」は外から帰ったらウガイ手洗いをするようになりました。ヒルマン教授にご報告すると嬉しそうです。
「では、今日は噛み癖を直していこう。幸い…といってはなんだが、ぶるぅは誰彼かまわず噛むから、日に8回は確実に誰かを噛んでいる。仏の顔も3度まで。…そういうわけで2枚目のお札だ」
私はソルジャー直筆の『南無阿弥陀仏』のお札を受け取り、「そるじゃぁ・ぶるぅ」の部屋に向かいました。

「ぼくのアヒルちゃんに触れるなぁぁぁ!!!」
扉を開けるなり目に入ったのは、お掃除隊の男性が噛まれる姿でした。お掃除隊は主に女性ですけど、男性だって何人かいます。「そるじゃぁ・ぶるぅ」は凶暴なので、ここの掃除は男性の仕事。
「噛んじゃいけませんっ!!」
プイッ。「そるじゃぁ・ぶるぅ」は知らんぷりです。男性は「馴れているから大丈夫だ」と救急キットで手当てを済ませてトイレ掃除を始めました。『アヒルちゃん』はオモチャじゃなかったんですね。
「…入ろうかな、と思った時にぼくが掃除に来ちゃったみたいで。よくあるんです」
手早く掃除を終えた男性が「できましたよ」と声をかけて帰っていくと「そるじゃぁ・ぶるぅ」はそそくさとトイレに入って戸を閉めました。またろくでもない悪戯を考えているのでしょう。
「ヒルマン教授のご命令を伝えます。今日は「噛まない練習」の日!…今のは数に入れませんけど、これ以後は全部カウントします。誰も噛まないのが一番ですが、絶対無理だと思うので…仏の顔も3度まで。3人目まで目をつぶりましょう。でも4人目に噛み付いた時は、教育的指導をいたしますっ!!」
「……努力しよう……」
先日のでよほど懲りているのか、しおらしい答えが返ってきました。ええ、ぜひ努力して下さい。

これで少しは噛まなくなるかと思ったのですが、癖というのはそう簡単に直るものでもないらしく。ベッド代わりの土鍋を洗うために回収に来た厨房の男性2人が、ちょうど眠気をもよおしていたらしい「そるじゃぁ・ぶるぅ」の機嫌を損ねて噛まれました。一気に被害者2名です。
「噛むなって言ったはずですよね!?…2人も一度に噛むなんて!」
「…寝床がなくなると思ったんだ…」
「いつも洗って下さるでしょう!…その間くらいよそで寝なさい!ちゃんとベッドがあるんですからっ!!」
プイッ。…「そるじゃぁ・ぶるぅ」はベッドに入って昼寝を始めてしまいました。この調子ではじきに3人目が…。
「噛まれたーっ!!!」
こだました悲鳴はシャングリラに来てまだ日の浅いミュウでした。現在ミュウについて教育中で「そるじゃぁ・ぶるぅ」に興味があるのか、しばしば遊びに来ているようです。今もベッドで昼寝中のところを撫でようとしてガブリとやられてしまいました。「そるじゃぁ・ぶるぅ」は「しまった」という顔をしたものの、またゴソゴソとベッドの中に。
「今のは数えますからね!…これで3人!次に噛み付いたら許しませんから!!!」
噛まれたミュウ(かわいそうに女性ですよ?)の手当てをしながら叫びましたが、どうなることやら。

