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シャングリラ学園シリーズのアーカイブです。 ハレブル別館も併設しております。

マザー、整備士補佐の職場は上司のゼル機関長に出向させられたまま終了しました。「役立たずのバカ者」なのは分かっていますが、一度くらいは整備士の皆さんと親しくお話したかったです。ゼル機関長の「皆の士気が下がる」とのお言葉で会えなかったのが残念でした。出向先で最後に起こった出来事は…。

「ハーレイ。また、ぶるぅに噛まれてきたのかい?」
「ああ。…やはり熊手で掻くべきだった。だが、かわいそうな気がしてな」
相変わらず「そるじゃぁ・ぶるぅ」は「痒い」を連発する日々です。私は熊手に布を巻いたもので掻いていますが(これだと痛くないですから嫌われません)、キャプテンは「熊手で掻く」のは可哀相だと素手で掻いては、たまに噛まれてお帰りに…。「そるじゃぁ・ぶるぅ」は掻いてもらうよりキャプテンに撫でてほしいのかもしれません。
「キャプテンのあんたがそのザマではねえ。…ぶるぅの方が偉いみたいに思えてくるよ」
あ、そうかも。「そるじゃぁ・ぶるぅ」は外出の度にキャプテンを待たせ、気に入らなければガブリガブリ。悪戯だって止められませんし、シャングリラでソルジャー・ブルー様の次に偉いのは「そるじゃぁ・ぶるぅ」?
「ほら、この子だって今、そう思った。ちょっとまずいんじゃないのかい?」
すみません、キャプテン。思念が漏れていたようです。
「そりゃ、ぶるぅのサイオンはケタ外れだけどねえ…秩序ってヤツは重要だ。あんたがしっかりしてくれないと、シャングリラの士気に関わるよ。…とはいえ、いったいどうしたもんだか」
腕組みをして考え込まれるブラウ様。エラ様とゼル機関長も話に入ってこられました。
「…私も気になっていたのです。けれど、ぶるぅはまだ子供ですし…」
「じゃが、とんでもない悪ガキじゃ!…ハーレイ、ここはガツンと一発」
機関長がおっしゃりたかった言葉は「叱ってやれ」だと思います。ですが、その前に私はうっかり…。
「かますべきですね」
とんでもない言葉を言ってしまいました。

「なんじゃと!?…ガツンと一発かますべき、とはどういう意味じゃ」
直属の上司に大声で聞かれ、私は縮み上がりました。ごまかせそうにはない雰囲気です。
「あ、あの…。子供の時に読んだ昔のマンガにあったんです。飼い犬の秋田犬とリーダーの座を争って…大ケガをしてまで「自分がボスだ」と納得させた人の話が」
「ああ、知ってるわ。『動物のお医者さん』でしょう?」
「さすがエラ殿。思い出すのが早いわい。…その話ならわしも知っとる」
「言われてみればあったねえ。…ハーレイ、あんたも当然、知ってるだろう」
「…うむ…」
あらら。長老方は全員『動物のお医者さん』をご存知でした。もしや爆弾発言をしてしまったのでは…。
「役立たずだと思っておったが、なかなかいいことを言うではないか。見直したわい」
「ぶるぅにガツンと一発、か。…ボス争いってのは悪くないね」
ああぁ、ゼル機関長、それにブラウ様まで!お二人ともまさかキャプテンに…。
「やるんじゃ、ハーレイ。誰が偉いのか分からせるのじゃ!」
「あたしも賛成させてもらうよ。熊手でも平手でも、とにかく一発殴っちまいな!」

エラ様は保留なさいましたが、ゼル機関長とブラウ様はこうと決めたらお譲りにならず。…キャプテンは「そるじゃぁ・ぶるぅ」とボスの座をかけて争うことになってしまいました。あまつさえ、いつの間に誰が連絡したのか「そるじゃぁ・ぶるぅ」の部屋はソルジャー・ブルー様のお力で「サイオンが使えない空間」にされたようです。
「うまい具合に寝ておるわい。叩き起こしてガツンと一発!」
ゼル機関長に背中を押され、キャプテンは「そるじゃぁ・ぶるぅ」が入った土鍋に向かいました。熊手は持っておられません。素手で勝負をなさるようです。サイオンが使えない「そるじゃぁ・ぶるぅ」は体格からしてキャプテンに勝てっこないでしょう。いよいよシャングリラのボスの座をかけた大勝負が…。その時です。
「…自分を信じることから道は開ける…」
土鍋の中の「そるじゃぁ・ぶるぅ」が不意に寝言を言いました。
「…ことの善し悪しは全てが終わってみなければ分からないさ……むにゃむにゃ…」