やがて土鍋が厨房から適温に温められて返ってきました。「そるじゃぁ・ぶるぅ」はベッドから土鍋に移動し、中に入ってまるくなります。そこへさっき噛まれた女性が「今日のカリキュラムは終わったので」とやって来ました。
「あっ!かわいい~っ!!」
そうでしょう、そうでしょう。『ぶるぅ鍋』を提案した私も嬉しいです…って、あ、今、うかつに触っては…!
「噛まれたーーーっっっ!!!」
寝起きの悪さは天下一品の「そるじゃぁ・ぶるぅ」。移動したてだったので尚更です。女性は悲鳴を上げて飛び出していき、噛み付いた「そるじゃぁ・ぶるぅ」の方も「やってしまった」と後悔しているようですが。
「…噛まない練習、って言いましたよね。仏の顔も3度まで…」
ちょっと可哀相かな、と思いましたけど、「噛み癖を直していこう」がヒルマン教授のご命令です。『南無阿弥陀仏』のお札を取り出し、ビシィと背中に貼り付けました。
「月に代わっておしおきよ!!!」
私がセリフを決めると同時に「そるじゃぁ・ぶるぅ」は土鍋の中に片足で立ち、もう片方の足を真っすぐ後ろに伸ばした姿で硬直しました。両腕の位置も申し分ない、とても見事なアラベスク。そう、バレエのポーズのアラベスクです。昨日も同じ格好でしたが、ソルジャー・ブルー様のご趣味でしょうか?…そして「そるじゃぁ・ぶるぅ」の頭の中にはソルジャー・ブルー様のお説教の思念が今日も15分間、流れたようです。

マザー、「そるじゃぁ・ぶるぅ」教育プロジェクトは第二弾も無事に終了しました。少しは懲りるといいのですけど。それにしても、お札を発動させる決めゼリフとポーズはいったい誰の発案でしょう?…気になってヒルマン教授にお尋ねしたら、意外にもブラウ様でした。子供の頃にセーラームーンがお好きだったということです。キャプテンなのかと思ってました、と口にしたところ興味深い答えをいただいたのでお伝えします。
「ハーレイの蔵書は素晴らしい。セーラームーンのアニメコミックまで揃っているのを見かけたからね」




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マザー、教育者補佐になりました。上司はヒルマン教授です。ミュウの教育にあたるセクションですが、見習いですから教授のお手伝いが主な仕事でしょうか。今日も資料室にいると、教授のお呼びがかかりました。

「…君に、教育者補佐として頼みたいことがあるのだがね」
お部屋にお伺いすると、穏やかなお顔ながらも真剣なご様子が窺えました。頼み事って何でしょう?
「ぶるぅの教育をして欲しい。もうすぐ1歳になろうというのに誰彼かまわず噛み付く癖も、悪戯好きも直らない。そこでソルジャーがこれを作って下さった」
教授が封筒から取り出されたものは『南無阿弥陀仏』と筆で書かれた「お札」でした。

「これをぶるぅの身体に貼ると、ソルジャー直々に教育的指導が行われる。ただしソルジャーのお身体のこともあるから、お札は全部で3枚だ。長老会で審議した結果、1枚目で札の効力を教え、2枚目は噛み癖、3枚目は悪戯の罰に使うことになった。使うタイミングは「仏の顔も3度まで」。分かるかね?」
「えっと…。3度注意されても聞かなかったら実力行使ってことですか?」
「そのとおりだ。初めは我々が使うつもりだったが、普通の…しかも見習い中のミュウでも油断できないと分かった方がぶるぅの為だと思ってね。もしかしたら今後、自重するかもしれないし」
「はぁ…。それで私ということですか」
「うむ。教育的指導であると明確にするため、決めゼリフとポーズも考えた。台詞が決まるとソルジャーのお説教が思念でぶるぅに流れる仕組みだ。ソルジャーもご理解下さっている」
スクリーンに流れた映像は…。
「これを見ながら練習したまえ。完璧にマスターできたら、まずは1枚目のお札を使おう。教育的指導、第一弾。『外から帰ったらウガイ手洗い』。3度言っても聞かなかったらこれの出番だ」

教授に指示された決めゼリフとポーズをモノにするのに1時間半かかりました。その後『南無阿弥陀仏』のお札を1枚渡され、ポケットに入れて「そるじゃぁ・ぶるぅ」の部屋へ出発です。『南無阿弥陀仏』の文字はソルジャー・ブルー様の直筆と聞きネコババしたい気持ちになりましたけど、我慢我慢。筆もお使いになれるだなんて、ソルジャー・ブルー様は本当になんでもお出来になるのですね。『南無阿弥陀仏』というセンスについては恋する乙女は盲目です。

「あ、キャプテン。…「そるじゃぁ・ぶるぅ」はお出かけ中ですか…」
目的地には『おでかけ』の札が下がっていました。キャプテンが表で待っておいでです。
「もうすぐ戻ってくるだろう。ヒルマンから話は聞いている。まずはウガイと手洗いらしいな」
「はい。あ、戻ってきたようですね」
コンビニの袋を提げてご機嫌の「そるじゃぁ・ぶるぅ」に「外から帰ったらウガイ手洗い」と言ったのですが馬の耳に念仏でした。次の外出から戻った時も口を酸っぱくして注意したのに聞きません。
「ヒルマン教授がおっしゃってます、外から帰ったらウガイ手洗い!…次も聞かなかったら3回目ですよ。仏の顔も3度まで。4回目は許しませんからね。私、教育補佐なんですから!」
「…きみに何が出来る」
プイッ。あ、完全になめられてます。…そして3度目の外出から帰った時もウガイ手洗いは無視されました。
「今、しておかなきゃ後悔すると思うんですけど!次はもうレッドカードですけど!!」
「…好きにしたまえ」
鼻で笑って「そるじゃぁ・ぶるぅ」はアイスを舐め舐め、いそいそ出かけてしまいました。

「…いよいよ4度目、というわけか。何が起こるか見たい気がするが「普通のミュウでも油断できない」ことを印象づけるには私はいない方がいい、とヒルマンに言われているからな…」
キャプテンはそう言ってお帰りになり、扉の前で一人で待ち受けていると「そるじゃぁ・ぶるぅ」がソフトクリームを食べながらスタスタと…。どこまでもアイスが好きなようです。
「外から帰ったらウガイ手洗い!食べ終わったら、すぐにするっ!!」
プイッ。ソフトクリームを食べ終えた「そるじゃぁ・ぶるぅ」はカラオケの練習を始めました。
「かみお~ん♪」
「…レッドカードって言いましたよね。ただの教育補佐ではありますけれど…」
私は『南無阿弥陀仏』のお札を「そるじゃぁ・ぶるぅ」の背中にビシッと貼り付け、練習してきたポーズを決めて…。
「月に代わっておしおきよ!!!」

マザー、「お札の効力を教える」という第一段階は無事クリアしました。お札を貼られた「そるじゃぁ・ぶるぅ」は15分間動けなくなり、脳内にはソルジャー・ブルー様のお説教が流れていたようです。次の任務は「噛み癖を直す」。たった3回で直るものだとは思えませんが、何もしないよりマシでしょう…。




マザー、整備士補佐の職場は上司のゼル機関長に出向させられたまま終了しました。「役立たずのバカ者」なのは分かっていますが、一度くらいは整備士の皆さんと親しくお話したかったです。ゼル機関長の「皆の士気が下がる」とのお言葉で会えなかったのが残念でした。出向先で最後に起こった出来事は…。

「ハーレイ。また、ぶるぅに噛まれてきたのかい?」
「ああ。…やはり熊手で掻くべきだった。だが、かわいそうな気がしてな」
相変わらず「そるじゃぁ・ぶるぅ」は「痒い」を連発する日々です。私は熊手に布を巻いたもので掻いていますが(これだと痛くないですから嫌われません)、キャプテンは「熊手で掻く」のは可哀相だと素手で掻いては、たまに噛まれてお帰りに…。「そるじゃぁ・ぶるぅ」は掻いてもらうよりキャプテンに撫でてほしいのかもしれません。
「キャプテンのあんたがそのザマではねえ。…ぶるぅの方が偉いみたいに思えてくるよ」
あ、そうかも。「そるじゃぁ・ぶるぅ」は外出の度にキャプテンを待たせ、気に入らなければガブリガブリ。悪戯だって止められませんし、シャングリラでソルジャー・ブルー様の次に偉いのは「そるじゃぁ・ぶるぅ」?
「ほら、この子だって今、そう思った。ちょっとまずいんじゃないのかい?」
すみません、キャプテン。思念が漏れていたようです。
「そりゃ、ぶるぅのサイオンはケタ外れだけどねえ…秩序ってヤツは重要だ。あんたがしっかりしてくれないと、シャングリラの士気に関わるよ。…とはいえ、いったいどうしたもんだか」
腕組みをして考え込まれるブラウ様。エラ様とゼル機関長も話に入ってこられました。
「…私も気になっていたのです。けれど、ぶるぅはまだ子供ですし…」
「じゃが、とんでもない悪ガキじゃ!…ハーレイ、ここはガツンと一発」
機関長がおっしゃりたかった言葉は「叱ってやれ」だと思います。ですが、その前に私はうっかり…。
「かますべきですね」
とんでもない言葉を言ってしまいました。