マザー、キャプテンはご自分を信じることになさったそうです。シャングリラの艦長は自分なのだからボスの座を争う必要は無い、と。ゼル機関長とブラウ様も納得なさいましたが、あのタイミングのいい寝言。「そるじゃぁ・ぶるぅ」の不戦勝に思えないこともありません。だとしたら…恐るべし、「そるじゃぁ・ぶるぅ」。私の不用意な発言のせいで起こりそうになったボス争いが回避されたのは嬉しいですが…。

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マザー、出向中の整備士補佐です。今日はキャプテンに「書類の整理を手伝ってくれ」と言われました。まともな仕事は久しぶりとあって、喜んでついて行ったのですが…あれ?この先にあるのはおなじみの…。

「入るぞ、ぶるぅ」
目的地は例の部屋でした。「そるじゃぁ・ぶるぅ」が窓の外を眺めて奇妙なことを呟いています。
「…スキーって美味しいのかな?」
「それは食べられないと思うが」
キャプテンは部屋をひととおり眺め回して、私に「入れ」とおっしゃいました。もしかしてここで書類整理を?…噛まれることはないのでしょうか。救急箱は持っていません。
「ぶるぅを熊手で掻こうとしてから今日で2日目。そうだったな?」
「あ、はい。…嫌われていると思うんですけど」
そう言っていると「そるじゃぁ・ぶるぅ」が振り向いて私を見つめ、プイと横を向いて部屋の奥にある土鍋にもぐりこみました。ごそごそごそ、と身体を丸めてどうやら眠るつもりのようです。土鍋の下には保温用らしきホットカーペットが敷かれてますから、きっと適温なのでしょう。
「嫌うというより警戒している。子供だからすぐに忘れるだろうが、覚えている間にと思ってな。…今ならぶるぅは君が部屋の中で何をしようと手出しはしない。さあ、急いで仕事を済ませよう」

書類整理とは、なんと「そるじゃぁ・ぶるぅ」が書き散らかしたメモ帳の発掘作業でした。およそ「お片付け」とは無縁に見える棚のあちこちに色も形もサイズもバラバラのメモ帳が突っ込まれているのです。『王家の紋章』のコミック全巻も乱雑に突っ込まれていましたが。
「キャプテン、これって日記じゃないんですか?…そんなものを勝手に引っ張り出しては…」
「ぶるぅの依頼だ、心配ない。食べ歩き日記をつけるのはいいが、自分でまとめられないのだ。だからメモ帳がたまってくると「まとめてくれ」と泣きついてくる。今度まとめたら4冊目だな」
「…ショップ調査の成果をまとめるんですか?ミシュランみたいなものでしょうか」
「手っ取り早く言えばそうなる」
メモ帳を発掘し終えたキャプテンは「中を調べて日付の順に並べるように」とおっしゃいました。欠けているものは無いようです。眠っている「そるじゃぁ・ぶるぅ」を起こさないよう、私たちはそっと部屋を出ました。

「助手がいてくれて助かった。いつもは私一人だからな、ぶるぅも邪魔をしてくるし…」
なかなか仕事がはかどらないのだ、とキャプテンは溜息をつかれました。もしかして私、「そるじゃぁ・ぶるぅ除け」の蚊取り線香扱いでした?いえ、お役に立てたならいいんですけど。手帳のまとめ作業も手伝うものだと思っていたら、お部屋に運んだ所で任務終了。まとめ作業はキャプテンがお一人でなさるそうです、しかも手書きで。
「文字を書いていると落ち着くのだ。日誌も手書きだからだろうか、ブラウには古いと笑われている」
いえいえ、とってもいいご趣味です。机の上にはなんと羽ペン。…しかし「そるじゃぁ・ぶるぅ」の食べ歩き日記をまとめて何にするんでしょう?シャングリラ内で出版しても「外の世界に行けない」ミュウには無意味です。
「まとめは手書きで1冊限り。そして目的は献本だ」
「献本?」
「ソルジャーの所にお届けする。それがぶるぅの頼みでもあるし、ソルジャーも楽しみにしておられるようだ」
えぇぇぇ!?…ぶるぅの食べ歩き三昧日記をソルジャー・ブルー様が…?発掘作業中に見た限りでは、かなり幼稚な日記でしたが。たとえば、こんな感じ。
『行列のできるラーメン屋。店主はハゲでゼルにそっくり。ニンニク多めの豚骨がうまい』

マザー、「そるじゃぁ・ぶるぅ」の食べ歩き日記、ソルジャー・ブルー様が何を思ってお読みになるのか分かりません。それを届けたがる「そるじゃぁ・ぶるぅ」の心理も謎です。青の間への『贈り物』の件もありますし、まさか「人類側の食べ物をこっそり味わう」仲間同士じゃない…ですよね…?