「なんじゃと!?…ガツンと一発かますべき、とはどういう意味じゃ」
直属の上司に大声で聞かれ、私は縮み上がりました。ごまかせそうにはない雰囲気です。
「あ、あの…。子供の時に読んだ昔のマンガにあったんです。飼い犬の秋田犬とリーダーの座を争って…大ケガをしてまで「自分がボスだ」と納得させた人の話が」
「ああ、知ってるわ。『動物のお医者さん』でしょう?」
「さすがエラ殿。思い出すのが早いわい。…その話ならわしも知っとる」
「言われてみればあったねえ。…ハーレイ、あんたも当然、知ってるだろう」
「…うむ…」
あらら。長老方は全員『動物のお医者さん』をご存知でした。もしや爆弾発言をしてしまったのでは…。
「役立たずだと思っておったが、なかなかいいことを言うではないか。見直したわい」
「ぶるぅにガツンと一発、か。…ボス争いってのは悪くないね」
ああぁ、ゼル機関長、それにブラウ様まで!お二人ともまさかキャプテンに…。
「やるんじゃ、ハーレイ。誰が偉いのか分からせるのじゃ!」
「あたしも賛成させてもらうよ。熊手でも平手でも、とにかく一発殴っちまいな!」

エラ様は保留なさいましたが、ゼル機関長とブラウ様はこうと決めたらお譲りにならず。…キャプテンは「そるじゃぁ・ぶるぅ」とボスの座をかけて争うことになってしまいました。あまつさえ、いつの間に誰が連絡したのか「そるじゃぁ・ぶるぅ」の部屋はソルジャー・ブルー様のお力で「サイオンが使えない空間」にされたようです。
「うまい具合に寝ておるわい。叩き起こしてガツンと一発!」
ゼル機関長に背中を押され、キャプテンは「そるじゃぁ・ぶるぅ」が入った土鍋に向かいました。熊手は持っておられません。素手で勝負をなさるようです。サイオンが使えない「そるじゃぁ・ぶるぅ」は体格からしてキャプテンに勝てっこないでしょう。いよいよシャングリラのボスの座をかけた大勝負が…。その時です。
「…自分を信じることから道は開ける…」
土鍋の中の「そるじゃぁ・ぶるぅ」が不意に寝言を言いました。
「…ことの善し悪しは全てが終わってみなければ分からないさ……むにゃむにゃ…」

マザー、キャプテンはご自分を信じることになさったそうです。シャングリラの艦長は自分なのだからボスの座を争う必要は無い、と。ゼル機関長とブラウ様も納得なさいましたが、あのタイミングのいい寝言。「そるじゃぁ・ぶるぅ」の不戦勝に思えないこともありません。だとしたら…恐るべし、「そるじゃぁ・ぶるぅ」。私の不用意な発言のせいで起こりそうになったボス争いが回避されたのは嬉しいですが…。

マザー、出向中の整備士補佐です。今日はキャプテンに「書類の整理を手伝ってくれ」と言われました。まともな仕事は久しぶりとあって、喜んでついて行ったのですが…あれ?この先にあるのはおなじみの…。

「入るぞ、ぶるぅ」
目的地は例の部屋でした。「そるじゃぁ・ぶるぅ」が窓の外を眺めて奇妙なことを呟いています。
「…スキーって美味しいのかな?」
「それは食べられないと思うが」
キャプテンは部屋をひととおり眺め回して、私に「入れ」とおっしゃいました。もしかしてここで書類整理を?…噛まれることはないのでしょうか。救急箱は持っていません。
「ぶるぅを熊手で掻こうとしてから今日で2日目。そうだったな?」
「あ、はい。…嫌われていると思うんですけど」
そう言っていると「そるじゃぁ・ぶるぅ」が振り向いて私を見つめ、プイと横を向いて部屋の奥にある土鍋にもぐりこみました。ごそごそごそ、と身体を丸めてどうやら眠るつもりのようです。土鍋の下には保温用らしきホットカーペットが敷かれてますから、きっと適温なのでしょう。
「嫌うというより警戒している。子供だからすぐに忘れるだろうが、覚えている間にと思ってな。…今ならぶるぅは君が部屋の中で何をしようと手出しはしない。さあ、急いで仕事を済ませよう」

書類整理とは、なんと「そるじゃぁ・ぶるぅ」が書き散らかしたメモ帳の発掘作業でした。およそ「お片付け」とは無縁に見える棚のあちこちに色も形もサイズもバラバラのメモ帳が突っ込まれているのです。『王家の紋章』のコミック全巻も乱雑に突っ込まれていましたが。
「キャプテン、これって日記じゃないんですか?…そんなものを勝手に引っ張り出しては…」
「ぶるぅの依頼だ、心配ない。食べ歩き日記をつけるのはいいが、自分でまとめられないのだ。だからメモ帳がたまってくると「まとめてくれ」と泣きついてくる。今度まとめたら4冊目だな」
「…ショップ調査の成果をまとめるんですか?ミシュランみたいなものでしょうか」
「手っ取り早く言えばそうなる」
メモ帳を発掘し終えたキャプテンは「中を調べて日付の順に並べるように」とおっしゃいました。欠けているものは無いようです。眠っている「そるじゃぁ・ぶるぅ」を起こさないよう、私たちはそっと部屋を出ました。

「助手がいてくれて助かった。いつもは私一人だからな、ぶるぅも邪魔をしてくるし…」
なかなか仕事がはかどらないのだ、とキャプテンは溜息をつかれました。もしかして私、「そるじゃぁ・ぶるぅ除け」の蚊取り線香扱いでした?いえ、お役に立てたならいいんですけど。手帳のまとめ作業も手伝うものだと思っていたら、お部屋に運んだ所で任務終了。まとめ作業はキャプテンがお一人でなさるそうです、しかも手書きで。
「文字を書いていると落ち着くのだ。日誌も手書きだからだろうか、ブラウには古いと笑われている」
いえいえ、とってもいいご趣味です。机の上にはなんと羽ペン。…しかし「そるじゃぁ・ぶるぅ」の食べ歩き日記をまとめて何にするんでしょう?シャングリラ内で出版しても「外の世界に行けない」ミュウには無意味です。
「まとめは手書きで1冊限り。そして目的は献本だ」
「献本?」
「ソルジャーの所にお届けする。それがぶるぅの頼みでもあるし、ソルジャーも楽しみにしておられるようだ」
えぇぇぇ!?…ぶるぅの食べ歩き三昧日記をソルジャー・ブルー様が…?発掘作業中に見た限りでは、かなり幼稚な日記でしたが。たとえば、こんな感じ。
『行列のできるラーメン屋。店主はハゲでゼルにそっくり。ニンニク多めの豚骨がうまい』

マザー、「そるじゃぁ・ぶるぅ」の食べ歩き日記、ソルジャー・ブルー様が何を思ってお読みになるのか分かりません。それを届けたがる「そるじゃぁ・ぶるぅ」の心理も謎です。青の間への『贈り物』の件もありますし、まさか「人類側の食べ物をこっそり味わう」仲間同士じゃない…ですよね…?




マザー、今度は整備士補佐になりました。保守整備は機関部のお仕事なので上司はまたまたゼル様です。前に「役立たず」だと言われましたが、今回はそれで済まないような…。

「新しい整備士補佐と聞いたが、またお前かい!」
着任挨拶にお伺いするとしっかり覚えておいででした。すみません、ゼル機関長。
「ハイオクとレギュラーのことは忘れとらんぞ。お前なんぞに整備されたらシャングリラは即、沈没じゃ!」
「…分かってます。自分でも自信ありません。でも部品を磨く程度なら…」
「いかん、いかん!一切手出しさせんわい。関係者との会話も禁止じゃ。何か起こってからでは手遅れじゃからな、その前に出向してもらおう」
「でも…。「そるじゃぁ・ぶるぅ」の留守番はもう要らないと言われましたが」
「操舵士見習いの時と同じでいいんじゃ!ハーレイに何か仕事をもらってこんかい、バカ者が!!」
役立たずからバカ者に昇格したのか降格なのか、叩き出されてしまいました。とほほほ…また出向です。