マザー、今度は整備士補佐になりました。保守整備は機関部のお仕事なので上司はまたまたゼル様です。前に「役立たず」だと言われましたが、今回はそれで済まないような…。

「新しい整備士補佐と聞いたが、またお前かい!」
着任挨拶にお伺いするとしっかり覚えておいででした。すみません、ゼル機関長。
「ハイオクとレギュラーのことは忘れとらんぞ。お前なんぞに整備されたらシャングリラは即、沈没じゃ!」
「…分かってます。自分でも自信ありません。でも部品を磨く程度なら…」
「いかん、いかん!一切手出しさせんわい。関係者との会話も禁止じゃ。何か起こってからでは手遅れじゃからな、その前に出向してもらおう」
「でも…。「そるじゃぁ・ぶるぅ」の留守番はもう要らないと言われましたが」
「操舵士見習いの時と同じでいいんじゃ!ハーレイに何か仕事をもらってこんかい、バカ者が!!」
役立たずからバカ者に昇格したのか降格なのか、叩き出されてしまいました。とほほほ…また出向です。

「そういうことで出向になりました。キャプテン、よろしくお願いします」
ブリッジで挨拶するとキャプテンは苦笑いしておいででした。何か仕事はあるのでしょうか?
「そうだな…。なんでもいい、というなら無いこともないが」
「このままだとバカ者で終わってしまうんです。何か仕事をいただかないと…」
「では、ぶるぅを掻いてやってくれないか」
「は?」
「そのままの意味だ。ぶるぅが痒いと騒いで困っている。もちろん、シラミの心配はない」
どうやら「そるじゃぁ・ぶるぅ」はまだ痒いと訴えているようです。
「あたしにも「痒い」って言ってたよ」
ブラウ様がおっしゃいました。
「ハーレイ、シラミ騒ぎの時にぶるぅを甘やかしすぎたんじゃないか?あれからずっと痒い、痒いって」
「…それは…。本当に痒そうだったし、遊んでやらないと風呂にもおとなしく入らなかったし」
「ほら、やっぱり。痒いと言ったらかまってくれると思ってるんだよ。可愛いじゃないか。ぶるぅはこの子に掻いてもらうより、あんたに来てほしいんだと思うけどねえ」
「…甘やかすのはためにならない」
ブラウ様は笑っておいででしたが、キャプテンは苦いお顔です。
「だが、放っておくのもかわいそうだ。…ぶるぅが痒がっていたら満足するまで掻いてやってくれると助かる」
「分かりました。じゃあ、さっそく様子を見に行きますね」
これでお仕事ゲットです。私は「そるじゃぁ・ぶるぅ」の部屋へ出かけていきました。

「かみお~ん♪」
部屋を覗くと「そるじゃぁ・ぶるぅ」はカラオケの真っ最中でした。が、私の姿に気付くなり歌は途切れて…。
「痒いんだ」
シラミを貰った時そっくりに「そるじゃぁ・ぶるぅ」は首の後ろを掻きました。
「…だが背中まで掻くには、ぼくの身体は固すぎる。誰かにゆだねなければ…ぼくの首筋、もっと下の方、ぼくの背中を掻ける者。誰か、誰か、誰かぁぁぁぁ!!」
えっと。なんだか芝居がかっていますけど?
「…痒くて痒くてツライんだ…」
あまり本当とは思えませんが、キャプテンのご命令でもありますし…。
「痒いっていうのはこの辺ですか?」
背中の真ん中あたりを掻いた途端にガブリと右手を噛まれました。
「触れると火傷するよ」
いたたた…。やはり遊ばれているようです。こんなこともあろうかと用意してきた救急箱で応急手当。ここで引き下がっては、出向先でも無能のレッテルを貼られますから。私は秘密兵器を取り出しました。
「そういうことなら、これで掻きます」
庭師見習いだった時の先輩に借りた小型熊手。鉄製の片手サイズです。
「孫の手は自分で掻くものですけど…不肖わたくしが存分に掻かせていただきますっ!」
「やめたまえ!!!」
「いいえ、痒いんでしょう、遠慮なさらず!!!」
熊手を振り上げて突進すると「そるじゃぁ・ぶるぅ」は転がるように壁際に逃げ、そのまま丸くなりました。
「…すまない…痒いなんて言って…。心からすまないと…思って…い…る…」
あ、狸寝入り。でもまぁ、痒くないんならいいでしょう、うん。

マザー、「そるじゃぁ・ぶるぅ」は今日も「痒い」と騒いでいます。私がキャプテンに報告したので「そるじゃぁ・ぶるぅ」が痒がった時は小型熊手で掻くということになりました。小型熊手を忘れた人は「無視」か「自己責任で掻いてやるべし」とシャングリラ中への通達です。ちょっと可哀相なことになったでしょうか…?