「そういうことで出向になりました。キャプテン、よろしくお願いします」
ブリッジで挨拶するとキャプテンは苦笑いしておいででした。何か仕事はあるのでしょうか?
「そうだな…。なんでもいい、というなら無いこともないが」
「このままだとバカ者で終わってしまうんです。何か仕事をいただかないと…」
「では、ぶるぅを掻いてやってくれないか」
「は?」
「そのままの意味だ。ぶるぅが痒いと騒いで困っている。もちろん、シラミの心配はない」
どうやら「そるじゃぁ・ぶるぅ」はまだ痒いと訴えているようです。
「あたしにも「痒い」って言ってたよ」
ブラウ様がおっしゃいました。
「ハーレイ、シラミ騒ぎの時にぶるぅを甘やかしすぎたんじゃないか?あれからずっと痒い、痒いって」
「…それは…。本当に痒そうだったし、遊んでやらないと風呂にもおとなしく入らなかったし」
「ほら、やっぱり。痒いと言ったらかまってくれると思ってるんだよ。可愛いじゃないか。ぶるぅはこの子に掻いてもらうより、あんたに来てほしいんだと思うけどねえ」
「…甘やかすのはためにならない」
ブラウ様は笑っておいででしたが、キャプテンは苦いお顔です。
「だが、放っておくのもかわいそうだ。…ぶるぅが痒がっていたら満足するまで掻いてやってくれると助かる」
「分かりました。じゃあ、さっそく様子を見に行きますね」
これでお仕事ゲットです。私は「そるじゃぁ・ぶるぅ」の部屋へ出かけていきました。

「かみお~ん♪」
部屋を覗くと「そるじゃぁ・ぶるぅ」はカラオケの真っ最中でした。が、私の姿に気付くなり歌は途切れて…。
「痒いんだ」
シラミを貰った時そっくりに「そるじゃぁ・ぶるぅ」は首の後ろを掻きました。
「…だが背中まで掻くには、ぼくの身体は固すぎる。誰かにゆだねなければ…ぼくの首筋、もっと下の方、ぼくの背中を掻ける者。誰か、誰か、誰かぁぁぁぁ!!」
えっと。なんだか芝居がかっていますけど?
「…痒くて痒くてツライんだ…」
あまり本当とは思えませんが、キャプテンのご命令でもありますし…。
「痒いっていうのはこの辺ですか?」
背中の真ん中あたりを掻いた途端にガブリと右手を噛まれました。
「触れると火傷するよ」
いたたた…。やはり遊ばれているようです。こんなこともあろうかと用意してきた救急箱で応急手当。ここで引き下がっては、出向先でも無能のレッテルを貼られますから。私は秘密兵器を取り出しました。
「そういうことなら、これで掻きます」
庭師見習いだった時の先輩に借りた小型熊手。鉄製の片手サイズです。
「孫の手は自分で掻くものですけど…不肖わたくしが存分に掻かせていただきますっ!」
「やめたまえ!!!」
「いいえ、痒いんでしょう、遠慮なさらず!!!」
熊手を振り上げて突進すると「そるじゃぁ・ぶるぅ」は転がるように壁際に逃げ、そのまま丸くなりました。
「…すまない…痒いなんて言って…。心からすまないと…思って…い…る…」
あ、狸寝入り。でもまぁ、痒くないんならいいでしょう、うん。

マザー、「そるじゃぁ・ぶるぅ」は今日も「痒い」と騒いでいます。私がキャプテンに報告したので「そるじゃぁ・ぶるぅ」が痒がった時は小型熊手で掻くということになりました。小型熊手を忘れた人は「無視」か「自己責任で掻いてやるべし」とシャングリラ中への通達です。ちょっと可哀相なことになったでしょうか…?




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