マザー、操舵士補佐の職場は研修はおろかマニュアルすらも目にしないまま終了でした。一度だけシドさんの後ろで見学させて貰いましたが、面舵と取り舵の意味も分かっていなくて恥の上塗りをしただけです。ブラウ航海長から「キャプテンの胃痛を軽くする」という任務を頂かなければ「居候」で終わったことと思います。

「ぶるぅのマイブームがケーキになったらしいじゃないか」
キャプテンへの差し入れを終えて戻ると、ブラウ航海長がおっしゃいました。
「はい。今もケーキの箱を抱えて御機嫌で帰ってきましたけれど」
「で、ハーレイは?」
「「そるじゃぁ・ぶるぅ」のお部屋です。「一緒に食べよう」と強引に中へ引っ張り込まれて…」
「あはは、そりゃいい。ハーレイはどんな顔してた?」
「難しそうなお顔でしたが…会議の予定でもおありでしたか?」
キャプテンのお顔を思い返して、スケジュールを調べておけばよかったと思ったのですが。
「安心しな、ハーレイの予定は空いてるよ。難しそうな顔をしたのは…甘いものが死ぬほど嫌いだからさ」
「えぇっ!?じゃあ、お断りになればいいのに。…どう見てもチョコレートケーキの箱でしたよ」
「そこで断れないのがハーレイの甘いところだね。甘いものは嫌いなくせに甘いんだから」
ブラウ航海長、なんだかとっても楽しそうです。
「ところで、あんたケーキは好きなのかい?」
「はいっ!」
私は元気一杯、答えました。ケーキはもともと大好きですし、ホールで10個はいけるクチです。
「ホールで10個とは凄いもんだ。じゃあ今度ハーレイがぶるぅにケーキを勧められたら、平らげるのを手伝ってやっとくれ。ぶるぅの機嫌は悪くなるかもしれないけどね」

航海長のご命令を受けた私はキャプテンからの連絡が入り次第「そるじゃぁ・ぶるぅ」の部屋に行くことになりました。そして呼ばれた時、「そるじゃぁ・ぶるぅ」はとっても不快そうでしたが…元・調理師見習いの腕を生かしてチーズケーキを綺麗に三等分すると機嫌はすぐに直ったようです。
「…切っても崩れないものだったんだ…」
すごく感心されたのですけど、今までのケーキは全部崩れたというのでしょうか?よほど不器用なんですね。一方、キャプテンはチーズケーキを仇のように睨んでいらっしゃいます。
「ぶるぅ…。やはり食べなくてはいけないか?」
「気に入らないというのかい、ハーレイ。ぼくがせっかく買ってきたのに」
「うっ…。ありがたく頂戴する…」
キャプテン、お手が震えています。それに卒倒されそうなお顔!…私は行動を起こしました。
「もらったーっ!!」
キャプテンの分のケーキにフォークを突き刺し、お皿をひったくるようにして自分の口へ。あ。これ、美味しい。「キャプテンを苦手なモノからお救いする」という任務も忘れる美味しさでした。ご馳走様です、「そるじゃぁ・ぶるぅ」。もちろん自分の分のケーキもしっかりすっかり…。

「…これからは毎回、きみが一緒に来るのかい?」
空になったお皿を前に「そるじゃぁ・ぶるぅ」が憮然とした顔で言いました。逆にキャプテンはとても嬉しそうです。
「はい、ブラウ航海長のご命令ですし!」
「つまらないな」
え。
「…ハーレイの困った顔が見られないんじゃつまらない。もうブルーの分しか買ってやらない!」
あ、やっぱりケーキも青の間に…って、「そるじゃぁ・ぶるぅ」…案の定、キャプテン苛めていたんですね。私たちは部屋から追い出され、『おでかけ』の札がかかりました。今度の行き先はきっと悪戯…。

マザー、「キャプテンの胃痛を軽くする」任務は無事こなせたと思います。チーズケーキは役得でした。それにしてもキャプテンに一切お土産を持ってこなかった「そるじゃぁ・ぶるぅ」が、マイブームがケーキになった途端に「一緒に食べよう」と無理強いするとは酷いです。キャプテンになついているのかと思ったのですが…。




マザー、研修もさせて貰えない操舵士補佐です。「そるじゃぁ・ぶるぅ番」のお役目が無くなってからはブラウ航海長のご命令でキャプテンの胃痛解消に奔走する生活を送っています。
「舵が取れないんだし、せめてキャプテンのお役に立ちな」
主な役目は「そるじゃぁ・ぶるぅ」のお出かけ中に扉の前で待ってらっしゃるキャプテンに差し入れを運ぶことでした。なにしろ「そるじゃぁ・ぶるぅ」ときたら、キャプテンを留守番に指名したくせにお土産すら持って帰りません。…ソルジャー・ブルー様には何かと『贈り物』をしているようですが。

「ああ、お帰り。最近、痒い痒いと騒いでるねえ」
「は?…いつもどおりのご様子でしたが」
キャプテンに塩煎餅を届けて戻ってくると、ブラウ航海長が妙な質問をなさいました。
「ハーレイじゃなくて、ぶるぅだよ。いや、ハーレイもそろそろ危ないかも…」
「「そるじゃぁ・ぶるぅ」ですか?…そういえば、痒くてたまらないとか言っていますね」
「だろ?昨日あたしが行った時にも痒がってたんだ」
このあいだから「そるじゃぁ・ぶるぅ」がよく「痒い、痒い」と訴えています。十八番の「かみお~ん♪」の最中に「痒くてたまらないっ」と叫んだり。
「アタラクシアでタチの悪いシラミが発生したらしい。ネコから人に移るっていうし、貰ってきたんじゃあるまいね」
「ネコから人に移るんですか。どっちからでも貰えそうですね」
「アタマジラミの変種らしくて、着替えて身体を洗うだけじゃあ駆除できない。専用シャンプーが要るんだってさ」
「それは…貰ったが最後、とてもマズイような…」
「ハーレイにも伝えておいたんだけどね。…ああ、ハーレイ。ぶるぅの様子はどうだった?」
ブリッジに戻ってこられたキャプテンは深刻な顔をしておられました。
「…ブラウの意見が正しそうだ。シャングリラ中に広がる前に、なんとかしないといけないな」

あぁぁ。よりにもよってシラミのお持ち帰りとは…。悲しすぎます、「そるじゃぁ・ぶるぅ」。ショップ調査とグルメ三昧の間に何処かで貰ってしまったのでしょう。接触したのがネコか人かは謎ですが。
「とにかく風呂に入れねばなるまい。専用シャンプーは入手したのか」
「バッチリさ。人類側の情報をちょっと失敬して、ヒルマンに渡したら作ってくれたよ。あんたもヤバイかもしれないからね、ぶるぅを洗うついでに一緒にシャンプーしといておくれ」
「ちょっと待て、ブラウ!…私がぶるぅを洗うのか!?」
「当然じゃないか」
ブラウ様…もとい航海長はフフンと笑っておっしゃいました。
「ぶるぅが真面目に言われたとおり風呂に入ると思うかい?…このシャンプーは使い方が面倒なんだ。髪に塗りたくってから5分間、洗い落としちゃいけないんだよ。しかもそれを1日1回、1週間続ける必要がある。でないとシラミの卵が死に絶えなくて、ぶるぅみたく身体まで痒くなっちまうのさ」
「…塗りたくってから5分間…。1日1回、1週間も…」
「どう考えても誰かが洗ってやるしかない。…ぶるぅを風呂に入れられるヤツがあんたの他にいそうかい?」
キャプテンは眉間に皺を寄せ、じっと考えておいででしたが。
「分かった。…シャングリラをシラミから守るのも艦長の務めの内だろう。シャンプーをくれ」

今回、私に手伝えることは何ひとつありませんでした。キャプテンが「そるじゃぁ・ぶるぅ」をお風呂に入れてシャンプーを塗りたくり5分待つ間、カウントしたのはリオさんです。5分が我慢できない「そるじゃぁ・ぶるぅ」の気をそらす為にアヒルとラッコのお風呂オモチャを調達したのも、湯上りに念入りにドライヤー(これも必要だそうです)をかけたのもリオさん。もしも私が男だったら、お役に立てたと思うのですが。

マザー、「そるじゃぁ・ぶるぅ」のシラミは無事に駆除されました。ただ、1週間も「キャプテンと一緒にお風呂に入って洗ってもらう」経験をした「そるじゃぁ・ぶるぅ」は「一緒にお風呂」がとても気に入ったみたいです。もうシラミはついてない筈なのに「痒い」と騒ぐのをやめません。痒がっていればまたキャプテンが一緒にお風呂に入ってくれる、と思い込んでいる様子ですけど…水虫の薬でも飲ませましょうか?




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